◆−恋愛カタログ3−春祭あられ (2002/10/18 23:58:30) No.22860
 ┗私もご挨拶を。−蒼杜 (2002/10/23 21:27:46) No.22915


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22860恋愛カタログ3春祭あられ E-mail URL2002/10/18 23:58:30


ぎゃーっ!!とか思いつつ。
こんにちは。春祭です。
恐ろしく久しぶりです。何やってたんだ自分とか突っ込めるほど・・・(汗)
待ってた方いらっしゃるかどうか分かりませんが、素晴らしき“蒼杜さん”とのリレー小説「恋愛カタログ」をお届けいたします。
あとがき代わりにお知らせがあるので、最後までお付き合いください。




++++++++++++



「俺・・・・・・」
圭介は言いかけてとたんに口を閉じる。
言いかけたことは何なのだろうか。美由は涙に濡れた顔で圭介を見上げた。
すっと、圭介は視線をずらす。
「あれぇ、美由ちゃんじゃないけ?」
後ろから急にかけられた言葉に驚いて振り向く。
そこには見知らぬおばさん―――いや、祖母のお向かいにすんでいるおばさんがいた。
「なん、どうしたん?そんな泣いて・・・・・・綺麗な顔が台無しになっとんぜ」
「いや、別になんとも・・・」
「一人でこんなところ来とったん?危ないやろ!ほら、おばさんと一緒に帰ろう?」
夜の一人歩きは危険だと判断したこの女性は、美由の手を引くと強引に引っ張っていく。
「あ、ちょっと待って!」
この人に圭介が見えていない・・・・・・その事実を改めて見て、美由は悲しそうに圭介を見た。
彼はただ立ち止まって、引っ張られる彼女の後を追ってこない。
「圭介!」
その呼びかけに答えず、彼はそのまま身を翻して川の中に消えていった。



 恋愛カタログ3〜恋せよ少年少女たち〜




それから、圭介は美由が都会に戻る日になっても姿を現さなかった。
祖母にも聞いた。
「圭介って、なんなの?」
河童だということは知っていたけれども、その他のことは何も知らない。
彼の本当に住む場所。
彼の家族。
彼の・・・本当の姿。
圭介は本当に人間の姿をしている生き物なの?もしかしたら、噂で言われているように緑で、水かきがついてて、甲羅を持ったお化けなの?
「圭介はね、この家の裏山を流れる川の主なんだよ。まだまだ綺麗な水をしてる。圭介が良く守っているからねぇ」
「主、様?」
「昔、私が裏山で遊んでいた時さ。川に大切なペンダントを落としてしまってねぇ。必死で探したさ。夕方になっても見つからなくて、泣く泣く帰ってまた次の日も探して・・・・・・そんな時だよ。圭介がひょこんと現れて一緒に探してくれたんだ。驚くぐらいにすぐ見つかってね、心底礼を言ったもんだ」
森の中、木陰に隠れながら、人間を少しは恐れながら彼は言った。
“俺も、一緒に探してやるよ。大切な物なんだろ?”
そのときから、圭介は今の少年の姿なんだという。
祖母の兄弟とも、圭介はすぐに仲良くなったが、大人になっても河童を見ることが出来たのは祖母だけだった。
「いつも見る姿こそ、圭介の本当の姿ではないんじゃないかな。ふふ、皿があるとはいっても、見た目には見えんがな。もう50年以上の付き合いさね、本当の姿があるならとっくに見せてもらっているさ」
祖母は、ふふふと笑うと美由に小さな金色のペンダントを渡した。
それは、よく子供が縁日などで取ってくるおもちゃのペンダント。
所々壊れそうで、年代を感じた。そう、これが。
「美由の忘れ物はなんだい?」
美由は、意を決すると裏山へと走っていった。



川の中に、圭介は浸っていた。
ゆらゆらと揺れる水面に身体をゆだね、水と一つになる。
そうして水の様子を知り、浄化し、川を守っていくのだ。
ただ、このときばかりは心は川になかった。何かを考え、母を求めるように川に潜り込み、身を隠す・・・・・・そんな仕草。
「圭介ーっ!」
まだ山の入り口の方で誰かが叫んでいるのを水越しに聞く。
美由の声だった。
「いるんでしょ?どこよ!出てきてよ!」
叫ばれるその言葉に、いっそう身を丸めるようにして圭介は眼を閉じた。
「今日、私が帰る日だって知ってて姿を現さないわけっ?!そんな事許さないから!」
何を言われたとしても、でていくもんか。と躍起になって姿を出さない。
「出てきてよ・・・・・・私の忘れ物、一緒に探してよ」
圭介はギョッとした。
急に聞こえてくる声が涙声ではないか!
結局見えなくなってしまったら別れが悲しいから・・・・・・だから出て行かないと決めたのに。
心がぐっと揺らいでしまう。
「圭介のバーカ。アホ。マヌケ。意気地なし」
「誰のこといってんだ?お前」
美由が驚いて後ろを向くと、呆れたような顔をしながらも恥ずかしそうなところが丸出しの圭介がいた。
結局、出てきたのだ。
駆け寄って、圭介の身体を、その存在を確かめるように抱きしめる。
そのとたん、圭介の身体が硬直するのが手にとるようにわかった。
「よかったぁ。もう本当に会えないかと思った」
「ば、ばか!離れろ!!」
「いやー。逃げちゃいそうだもん」
「逃げねーよ!離れろよ!!」
もはや圭介の顔は真っ赤に染めあがっている。
しぶしぶ美由が離れると、安心したかのように胸を押さえた。
「で、何なんだよ。美由の忘れもんは」
「ん?ああ、私の決心」
「―――は?」
美由はにっこり笑うと、圭介に向かって「好きよ」と呟いた。
「私、圭介のことが大好き!だから、仮に見えなくなったとしても、いつも会いに来て。いっしょに話をしよう。存在を感じさせて」
「美由・・・」
「私の決心。見えなくても、何時も圭介の存在は私の中で偉大よ。忘れたりしたくない。だから迷わない」
「俺は、河童だぞ」
「そんなの関係ないよ。種族に隔てはないんだって誰かも言ってたし」
「じゃあ、犬と恋をしても平気なのかお前は」
「平気。もう気持ちに嘘ついたりしないもん」
圭介はため息をつく。
でも、どこかで嬉しい自分がいる。望んでいた自分がいる。
だから、その後苦笑するしかなかった。
「美由のバーカ」
「うわ。圭介に言われたくないし」
笑う美由に圭介は軽く、頬にキスをした。
「見えなくなってもいい前提で話を進めたけど、実はこの先も見えるんじゃないかって自信もある」
美由の目を見つめると、本気の眼だった。
「絶対笑いあえるよ、来年も。この先も。おばあちゃんみたいに」
「分からないよ、そんな事」
「奇跡は起こるからきっと。そのためなら、毎日神社にいったってかまわない」
「・・・・・・」
「晴れの日も雨の日も、寒い日も暑い日も。台風が来たってめげずに行ってみせる」
「やめろ危ねぇ」
呆れて、圭介は美由の頭を撫でるように叩く。
「来年も、ばあちゃんちに行くから。必ず会いに行ってやるから」
「約束だよ」
すっと右手の小指が出される。
それを、圭介の小指と絡めた。
ゆびきりげんまん。
嘘ついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。



みーんみーんみーん。
蝉が鳴く。
つくつくほーしつくつくほーし。
蝉が鳴く。
縁側でアイスを食べていた圭介は、玄関の扉が豪快に開く音を聞いた。
「ばあちゃん、ただいまー!!」
彼女の相変わらずの声に、笑って立ち上がった。

おかえり、美由。



/END/

あとがき。
遅くなってすいません。すいません。すいません。(滝汗)
言い訳を言ってしまえば、春祭、いろいろ忙しくて・・・・・・
修学旅行行ってきました。沖縄です。定番です。
それで、この間帰ってきたばかりなのに来週からは中間テスト・・・・・・
うふふふ。やってられるかこんな生活。(げしげし)

さて、重要なお知らせだと思うのですが、この恋愛カタログ、オリジナルもスレパロも全部ひっくるめていろんなシチュエーションのお話をリレーでずっと続けていくつもりでした。
・・・・・・が。
実は作者二人ともやや理由があって続けていくことが困難になりはじめたのです。
実に悲しいことですが。
それで、このリレー企画を春祭のホームページで続けていくことにしました。
春祭自身も少しずつ書いていくつもりですが、皆様にもどんどん参加して頂きたいのです。
流石にこの書き殴りのように自由投稿形式ではないので、リレーだと特定の人としか出来ないので、皆様に参加してもらえるように条件に当てはまる小説特集みたいな感じで「カタログ企画」を実施したいと思います。
1、恋愛小説であること。
2、連載にはしたくないので、長くても良いので1つにまとめて下さい。
3、ジャンルは、スレイヤーズ、あるいはオリジナルにして下さい。
大体はこんなものです。投稿については春祭にメールでお聞きくださると嬉しいです。

個人的なお知らせになりましたが、書き殴りでの「恋愛カタログ」は終了させていただきます。
読んでくださった方、最後まで付き合ってくださった方、有難うございました。

ではまた皆様に会えることを祈って。
 春祭あられ



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22915私もご挨拶を。蒼杜 2002/10/23 21:27:46
記事番号22860へのコメント

今晩和。何処にも行ってないのに、逃亡中(ぇ?)の蒼杜です。

ということで、春祭さんの功績の方が高いと思われる、今回の『恋愛カタログ』。無事終わりまして、一安心しております。
そして、読んでくださった方、本当に有難う御座います(><)
また、あられちゃん、お付き合いくださって、ご苦労様でした〜&有難うvv


そりから…
羅琴みつきさんへ。
ご、ごめんなさい。レスを返すのが本当に遅くなってしまい、申し訳ございません(><)
みっきーのレス返ししようと思ったら、すでに落ちておりまして…(言い訳)

>河童
そうなんですよvv 勿論全ての設定はあられちゃん作☆
私も、をををっ!!とか思いながら、一読者なりに書かせていただきました。

でもでも、レスありがとうございました〜♪


そしてあられちゃんの方にも書かれてあるように、二人の諸事情(どちらかと言えば、私の問題^^;)の為、今回で恋愛カタログが終わります(TT)
とても残念ではあるのですが、ご了承くださいませ。
また、あられちゃんのサイトの方でも「恋愛カタログ」をされるかと思うので、気になる方は是非参加してみてはどうでしょうか!!(宣伝。きぱ)


ではでは、これにて。
蒼杜でした☆