◆−藍橙〜あいとう〜 Ver.1.0−砂緒 (2002/12/8 18:51:36) No.23663
 ┣Re:藍橙〜あいとう〜 Ver.1.0−れーな (2002/12/9 23:31:47) No.23685
 ┃┗きゃあvv−砂緒 (2002/12/10 22:27:25) No.23700
 ┗Re:にゅぁああ〜〜っ!!−みい (2002/12/13 22:46:43) No.23738
  ┗にょあぁぁvv−砂緒 (2002/12/14 23:18:11) No.23761


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23663藍橙〜あいとう〜 Ver.1.0砂緒 E-mail 2002/12/8 18:51:36


こんにちは。はじめましての方ははじめまして。砂緒と申します。
今回、一年半ぶりに投稿します。
しんみり系オリジナルです。よろしければご覧下さい。

*******



凍える冬に風が泣く
流れ流れて私の頭上を越えていく




    藍橙〜あいとう〜 Ver.1.0




縛られた影を想い、無性に泣きたくなった。
でも、もう声を絞る喉も、涙を湛える眸もない。
だから私は泣く事ができない。だって、私は我が身を持っていないから。

私は死んだのだ。

事故だった。責任は、私にあった。
私のせいで、私は死んだ。

だから私は自分の弁護さえできない。
何もできない。それが悲しい。
悲しい、悲しい、悲しい、悲しい。

そのまま、私は、悲しすぎて、地縛霊になってしまった。




「キミは何に囚われる?」

静かな声が降ってきた。
雪のようだった。冷たいとわかっているのに思わず手を伸ばしたくなる、純白の輝きがあった。

―――そして、天使が降り立った。

まるで絵本の中の世界だ。背中に生えた白い羽も、男とも女とも知れない端正な顔立ちも、天の使いにふさわしく、現実離れしていた。
とうとう私は召されるのでしょうか。
ありがたいことなのか知れないけど、でも、私、喜べそうにない。

「ボクは天使じゃない。死神だ。」

(でも、どう見ても天使の格好をしてるけど。)

「それ、人間の勝手なイメージだよ。人間は死ぬのが怖いから、首刈り鎌を携えた、黒い死神を想像する。」

死神は長い睫を瞬かせた。
それから、青く透きとおった、おそろしくふかいまなざしを私に向けた。

「死んだ人間は、別の世界に行くんだよ。」




わかっていた。
死んだ人間が生き返ることはできない。もう、手遅れなのだ。
けど、私は行きたくなかった。
行ってしまえば、もう二度と、私が今までいた場所に戻れないのもわかっていた。

私はまだ高校生で、今まで自分の死について、深く考えた事もない。
だから、死にたくない。
こうなってしまってから、いろいろ考えたんだ。やりたいことも、やらなくちゃいけないことも、たくさんあった。

悲しいよ。
だって、私は、何も残してない。




「人間は、いつか死ぬんだ。」

(だけどまだ、はやすぎる)

「キミ、人間だろう?」

(そしてまだ、高校生)



「人間は、泡のように消える事はできないよ。」



私は初めて、まっすぐに死神を見た。
まばゆい光を、舞い散る羽を、醒めるような瞳を、こぼれるようなブロンドを。そのどこかに嘘がないか、見抜こうと思った。
だけど思いのほか真剣な表情が、私を見返してきた。
気後れするように、後ろめたいように。見抜かれたのは私だった。

私は死にたいと思ったことはない。

でもね、本当は。
泡のように消えたいと思ったことはあるんだ。

苦しい事、悲しい事と向き合った時。
消えてしまいたいと思った。
ほんの一瞬で、それこそ泡みたいに消えてしまう、かすかな弱気があった。

でも、今の私は、こんなに望んでいる。
消えるのはイヤだ。
矛盾してるね。



「人間は、泡のように消える事はできないよ。」



繰り返す言葉を吟味した。
自分でも気付かないぐらいにそっと、私も何かを残しているのだろうか。

人間は泡のように消える事ができない。
それは、本当は、悲しむべき事なのだろうか。

悲しい・・・・・・。




(あの・・・・・・)

「何?」

(じゃあ、私は、消えたわけじゃないんですね・・・・・・)

「そうだよ。・・・・・・悲しいね。みんな悲しんでいる。風も泣いているよ。これから、キミのお葬式がはじまるから」




耳をすませば、確かに風は泣くようにに吹いていた。
―――歌っているようにも聞こえた。

棺を挽く者は歌う。悲しみに堪え、死者を送るために歌う。

私は風の歌に送られた。
泡のように消える事はできなかった。

透明な藍の空、夕日が雲を染めていた。
それを私は美しいと感じた。
心の中にも焼き付けておいた。

そうしておけば、またいつか、他の誰かがこの空を見て、美しいと感じてくれるだろう。






*******


後書き

リアルタイムで高校生なうちに、主人公が高校生の話を書いておこうと思って投稿しました。
書いた後に読み返すと、最初のテーマとちょっとずれていることに気づいたり気づかなかったり。(気づいてるんじゃないか!)
でもそれも青春です。


それから、タイトルは、たまたま授業中に虹の七色についての話になった時、先生が黒板に
    
     紫、(藍)、青 、緑 、黄 、(橙)、赤 

こう↑書いてて。
「なんでその二色だけ、かっこで閉じてるの?」という心中のツッコミから生まれたシロモノです。
なにげに『哀悼』と掛かってるし、自分では結構気に入ってますv

ちなみにVer.1.0とか付いてますが、別にVer.1.1やVer.2.0が出るわけじゃありません(笑)
じゃあ何で付けてんだって気がするかもしれませんが、それはまあ情趣と言いますか、ゴロが悪かったと言いますか、まあそんな感じです。


では、最後に一言。
ここまで読んで下さって、本当にありがとうございました。



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23685Re:藍橙〜あいとう〜 Ver.1.0れーな E-mail 2002/12/9 23:31:47
記事番号23663へのコメント

こんばんわ!!れーなでっす!
昨日レスしようとしたんですが、2度も失敗したので今日リベンジですv

とゆーかお久しぶりです砂緒さーん!!(喜
覚えていらっしゃいますでしょーか・・・以前レスさせて頂いたことのあるモノでふ。
あ、でも覚えてなかったとしても問題なっしんぐです!過去の記事を調べる必要もありません(笑)

懐かしいお名前に思わずクリックしてしまったのですが。
お話、切なくて凄く素敵です――!!(>_<

>「人間は、泡のように消える事はできないよ。」
このくだりがとっても好きなのです〜。
あたしも、救いようがないくらい滅茶苦茶に凹んだ時、「あー消えちゃいたい」とか思っちゃうことがありまして。
だから、「彼女」(・・・彼だったらごめんなさい・汗)のいう、矛盾とかそーゆーこと、分かるなぁ、なーんて思っちゃいまして。

>耳をすませば、確かに風は泣くようにに吹いていた。
>―――歌っているようにも聞こえた。
>
>棺を挽く者は歌う。悲しみに堪え、死者を送るために歌う。
>
>私は風の歌に送られた。
>泡のように消える事はできなかった。
それと、ココも好きなのです!!なんかこう・・・表現が!!
綺麗なのですよー!あたしのツボに的中ですっvv


タイトルは虹の色から取ったのですねー。あたしも化学の時間に習いましたv
「藍ッ!?黄緑とか入ってんじゃないの!?」て騒いでた記憶が(笑)


うや、何か好き勝手叫んでるレスでごめんなさ・・・ッ(殴

ではでは、この辺で失礼致しますのです〜☆

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23700きゃあvv砂緒 E-mail 2002/12/10 22:27:25
記事番号23685へのコメント

きゃあ!お久しぶりですれーなさんっ!!
レスありがとうございます〜。


>とゆーかお久しぶりです砂緒さーん!!(喜
>覚えていらっしゃいますでしょーか・・・以前レスさせて頂いたことのあるモノでふ。
>あ、でも覚えてなかったとしても問題なっしんぐです!過去の記事を調べる必要もありません(笑)
覚えてるに決まってます!ええ決まってますともっ!(力を込めて)
受けた恩を忘れる私じゃないですよ☆
それに私もれーなさんの小説ばりばり読んでますしv


>懐かしいお名前に思わずクリックしてしまったのですが。
>お話、切なくて凄く素敵です――!!(>_<
いやもう読んで下さった方がいるってだけで嬉しいです・・・(涙)
オリジナルだから読んでもらえないかもなって思ってたので・・・。


>>「人間は、泡のように消える事はできないよ。」
>このくだりがとっても好きなのです〜。
>あたしも、救いようがないくらい滅茶苦茶に凹んだ時、「あー消えちゃいたい」とか思っちゃうことがありまして。
やっぱヘコむと、そーゆーこと思っちゃいますよねぇ・・・。
私もたまに逃避というか逃亡というか、世の中のしがらみ(笑)から抜け出したいと思います〜。


>だから、「彼女」(・・・彼だったらごめんなさい・汗)のいう、矛盾とかそーゆーこと、分かるなぁ、なーんて思っちゃいまして。
彼女ですからご安心を♪


>>耳をすませば、確かに風は泣くようにに吹いていた。
>>―――歌っているようにも聞こえた。
>>
>>棺を挽く者は歌う。悲しみに堪え、死者を送るために歌う。
>>
>>私は風の歌に送られた。
>>泡のように消える事はできなかった。
>それと、ココも好きなのです!!なんかこう・・・表現が!!
>綺麗なのですよー!あたしのツボに的中ですっvv
でも、最初の行、誤字ってますよね(笑)
「泣くようにに」って・・・あぁ。
いつも見直しはするんだけど、投稿した後読み返すと、何故かどこかで間違っているという。
まあ、これも投稿小説の醍醐味でしょうか。(絶対ちがうって・・・)


>タイトルは虹の色から取ったのですねー。あたしも化学の時間に習いましたv
>「藍ッ!?黄緑とか入ってんじゃないの!?」て騒いでた記憶が(笑)
いや、きっと黄緑も入ってますよ!
緑と黄色の間あたりに、こっそりと忍び込んでいるんですよ!そうに違いないです、はい。


>うや、何か好き勝手叫んでるレスでごめんなさ・・・ッ(殴
私の方こそすみませ・・・(がくっ)


ではでは。レス本当にありがとうございましたvv


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23738Re:にゅぁああ〜〜っ!!みい 2002/12/13 22:46:43
記事番号23663へのコメント

お久しぶりですっ!みいでっす!!
覚えてらっしゃいますかー?実は今パソバグり中なのです(泣)なので携帯から失礼なのですー。。。
素敵ですねーっ!表現がきれいで真似したいくらいですっ!その文才私に分けて下さい!
主人公のやりきれなさとか、解る気がします。時々、消え去りたいとか思いますし。
…死神の言葉は、冷たいようで、でもスゴク優しい。イイですねー。こんな死神に会ってみたいです!天使とか大好きですしっ!
…ところで、灰色の受験生に是非とも合格の秘訣を!(をひ)
まぁ、戯れ言はこの辺で。であであ、みいでしたっ!

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23761にょあぁぁvv砂緒 E-mail 2002/12/14 23:18:11
記事番号23738へのコメント

おお、みいちゃん!おひさしぶりです!
レスありがとうございますぅvv


>覚えてらっしゃいますかー?実は今パソバグり中なのです(泣)なので携帯から失礼なのですー。。。
あなたのことを忘れることなんてできないっ!(メロドラマ風)


>素敵ですねーっ!表現がきれいで真似したいくらいですっ!その文才私に分けて下さい!
文才、欲しいなぁ・・・。
村上春樹みたく書けるようになりたいのに。無理か。


>主人公のやりきれなさとか、解る気がします。時々、消え去りたいとか思いますし。
私も思いますよ、ホント。何しろ暗黒の受験生ですからね・・・(泣)


>…死神の言葉は、冷たいようで、でもスゴク優しい。イイですねー。こんな死神に会ってみたいです!天使とか大好きですしっ!
この話の死神は『カラフル』って小説に出てくる天使がモデルなのですー。
私も天使とか死神とか吸血鬼とか(え?)大好き。


>…ところで、灰色の受験生に是非とも合格の秘訣を!(をひ)
体調管理が大切っす!
くれぐれも熱は出さないように。←経験者


ではでは。本当にレス、ありがとうございました!(≧∇≦)