-異界黙示録伝《水の書》その2-魔沙羅 萌(4/15-19:44)No.2279
 ┗Re:異界黙示録伝《水の書》その2-松原ぼたん(4/16-18:59)No.2300


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2279異界黙示録伝《水の書》その2魔沙羅 萌 4/15-19:44

今回は玉髄君の一人称です。はい。

リラに伝わる天地創造……。
それはまさに雨の精霊の歌う歌の通りだった。
ヒトの創ったアストラル・サイドにあるヒトの宇宙……。
いつのころからかその地は『リラ』と呼ばれるようになっていた。
そう、その地の化した一人の神の名から……。


雷鳴と電光


「俺だけおいてくなんて酷いじゃないか!」
おれ達に遅れてガウリイがリナンの部屋にはいってくる。
どこからか雷の音が聞こえてくる。
「あら、遅かったじゃないガウリイ」
「あのなあ………それより、萌はどうしたんだ?」
ガウリイは今更萌がいないのに気がついたようだ。まったくだから人間は……って、こいつは今来たところだった。
「萌ならちょっと木の実でもとりに行ってもらったところよ、ガウリイ君。あたしも久し振りにここに帰ってきたもので食事をつくろうにも材料が無いもので」
「まあ、僕としては萌さんに聞きたかったんですけどもういいです。ええと、螢さん、玉髄さん、玻璃さん、『雨の精霊の歌う歌』とは何ですか?」
ゼロスはおれ達にそんなことを聞いてくる。
この魔族、妙に好奇心があるんだよなあ。魔族らしくもない。
「ええとゼロスさん、雨の精霊の歌についてどうして知りたいんですか?」
玻璃の言葉にゼロスはニコニコしながら答えた。
「いえ、精霊の歌なんて滅多に聴けそうなものでじゃありませんし、何より僕の知ってる精霊は『言葉』を持っていませんから」
「それは心外ね。私たちは精霊に最も近いモノよ。何よりこの世界の者は精霊から進化したんだから」
「そうそう。それに、この森の精霊は」
≪なんであなたがココにいるのよ!≫
≪え?だ、だってわたしは≫
突然だった。
おれの言葉をとぎれさせたのは女の子の声が聞こえたからだ。
一人はこの村に住んでいる『水輝』という少女の声。もう一人の声は……萌のものだった。
それがリナンの家の戸口から500メートルほど離れたところから聞こえてきたのだ。
「萌?!」
おれは思わず扉を開けて駆け出していた。
姉貴や玻璃も同じことを考えたらしくすぐ後ろを走っている。
リナン達もなにがあったのか良く分かってなさそうだが一応ついている。
「だってじゃない!なんであなたがココにいるのよ!!今度は何をやらかそうって言うのよ!このお化け女!!」
「わ、わたしは!」
「うるさい!人間じゃないくせに!化け物はおとなしく森に帰りなさいよ!それとも今度はあたしの命を奪っていくって言うの?!あなたなんて死んじゃえばよかったのよ!!ううん、うまれてこなければよかったのよ!!」
最悪の事態が思った通り発生していた。
水輝は萌に対してこう言っていたのだ。
『人間じゃないくせに』と。

〔続く〕

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2300Re:異界黙示録伝《水の書》その2松原ぼたん E-mail 4/16-18:59
記事番号2279へのコメント
 面白かったです。

> ガウリイは今更萌がいないのに気がついたようだ。まったくだから人間は……って、こいつは今来たところだった。
 ガウリイなら今来たところじゃなくっても・・・・(^^;)。
>この魔族、妙に好奇心があるんだよなあ。魔族らしくもない。
 らしい魔族ってなに?
>「うるさい!人間じゃないくせに!化け物はおとなしく森に帰りなさいよ!それとも今度はあたしの命を奪っていくって言うの?!あなたなんて死んじゃえばよかったのよ!!ううん、うまれてこなければよかったのよ!!」
 うわ、きっつー。

 本当におもしろかつたです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。