-「真冬の悪夢」を読む前に-加流ネメシス(4/10-18:14)No.2196
 ┣真冬の悪夢【プロローグ】-加流ネメシス(4/10-18:16)No.2197
 ┣真冬の悪夢【1】-加流ネメシス(4/10-18:18)No.2198
 ┣真冬の悪夢【2】-加流ネメシス(4/10-18:19)No.2199
 ┣真冬の悪夢【3】-加流ネメシス(4/10-18:21)No.2200
 ┣真冬の悪夢【4】-加流ネメシス(4/10-18:23)No.2201
 ┣真冬の悪夢【5】-加流ネメシス(4/10-18:24)No.2202
 ┣真冬の悪夢【6】-加流ネメシス(4/10-18:26)No.2203
 ┣真冬の悪夢【7】-加流ネメシス(4/10-18:37)No.2204
 ┣真冬の悪夢【8】-加流ネメシス(4/10-18:39)No.2205
 ┣真冬の悪夢【10】-加流ネメシス(4/10-18:40)No.2206
 ┣真冬の悪夢【11】-加流ネメシス(4/10-18:41)No.2207
 ┣真冬の悪夢【12】-加流ネメシス(4/10-18:48)No.2208
 ┣真冬の悪夢【13】-加流ネメシス(4/10-18:49)No.2209
 ┣真冬の悪夢【14】-加流ネメシス(4/10-18:50)No.2210
 ┣真冬の悪夢【15】-加流ネメシス(4/10-18:51)No.2211
 ┣真冬の悪夢【16】-加流ネメシス(4/10-18:53)No.2212
 ┣真冬の悪夢【17】-加流ネメシス(4/10-18:54)No.2213
 ┣真冬の悪夢【18】-加流ネメシス(4/10-18:55)No.2214
 ┣真冬の悪夢【19】-加流ネメシス(4/10-18:58)No.2215
 ┃┣Re:真冬の悪夢-松原ぼたん(4/10-21:34)No.2220
 ┃┃┗松原ぼたん様へ-加流ネメシス(4/14-03:44)No.2261
 ┃┗せめて13日までは…-みいしゃ(4/12-16:44)No.2245
 ┃ ┗Re:せめて13日までは…-加流ネメシス(4/14-03:59)No.2263
 ┗Re:「真冬の悪夢」-むつみ。(4/11-09:05)No.2235
  ┗むつみ。様へ-加流ネメシス(4/14-03:54)No.2262


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2196「真冬の悪夢」を読む前に加流ネメシス 4/10-18:14

やっと出来ました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「真冬の悪夢編」。
実はこの「真冬の悪夢」はサウンド・ノベル
「かまいたちの夜」と言うゲームに影響されて
書きました。(舞台が同じ白馬をモデル(?)にしてますし(汗))
と―――――言うことは、そうです!
このお話は選択肢形式で進みます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
つまり、読んでいるうちに、いくつか選択肢を
選ぶところが出てきて、読んでいる方が選んだ
選択肢によってストーリーが変わって行くと言う
訳なのです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ですから、面倒でも「一括掲示」で全て表示して読むのではなくて、
選択肢毎にツリー表示と内容表示を出たり入ったりしながら
読むことをお勧めします。
「かまいたちの夜」のゲームか、BGM集を持っている方は、
BGMを聞きながら読むといいかも…。
時間がなくて、ほとんど見直しせずに、書き送りの状態に
なってしまったので、かなりおかしな所がありますが、
そんなものでも、少しでも皆様に楽しんで頂けたら幸いです。
(選択肢【9】はこちらの手違いではありません(汗)。)
ちなみに、なるべくヴァル中心の話になるのか、
ドラゴン・マスター中心の話になるのか、
選択肢からは分からないようにしてあります。
でないと、みんなヴァル中心の話ばかり選んでしまって
約一名スネる者が出てしまうので。(笑)
それから、このお話で、丁度一区切り着くということで
巨大対談を予定してあります。
そちらの方も出来たら宜しくお願いします。


この「真冬の悪夢」を完成させるにあたって、
協力して下さったみいしゃ様、坂本様に
この場をもって厚く御礼申し上げます。

                  加流ネメシス

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2197真冬の悪夢【プロローグ】加流ネメシス 4/10-18:16
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【プロローグ】

オレとヴァルは雪煙を蹴立てて、麓のレストハウスの
前で止まった。
マジック・アイテムの闇市が開かれると言う、ここ、
エミュール村にオレ達が到着したのは昨日のことだった。
今日の夜に開かれる闇市まで、ヒマつぶしにとスキーを
やってみたのだが、これが意外と面白かったりするのだ。
ヴァルも気に入ったみてぇーで、昨日からオレと一緒に
滑りまくっているとゆー状態だ。
そんな訳で、たった今も一滑りして来たっつーこった。
オレがもう一滑りすっかとヴァルに声をかけようとした
丁度その時―――――――
「おい!
 お前ら!!
 ちょっと滑れるからっていい気になりやがって!
 このオレと勝負しろ!!」
そう叫んで、グッと親指で自分の胸元を指し、
一人の男がオレ達にケンカを売ってきやがったのだ!!
さては昨日、オレとヴァルが豪快な滑りを見せたことで、
一躍このスキー場のスターになったからって、ヒガンでいやがるな?
まったく、必ずいるんだよなぁ〜〜〜〜〜〜
こーーーゆーーー身の程知らずなヤローが!!
ただ滑ってんのも何だし、コイツに痛ぇ思いをさせてやろーと
思うんだが・・・・・・

A.
せっかくいい気分で滑ってたのに!
こんなヤツに付き合ってらんねぇ!!
当然無視した。→【1】へ

B.
売られた喧嘩は買わなきゃ、男じゃねぇーーーー! 
その挑戦、受けて立ってやるぜ!!→【2】へ

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2198真冬の悪夢【1】加流ネメシス 4/10-18:18
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【1】

せっかくいい気分で滑っていたのに!
こんなヤツに付き合ってらんねぇ!!
当然無視した。
すると、ヤツはオレの腕を取る。
「おいおい!
 怖じ気付いたのかよ?
「うるせぇ!!
 邪魔すんなっ!」
 バキッ!!!!!!!!!!!!!
調子こいてしつこくするヤツが悪い!
ヤツを殴って、気絶させてやった。
「行こうぜ!
 ヴァル!!
 麓のレストハウスまで競争だっ!」
遙か眼下に見えるレストハウスを指差すと
オレとヴァルは再び滑り出していった。





そんなことをしているうちに、雪で覆われた白い山々を
赤く染めながら日が沈もうとしていた。
思う存分滑りまくったオレとヴァルは、ドラゴン・マスターと
待ち合わせ場所として決めたブランドショップへ向かう。
「おやおや、二人ともお帰り!
 今日はまた随分楽しんできたみたいだな。」
ブランドショップの前でオレ達をキョロキョロ探していた
ドラゴン・マスターが、のんきな声をかけてきた。
その両手には、大きな紙バックが大量にぶら下がっている。
旅行帰りのババアか!
お前はっ!!
「まーな。
 それがよぉ―――
 このオレ様に挑戦申し込んできたヤローがいてよ
 しつこそうだったから殴ってやったぜっ!!
 ガハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「へ!?」
マヌケな声を上げると、ドラゴン・マスターの顔は
みるみる青くなっていく。
「何だ?
 どーかしたんか?」
「い・・・いや、なんでもない・・・・・・・」
そう言った次の瞬間には元の顔色に戻っちまっている。
オレの気のせいだったのか・・・?
まっ、いいか!!
ンな細けぇことを気にしたって、しゃぁねぇーーーーーー!





オレとヴァル、そしてドラゴン・マスターの三人で
闇市が開かれてると言う、小さな裏路地に入った。
溶け残った雪が凍り付く細い路地には、
ランプを灯した露店がひしめくように軒を連ねている。
それを一つ一つ見て回っているのだが・・・
今ひとつぱっとしねぇ―――――
「悪いねぇ・・・お客さん。
 今年はどこもアイテムの出来が今一つなんだよ・・・」
オレの気分を察してか、露店のオヤジが
申し訳なさそうに言う。
その時、オレの頭の中に一つのアイデアが浮かんだ。
「なぁ、ヴァル・・・
 ちょっと用事を思い出しちまったから、ドラゴン・マスターと
 一緒に先に帰っててくんねぇーか?」
「ええっ!!!!!!!!!!!
 いくらガーヴ様の頼みとは言え、こんなヤローと
 一緒に帰りたくねぇ!!!!!!!!!!!!!!!」
オレの予想通り、ヴァルは猛然と反対する。
「と・に・か・く!
 あとでビックリさせてやっからよ!!
 いいな?」
ヴァルの耳元でそっとささやく。
「ちっ・・・・・・
 分かったぜ!!
 帰えりゃーいいんだろ!?」
渋々ヴァルはそう言うと、ドラゴン・マスターと共に
村の中心から少し離れた森にあるペンションへ向かった。





思ったより時間がかかっちまい、すっかり日が暮れて
辺りは夜の闇と雪明りだけの世界になっていた。
空には時折、雲の間から月が見隠れしている。
ハラも減ってきたと言うこともあって、オレは宿への道を急ぐ。
ところが―――――――
しばらく進むと、いきなりぱっと辺りの様子が変わり
今まで静かだった天候が猛吹雪になりやがったのだ!!
コイツは・・・
魔族か!?
オレは更に宿への道を急ぐ。
しばらくするとそこには―――――――
吹雪の中、雪原に倒れているドラゴン・マスターと
ヴァルの姿があった。


A.その場にしゃがみ込んだ。→【10】へ

B.腕を取ると引きずって走った。→【7】へ

C.ダッシュした。→【11】へ 

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2199真冬の悪夢【2】加流ネメシス 4/10-18:19
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【2】

「売られたケンカは買わなきゃ、男じゃねぇーーーーー!
 その挑戦、受けて立ってやるぜ!!」
雪原に突き立てていた、一組のスキー板を
素早く右手でガシッと鷲掴みにすると、
その先でヤツを差し、オレは宣言した!!
ビィィィィイイィィイイン・・・・・・・・・・
勢いでスキー板がたわみ音を立てる。
「よ・・・よぉーーーしやってやるぜっ!!」
さっきの勢いはどこへ行っちまったのか、ビクビク
しながらようやく声を絞り出して、ヤツは答えた。





勝負は当然オレとヴァルの圧勝に終わった。
ヤツは目を皿のよーに丸くして驚きまくり
何か言いたげに口をモゴモゴしていたが
捨てセリフも思い浮かばなかったのか
さっさとオレ達から逃げるよーに、その場から立ち去った。
へっ!
たあいもねぇ!!
それから、どう言う訳か何人もの挑戦者が
オレ達の前に現れたが、その全てに置いてことごとく
圧勝したのは言うまでもねぇーーーーー。
何だかちょっと昨日よりもまわりが騒がしかったよーな
気がするんだが・・・・・・
まっ、いいか!
そんなことをしているうちに、雪で覆われた白い山々を
赤く染めながら日が沈んで行こうとしてた。
思う存分滑りまくったオレとヴァルは、ドラゴン・マスターと
待ち合わせ場所として決めたブランドショップへ向かう。
「おやおや、二人ともお帰り!
 今日はまた随分楽しんできたみたいだな。」
ブランドショップの前でオレ達をキョロキョロ探していた
ドラゴン・マスターが、のんきな声をかけてきた。
その両手には、大きな紙バックが大量にぶら下がっている。
旅行帰りのババアか!
お前はっ!!
「まーな。
 それにしてもよ――――、何だか知らねぇーケド、今日は
 オレ達に挑戦しようって身の程知らずが多くてな。
 退屈しのぎに片っ端から片付けてやったぜ!!
 ガハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「それは、それは、お役に立てたようで何より。」
「!?」
上機嫌で笑っているオレは、ドラゴン・マスターの、いかにも
意味ありなセリフを耳にした途端、背筋に冷たいものが走った。
何だ!?
何だ!?
何だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?
また俺の知らねぇ所で何かやらかしたのか?
このヤローはっ!!
「そんなあからさまに疑いの目を向けないでくれよ。
 君達のことを恨めしそうに見ていたスキーヤー達がいてね。
 このままでは、ストレスが溜まってしまって、
 彼らに良くない。
 そこで、だ。
『あの二人をこのままのさばらせていいのかい?
 私と金貨100枚で賭をしないかね?
 君があの二人に買ったら、金貨100枚を払う。
 逆に負けたら・・・・・・どうだい?』
 って持ちかけたら、喜んで話に乗ってくれたんだな、これが。
 で、まわりにいたギャラリーの皆様には
 どっちが勝つか・・・・・・」
「てめーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!
 オレ達をダシに賭スキーやってやがったのかっ!!!!!!!!!!!!」
ドラゴン・マスターがセリフを言い終える前に
ガッとその襟首をつかんで、怒鳴る!
「いいじゃないかぁ。
 あんなに目立っているんだし・・・・・」
ほ・・・本当に神族の自覚あんのかよ!?
コイツわ・・・・・・・
ヴァルはあまりのことにポカンとしちまってるし・・・・・・
「そーーーゆーーー問題ぢゃねぇ!
 そ・れ・よ・り!!」
オレはそう言うとドラゴン・マスターの前に
掌を差し出す。
「何だい?
 これは・・・・・!?」
「出演料!!!!!!!!!!!!!」
すっとぼけた顔をしたドラゴン・マスターに
とーーーーーぜんとばかりに言い放ち、
襟首を激しく揺さぶる!
「ゲホ・・・コホッ・・・・・・
 シェイカーじゃあるまいし、そんなに激しく
 振らないでくれよ・・・・・・」
「テメェの頭振ったって、出てくんのは膿だけ
 なんじゃねぇーのかよ?」
「ああ!
 そんなこと言って・・・
 人(!?)が外で凍りついていたのを
 指差して大笑いするし!!
 せっかく払おうと思っていたのに・・・
 もう、知らん!!」
言って、プイッとそっぽを向くドラゴン・マスター。
ちぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まだあのことを根に持ってやがんの・・・
とは言え、マジック・アイテムとゆーーー物は
ちょっとした物でも家の一軒は二軒は軽く
立っちまう程、高価だったりするんだ。
オレの懐にはそれくれぇーの金はあるのだが
万が一足りなくなる可能性は全くねぇーとは
言えない。
そこでオレは・・・


A.
くそーーーー!!!!!!!!!!
くやしいが頭を下げてドラゴン・マスターに
頼むことにした。→【3】へ

B.
冗談じゃねぇーーーー!!!!!!!!!!
誰がこんなヤツに死んでも頭なんか下げるか!!!!!!!!!!→【4】へ

C.
何とか上手いこと言いくるめられねぇかと考えてみた。→【5】へ

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2200真冬の悪夢【3】加流ネメシス 4/10-18:21
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【3】

くそーーーー!!!!!!!!!!!!
くやしいが頭を下げてドラゴン・マスターに
頼むことにした。
「オレが悪かった!!!!!!!!!!!!!!
 いくらでもあやまるし、なんでもすっから
 少し分けてくれよ?
 なっ? なっ?」
くやしさに唇をかみしめながら、頭を下げて両手を
その上であわせて必死で頼む。
これもヴァルの武器を買う為だ・・・
「ガーヴ様!
 やめてくれよ!
 そんなこと!!
 マジック・アイテムなんかいらねぇから・・・」
ヴァルの気持ちはうれしいが、そーゆー訳には
いかねぇ!
「まだテメェで武器を作り出せねぇんだろーがっ!
 これはお前の命に関わってくる問題なんだぜ!?
 そーゆーことは一人前になってから言え、ヴァル!!
 それに、ヴァルが戦力にならなきゃぁ―――――
 これから先、旅を続けて行く上でも困るだろーがっ!!!!!!!!!
 ええ?
 ドラゴン・マスター!!」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・」
腕組みをして考え込むドラゴン・マスター。
だが・・・
すぐにニッコリ微笑む。
「分かった。
 大の男が頭を下げて頼んでいるんだ。
 持って行きなさい。」
言ってオレに黒革の財布を渡す。
「おっと!!」
そのあまりの重さに、思わず取り落としそーになる。
クッソーー!!
こんなに沢山稼ぎやがって!





オレとヴァル、そしてドラゴン・マスターの三人で
闇市が開かれると言う、小さな裏路地に入った。
溶け残った雪が凍り付く細い路地には、
ランプを灯した露店がひしめくように軒を連ねている。
それを一つ一つ見て回っているのだが・・・
今ひとつぱっとしねぇ―――――
「悪いねぇ・・・お客さん。
 今年はどこもアイテムの出来が今一つなんだよ・・・」
オレの気分を察してか、露店のオヤジが
申し訳なさそうに言う。
その時、オレの頭の中に一つのアイデアが浮かんだ。
「なぁ、ヴァル・・・
 ちょっと用事を思い出しちまったから、ドラゴン・マスターと
 一緒に先に帰っててくんねぇーか?」
「ええっ!!!!!!!
 いくらガーヴ様の頼みとは言え、こんなヤローと
 一緒に帰りたくねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オレの予想通り、ヴァルは猛然と反対する。
「と・に・か・く!
 あとでビックリさせてやっからよ!!
 いいな?」
ヴァルの耳元でそっとささやく。
「ちっ・・・・・・
 分かったぜ!!
 帰えりゃーいいんだろ!?」
渋々ヴァルはそう言うと、ドラゴン・マスターと共に
村の中心から少し離れた森にあるペンションへ向かった。





思ったより時間がかかっちまい、すっかり日が暮れて
辺りは夜の闇と雪明かりだけの世界になっていた。
空には時折、雲の間から月が見隠れしている。
ハラも減ってきたと言うこともあって、オレは宿への道を急ぐ。
ところが―――――――
しばらく進むと、いきなりぱっと辺りの様子が変わり
今まで静かだった天候が猛吹雪になりやがったのだ!!
コイツは・・・
魔族か!?
オレは更に宿への道を急ぐ。
しばらくするとそこには―――――――
吹雪の中、雪原に倒れれているドラゴン・マスターと
ヴァルの姿があった。


A.その場にしゃがみ込んだ。→【6】へ

B.腕を取ると引きずって走った。→【7】へ

C.ダッシュした。→【8】へ 

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2201真冬の悪夢【4】加流ネメシス 4/10-18:23
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【4】

冗談じゃねぇーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!
誰がこんなヤツに、死んでも頭なんか下げるか!!!!!!!!!!!!
「お前の金なんか借りなくったって、マジック・アイテムの
 一つや二つチョロイもんだぜ!!」
「はい、はい。
 そーーーかね。
 それが強がりでなければいいんだがねぇ・・・」
疑いの眼差しでオレを見て言うドラゴン・マスター。
「う゛っ!!
 ンなことより、さっさと行こうぜっ!!」
オレは内心の動揺をドラゴン・マスターに悟られぬよう、
先を急いだ。





オレとヴァル、そしてドラゴン・マスターの三人で
闇市が開かれると言う、小さな裏路地に入った。
溶け残った雪が凍り付く細い路地には、
ランプを灯した露店がひしめくように軒を連ねている。
それを一つ一つ見て回っているのだが・・・
今ひとつぱっとしねぇ―――――
「悪いねぇ・・・お客さん。
 今年はどこもアイテムの出来が今一つなんだよ・・・」
オレの気分を察してか、露店のオヤジが
申し訳なさそうに言う。
その時、オレの頭の中に一つのアイデアが浮かんだ。
「なぁ、ヴァル・・・
 ちょっと用事を思い出しちまったから、ドラゴン・マスターと
 一緒に先に帰っててくんねぇーか?」
「ええっ!!!!!!!!!!
 いくらガーヴ様の頼みとは言え、こんなヤローと
 一緒に帰りたくねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オレの予想通り、ヴァルは猛然と反対する。
「と・に・か・く!
 あとでビックリさせてやっからよ!!
 いいな?」
ヴァルの耳元でそっとささやく。
「ちっ・・・・・・
 分かったぜ!!
 帰えりゃーいいんだろ!?」
渋々ヴァルはそう言うと、ドラゴン・マスターと共に
村の中心から少し離れた森にあるペンションへ向かった。





結局・・・・・
マジック・アイテムは買えず仕舞いだった・・・
クッソォ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
どーーーーすりゃいいんだ!!!!!!!!!!!!!
今更ドラゴン・マスターに頭なんか下げたくねぇーし・・・
マジック・アイテムが買えなかったなんて、ドラゴン・マスターに
バレようものなら、きっと指差されて笑われるんだろーなぁ・・・
それだけは何としても避けなければ!!
オレはう〜〜〜〜〜〜〜んと考え込みながら、
すっかり日が暮れた夜道を進む。
辺りは夜の闇と雪明かりだけの世界になっていた。
空には時折、雲の間から月が見隠れしている。
ハラも減ってきたと言うこともあって、オレは宿への道を急ぐ。
ところが―――――――
しばらく進むと、いきなりぱっと辺りの様子が変わり
今まで静かだった天候が猛吹雪になりやがったのだ!!
コイツは・・・
魔族か!?
オレは更に宿への道を急ぐ。
しばらくするとそこには―――――――
吹雪の中、雪原に倒れれているドラゴン・マスターと
ヴァルの姿があった。


A.その場にしゃがみ込んだ。→【10】へ

B.ダッシュした。→【11】へ 

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2202真冬の悪夢【5】加流ネメシス 4/10-18:24
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【5】

何とか上手いこと言いくるめられねぇかと考えてみた。
「ケドよ―――――
 ヴァルが戦力にならなきゃぁ―――――
 これから先、旅を続けて行く上でも困るだろーがっ!!!!!!!!!
 ええ?
 ドラゴン・マスター!!」
「う〜〜〜〜〜〜〜ん・・・」
腕組みをして考え込むドラゴン・マスター。
「仕方がないな・・・
 これを持って行きなさい。」
そう渋々言うと、黒革の財布から半分金を取り出し
懐に入れると、その財布をオレに手渡す。
「おっと!!」
そのあまりの重さに、思わず取り落としそーになる。
クッソーー!!
こんなに沢山稼ぎやがって!





オレとヴァル、そしてドラゴン・マスターの三人で
闇市が開かれると言う、小さな裏路地に入った。
溶け残った雪が凍り付く細い路地には、
ランプを灯した露店がひしめくように軒を連ねている。
それを一つ一つ見て回っているのだが・・・
今ひとつぱっとしねぇ―――――
「悪いねぇ・・・お客さん。
 今年はどこもアイテムの出来が今一つなんだよ・・・」
オレの気分を察してか、露店のオヤジが
申し訳なさそうに言う。
その時、オレの頭の中に一つのアイデアが浮かんだ。
「なぁ、ヴァル・・・
 ちょっと用事を思い出しちまったから、ドラゴン・マスターと
 一緒に先に帰っててくんねぇーか?」
「ええっ!!!!!!!!!!!
 いくらガーヴ様の頼みとは言え、こんなヤローと
 一緒に帰りたくねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オレの予想通り、ヴァルは猛然と反対する。
「と・に・か・く!
 あとでビックリさせてやっからよ!!
 いいな?」
ヴァルの耳元でそっとささやく。
「ちっ・・・・・・
 分かったぜ!!
 帰りゃーいいんだろ!?」
渋々ヴァルはそう言うと、ドラゴン・マスターと共に
村の中心から少し離れた森にあるペンションへ向かった。





思ったより時間がかかっちまい、すっかり日が暮れて
辺りは夜の闇と雪明かりだけの世界になっていた。
空には時折、雲の間から月が見隠れしている。
ハラも減ってきたと言うこともあって、オレは宿への道を急ぐ。
ところが―――――――
しばらく進むと、いきなりぱっと辺りの様子が変わり
今まで静かだった天候が猛吹雪になりやがったのだ!!
コイツは・・・
魔族か!?
オレは更に宿への道を急ぐ。
しばらくするとそこには―――――――
吹雪の中、雪原に倒れれているドラゴン・マスターと
ヴァルの姿があった。


A.その場にしゃがみ込んだ。  →【10】へ

B.腕を取ると引きずって走った。→【7】へ

C.ダッシュした。       →【8】へ 

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2203真冬の悪夢【6】加流ネメシス 4/10-18:26
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【6】

その場にしゃがみ込んだ。
倒れているドラゴン・マスターを抱きかかえる。
普通、精神生命体である魔族は
吹雪にさらされよーーが、命に関わることはねぇーー。
だが、まだ魔族になったばかりのヴァルは
今までのクセで「寒い」と思い込むことによって
その命が削られる可能性がある。
一方、ドラゴン・マスターの方はというと、正体不明の
スットコ神族、何があるか分かったモンじゃねぇ!!
どうやら敵は吹雪を起こし、その寒さで寝むっちまっている
所に悪夢を見せるというテを使うらしい・・・
あのスットコ神族のドラゴン・マスターがうなされているのだ!!
ただ事じゃねぇのは明らかっつー訳だ。
オレはゆっくり目を閉じ、ドラゴン・マスターの精神世界
(アストラル・サイド)に入り込む。
悪ィな、ドラゴン・マスター・・・





大理石でできた柱が立ち並ぶ廊下を、
純白の法衣でその身を包んだ金髪の青年・・・
ドラゴン・マスターが颯爽と行くのが見える。
ドラゴン・マスターに付き添う様な形で、ショートカットの
金髪の少年が何やら報告しているようだ。
それを聞いて立ち止まると、少年の方へバッと振り返る。
「何!?
 スモール・ドラゴンの村が・・・
 それで状況は?」
「かなり危険な状況かと・・・
 一番近い我が軍の者を救援に向かわせたとしても
 それまでに全滅してしまう可能性が高いと思われます!」
「分かった!
 それでは私が直接彼らの救援に向かう!
 ミハエル、君はここに残り、各部隊へ連絡及び
 指示を出してくれ!」
的確に命令を下す。
だが、ミハエルと呼ばれた少年は表情を曇らせる。
「しかし、何だか嫌な予感がします・・・
 何かとてつもない罠のような気がするんですっ!!」
「私もさっきから、嫌な予感がしてならない・・・
 だが!
 これが罠であろうがなかろうが、スモール・ドラゴン達が
 魔族の手によって殺されているのは
 確かなことなんだろう!?
 それを黙って見過ごすことはできん!!
 大丈夫。
 こう見えても私は神族の腹心だ。
 そう簡単にはやられないよ。」
きっぱり言い切ると、瞬間移動するドラゴン・マスター。
場面は、もうもうと煙を上げるスモール・ドラゴンの
村の上空へと切り替わった。
その様子を上空から見下ろしたドラゴン・マスターは
顔をしかめる。
「うっ・・・・・・
 なんてひどい・・・
 今、助けに行くから待っていろ!!」
そう叫ぶと、村の中心地に向かって急降下する。
地面へ降り立ったドラゴン・マスターを出迎えたのは――――
「随分と遅いじゃないか?
 ドラゴン・マスター。」
金髪の女と見まごうばかりの美青年が物陰から現れた。
その背中には白い翼が生えている。
「大天使(エンジェル・ロード)!!
 な・・・なぜ君がここに!?」
「エンジェル・ロードだけではないぞ!
 我々がいることを忘れてもらっては困るな・・・」
黒髪のショートカットの男と、金髪のイカツイ男が
ドラゴン・マスターを丁度取り囲むような形で現れる。
「き・・・・・・君たちまで・・・!!
 一体どう言うことなんだ!?
 君たちは各軍の最前線で指揮を取っている筈・・・」
驚きを隠せないドラゴン・マスターは、絶望的な答えを
はじき出してしまったようだ・・・
「ま・・・まさか・・・」
「そのまさかだよ。
 君は神族の腹心の一人であるにも関わらず
 その筆頭であるこの私を差し置いて
 少々出しゃばりすぎなんでね。
 赤眼の魔王(ルビー・アイ)との決戦も近い・・・
 だが、このままでは指揮に支障をきたしかねん。
 そこで、君にはしっかりとたたき込んでおこうかと
 思ってね。
 一体誰が神族の筆頭なのかを―――――
 スモール・ドラゴン達には悪いが、君をおびき出す
 エサになってもらったよ。
 少々の犠牲は仕方のないことだ。」
平然と言い放つエンジェル・ロード!!
「仕方のないことだとぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!?
 だったら、こんな回りくどいことをしないで
 直接私を呼び出せばいいだろうがっ!!」
エンジェル・ロードとは逆に、怒りで顔を真っ赤に
染め上げるドラゴン・マスター。
「まさか、それだけではないよ。」
そのエンジェル・ロードのセリフが、
合図だったかのように黒髪とイカツイ神族が
ドラゴン・マスターに攻撃を仕掛けてきた!
「魔力を使った攻撃はするなよ。
 ヤツに吸収されたら厄介だからな!」
エンジェル・ロードが他の二人に言う。
ドラゴン・マスターが魔力を吸収する!????
そんなことを聞いたのは初めてだ。
オレが困惑していると、ドラゴン・マスターは
苦渋の決断を下す。
「仕方がない・・・」
何とか二人の攻撃をかわしてドラゴン・マスターが
魔力を使おうと手を差し出すが――――――
その手からは魔力弾はカケラも生まれない!!
「しまった!
 魔封じか!!」
三人の神族の腹心達はスモール・ドラゴンの村を
まるまる使って結界を張っていたのだ!!
「そろそろ観念したらどうだ?」
エンジェル・ロードも攻撃に加わる。
三対一、どう見てもドラゴン・マスターが不利なのは
明らかだった。
攻撃をかわしきれなくなったドラゴン・マスターの
顔や腹に拳や蹴りが打ち込まれていく。
それでも何とか始の頃は持ちこたえていたが
しばらくの後、音もなく地面に平伏した。
黒髪とイカツい神族が、その腕をガッチリ抱え込んで、
無理矢理上身を起き上がらせる。
うつろな目をしたドラゴン・マスターに顔を近づけて
エンジェル・ロードが明らかに侮蔑の眼差しを向けて言う。
「尊敬している人間をモデルにして象っているんだってね。
 その姿・・・・・・
 力の弱い、自ら進むべき道も分からぬような
 人間を尊敬とはね・・・
 やれ!!」
それを合図に巨大な十字架が現れる。
ドラゴン・マスターはその十字架に、両手両足を鎖で
何重にも巻き付けられ、磔にされた。
「どうして、赤の竜人(スィーフィード)様は
 このような者に不滅の身をお与えになったのか・・・
 その不滅の身にふさわしい罰を与えてあげるよ。
 死や滅びよりも辛いことがあることを
 教えてあげよう。ドラゴン・マスター・・・・・・」
ドラゴン・マスターを見上げながらそう呟く
エンジェル・ロード。
『不滅の身』だと!?
またしても、オレは困惑する。
しかしこの様子だと、他の腹心達もドラゴン・マスターの
正体を知らないんじゃ・・・・・・
そんなことをオレが考えていると 
神族達はまだ息のあるスモール・ドラゴンを
集め―――――――――
その一匹一匹を手にかけて行く!
「ギャァアアア!!!!!!!!!!!」
「ドラゴン・マスター様ァァァァァ!!!!!!!!!!!」
次々に上がる絶叫・・・
「やめろ・・・」
と、その時、
上空に無数の人影が瞬間移動して現れた。
「ドラゴン・マスター様!
 これは一体!?」
ドラゴン・マスターを心配してやって来た部下
なのだろう・・・・・・
「来るなぁぁあぁあっっっっっっっっ!!!!!!!!!!」
叫んで危険を彼らに知らせるドラゴン・マスターだが
すでに手遅れ。
腹心達の手によって放たれた魔力の矢に
貫かれてゆく。
「やめろ!!!!!!
 やめろっっっ!!!!!!!!
 やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
何とか鎖を引きちぎろうと手足を激しく動かすが
法衣と下の皮膚がすり切れただけでビクともしない。
深く食い込んだ鎖を伝ってドラゴン・マスターの
血が流れる。
その様子を横目で見ながらエンジェル・ロードは
忘れ物を思い出したかのように言った。
「ああ、その鎖はここの結界を同じでね。
 我々三人の魔力が込められている。
 そう簡単には切れないよ。」
そう言いながら、また一匹、スモール・ドラゴンを殺す。
返り血がドラゴン・マスターの純白の法衣を
深紅に染め上げる。
「うわぁぁぁああぁぁあああぁぁぁあ
あぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴン・マスターの絶叫が中たりに
響き渡っていった・・・・・・・・・・・・





一匹残らず殺されたスモール・ドラゴンの亡骸・・・
その中にポツンと立てられた十字架・・・
焦点の合っていないドラゴン・マスターの目は
地面にうつろな視線を投げかける・・・
「さてと・・・
 これで証拠は隠滅した・・・
 後は赤眼の魔王に寝返ろうとし、スモール・ドラゴンを
 滅亡に追いやったドラゴン・マスターを我々が
 成敗した―――――――と、言うことにするか・・・?」
イカツイ神族が他の二人に尋ねる。
「そうだな・・・」
黒髪が言葉少なに答えた。
「ドラゴン・マスター!
 今の君に聞こえているかは知らんが
 そう言うことになった。
 さっきも言ったが、その鎖は簡単には切れん!
 我々の魔力効果が時と共に薄れていくことを
 考慮に入れたとしても約1000年は切れないだろう・・・
 1000年も経てば、この事件の確証を取るのは
 非常に困難になるだろうね。
 と、すれば、我々の流したシナリオを圧倒的に
 信じるだろう・・・人間も、神族も、そして
 竜族も!
 君は永遠に裏切り者扱いという訳さっ!
 ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・」
エンジェル・ロードの笑い声と共に瞬間移動で
神族達は立ち去った。
オレはただただボー然とするしかなかった・・・・・・
い・・・いや!
ンなことしている場合じゃねぇ!!
早いとこコイツを助けてやらねぇと・・・!!
と・・・言ってもどうすっかなぁ・・・
まっ、とりあえず、やってみっか。
すぐさまオレはドラゴン・マスターのヤツがくくり
付けられてある、十字架の根元へ魔力弾を放ってみる。
ズドン!!
土が大きくえぐられ、十字架はその支えを失い・・・・・・
ズガシャァアアアァァアアアアン!!!!!!!!!!!!!!
大音響と共に倒れる。
ドラゴン・マスターを下敷きにして・・・
ドラゴン・マスターは十字架の下でしばらくピクついた後、
それを押しのけオレに向かってスタスタと歩み寄る。
ジト目でオレを睨むドラゴン・マスターの姿は
元の漆黒の礼服に身を包んだ中年紳士に戻っていた。
「グァァァァァァァァヴゥゥゥウウゥゥウ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「な・・・何だよっ!
 助けてやったんじゃねぇかよっ!」
オレは思わず後退る。
「そのことについては礼を言うよ。
 だが、危うく私の筋の通った自慢の鼻が
 潰れるところだったんだぞ!
 もし潰れたらどうなると思う?
 世界中の女性が悲しみの余り
 枕を涙でぬらすことになるだろう・・・」
「笑い泣きの間違いじゃねぇーの?
 それより、ヴァルを助けてやる方が先だろーがっ!!
 ンなどうでもいいこと、うだうだ言ってんじゃねぇ!」
「どうでもいいって・・・
 父さんがカッコ悪くなってもいいと言うのかね?」
「そん時は、迷わず見捨てっから!」
きっぱり言い切るオレ。
「そ・・・そんな・・・!!!!!!!!
 ヴァル君は心配で、私は心配じゃないのかね?
 私だってこう見えても・・・・・・」
「ちょっと黙っていろ!
 何か聞こえねぇか?」
ドラゴン・マスターのセリフを遮って、耳を澄ます。
「そんなこと言ってゴマかしても・・・
 ん?
 本当だ!
 何か聞こえる・・・」
ドラゴン・マスターも耳を澄ます。
「うっ・・・うっ・・・・ヒック・・・・・・・・」
どこからともなく子供のくぐもった、すすり泣く声が聞こえてくる。
「ヴァルか!?」
オレは一発で声の主を当て、聞こえてきた方へ走った。
すると、そこには幼い子供の姿をしたヴァルが
仲間達の死体が山と積み上げられた中に・・・・・・・
「おい!
 ヴァル!!」
ヴァルの肩をつかんで声をかけては見たが
ンなことお構いなしに泣き続けていやがる!
おにょれ!!
オレはヴァルの肩を、今度は激しく揺さぶりながら怒鳴る。
「オラ!
 何、寝ぼけてやがるんだっ!
 コイツは精神世界(アストラルサイド)からの心理攻撃だ!!
 今のお前じゃねぇ!!
 お前にはオレがいるだろーーーーがっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「・・・・・・・・・ガーヴ・・・様?」
ハッと顔を上げ、オレの名を口にした途端、ヴァルの姿は
幼い子供からみるみる元の少年の姿に戻っていく。
「オレ・・・・・・・・・」
「何も言うな・・・・・」
言って、そっとヴァルの肩に手を置く。
ドラゴン・マスターは黙って頷く。
「さてと・・・
 こんなフザけたマネをヤツを引きずり出して
 ブッ飛ばしてやらなきゃぁーーーオレの気が済まねぇ!!」
「今度ばかりは、ちょっと本気で闘うとするかな。」
言ってドラゴン・マスターが身構えたと同時に
フッと辺りの風景が、元の夜の闇を優しく包み込んだ
雪景色に戻った。
どーやら、オレ達三人をマトモに相手をしたら
敵わないと悟って逃げちまったよーだ。
ヤツを追って行きてぇ所だが・・・
ヴァルとドラゴン・マスター、一見元気そうに見えるが
今の精神攻撃でかなり参っちまっている。
その証拠に、ヴァルもドラゴン・マスターも
ヤツを追おうとはしない。
そんな所をまた別の敵が狙っているとも限らん。
コイツらにはとっとと元気になってもらわねぇと
ヤッカイな事になりかねない。
とは言うものの・・・・・・・・
それが一番ヤッカイな問題なのは言うまでもない。
「帰ろっか・・・・」
オレ達三人は今夜泊まるペンション・シュプールへと
雪道を進んで行く。
これからのことを考えているうちに、ペンションに着いた。
三人とも別々の部屋を取っており、それぞれの部屋へ
戻る前にヴァルに声をかける。
「ヴァル!
 一緒に温泉にでも入りに行かねぇか?」
こーゆー時は裸の付き合いが一番って言うしな。
「ガーヴ様・・・・・・・・
 ちょっと待っててくれ!
 すぐに用意してくっから!!」
用意を済ませると、オレとヴァルは廊下で落ち合う。
そこでオレは・・・


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B.「じゃ、行くか!」→【13】へ

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2204真冬の悪夢【7】加流ネメシス 4/10-18:37
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【7】

近くに倒れていたドラゴン・マスターの腕をつかんで、
ヴァルの倒れている方へ引きずって走った。
普通、精神生命体である魔族は
吹雪にさらされよーーが、命に関わることはねぇーー。
だが、まだ魔族になったばかりのヴァルは
今までのクセで「寒い」と思い込むことによって
その命が削られる可能性がある。
一方、ドラゴン・マスターの方はというと、正体不明の
スットコ神族、何があるか分かったモンじゃねぇ!!
一刻も早く、この吹雪を起こしているヤツをブチ倒し、
二人を起こさねぇーと・・・・・・
オレの意識がホワイト・アウトしたのは、そう思った
次の瞬間だった・・・





白い、何もない世界が広がっている・・・・・・・
意識がボーーとしていて、オレが誰なのか思い出す
こともできねぇ・・・
<オレは誰?>
<魔竜王ガーヴ・・・>
ドラゴンの姿の俺が現れ、答える。
すると、今度は別の場所へ人間に転生した、
一代目のオレが現れる。
<これもオレ。>
それに、オレ自身が答える。
そして、次々と転生したオレの姿が現れて行く。
<これもオレ。>
<これもオレ。>
<これも。>
<これも。>
<これも・・・・・・。>
その一つずつにオレは答える。
<じゃ、これは?>
別のオレがオレに問う。
すると、オレは赤ン坊になって(こらこら!! おえ〜〜〜
なんて思うんじゃねぇ! オレだって赤ン坊の頃は
ポッチャリしていてカワイかったんだからなっ!!!!!!!!)
死んじまったハズのオフクロに抱きかかえられて
一緒にフロに入っていた。
やさしくオレの頭を撫でて、微笑むオフクロ・・・
ああ・・・
懐かしい・・・
この暖かなぬくもり・・・
オレはそのあまりの心地よさに、眠りそうになったその時!!
みるみるオレの体は元の青年に戻り
気が付くと―――――――――――――
オフクロをベットに押し倒していた・・・
何だよ・・・?
何だよこりゃぁあぁあぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!!!!!!!
頭を抱え、うずくまる。
体中にビッショリと汗がにじむ・・・
くぅううぅううぅう!!!!!!!!!!!!!!!
まるで、心の中をナイフでえぐられているような感覚に呻く。
だが、しかし、次に上がった苦鳴はオレのではなく
この悪夢を見せていた魔族の物だった・・・。
「バ・・・バカなっ!!!!!!!!!!!!!!!」
今度は魔族が動揺する。
オフクロの姿はかき消え、辺りは何もない白一色の
世界に戻るが、魔族の姿は見当たらねぇ・・・
「残念だったなぁ・・・おい!」
オレはすっくと立ち上がり服をイメージしてそれを着ると、
不適な笑みを浮かべて、辺りに隠れているであろう魔族に
向かって言ってやる。
オレはさっき、一瞬感じた魔族の気配へ、すぐさま
魔力弾を撃ったのだ。
残念なことにヤツをかすめたに過ぎなかった。
普段のオレならば、ヤツをあっさり仕留めていたのだが・・・
どうやら、手元が狂っちまう程動揺していた
みてーーーだ・・・
「理想の女像ってーのは、テメェの母親を基準にして
 作られるって言うじゃねぇーーか?
 なら、その母親をテメェの物にしたくなってもおかしくねぇ!
 まっ、知らないオレの深層心理がおかげで分かったし・・・
 オレの心の中にズカズカ入り込んだ礼もある・・・
 今度は外さなねーーーーーーぞっ!!!!!!!!!!!!」
「ヒッ!!!!!!!!!!!!!」
短い悲鳴を上げると、ヤツの気配がかき消えた。
どうやら、ドラゴン・マスターかヴァルの意識に潜り込んじまった
みてぇーーだ・・・
しかも、ヤツが創り出した真っ白な世界は健在だ。
どうすれば二人の所へ行けるのものか・・・
そう思ったオレに、道案内をするかのように、一つの人影が
目の前に現れる。
体のほとんどが影に隠れていて、どんなツラをしているのかは
モチロン、その服装までも分からねぇ。
だが、そいつの右手に握られた巨大な鍵・・・いや、槍の
様な物だけはハッキリと見て取れた。
ドラゴン・マスター?
何とはなしにその名がオレの頭をかすめた。
いや、何かが違う・・・
そんなふうに戸惑っているオレに、そいつは「ついて来い!」
とばかりにきびすを返す。
「おい!
 待ちやがれ!!」
慌ててその後を追うが、いつの間にか見失っていた。
チクショウ!
どーーーーしろって言うんだよっ!!
だが、その問題はあっさり解決した。
「うっ・・・うっ・・・ヒック・・・・・・・・・」
どこからともなく子供のくぐもった、すすり泣く声が聞こえてくる。
「ヴァルか!?」
オレは一発で声の主を当て、聞こえてきた方へ走った。
すると、そこには幼い子供の姿をしたヴァルが
仲間達の死体が山と積み上げられた中に・・・
「おい!
 ヴァル!!」
ヴァルの肩をつかんで声をかけては見たが
ンなことお構いなしに泣き続けていやがる!
おにょれ!!
オレはヴァルの肩を、今度は激しく揺さぶりながら怒鳴る。
「オラ!
 何、寝ぼけてやがるんだっ!
 コイツは精神世界(アストラルサイド)からの心理攻撃だ!!
 今のお前じゃねぇ!!
 お前にはオレがいるだろーーーーがっ!!!!!!!!!!!!!!
「・・・・・・・・・ガーヴ・・・様?」
ハッと顔を上げ、オレの名を口にした途端、ヴァルの姿は
幼い子供からみるみる元の少年の姿に戻っていく。
「オレ・・・・・・」
「何も言うな・・・・・」
言って、そっとヴァルの肩に手を置く。
「さてと・・・あのスットコ神族でも探してやっか・・・
 ケド、どこにいんだよ、あのヤローー!」
そうグチってるオレの手をヴァルがクイクイと引っ張る。
「ン?
 何だ?」
「ガーヴ様・・・・・・あれ・・・・・・」
何かを見つけたのか、ボー然としているヴァルの
視線の先に目をやる。
そこには濃い霧が立ちこめて、よくは見えないが
何かの影があった。
不意にその霧がサーーーと晴れていく・・・
「!!」
おびただしい数の骨と化したドラゴンの死体・・・
その中に突き立てられた十字架・・・
どのくらいの間そうしているのか、ボロ雑巾の
ようにズタボロになった白い法衣は、風雨と
砂埃で茶色に変色している。
十字架にかけられた金髪の青年も同様で
長く伸びた髪は荒れ放題に荒れその輝きを
失っていた。
両手両足には痛々しい程に、幾重にも鎖が
巻き付けられていて、激しく抵抗したのだろう、
鎖が食い込んで出来たアザが
破れた服からハッキリと見えていた。
焦点の合っていない目は、頭をたれて地面を
見つめる・・・・・・・・・
再び吹いた風にザーーーとその髪がなびく・・・・・・
「・・・・・・ド・・・ドラゴン・・・・・・・・・マスター・・・・・・」
オレはその名を絞り出すのがやっとだった。
ヴァルも言葉を失い、立ち尽くしている。
今まで考えても見なかった・・・・・・
だが、エンシェントドラゴンを滅亡に追いやった神族が
命令に従わなかったドラゴン・マスターに何もしない
訳がなかった・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
オレは無言で剣を抜くと、ドラゴン・マスターを
拘束している鎖に向かって一閃した。
が・・・
鎖は切れるどころか、キズ一つ付いちゃいねぇ!
そっか・・・ドラゴン・マスターの言わば
精神世界(アストラル・サイド)。
ドラゴン・マスターが「鎖が切れない」と
思い込んでいる以上、オレがいくら頑張ってみても
鎖は切れねぇって訳か・・・・・・
ヴァルの時と同様、これは目覚めさせる一番の方法は
オレの存在に気付かせること!
オレはすうっと息を吸い込むと・・・・・・
「おーーーーーい!
 聞いてっか?
 こンのスットコ神族!
 女ったらし!」
この際だから言いたい放題言っちまえ!
「のり眉毛!
 パチモン!
 ハゲジジイ!!」
ピ・・・ピクピク・・・・・・・・・
「サギ師!!」
「誰がサギ師だっ!!」
パーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「何だ、テメェ!
 思いっきり元気じゃねぇかよっ!!」
オレはハリセンで殴られた頭を、涙を浮かべて
さすりながら元の中年紳士姿に戻った
ドラゴン・マスターに怒鳴り散らす。
「もーーーーちょっとマシな方法はなかったのかね?
 まったく!!」
オレをブッ叩いたハリセンを放ると、今度は
あらぬ方向に向い。
「読者の諸君!
 私は間違ってもサギ師なんかじゃない!
 ましてやスットコでも女ったらしでものり眉毛でも
 パチモンでもハゲジジイでもないぞっ!!
 そこの所間違えないよーーーーーにねっ!!」
「ドイツに言ってンだ?
 テメーは!?」
「ガーヴ様!
 マンザイやってる場合じゃないだろ!!」
ヴァルのその言葉にハッとして顔を見合わせる
オレとドラゴン・マスター。
「おっと、肝心なことを忘れていたぜ?
 こんなフザけたマネをヤツを引きずり出して
 ブッ飛ばしてやらなきゃぁーーーオレの気が済まねぇ!!」
「今度ばかりは、ちょっと本気で闘うとするかな。」
言ってドラゴン・マスターが身構えたと同時に
フッと辺りの風景が、元の夜の闇を優しく包み込んだ
雪景色に戻った。
どーやら、オレ達三人とまともに相手をしたら
敵わないと悟って逃げちまったよーだ。
ヤツを追って行きてぇ所だが・・・・・
ヴァルとドラゴン・マスター、一見元気そうに見えるが
今の精神攻撃でかなり参っちまっている。
その証拠に、ヴァルもドラゴン・マスターも
ヤツを追おうとはしない。
そんな所をまた別の敵が狙っているとも限らん。
コイツらにはとっとと元気になってもらわねぇと
ヤッカイな事になりかねない。
とは言うものの・・・
それが一番ヤッカイな問題なのは言うまでもない。
「帰ろっか・・・」
オレ達三人は今夜泊まるペンション・シュプールへと
雪道を進んで行く。
これからのことを考えているうちに、ペンションに着いた。
三人とも別々の部屋を取っており、それぞれの部屋へ
戻る前にヴァルに声をかける。
「ヴァル!
 一緒に温泉にでも入りに行かねぇか?」
こーゆー時は裸の付き合いが一番って言うしな。
「ガーヴ様・・・・・・
 ちょっと待っててくれ!
 すぐに用意してくっから!!」
用意を済ませると、オレとヴァルは廊下で落ち合う。
そこでオレは・・・


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2205真冬の悪夢【8】加流ネメシス 4/10-18:39
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【8】


ヴァルが倒れている方へダッシュした。
普通、精神生命体である魔族は
吹雪にさらされよーーが、命に関わることはねぇーー。
だが、まだ魔族になったばかりのヴァルは
今までのクセで「寒い」と思い込むことによって
その命が削られる可能性がある。
ドラゴン・マスターには悪りィが、あのスットコ神族なら
たぶん大丈夫だろう・・・
オレはヴァルの元へ走り寄ると、抱きかかえる。
どうやら敵は吹雪を起こし、その寒さで寝むっちまっている
所に悪夢を見せるというテを使うらしい・・・
その証拠に、ヴァルは何やらうなされているのだ!!
オレはゆっくり目を閉じ、ヴァルの精神世界(アストラル・サイド)
に入り込む。
悪りィなヴァル・・・





まるで空を埋め尽くさんばかりの、ゴールド・ドラゴンの大軍。
そしてソイツらに追われる鳥の翼を持った
エンシェント・ドラゴンが見える・・・
ゴールド・ドラゴンの槍の前に次々と倒れて行く。
そんな中、一組の夫婦と思われるエンシェント・ドラゴンが
目に飛び込んでくる。
それが、ヴァルの両親であることをオレは直感した。
二人(!?)は何とかゴールド・ドラゴンたちを倒してはいるものの
何と言っても数がハンパじゃねぇ!!
その上、前の戦いで負ったのだろう、体には無数の傷が
刻まれている。
そして、オレの気のせいだろうか、何かをヤツらの目に
さらされないように隠しているのだ。
こうなれば、ゴールド・ドラゴンの餌にされるのは
時間の問題だ。
オレは何とかして、この二人を助けようと体を動かして
みるのだが、指先一つ動きはしねぇ!!
そうこうしている間に、二人に次々と槍が
突き立てられてゆく・・・
チクショウ!
ただ見ているしかねぇのかよっ!!
二人は大量の血を流しながら、まるで、抱き合うような
形で倒れると、ピクリとも動かなくなっちまった・・・
どのくらい時が流れたのだろう・・・
エンシェント・ドラゴンは全滅したかに見えた。
が、
二人の体の下から、血まみれの子供が這い出てくる。
ヴァル!!
二人がゴールド・ドラゴンの目から何とか気付かれないように
隠していたものの正体は、やはりヴァルだったのか!
オレは何だかヴァルが羨ましく思えた。
命を張って守ってくれる両親がいることを・・・
何度もオレは人の身に転生したが、オレが魔竜王と
知ったと同時に全てが壊れていった・・・
親と子の関係もその例外じゃなかった・・・
こんな時に、こんな事を思うべきではない。
だが、オレはそう思わずにはいられない・・・
「うっ・・・うっ・・・ヒック・・・・・・・・・」
幼いヴァルがすすり泣く。
ヴァル・・・
声にならない声を上げながら、必死で体を動かそうとする。
ヴァル!
ヴァル!!
すると、ヴァルの更に向こうに、一つの人影があるのに
気が付いた。
体のほとんどが影に隠れていて、どんなツラをしているのかは
モチロン、その服装までも分からねぇ。
だが、そいつの右手に握られた巨大な鍵・・・いや、槍の
様な物だけはハッキリと見て取れた。
ドラゴン・マスター?
何とはなしにその名がオレの頭をかすめた。
いや、何かが違う・・・
そんなふうに戸惑っていると、そいつは手にしていた鍵を
サッと一閃し、その場からかき消えちまった・・・
何だったんだ?
ありゃぁ!?
気を取り直して、体を動かしてみると・・・
さっきまでがまるでウソのように、自由になった。
アイツのおかげなのか?
いや、今はンなことを考えている場合じゃねぇ!
オレはヴァルの元へ急いだ。
「おい!
 ヴァル!!」
ヴァルの肩をつかんで声をかけては見たが
ンなことお構いなしに泣き続けていやがる!
おにょれ!!
オレはヴァルの肩を、今度は激しく揺さぶりながら怒鳴る。
「オラ!
 何、寝ぼけてやがるんだっ!
 コイツは精神世界(アストラルサイド)からの心理攻撃だ!!
 今のお前じゃねぇ!!
 お前にはオレがいるだろーーーーがっ!!!!!!!!!!!!!!
「・・・・・・・・・ガーヴ・・・様?」
ハッと顔を上げ、オレの名を口にした途端、ヴァルの姿は
幼い子供からみるみる元の少年の姿に戻っていく。
「オレ・・・・・・」
「何も言うな・・・・・・」
言って、そっとヴァルの肩に手を置く。
「さぁてと・・・
 ヴァルにこんなフザケたマネをしてくれたヤローを
 引きずり出して、ブッ飛ばしてやらなきゃぁーーー
 オレの気が済まねぇ!!」
ヴァルが元に戻ったと同時に、真っ白な何もない世界に変わった
辺りを睨む。
だが次の瞬間、辺りの風景が元の夜の闇を優しく包み込んだ、
雪景色になった。
どーーーーやら、本気になったオレをマトモに相手にしたら
敵わないと悟って逃げちまったよーだ。
「逃すかよっ!!」
叫んでヤツを追おうとしたオレの目に、変わり果てた
ドラゴン・マスターの姿が飛び込んできた。
「おい!
 冗談だろ!?」
ドラゴン・マスターの元へ走り寄り、抱きかかえる。
顔色はまるで辺りの雪のように真っ白に変わっているが
何とか息はあるようだ・・・
チキショウ!!
何てこった・・・
オレはドラゴン・マスターを背負うと、今日泊まる
ペンション・シュプールへ急ぐ。
ドラゴン・マスターだって、オレと同じくらいの時間を
生きているんだ・・・
ヤツにつけ込まれるようなことが、一つや二つ
あるかも知れないのに・・・
オレらしくもなくそんなことをうだうだ考えているうちに
ペンションに着いていた。
ドラゴン・マスターをベットに寝かせ、じっと様子を見る
オレとヴァル。
そのくらい時間が経ったのだろう・・・
意識を何とか取り戻した、ドラゴン・マスターが目を
すっと開け、まだ苦しそうな顔をしながら、言う。
「済まない。
 ガーヴ・・・
 私はもう大丈夫だ。
 悪いが一人にさせてくれないかね?」
「・・・・・・・・・ああ・・・・・・」
そう言うのが精一杯だった。
ドラゴン・マスターの部屋を出たオレとヴァルは、
それぞれの部屋に戻る。
ドラゴン・マスターのことも気になるが、ヴァルのことも
気になる。
そう思い、今まさに部屋に戻ろうとしている
ヴァルに声をかけた。
「ヴァル!
 一緒に温泉にでも入りに行かねぇか?」
こーゆー時は裸の付き合いが一番って言うしな。
「ガーヴ様・・・・・・
 ちょっと待っててくれ!
 すぐに用意してくっから!!」
用意を済ませると、オレとヴァルは廊下で落ち合う。
そこでオレは・・・


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2206真冬の悪夢【10】加流ネメシス 4/10-18:40
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【10】

その場にしゃがみ込んだ。
倒れているドラゴン・マスターを抱きかかえる。
普通、精神生命体である魔族は
吹雪にさらされよーーが、命に関わることはねぇーー。
だが、まだ魔族になったばかりのヴァルは
今までのクセで「寒い」と思い込むことによって
その命が削られる可能性がある。
一方、ドラゴン・マスターの方はというと、正体不明の
スットコ神族、何があるか分かったモンじゃねぇ!!
どうやら敵は吹雪を起こし、その寒さで眠っちまっている
所に悪夢を見せるというテを使うらしい・・・・・
あのスットコ神族のドラゴン・マスターがうなされているのだ!!
ただ事じゃねぇのは明らかっつー訳だ。
オレはゆっくり目を閉じ、ドラゴン・マスターの精神世界
(アストラル・サイド)に入り込む。
悪りィな、ドラゴン・マスター・・・





オレの目に入ってきた光景―――――――
それは、まさにオレとヴァルとドラゴン・マスターの三人で
赤眼の魔王(ルビー・アイ)の7分の1である北の魔王と
対峙している所だった。
北の魔王を前にしているオレ達は、立っているのが
やっとと言うぐらいに、ズタボロになっている。
「ガーヴ!
 こうなってしまった以上は、あの呪文しかない!!
 唱えるんだ!!
 あの呪文をっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴン・マスターが、幻影の中のオレに向かって叫ぶ。
魔族のオレが呪文だと!?
半分人間が混じっているとは言え、北の魔王の対抗
手段になる程のモンを唱えれば、待ち構えているのは
滅びのみ!
だが、幻影の中でのオレは・・・
「バッカヤローーーーー!!!!!!!!!!!!!
 ンなことしたら、お前が滅んじまうだろーがっ!!!!!!!!!!!!!
 オレ達三人、誰一人として欠けちまったら
 意味がねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして、今度は静かな口調でオレに向かって言う。
「いいかい、ガーヴ・・・
 君が本当に生き残りたいと思うのなら・・・
 私を滅ぼしてでも生き残るんだ。
 私はその為に生まれて来たのだから・・・」
その顔はとても穏やかで、しかし、とても寂しげに
見えた。
「ガーヴ様がああ言ってんだ!!
 少しは自分の心配しやがれ!!」
苛立ったヴァルが、ドラゴン・マスターに向かって
意外なセリフを吐く。
「グランレードの言う通りだと思うがね、ガーヴ。」
北の魔王は静かにそう言うと・・・
ヴァルに向かって魔力弾を放つ!!!!!!!!!
「ガーヴ様ぁぁぁぁあああぁぁ
あっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ヴァ
ルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
消滅していくヴァルに手を差し延べるが、その手は
空をつかんだだけだった・・・
「君がもたもたしているからだぞ。」
言って、うっすら笑みを浮かべる北の魔王!
「うわっ、うわぁあああぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁ
あ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
がっくり膝を地面に付き、絶叫する幻影の中のオレ・・・
「さてと・・・
 君達との戦いにも飽きた・・・
 負の感情もたっぷり頂いたことだし・・・
 消えてもらおうとするか・・・」
次の瞬間、幻影の中のオレが魔力弾に
貫かれる・・・・・・・・・
後に残ったのは、呆然と立ち尽くす
ドラゴン・マスターだけだった・・・
「ガ・・・ヴ・・・・・・・・・、ヴァ
ル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もはや、魂の抜け殻のようになったドラゴン・マスターへ
北の魔王が歩み寄り・・・
そのか細い指を、ドラゴン・マスターの決して細くない
首に絡める!!
「う・・・ぐっ!!」
「我らが魔族の究極の目的の為・・・
 力を貸して頂けませんか?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
北の魔王のセリフの最後は、あまりにも小声で言った
為か、聞き取れなかった・・・
だがしかし、北の魔王がその力を欲する程の
存在なのか?
ドラゴン・マスターは・・・
一つだけ分かっていることは、ドラゴン・マスターが
金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)ではない
だろうと言うことだ。
もし、ロード・オブ・ナイトメアだったら、首を
絞めようとした瞬間に、北の魔王をハリ倒している
筈だ・・・・・・・・・・・・・・・
北の魔王が指に力を込めようとした時―――――――
この悪夢を、ドラゴン・マスターに見せていた魔族の
ものと思える怯えの感情と共に、フッと
辺りの景色が、元の夜の闇を優しく包み込んだ
雪景色に戻った。
「逃すかよ!!」
オレは怯えの感情を目印に、魔族に向かって
魔力を放つ!!
が――――――それは魔族をかすっただけだった・・・
どうやら、オレも手元が狂うほど動揺している
みてぇーーーーーだ。
かすったとは言え、魔族にはかなりのダメージを
与えた筈。
今はヴァルとドラゴン・マスターをなんとかしねぇと!
そう思って、ドラゴン・マスターを振り返る。
その首にはくっきり、北の魔王のものと思える
指の跡が付いている!
ま・・・まさか・・・
「おい!!
 しっかりしやがれ!!」
オレは急いで走り寄ると、ドラゴン・マスターを
激しく揺さぶる!!
「う・・・ゲホ・・・ゲホ・・・・・・
 ガーヴか・・・・・・」
意識が戻ったドラゴン・マスターは、なおも
苦しそうな顔をした。
「大丈夫かよ?」
不安気にその顔をのぞき込むオレに
「あぁ・・・何とか・・・」
と声をかけて、フラフラと立ち上がる。
「それよりヴァルは・・・?」
ドラゴン・マスターに言われ、ハッとする。
「ヴァル!」
叫んでオレはヴァルを抱き起こす。
「大丈夫だ・・・
 息はある!
 済まねぇ・・・ヴァル・・・
 早いとこ宿に戻って、休ませてやっからな・・・」
オレはヴァルを背負い、今夜泊まるペンションへ
急いだ。
ヴァルを元気づけるにはどうしたらいいのか・・・
オレが幻影の中で唱えるのをためらった
呪文というのは、一体何なのか・・・
そして、ドラゴン・マスターの正体とは・・・
ガラにもなくオレの頭の中を様々な疑問が
ぐるぐる回る。
そんなことを考え込んでいるうちに、いつの間にか
ペンションにたどり着ていた。
すぐさまヴァルをベットに寝かせると、ドラゴン・マスター
の部屋に向かった。
ドアの前に立ち、部屋の中のドラゴン・マスターに声をかける。
「いるか?
 ドラゴン・マスター。
 ちょっと外へ出ねぇか?
 話がしたいんだ・・・」





降り積もった真っ白な雪で、山はぼんやりとその姿を
夜の闇に浮かび上がらせている。
その山麓に水を湛えた湖に沿って、オレ達は歩いていた。
すぐ後ろを歩くドラゴン・マスターに背を向けたまま
オレは独り言のように言った。
「ここで暮らそうか・・・
 オレ達三人で・・・
 魔族や神族のことなんざ放っぽってよ。」
「ガーヴ・・・
 一体どうしたんだい?」
ドラゴン・マスターは驚きもせず、静かな、
それでもって落ち着き払った口調で聞き返してきた。
「『魔竜王ガーヴ』じゃねぇオレがいてもいいかな・・・
 と思ってよ。
 水竜王の呪力が薄れ、『魔竜王』としての力と
 記憶を取り戻すと同時に、人間へ転生する度に
 力が弱くなっちまっている・・・
 そんなことをやってるうちに、いつか『魔竜王』
 だなんて、お世辞にも言えねぇくらい魔力が
 なくなっちまう時が来る。
 そうなったオレに何が出来る?
 何が残る?
 そんなこと考えてたら、このままここに残って、
 世界に名の知れ渡ったプロスキーヤーになるのも
 悪くねぇかもなって思えて来たんだ・・・」
「君が本当にそれを望むのなら・・・
 私は喜んで、協力するよ。
 そして、魔族であろうが、神族であろうが、
 それを壊そうとする者から君を守る!」
そのドラゴン・マスターのセリフにまるでケンカを
売るように、オレ達が泊まっているペンションから、
一瞬さっきの魔族の気配がした。
「どうやらやっこさんはそれを許しちゃぁー
 くれねぇみてぇだな・・・」
言って、走り出したオレの後について来る
ドラゴン・マスターは。
「ガーヴ!
 まだ諦めるのは早いんじゃないのか?
 ほら、『いかに困難な状況にあろうとも、決して
 あきらめてはならない!』って言うだろ?」
「誰が言ったんだ!?
 ンなこと」
オレは素っ頓狂な声を上げて聞く。
「私が尊敬している人間が言ったのさ。
 私はいつもあきらめそうになった時、このセリフを
 思い出しているんだ。」
「お前が尊敬している人間ねぇ・・・」
そんなこと言うお前だって、十分人間臭せぇぞ!





オレとドラゴン・マスターは、さっき一瞬だけ
魔族の気配がしてきた食堂で、食事をしていた。
そこでオレは丸いテーブルをはさんだ向かい側で
食事をしているドラゴン・マスターにそっと声を
かけてみた。



A.「何だかやっぱり、様子が変だぜ?」→【18】へ

B.「あまり変わった様子はねぇな・・・」→【19】へ

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2207真冬の悪夢【11】加流ネメシス 4/10-18:41
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【11】

魔族の気配を感じ取ると、オレはソイツに
向かってダッシュした。
と、同時に炎の帯を放つ。
それは寸分違わず魔族を貫く!
イギャアァァァァァァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!
滅びゆく魔族のことなんざ、ほっぽって
ヴァルの元へ走り寄る。
どうやら敵は吹雪を起こし、その寒さで寝むっちまっている
所に悪夢を見せるというテを使うらしい・・・
その証拠に、ヴァルは何やらうなされているのだ!!
オレはゆっくり目を閉じ、ヴァルの精神世界(アストラル・サイド)
に入り込む。
悪りィなヴァル・・・





「うっ・・・うっ・・・ヒック・・・・・・・・・」
どこからともなく子供のくぐもった、すすり泣く声が聞こえてくる。
「ヴァルか!?」
オレは一発で声の主を当て、聞こえてきた方へ走った。
すると、そこには幼い子供の姿をしたヴァルが
仲間達の死体が山と積み上げられた中に・・・
「おい!
 ヴァル!!」
ヴァルの肩をつかんで声をかけては見たが
ンなことお構いなしに泣き続けていやがる!
おにょれ!!
オレはヴァルの肩を、今度は激しく揺さぶりながら怒鳴る。
「オラ!
 何、寝ぼけてやがるんだっ!
 コイツは精神世界(アストラルサイド)からの心理攻撃だ!!
 今のお前じゃねぇ!!
 お前にはオレがいるだろーーーーがっ!!!!!!!!!!!!!!
「・・・・・・・・・ガーヴ・・・様?」
ハッと顔を上げ、オレの名を口にした途端、ヴァルの姿は
幼い子供からみるみる元の少年の姿に戻っていく。
「オレ・・・・・・」
「何も言うな・・・・・」
言って、そっとヴァルの肩に手を置く。
「さてと・・・あのスットコ神族でも探してやっか・・・
 ケド、どこにいんだよ、あのヤローー!」
そうグチってるオレの手をヴァルがクイクイと引っ張る。
「ン?
 何だ?」
「ガーヴ様・・・・・・あれ・・・・・・」
何かを見つけたのか、ボー然としているヴァルの
視線の先に目をやる。
そこには濃い霧が立ちこめて、よくは見えないが
何かの影があった。
不意にその霧がサーーーと晴れていく・・・
「!!」
おびただしい数の骨と化したドラゴンの死体・・・
その中に突き立てられた十字架・・・
どのくらいの間そうしているのか、ボロ雑巾の
ようにズタボロになった白い法衣は、風雨と
砂埃で茶色に変色している。
十字架にかけられた金髪の青年も同様で
長く伸びた髪は荒れ放題に荒れその輝きを
失っていた。
両手両足には痛々しい程に、幾重にも鎖が
巻き付けられていて、激しく抵抗したのだろう、
鎖が食い込んで出来たアザが
破れた服からハッキリと見えていた。
焦点の合っていない目は、頭をたれて地面を
見つめる・・・・・・・・・
再び吹いた風にザーーーとその髪がなびく・・・・・・
「・・・・・・ド・・・ドラゴン・・・・・・・・・マスター・・・・・・」
オレはその名を絞り出すのがやっとだった。
ヴァルも言葉を失い、立ち尽くしている。
今まで考えても見なかった・・・・・・
だが、エンシェントドラゴンを滅亡に追いやった神族が
命令に従わなかったドラゴン・マスターに何もしない
訳がなかった・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
オレは無言で剣を抜くと、ドラゴン・マスターを
拘束している鎖に向かって一閃した。
が・・・
鎖は切れるどころか、キズ一つ付いちゃいねぇ!
そっか・・・ドラゴン・マスターの言わば
精神世界(アストラル・サイド)。
ドラゴン・マスターが「鎖が切れない」と
思い込んでいる以上、オレがいくら頑張ってみても
鎖は切れねぇって訳か・・・・・・
ヴァルの時と同様、これは目覚めさせる一番の方法は
オレの存在に気付かせること!
オレはすうっと息を吸い込むと・・・・・・
「おーーーーーい!
 聞いてっか?
 こンのスットコ神族!
 女ったらし!」
この際だから言いたい放題言っちまえ!
「のり眉毛!
 パチモン!
 ハゲジジイ!!」
ピ・・・ピクピク・・・・・・・・・
「サギ師!!」
「誰がサギ師だっ!!」
パーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「何だ、テメェ!
 思いっきり元気じゃねぇかよっ!!」
オレはハリセンで殴られた頭を、涙を浮かべて
さすりながら元の中年紳士姿に戻った
ドラゴン・マスターに怒鳴り散らす。
「もーーーーちょっとマシな方法はなかったのかね?
 まったく!!」
オレをブッ叩いたハリセンを放ると、今度は
あらぬ方向に向い。
「読者の諸君!
 私は間違ってもサギ師なんかじゃない!
 ましてやスットコでも女ったらしでものり眉毛でも
 パチモンでもハゲジジイでもないぞっ!!
 そこの所間違えないよーーーーーにねっ!!」
「ドイツに言ってンだ?
 テメーは!?」
「ガーヴ様!
 ンなヤツに構ってないで帰ろうぜ!!」
「そーだなヴァル!!
 とっとと風呂にでも入って暖まるとすっか!」
言ってオレはドラゴン・マスターの精神世界から
瞬間移動で出た。
その先は―――――
オレ達が今夜泊まる予定のペンションの露天風呂!
ラッキーなことに、客は誰も入っていねぇ!
バシャーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
オレは構わずそのままダイブした。
「うわぁぁぁ!?」
「えええぇぇぇ!!」
ドボン!!!!!!!!!!!
ジャブン!!!!!!!!!!!
そうとは知らず、オレを追ってきたヴァルと
ドラゴン・マスターも見事な水(?)しぶきを
立てて、突っ込んだ。
ヴァルとドラゴン・マスター、一見元気そうに見えるが
今の精神攻撃でかなり参っちまっている。
そんな所をまた別の敵が狙っているとも限らん。
コイツらにはとっとと元気になってもらわねぇと
ヤッカイな事になりかねない。
そんな時は風呂にはいるのが一番!
「やれやれ・・・
 まったく、無茶苦茶だな、ガーヴは。
 まぁ、せっかくだから、温水浴でもするかな。」
ドラゴン・マスターはそう言うと、黒ビキニ一丁姿へ
パッと変わる。
それを見た途端・・・・・・
「何だそれはっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヴァルは力一杯叫んで、ドラゴン・マスターの身体の
一部分をビシィィイイィイィッッッ!!!!!!!!!!!!と
指差した。
しかし、そのドラゴン・マスターは、ポカンとした
表情のままでヴァルに聞き返す。
「『何だ』って、何がだね!?」
「その腰だっっっっっ!!!!!!!!!
 腰っっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!
 大体、貴様のその姿は人間のオヤジを
 モデルにしているんだろーがっ!!!!!!!!!!」
ヴァルが叫びたくなるのも無理はねぇ・・・
ガッチリとした上半身と、それに対して腰から下は
スラッと細長いのだが、不思議とバランスが
取れていたりするのだ、これが。
ハッキリ言って、オレだってそこら辺にいるヤツら
に比べて相当スタイルがいいのだが、コイツと
並ぶと足が短く見えちまうのだ・・・
「失礼な!
 私が憧れている方と、そこら辺のオジサンを
 一緒にされては困るな!
 まっ、本人の方がもっと腰は細いケドね。
 ちょっとアレンジしてあるんだよ。
 まるっきり同じ姿にもなれるが、それだと
 彼の人権にも関わってくるし・・・」
 ンなことをえんえんと言いながら、魔力で紙に写し取った、
その男の載っている一枚の写真をヒラヒラさせた。
「よこせ!」
ヴァルはそれをひったくると、顔を真っ青にして何やら
呟いた。
「ま・・・・・・負けた・・・・・・」
??????????????????
オレも横からそれをのぞいて見る。
「どこがアレンジした、だよ!?
 まんまじゃねぇか・・・」
「うわぁぁあぁぁああぁぁあああガボガボゲベベ・・・」
ヴァルが頭を抱えて絶叫を上げながら、
湯の中に倒れ込んだのだった。
「お・・・おい!
 ヴァル!!!!!!!!!!!!!」
慌ててオレは走り寄る。
その後、ヴァルが立ち直るまで、かなりの時間を
要したのは言うまでもなかった・・・


【終わり】

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2208真冬の悪夢【12】加流ネメシス 4/10-18:48
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【12】

「悪リィが先に行っててくれないか?」
言ってオレは、もう一つの部屋に向かい、そのドアを叩く。
ドンドン・・・
返事がねぇ!
ドアノブに手をかけて回してみると、どうやらカギが
かけられていないらしく、ドアはあっけなく開いた。
「ドラゴン・マスター!!」
叫んで部屋の中に入ると・・・
真冬だっつーのに、窓を全開にして、ベットの上で
膝を抱えて夜空を眺めている、ドラゴン・マスターの
姿が目に入った。
近くを流れる川のせせらぎが静かに聞こえてくる・・・
その背中に向かってオレは言う。
「お前にもあんな事があったとはな・・・
 別に何も話さなくてもいいぜ!
 話したい時に話しゃぁいい・・・」
オレに背を向けたままで。
「すまない、今まで黙っていて・・・
 降魔戦争の折、私が水竜王様に直訴し
 それが他の腹心達の反感を買い、彼らによって
 追い込まれた・・・そこまでは話したよね。
 あれはね、その時のことなんだよ。
 ドラゴンの中でも小振りで力の弱いスモール・ドラゴンの
 村が襲われていると言う連絡が入り、急いで行ってみたら・・・
 そこには・・・」
しばらくそこで言葉を切り、一息ついてからようやく
思い切ったように、言葉を続ける。
「おびただしい数のスモール・ドラゴンの亡骸と
 私を待ち構えていた腹心達の姿があった・・・
 彼らはスモール・ドラゴンたちを皆殺しにし結界を張ると
 私の魔力を奪い、あの十字架にくくり付け、村ごと封印
 した上に、スモール・ドラゴン殺しの罪を私に着せた・・・
 スモール・ドラゴンは滅亡・・・
 私の部下も殺された・・・」
「なぁ・・・ドラゴン・マスター・・・
 殺されちまった、スモール・ドラゴンやエンシェント・ドラゴン達に
 お前を許してくれって言っても、たぶん無理だろーな。
 ヴァルがそのいい例だ。
 お前がどんなに後悔し、罪滅ぼしをしたとしても
 『私達の分まで生きてくれ!』だ何て言ったとしても
 そんな調子のいいこと立て前だけで、本心じゃねぇ
 だろうな・・・
 ソイツらだって、生きたかったんだからな・・・
 でもよ、そんなお前にしか出来ねぇことだってある。
 オレはお前って言う存在が、神族の在り方に一石を
 投じるんじゃねぇかって思っている・・・
 これからの神族を変えて行くのは、お前だぜ!!」
ゆっくりと振り向く・・・
「・・・・・・・・・ありがとう、ガーヴ・・・・・・
 私も君が魔族の在り方に一石を投じると思っているよ。」
「そりゃどーーーも。
 オレ達は生きて生きて生き抜く!
 そんで、上からの命令で生きるんじゃなく、自分の意志で
 生きる道を一歩一歩進んで行くんだ!
 そうすることが連中にとっちゃぁ一番厄介だからな!
 だが、復讐のために生きるんじゃねぇ!
 オレ達がオレ達である為に生きるんだ!
 大丈夫。
 オレとお前の二人で力を合わせりゃー何とかなる!
 それに、ヴァルのヤツだっている!!」
「そうだな・・・」
言ってスッと微笑む・・・
やっと見せてくれたその笑顔にホッと胸をなで下ろす。
「ところでよ―――――
 これからヴァルと一緒に一風呂浴びてこようと
 思ってんだが、お前もどうだ?」
すると、ふうっとため息を一つ付いて、
「男同士で風呂に入るなんて悪シュミ
 私は持ち合わせていないんでね。
 遠慮しておくよ。」
「そー言うと思ったぜ。
 まっ、そんな口が利けるんだから、もう大丈夫だな。
 ンじゃ、行ってくるぜ!」
ヤレヤレとオレは言いながら、部屋を出ようとしたその時――――
風呂の方から魔族の気配がしたのだった!
「ヴァル!」
オレは部屋を飛び出す。
風呂場に着くと・・・
ヴァルが丁度魔族と対峙している所だった。
「ヴァル!」
オレは叫ぶと同時に、懐にしまっておいた
マジック・アイテムをヴァルに投げ渡す。
ヴァルは二つの赤い玉を糸でくくり付けた
棒――――アメリカン・クラッカーを見事にキャッチ
すると、それをそのまま魔族に向かって振るう!
二つの糸に付いた玉は、それぞれがまるで意志を
持っているかのように動き、隠れていたヤツを捕らえ
がんじがらめにすると、糸はそのまま
魔族を切り裂く!!
イギャァァアァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
呆気なく滅び去る魔族・・・
「やったな!
 ヴァル!!」
ニッと笑って声を掛ける。
「ほぉ・・・
 初めて使ったとは思えない・・・
 とにかく、よくやったね!
 今日は私が夕御飯をおごろうではないか!!」
ニコニコ笑いながら、ヴァルの背中をバシバシ
叩く。
「痛っつてーーーな!
 このクソオヤジ!!
 そんなこと言ってて、何か裏があるんだろ!?」
ヴァルはそれに対して、イヤそーな顔をする。
「タダメシ!
 タダメシ!!」
「何言ってんだ!?
 ガーヴ!!
 私がおごると言ったのはヴァルだけだぞ!?」
「何ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 さっきオレが助けてやった恩を忘れたってか!?」
「君の底なし食欲に見合う代金を払ったら
 破産してしまうと言っているのだよ!」
「へっ、そのくらい払えないとはな・・・」
オレとドラゴン・マスターは、ヴァルと三人食堂へ
向かいながら、えんえんと言い合いをするのだった・・・


【終わり】

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2209真冬の悪夢【13】加流ネメシス 4/10-18:49
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【13】

「じゃ、行くか!」
そう声をかけると、オレ達は風呂場へ向かった。
そこは岩でできた露天風呂。
オレはその岩に一つに背中を預ける。
その隣に無数の傷跡を体に刻んだヴァルが入ってきた。
「なあ・・・ヴァル・・・
 魔族ってヤツはよ、自分が思えば自由にその姿を
 変えられる。
 だからダメージを受けても傷なんかできなぇんだ。
 その魔族のお前に傷跡があるって事は
 ソイツにまつわる出来事が忘れられない
 何よりの証拠・・・
 つまり、心の傷ってこったな・・・」
オレは自分の胸板にある傷に目を落とし・・・
「見ろや、ヴァル!
 この間、冥王(ヘル・マスター)の野郎にボコボコに
 ノされちまった時にできた傷だ。
 ハッキリ言って今でもあの時の恐怖は忘れられねぇ・・・・・・
 だがよ、オレはこの傷を見るたびにこう思っているんだ・・・
『オレはあの絶望的な状況から這い上がって
 今を生きている・・・
 これは生きている証・・・
 いわば勲章みてぇーなモンだ』ってな・・・」
「ガーヴ様・・・」
潤んだ目でじっとヴァルはオレを見つめると・・・
ガバァァァァァッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
「ガーヴ様!!
 オレもそう思うように頑張るぜ!
 頑張るぜっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」
叫びながら力一杯抱きついてくる!
オレは堪らず風呂の湯の中に
顔を突っ込んでブッ倒れた。
お・・・・・・おひ・・・やめろ・・・・・・
そう叫びたくても湯の中じゃあそれすらもできねぇ!
ヴァルのヤツは、そんなことはお構いなしに抱き付く。
いい加減、離せよ!
何とかヴァルを引き離さねぇと・・・息が・・・・・・
そんなこんなでオレとヴァルは湯の中でしばらく
もつれ合う形となった。
何とかオレが湯から顔を出せたのは、
息が切れる限界ギリギリの所だった。
すぐ後に湯から顔を出してきたヴァルの頭を
グワァシィィィィィィ!!!!!!!!!!!とつかんで揺さぶる。
「そんだけ元気がありゃーーー
 大丈夫だなっ!!」
「あぁ、心配無用だぜっ!!」
オレとヴァルは叫んでニッと笑い合った。





オレとヴァルは風呂から上がると、ドラゴン・マスターの
ヤツの部屋に向かった。
「ガーヴ様・・・
 ドラゴン・マスターのヤツもいろいろとあったんだな・・・
 オレにも関係ありそうだし・・・
 この際だから、ヤツをフン締めて何か
 聞き出してやる!」
言って、息巻くヴァルにオレは。
「まぁ、そんなに慌てるなって!
 アイツもああ見えて、結構まいってるんだぜ?」
そうオレが言った直後、ドラゴン・マスターの部屋から
魔族の気配がして来たのだった!
ドラゴン・マスターと魔族が対峙した丁度その時、
オレ達は部屋に入った。
「ガーヴ!!」
ドラゴン・マスターは笑顔をオレに向けると
一気に魔力のかまいたちを発生させ
魔族を滅ぼす!
イギャアァァァァァァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!
絶叫と共に滅びる魔族・・・
「なぁんだ・・・
 やっぱり、元気じゃねぇかよ!!」
「『なぁんだ』とは何だね、ヴァル!
 君達が駆けつけて来てくれたおかげで
 元気づけられて、反撃が出来たんだぞ!!」
「本当かよ・・・
 それに、オレはただガーヴ様に付いて来ただけだ!」
言って、プイとそっぽを向くヴァル。
「そんなに照れなくってもいいんだぞ?」
ヴァルの小脇を肘で軽くクイックイッと突き
ニヤニヤ笑いながらドラゴン・マスターのヤローは言った。
「バ・・・バカヤロウ!
 照れてんじゃねぇ!!」
「それより腹減ったぜ・・・
 メシ!
 メシ!!」
「まったく、ガーヴはすぐにこれなんだから・・・」
あきれた顔で言う、ドラゴン・マスターのセリフを気にせずに
オレはとっとと食堂へ急いだ。
「あっ、ガーヴ様!
 待ってくれよ!!」
それを見て慌てて走り寄る、ヴァル。
ドラゴン・マスターはと言うと・・・
「さっきの戦闘でかいた汗でも流すかな・・・」
などと言って、セッケンとタオルが入った
洗面器を抱えて、風呂場へ向かっていくのが
見えた。
その後、オレ達三人は追われる身の上だと言うことなど
お構いなしに、数ヶ月に渡って冬のリゾート気分を
満喫しまくったのだった・・・


【終わり】

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2210真冬の悪夢【14】加流ネメシス 4/10-18:50
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【14】


「ちょっと待っててくれや。」
言ってオレは、もう一つの部屋に向かい、そのドアを叩く。
ドンドン・・・
返事がねぇ!
ドアノブに手をかけて回してみると、どうやらカギが
かけられていないらしく、ドアはあっけなく開いた。
「ドラゴン・マスター!!」
叫んで部屋の中に入ると・・・
真冬だっつーのに、窓を全開にして、ベットの上で
膝を抱えて夜空を眺めている、ドラゴン・マスターの
姿が目に入った。
近くを流れる川のせせらぎが静かに聞こえてくる・・・
その背中に向かってオレは言う。
「お前にもあんな事があったとはな・・・
 別に何も話さなくてもいいぜ!
 話したい時に話しゃぁいい・・・」
オレに背を向けたままで。
「すまない、今まで黙っていて・・・
 降魔戦争の折、私が水竜王様に直訴し
 それが他の腹心達の反感を買い、彼らによって
 追い込まれた・・・そこまでは話したよね。
 あれはね、その時のことなんだよ。
 ドラゴンの中でも小振りで力の弱いスモール・ドラゴンの
 村が襲われていると言う連絡が入り、急いで行ってみたら・・・
 そこには・・・」
しばらくそこで言葉を切り、一息ついてからようやく
思い切ったように、言葉を続ける。
「おびただしい数のスモール・ドラゴンの亡骸と
 私を待ち構えていた腹心達の姿があった・・・
 彼らはスモール・ドラゴンたちを皆殺しにし結界を張ると
 私の魔力を奪い、あの十字架にくくり付け、村ごと封印
 した上に、スモール・ドラゴン殺しの罪を私に着せた・・・
 スモール・ドラゴンは滅亡・・・
 私の部下も殺された・・・」
「なぁ・・・ドラゴン・マスター・・・
 殺されちまった、スモール・ドラゴンやエンシェント・ドラゴン達に
 お前を許してくれって言っても、たぶん無理だろーな。
 ヴァルがそのいい例だ。
 お前がどんなに後悔し、罪滅ぼしをしたとしても
 『私達の分まで生きてくれ!』だ何て言ったとしても
 そんな調子のいいこと立て前だけで、本心じゃねぇ
 だろうな・・・
 ソイツらだって、生きたかったんだからな・・・
 でもよ、そんなお前にしか出来ねぇことだってある。
 オレはお前って言う存在が、神族の在り方に一石を
 投じるんじゃねぇかって思っている・・・
 これからの神族を変えて行くのは、お前だぜ!!」
ゆっくりと振り向く・・・
「・・・・・・・・・ありがとう、ガーヴ・・・・・・
 私も君が魔族の在り方に一石を投じると思っているよ。」
「そりゃどーーーも。
 オレ達は生きて生きて生き抜く!
 そんで、上からの命令で生きるんじゃなく、自分の意志で
 生きる道を一歩一歩進んで行くんだ!
 そうすることが連中にとっちゃぁ一番厄介だからな!
 だが、復讐のために生きるんじゃねぇ!
 オレ達がオレ達である為に生きるんだ!
 大丈夫。
 オレとお前の二人で力を合わせりゃー何とかなる!
 それに、ヴァルのヤツだっている!!」
「そうだな・・・」
言ってスッと微笑む・・・
やっと見せてくれたその笑顔にホッと胸をなで下ろす。
「ところでよ―――――
 これからヴァルと一緒に一風呂浴びてこようと
 思ってんだが、お前もどうだ?」
すると、ふうっとため息を一つ付いて、
「男同士で風呂に入るなんて悪シュミ
 私は持ち合わせていないんでね。
 遠慮しておくよ。」
「そー言うと思ったぜ。
 まっ、そんな口が利けるんだから、もう大丈夫だな。
 ンじゃ、行ってくるぜ!」
ヤレヤレとオレは言いながら、部屋を出るとヴァルの元へ急ぐ。
「すまねぇ!
 待たせちまって」
そう声をかけると、オレ達は風呂場へ向かった。





「ふう・・・・・・」
浴槽にせをもたせ掛け、一息つくオレの隣に
ヴァルが入ってきた。
「ガーヴ様・・・・・・
 ドラゴン・マスターのヤローの所に行って来たんだろ?
 知ってたのかよ
 ヤツが受けた、あの仕打ちを・・・」
オレはボーと夜空の星を見ながら。
「いいや、今の今まで知んなかったぜ。
 まっ、水竜王のヤツに直訴したんだから
 タダじゃー済まねぇだろーよ。
 そう言うお前は知ってたのか?」
「オレもガーヴ様と同じだ。
 ドラゴン・マスターのことと言ったら、神族の連中が
 流したロクでもねぇウワサだけだった。」
言ってヴァルもオレと同じように夜空を見上げる。
「オレもお前も今までいろいろあった・・・
 そして、ドラゴン・マスターもな・・・
 辛いのはお前だけじゃねぇってこった。
 何だかんだ言ってて、オレはアイツの背中を見て育った。
 だから、お前を助け、引き取った時、アイツがオレに
 してくれたことを思い出して、オレに出来ることを
 お前にやってきた。
 もし、アイツに出会っていなかったら、お前を助けよう
 なんざ思わなかったかも知れねぇ・・・・・・」
「そう言うモンなんですか?
 親子って・・・・・・」
「さぁな・・・」





風呂から出たオレとヴァルは、今後の打ち合わせをする為、
ドラゴン・マスターの部屋に向かい、ちょっとした作戦を
練った。
と、言っても至って単純な作戦とも言えねぇモンだがな。
逆に言えば、そんなに作戦を立てなくても余裕で
勝てる相手って言うわけだ。
オレとヴァルはオレの部屋で待機することになった。
部屋についてから、しばらくしてオレは重要なことを
思いだした。
「おお!
 そうだ!!
 ヴァル、お前にマジック・アイテム買ってきてやったぜ!!」
オレは懐からソイツをヴァルに差し出した。
「何・・・何なんですか!?
 それは・・・・・・・・・」
一本の棒に二つの玉を紐でくくり付けてあるだけの
ソイツを見て、目を丸くして驚いているヴァル。
「オレが特注で作らせたんだぜ!
 アメリカン・クラッカーって言うんだが、コイツはタダの
 ガキのオモチャじゃねぇ!
 こう使うんだ。
 よぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜く見てろよ・・・」
言って、一通り使用例を見せてやる。
丁度その時、さっきの魔族の気配がドラゴン・マスターの
部屋からした。
「おいでなすったか!!」
そう呟いて不適に笑うと、オレとヴァルは部屋を走り出て
ドラゴン・マスターの元へと急ぐ!
ドラゴン・マスターとヴァルに大きなダメージを
与えたからって、調子ブッこいて出て来やがったか!
オレとヴァルが部屋に駆け込んだと同時に、結界が張られる。
「何!!」
慌てふためく魔族の声がどこからともなく上がった。
「残念だったね・・・
 君を誘き出すために、ワザとさっきのダメージから
 立ち直ってないフリをしていたのだよ。」
ベットにうずくまっていた、結界を張った張本人
ドラゴン・マスターがむっくりと起き上がる。
「テメェは袋のネズミって訳だ!
 覚悟しなっ!!」
ヴァルは叫んで、早速アメリカン・クラッカーを振るう!
二つの糸に付いた玉は、それぞれがまるで意志を
持っているかのように動き、隠れていたヤツを捕らえると
がんじがらめにする。
そこへ炎の帯を放つオレ。
しかし、それはがんじがらめにされたヤツにでも
何とかよけ切れそうなモノだった。
「フッ・・・落ちたな、魔竜王!」
ヤツが鼻で笑うが・・・
「はぁっ!!」
気合一発、ドラゴン・マスターが突風を巻き起こす!
瞬間、オレの炎の帯が爆発する!!
イギャァァアァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!
一体何が起こったのか分からないまま、
断末魔の悲鳴と共に滅びゆく魔族・・・
炎の帯は、巻き起こった突風によって、一挙に大量の
空気を送り込まれて爆発したのだった。
ヤツを滅ぼすななんか、朝メシ前だが、ドラゴン・マスター
にも活躍の場を作ってやんねーとな。
「よっしゃっ!」
「まっ、こんな所でしょーかね。
 連携もまぁまぁだったし・・・
 問題はないな。」
「下級魔族の分際でこのオレ様にたてつこーと
 すっからだぜ!!
 ガハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!」
それぞれ好き勝手に感想を口にする。
オレ達三人で力を合わせていけば、きっと上手く行く。
オレはそう確信した。
あっ、でも男ばっか三人じゃあーむさ苦しいったら
ありゃーしねぇ!
どっかに強くていい女いねぇかなぁ・・・・・・
と、すぐに思い直したのだった。


【終わり】

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2211真冬の悪夢【15】加流ネメシス 4/10-18:51
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【15】

オレはヴァルにそう言い残すと、急いで元来た
廊下を戻る。
ドバン!!
オレはドアを勢いよく蹴り開けると、その様子を
ボー然と見ていたドラゴン・マスターの襟首を
引っつかむ!
「何が『私はもう大丈夫だ。』だっ!!
 どーーーーー見たって大丈夫じゃねぇだろうが!!!!!!!!!!!!
 一体何があったんだよ!?
 吐きやがれっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドン!!!!!!!
オレはそのままドラゴン・マスターを壁に叩き付けた。
「う・・・ぐっ・・・・・・
 すまない、今まで黙っていて・・・・・・
 降魔戦争の折、私が水竜王様に直訴し
 それが他の腹心達の反感を買い、彼らによって
 追い込まれた・・・そこまでは話したよね。
 それを悪夢として見させられていたのだよ・・・・・・」
「で?
 どんな悪夢だったんだよ!?」
オレから目をそらして、ぽつりぽつりと話し出す。
「ドラゴンの中でも小振りで力の弱いスモール・ドラゴンの
 村が襲われていると言う連絡が入り、急いで行ってみたら・・・
 そこには・・・」
しばらくそこで言葉を切り、一息ついてからようやく
思い切ったように、言葉を続ける。
「おびただしい数のスモール・ドラゴンの亡骸と
 私を待ち構えていた腹心達の姿があった・・・
 彼らはスモール・ドラゴンたちを皆殺しにし結界を張ると
 私の魔力を奪い、あの十字架にくくり付け、村ごと封印
 した上に、スモール・ドラゴン殺しの罪を私に着せた・・・
 スモール・ドラゴンは滅亡・・・
 私の部下も殺された・・・」
オレはドラゴン・マスターの襟首から手をパッと離すと
ニッと笑ってこう言ってやった。
「どうだ?
 話して少しは楽になったろ?
 それにしても、お前にもそんな過去があったとはな・・・」
「ふぅ・・・
 相変わらず強引だな、君は・・・」
やれやれと言葉を返すドラゴン・マスター。
「話したくなったら、オレはいつでも聞いてやるぜ!」
「ありがとう・・・ガーヴ・・・・・・・・・・・・」
言ってスッと微笑む・・・・・
やっと見せてくれたその笑顔にホッと胸をなで下ろす。
「ところでよ―――――
 これからヴァルと一緒に一風呂浴びてこようと
 思ってんだが、お前もどうだ?」
すると、ふうっとため息を一つ付いて、
「男同士で風呂に入るなんて悪シュミ
 私は持ち合わせていないんでね。
 遠慮しておくよ。」
「そー言うと思ったぜ。
 まっ、そんな口が利けるんだから、もう大丈夫だな。
 ンじゃ、言ってくるぜ!」
ヤレヤレとオレは言いながら、部屋を出るとヴァルの元へ急ぐ。
「すまねぇ!
 待たせちまって」
そう声をかけると、オレ達は風呂場へ向かった。





「ふう・・・・・・」
浴槽にせをもたせ掛け、一息つくオレの隣に
ヴァルが入ってきた。
「ガーヴ様・・・・・・
 ドラゴン・マスターのヤローの所に行って来たんだろ?
 知ってたのかよ
 ヤツが受けた、あの仕打ちを・・・」
オレはボー然と夜空の星を見ながら。
「いいや、今の今まで知んなかったぜ。
 まっ、水竜王のヤツに直訴したんだから
 タダじゃー済まねぇだろーよ。
 そう言うお前は知ってたのか?」
「オレもガーヴ様と同じだ。
 ドラゴン・マスターのことと言ったら、神族の連中が
 流したロクでもねぇウワサだけだった。」
言ってヴァルもオレと同じように夜空を見上げる。
「オレもお前も今までいろいろあった・・・
 そして、ドラゴン・マスターもな・・・
 辛いのはお前だけじゃねぇってこった。
 何だかんだ言ってて、オレはアイツの背中を見て育った。
 だから、お前を助け、引き取った時、アイツがオレに
 してくれたことを思い出して、オレに出来ることを
 お前にやってきた。
 もし、アイツに出会っていなかったら、お前を助けよう
 なんざ思わなかったかも知れねぇ・・・・・・・・・」
「そう言うモンなんですか?
 親子って・・・・・・」
「さぁな・・・」





風呂から出たオレとヴァルは、今後の打ち合わせをする為、
ドラゴン・マスターの部屋に向かい、ちょっとした作戦を
練った。
と、言っても至って単純な作戦とも言えねぇモンだがな。
逆に言えば、そんなに作戦を立てなくても余裕で
勝てる相手って言うわけだ。
オレとヴァルはオレの部屋で待機することになった。
部屋についてから、しばらくしてオレは重要なことを
思いだした。
「おお!
 そうだ!!
 ヴァル、お前にマジック・アイテム買ってきてやったぜ!!」
オレは懐からソイツをヴァルに差し出した。
「何・・・・・何なんですか!?
 それは・・・・・・・・・」
一本の棒に二つの玉を紐でくくり付けてあるだけの
ソイツを見て、目を丸くして驚いているヴァル。
「オレが特注で作らせたんだぜ!
 アメリカン・クラッカーって言うんだが、コイツはタダの
 ガキのオモチャじゃねぇ!
 こう使うんだ。
 よぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜く見てろよ・・・」
言って、一通り使用例を見せてやる。
丁度その時、さっきの魔族の気配がドラゴン・マスターの
部屋からした。
「おいでなすったか!!」
そう呟いて不適に笑うと、オレとヴァルは部屋を走り出て
ドラゴン・マスターの元へと急ぐ!
ドラゴン・マスターとヴァルに大きなダメージを
与えたからって、調子ブッこいて出て来やがったか!
オレとヴァルが部屋に駆け込んだと同時に、結界が張られる。
「何!!」
慌てふためく魔族の声がどこからともなく上がった。
「残念だったね・・・
 君を誘き出すために、ワザとさっきのダメージから
 立ち直ってないフリをしていたのだよ。」
ベットにうずくまっていた、結界を張った張本人
ドラゴン・マスターがむっくりと起き上がる。
「テメェは袋のネズミって訳だ!
 覚悟しなっ!!」
ヴァルは叫んで、早速アメリカン・クラッカーを振るう!
二つの糸に付いた玉は、それぞれがまるで意志を
持っているかのように動き、隠れていたヤツを捕らえると
がんじがらめにする。
そこへ炎の帯を放つオレ。
しかし、それはがんじがらめにされたヤツにでも
何とかよけ切れそうなモノだった。
「フッ・・・落ちたな、魔竜王!」
ヤツが鼻で笑うが・・・
「はぁっ!!」
気合一発、ドラゴン・マスターが突風を巻き起こす!
瞬間、オレの炎の帯が爆発する!!
イギャァァアァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
一体何が起こったのか分からないまま、
断末魔の悲鳴と共に滅びゆく魔族・・・
炎の帯は、巻き起こった突風によって、一挙に大量の
空気を送り込まれて爆発したのだった。
ヤツを滅ぼすななんか、朝メシ前だが、ドラゴン・マスター
にも活躍の場を作ってやんねーとな。
「よっしゃっ!」
「まっ、こんな所でしょーかね。
 連携もまぁまぁだったし・・・・・・
 問題はないな。」
「下級魔族の分際でこのオレ様にたてつこーと
 すっからだぜ!!
 ガハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!」
それぞれ好き勝手に感想を口にする。
オレ達三人で力を合わせていけば、きっと上手く行く。
オレはそう確信した。
あっ、でも男ばっか三人じゃあーむさ苦しいったら
ありゃーしねぇ!
どっかに強くていい女いねぇかなぁ・・・・・・
と、すぐに思い直したのだった。


【終わり】

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2212真冬の悪夢【16】加流ネメシス 4/10-18:53
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【16】

「じゃ、行くか!」
そう声をかけると、オレ達は風呂場へ向かった。
そこは岩でできた露天風呂。
オレはその岩に一つに背中を預ける。
その隣に無数の傷跡を体に刻んだヴァルが入ってきた。
「なあ・・・ヴァル・・・
 魔族ってヤツはよ、自分が思えば自由にその姿を
 変えられる。
 だからダメージを受けても傷なんかできなぇんだ。
 その魔族のお前に傷跡があるって事は
 ソイツにまつわる出来事が忘れられない
 何よりの証拠・・・
 つまり、心の傷ってこったな・・・」
オレは自分の胸板にある傷に目を落とし・・・
「見ろや、ヴァル!
 この間、冥王(ヘル・マスター)の野郎にボコボコに
 ノされちまった時にできた傷だ。
 ハッキリ言って今でもあの時の恐怖は忘れられねぇ・・・
 だがよ、オレはこの傷を見るたびにこう思っているんだ・・・
『オレはあの絶望的な状況から這い上がって
 今を生きている・・・
 これは生きている証・・・
 いわば勲章みてぇーなモンだ』ってな・・・」
「ガーヴ様・・・」
潤んだ目でじっとヴァルはオレを見つめると・・・
ガバァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
「ガーヴ様!!
 オレもそう思うように頑張るぜ!
 頑張るぜっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」
叫びながら力一杯抱きついてくる!
オレは堪らず風呂の湯の中に
顔を突っ込んでブッ倒れた。
お・・・・・・おひ・・・やめろ・・・・・・
そう叫びたくても湯の中じゃあそれすらもできねぇ!
ヴァルのヤツは、そんなことはお構いなしに抱き付く。
いい加減、離せよ!
何とかヴァルを引き離さねぇと・・・息が・・・
そんなこんなでオレとヴァルは湯の中でしばらく
もつれ合う形となった。
何とかオレが湯から顔を出せたのは、
息が切れる限界ギリギリの所だった。
すぐ後に湯から顔を出してきたヴァルの頭を
グワァシィィィィィィ!!!!!!!!!!!とつかんで揺さぶる。
「そんだけ元気がありゃーーー
 大丈夫だなっ!!」
「あぁ、心配無用だぜっ!!」
オレとヴァルは叫んでニッと笑い合った。





風呂から出たオレとヴァルは、しばらくオレの部屋で後に
オレの部屋で落ち合うことにした。
「ガーヴ様・・・」
オレの部屋のドアをヴァルがノックする。
「おう!
 ヴァルか!
 開いてるぜ。」
ドアを開けて入ってきたヴァルを見た瞬間、
オレの目は皿のよーに丸く見開かれた。
ヘソが見えるほど、腹部が露出した特攻服!
そして、どういう訳か増えている傷跡!
「ど・・・どうしたんだ!?
 そりゃぁ・・・・・・?」
オレはマヌケにポカンと開いた口から
何とかセリフを絞り出した。
「あっ、これか?
 傷は生きている証、勲章みたいなモンなんだろ?
 勲章って見せて自慢するモンじゃないかと思って、
 思い切ってみたんだが・・・似合わねぇか、この服?」
「い・・・いや、そんなことはねぇー。
 似合っているぜ!」
不安げに顔を曇らせたヴァルに思わずそう答えてしまうオレ。
「と・・・ところでよ―――――
 なんで傷が増えてんだ?」
胸を張ってヴァルは言い切った。
「ファッションだ!」
「あ・・・あぁ・・・・・・ファッション・・・・・・」
もはやオレには何も言い返すだけの力は残っていなかった。
だが、オレは危うく忘れそーになっていた重大なことを
思い出すことができた。
「おお!
 そうだ!!
 ヴァル、お前にマジック・アイテム買ってきてやったぜ!!」
オレは懐からソイツをヴァルに差し出した。
「何・・・・・何なんですか!?
 それは・・・・・・・・・」
一本の棒に二つの玉を紐でくくり付けてあるだけの
ソイツを見て、目を丸くして驚いているヴァル。
「オレが特注で作らせたんだぜ!
 アメリカン・クラッカーって言うんだが、コイツはタダの
 ガキのオモチャじゃねぇ!
 こう使うんだ。
 よぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜く見てろよ・・・」
言って、一通り使用例を見せてやる。
丁度その時、さっきの魔族の気配がドラゴン・マスターの
部屋からした。
「しまった!!」
俺はそう叫び、一目散にドラゴン・マスターの元へ急ぐ!
ヴァルもその後に続く。
魔族というモンは負の感情を食って生きているだけに、
そのテの感情には非常に敏感になっている。
半分人間になっちまったオレも例外じゃねぇ!
その感覚が告げているのだ・・・
ドラゴン・マスターの悲しみ、後悔、やり所のない怒り・・・
その他もろもろの負の感情が止めどなく
あふれ出ていることを・・・
バン!!
オレは勢いに任せてドアを蹴り開ける!!
そこには苦悶の表情を刻んだ
ドラゴン・マスターが横たわっていた。
「がはぁあぁああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
悶え苦しみ、絶叫を上げる・・・
いつものスットコなドラゴン・マスターなら見慣れている。
が、しかし、こんなコイツを見るのは初めてだった・・・
「ヴァル!」
俺はヴァルに振り返る。
「チッ!
 しょうがねぇ!!」
ヴァルはオレの言わんとすることを察し、ドラゴン・マスターに
向けてアメリカン・クラッカーを振った。
もちろん、ドラゴン・マスターではなく、ヤツの精神世界に
潜む魔族に対しただ。
二つの糸に付いた玉は、それぞれがまるで意志を
持っているかのように動き、隠れていたヤツを捕らえると
がんじがらめにする。
魔族がオレ達の目の前へ引きずり出されたのを見計らい
ヤツに向かって炎の帯を放つ!
イギャァアアァァアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!
断末魔の悲鳴と共に滅びゆく魔族・・・
「終わったな・・・」
「下級魔族の分際でガーヴ様の手を
 焼かせやがって!!」
「それより・・・」
オレは気を失っているドラゴン・マスターに
目を向ける。
「コイツを何とかしてやんねぇーとな。」
そう言葉を付け加えると、抱きかかえて再び
ドラゴン・マスターをベットに寝かせてやった。
「あぁ・・・・・・
 コイツもいろいろとあったみたいだしな・・・」
ヴァルもさっきのドラゴン・マスターの負の感情を
感じ取っていたのだろう・・・
珍しくドラゴン・マスターを気遣ったセリフを吐く。
オレとヴァルは静かに見守った。
ドラゴン・マスターの意識が戻るのを・・・


【終わり】

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2213真冬の悪夢【17】加流ネメシス 4/10-18:54
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【17】

「悪りィが先行っててくれないか?」
言ってオレは、もう一つの部屋に向かい、そのドアを叩く。
ドンドン・・・・・・
返事がねぇ!
ドアノブに手をかけて回してみると、どうやらカギが
かけられていないらしく、ドアはあっけなく開いた。
「ドラゴン・マスター!!」
叫んで部屋の中に入ると・・・
真冬だっつーのに、窓を全開にして、ベットの上で
膝を抱えて夜空を眺めている、ドラゴン・マスターの
姿が目に入った。
近くを流れる川のせせらぎが静かに聞こえてくる・・・・・・
その背中に向かってオレは言う。
「脱げ。」
「へ!?」
マヌケな声を上げて振り向くドラゴン・マスター。
「脱げって言ってんだよ!」
「は・・・ははははは・・・
 いくら私がカッコイイからと言っても、ダメだぞガーヴ!
 そーゆーシュミは持ち合わせてないんだけどね・・・」
いつも通りフザケたことを並べ立てている
ドラゴン・マスターの肩をつかみ、無理矢理服を破る。
服の破れる音と共に、予想通り両腕に深く刻まれた
鎖の跡がオレの目に飛び込んできた。
それは丁度、磔にされた時に巻かれた鎖と
ピッタリ一致する。
「ガキの頃、よくお前に風呂に入れられたが
 ンな鎖の跡なんかなかったぜ。
 お前が何モンかは知らねぇーが
 もし、魔族と同じ姿を自在に変えられるのなら、
 鎖の跡なんかない筈だ・・・
 ない筈のソイツが浮かび上がったってことは
 かなりの精神的ダメージを受けているって言う、
 何よりの証拠!」
「ガーヴ・・・
 今だから言うが、君と出会うまでは、一体何をしたら
 いいのか分からなかった・・・
 人と魔の狭間で揺れながらも、必死に前を見て
 生きようとしている君に接して、どれだけ助けられたか・・・」
両腕の鎖の跡を手で押さえ、俯きながら
ドラゴン・マスターは言葉を口にする。
そんなやつに対してオレはいつもと変わらぬ
口調で言ってやった。
「なーーーーーーに言ってんだかよ!
 オレだって、自分自身どうするべきか、
 ハッキリ言って分かんねぇーさ。
 ケドよ、それを探し、見つけ、目標を作って、
 ソイツに向かって行く・・・
 それが生きるってことじゃねぇーのかな。
 それに、オレだっていろいろとお前には助けられたと
 思っているんだぜ?
 まっ、お互い様ってこった。」
そして、声のトーンを落として続ける。
「あの調子だと、表向きはどうであれ、
 神族の連中に追われてんだろ?
 ケド、お前は一人なんかじゃねぇ・・・
 生き残ったお前の部下とこのオレがいるだろ!!
 生き残るんだ!
 ヴァルと一緒で、三人で!!
 モチロン、三人のうち誰か一人でも欠けることなくよ!!
 だから、いつまでもンなシケたツラしてんじゃねぇーよ!!
 ガハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!」
下げたはずのトーンは、すっかり元に戻ったばかりか、
上がりまくり、オレはドラゴン・マスターの背中をバシバシ叩く。
「生きる・・・か・・・」
なおも暗〜い雰囲気のドラゴン・マスターにオレは
顔をしかめて聞く。
「まさか、復讐なんてくだらねぇこと考えてんのか?」
首を左右に振ると、
「いや、考えていないよ。
 そんなことより大切な物を見つけたから・・・」
「そうだな・・・」
言ってスッと微笑む・・・
やっと見せてくれたその笑顔にホッと胸をなで下ろす。
「ところでよ―――――
 これからヴァルと一緒に一風呂浴びてこようと
 思ってんだが、お前もどうだ?」
すると、ふうっとため息を一つ付いて、
「男同士で風呂に入るなんて悪シュミ
 私は持ち合わせていないんでね。
 遠慮しておくよ。」
「そー言うと思ったぜ。
 まっ、そんな口が利けるんだから、もう大丈夫だな。
 ンじゃ、行ってくるぜ!」
ヤレヤレとオレは言いながら、部屋を出ようとしたその時――――
風呂の方から魔族の気配がしたのだった!
「ヴァル!」
オレは部屋を飛び出す。
服を再生させたドラゴン・マスターがその後に続く。
「ああっ!!」
階段を下りていた丁度その時、
声を上げたドラゴン・マスターの方へ思わず振り返る。
そのオレの目一杯に映ったものは・・・
ドラゴン・マスターの靴の裏だった。
どげしぃいいいいいいっ!!!!!!!!!!!!!!
オレの顔を踏み台がわりにすると、宙で一回転し
スタッと踊り場に着地しやがった。
オレはと言うと――――――
「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぁああっっっっっっっ!!!!!!!」
ドダズダドダダ・・・・・・!!!!!!!!!!!!
大音響と共にブザマに転げ落ちたのだった・・・
「や、悪い悪い!
 ちょっと足が滑ってね。」
オレの方にさわやかな笑顔を向けて、ぬかす
ドラゴン・マスター。
「ワザとだろーーーーがっ!!!!!」
ガバッと起き上がり、食ってかかる。
「私を無理矢理脱がしたんだ。
 それだけで済んだと思えば安いモンだろ?」
そう言って俺の前へ駆け出す。
まっ、こんなことができる元気があるんだ。
大丈夫だろう・・・
オレは顔にくっきり付いた靴後を、腕で
ぬぐい取りながらニッと笑った。
気を取り直して風呂場へと急ぐ。
着いてみると・・・
ヴァルが倒れている!
幸い、他の客はいないみたいだ。
ドラゴン・マスターがヴァルを抱き起こす。
「ヴァル!!」
「大丈夫だ。
 ヴァル君の精神世界に入り込んでいるヤツの
 位置は分かった!
 私の任せてくれ!!」
言って放った魔力弾は、ヴァルの中にいる魔族を
過たず討ち滅ぼす!!!!!!!!!!!!
魔族の気配が消えてゆく・・・
魔族のヤツもマサカ入り込んでいる時に
滅ぼされるとは思っていなかっただろう。
なぜなら、こんなマネができるのは
ドラゴン・マスターぐらいだからな・・・
「一件落着ってとこか・・・」
ほっとついた一息と共にオレは言った。
「このままの格好では、ヴァル君がカゼをひいてしまう!
 部屋へ戻るとするかね?」
「そうだな・・・ヴァルの面倒も見てやんねーとな・・・」
ヴァルを抱きかかえたドラゴン・マスターとオレは
ヴァルの部屋に向かっていたのだった・・・


【終わり】

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2214真冬の悪夢【18】加流ネメシス 4/10-18:55
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【18】

「何だか、やっぱり様子がおかしいぜ?」
「ああ、私もさっきから負の感情がこの食堂を
 覆っているのを感じるよ・・・」
どうやら、オレの攻撃を受けて弱った魔族は
客の心の隙を突いて、融合したらしい・・・
「しっかしまぁ、オレも昔はあんなモンを好き好んで
 食ってたとはなぁ・・・」
腕組みをして、目を閉じ、昔を振り返る。
「今は食べないのかい
ドラゴン・マスターが聞く。
「無意識のうちに取り込んじまっている分は
 しょうがねぇが、あんな、ウジウジ、ジメジメした
 モンなんか見たくもねぇな・・・」
ポンと手を打って。
「成る程!
 それで、その分メシをバカバカ食べるんだな!」
うんうん、頷くドラゴン・マスター。
「そんなに食ってねぇって!
 お前が小食なだけだ!!
 ところで、どうするんだ?」
「そうだな・・・
 大体、どの客に取り憑いているのか
 見当は付くが・・・」
「ンじゃ、とっととブッ飛ばしちまおうぜ!」
勢いよく立ち上がったオレの腕を、しかし
ドラゴン・マスターはつかんで、止める。
「まだ充分な証拠がない!
 ケンカを売るにしても相手が行動に出てからだ!」
「ちぇ・・・
 面倒臭ぇなぁ・・・」
人間の世界っつーモンは、とかく面倒で
まず、証拠がないと全然動けやしねぇ。
まっ、それまで寝て待つとすっか!





「こんな夜中にお出かけとは・・・
 どうかなされたのですかな?」
ペンションの玄関を出た一人の男に、
腕組みなんぞをしながらドラゴン・マスターが
声をかけた。
「よっしゃあ!
 今度こそ、ブッ飛ばしてやる!!」
叫んでオレは宣戦布告とばかりに魔力弾を
ブチかました。
ズガガァァァァァアアァァン!!!!!!!!!!!!!
それは大音響と共にはじけ飛んだ。
「ガ・ア・ヴ!!
 せっかく私が結界を張ろうとしていたのに
 何てことをっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 これでは、他の客が起きて来てしまう
 だろうがっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ジト目でオレを睨むドラゴン・マスター。
「だってよう・・・
 あんな目に遭ったんだぜ・・・
 いたぶってやろうかと思ってよ・・・」
セリフの最後の方は、ほとんど口の中でモゴモゴと言う・・・
「何だ!
 何だ!」
「うるせぇな!」
「どうしたのですか!?」
そうこうしているうちに、他の客が部屋から出て来て、
オレ達の方へやって来る!
人間とは思えないスピードで走り去る男の背中が、
そんなオレの視界の端にチラッと写った。
しまった!!
オレは「飛翔界(レイ・ウイング)」の呪文なんか
唱えられねぇ!!
ケド、呪文なしで空から飛んで追いかけたら
一発で魔族だと客にバレちまう!
かと言って、空を飛んで追いかけねぇと、
捕まりそうもねぇ!
どうする・・・
「ガーヴ!
 早く!!」
オレに背を向けて、しゃがんだドラゴン・マスターが叫ぶ。
こ・・・これって・・・
ま、まさか・・・
おんぶ!?
「バ・・・バカヤローーーー!!!!!!!!!!
 ンなこといい年してできっか!!!!!!!!!!!!!」
「私だって、カワイイ子供や女性ならまだしも
 オッサンと間違われるよーな君なんか
 おぶりたくはないけどね!
 自業自得だと思って、あきらめるんだな!!」
「誰がオッサンだ!!!!!!!!
 オレはまだ十代だっ!!!!!!!!!!!!!」
絶叫するオレに対して、ドラゴン・マスターは。
「はいはい。
 で、どうするんだ?」
「う゛っ・・・!!!!!!!!!!!!!!!!
 早く行けよ・・・」
オレは耳まで真っ赤になって、ドラゴン・マスターの
背に負ぶさる。
ドラゴン・マスターは呪文を唱え、
それを完成させた。
「飛翔界(レイ・ウイング)!」
完成と同時に物凄いスピードで
カッ飛んで行くオレ達・・・
空から舞い降りる雪を、
風の結界が吹き飛ばしながら突き進んで行く。
そう言えば、オレがコイツと出会った時も
こんなふうに飛んだっけな・・・
あの時と同じように、オレは思った・・・
コイツは一体何者なのかと・・・
幻影の中、コイツが首を絞められそうになった時
いきなり元の世界に戻ったのは、おそらく、
幻影を作り出していた魔族が、ドラゴン・マスターの
正体を知って恐怖したんじゃねぇーのか?
「ガーヴ!
 追いついたぞっ!」
「あ?
 ああ!!」
不意にその張本人に呼ばれて、慌てるオレ。
「どうしたんだ?
 ガーヴ・・・」
「な・・・何でもねぇ!」
「本当に?」
ドラゴン・マスターは心配そうに聞く。
「本当だっ!
 ちっと考え事してただけだ!!」
「君が考え事だなんて、珍しいな・・・」
「悪かったなぁ!
 オレだって考え事の一つや二つするぜっ!!」
「済まない、ガーヴ・・・」
何だか気まずくなっちまったんで、ふと男の方へ
目をやると、男が歯をむき出しにしてこちらを
睨んでいるのが見えた。
「ガーヴ!
 体当たりするぞ!!」
叫ぶと同時に風の結界ごと男にぶつかって
行く!!
「ぐわっ!!!!!!!!!!!!!」
男は風に結界にはじき飛ばされ、ものの見事に
スッ転んだ。
男の前へ回り込み着地する。
オレはパッとドラゴン・マスターの背から飛び降りると。
「そんなに早く人間って言うのは走れんのかよ?
 覚悟しな!!」
そう言って剣を抜き放ったオレを、ドラゴン・マスターは
右手で制した。
「ちょっと待った!
 私に任せてくれないか?」
「何だよ?」
「彼は魔族と融合してからそんなに
 時間が経っていない。
 今なら『浄解』出来る!!」
「そう言えば・・・
 お前神族だったんだな!
 すっかり忘れていたぜ!!!!!!!!!!!!!
 ワハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴン・マスターの背中をバシバシ叩く。
ちなみに「浄解」とは、魔族と融合した人間や
キメラにされた人間をドラゴン・マスターの
力を借りて元に戻す呪文のことを言う。
融合した魔族の力、または魔物などの数が
あればある程、術者の魔力と技術が要求される。
人間が唱えてもせいぜい二種の融合を
元に戻すのがやっとだ。
だが、その力の源であるドラゴン・マスターにとって
融合によって瞬間移動能力を失っちまう程度の
魔族なんか、へでもねぇ!
ドラゴン・マスターは青い輝きを放ちながら
掲げていた左手を男に向かって振り下ろす。
「浄解!」
そのかけ声と同時に男から、魔族が抜け出る。
オレはその魔族に向かって炎の帯を放つ!
イギャァァアァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!
あっさりと魔族は滅んでいった・・・
オレの力を持ってすれば、当然のことだ!!
ふとオレは、雪に埋もれるようにして落ちていた
ズタ袋があることに気が付いた。
それを拾い上げて、中を覗いてみると・・・
そこにはいくつかのマジック・アイテムが
入っていたのだった!!
「これは、君の物なのかね?」
ドラゴン・マスターは元に戻った男に尋ねた。
「あ・・・・・・ああ・・・そうだ!!」
しかし、答えた男はそわそわしていて、
どこか落ち着きがねぇ・・・
ひょっとして・・・
ドラゴン・マスターもオレと同じことを感じて
いたのだろう、グッと男に胸ぐらをつかむと。
「それは、どうかな?
 何だったら、ここで君を倒してもいいんだぞ?
 役人を誤魔化せるくらいの理由なんか
 後からどうにでもなる・・・」
まるで獲物を狙う獣のような鋭い目つきで
男を見据える。
「あ・・・あわわわわ・・・!!!!!!!!!!!
 ウソです!!!!!!
 ウソです!!!!!!
 実は、マジック・アイテムを盗んでやろうと思って
 いた所へ、あの魔族が『お前に力を貸してやる』って
 声をかけられたんですぅ〜〜〜〜〜〜。
 だから、どうか、命だけは・・・。」
情けねぇ声を出して、きれいさっぱり自白しちまい
やがんの。
「やっぱり・・・!
 ところでガーヴ。
 後ろ手に何を持っているんだい?」
「う゛っ・・・!!!!!!!!!!!!!!!
 いや、あの、その、なんだ・・・
 ドロボーをつかまえた御礼として
 一つ、マジック・アイテムをブン取ろうかと思ってよ・・・」
今度は、オレがシドロモドロになって
思わず自白しちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!
「あれぇ〜〜〜〜〜〜!?
 確か闇市で買ったんじゃないのかね?」
更に痛い所を突いてくるドラゴン・マスター!
「オレが買ったのより、いいのがあったんだ!!」
「ふぅ〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・・・
 そぉ?」
う゛う゛う゛う゛う゛う゛・・・・・・
とことんヤバイ!!
「それに、ヴァルのヤツを元気づけてやりてぇし・・・
 少しでも戦力になった方が、これからのことを
 考えりゃぁ、いいに決まってんだろ?」
何とか言い訳をするオレ。
「旅を続けるつもりなのかい?」
いきなりマトモな話題に取って代わっちまった。
「ああ、いろんなオレの可能性を探しにな・・・」
だからオレも真面目に答える。
「そうか・・・」
そう呟くと、また鋭い目つきで男を見据え。
「と、言う訳だ。
 命が欲しかったら、このことは誰にも言うなよ!!」
「ひぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
 そんな、ムチャクチャなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」
「おいおいおい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 ンなこと言っていいのかよ!?」
すると、ドラゴン・マスターは。
「どうやら、ガーヴのが移っちゃったみたい。
 てへ(はぁと)」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・
一気にオレの全身から力が抜けていった・・・


【終わり】

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2215真冬の悪夢【19】加流ネメシス 4/10-18:58
記事番号2196へのコメント
雪山編〜真冬の悪夢〜

【19】

「あまり変わった様子はねぇな・・・」
「ああ・・・」
腕組みなんぞをして、う〜〜〜〜と考え込む
オレとドラゴン・マスター。
そこへ――――――
「あのぅ・・・
 ちょっといいですか?」
商人風の男が声をかけて来た。
「何だよ?
 今、オレ達は忙しいんだ!!」
面倒臭そーに、それに答えるオレ。
「どうなされたのですか?」
しかし、ドラゴン・マスターはそんなオレには
お構いなしだ。
「確かあなた方、あの有名な賞金稼ぎの
 フレイド・オン・フレイヤー一家ですよね?
 実は私の店のマジック・アイテムが盗まれまして・・・」
「マジック・アイテム!?」
オレは商人のセリフを遮って、思わず声を上げて
しまった。
魔族のことも気になるが・・・
ヴァルのことを考えれば、マジック・アイテム
の方が先だっ!!!!!!!!!!
「ガーヴ、確かマジック・アイテム、
 君は買ったんじゃなかったのかい?
 ま・さ・か買えなかったから、ドサクサに
 紛れてブン取ろうなんて、思ってない?」
痛い所を突いてくる、ドラゴン・マスター!!!!!!
「ま・・・まさか・・・
 オレの買ったのは一級品だぜ!」
「ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・」
疑いの眼差しをオレに向ける。
たははははははは・・・・・・・・
オレは心の中で力無く笑うしかなかった。





結局、ドラゴン・マスターが「困っている人を放ってはおけない!」
だの、なんだのかんだの言って、その依頼を受けることにした。
商人の話によると、風呂に入っている間にキレイさっぱり
部屋にあったマジック・アイテムがなくなっていたらしい。
ま、よくあるパターンだな。
もしかしたら、ペンションの客の中に犯人がいるかも
知れねぇーと、言う訳で、朝になるまでオレと
ドラゴン・マスターとで巡回することになった。
夜明け近くになっても全く変わった様子はなかった。
オレとドラゴン・マスターが玄関で落ち合ったその時―――――
裏口近くから物音が聞こえて来た!
普通の人間だったら、聞き逃してしまう程のモンだが
オレ達では相手が悪かったよーだな!!
裏口へと急いで回って見ると、人間とは思えねぇ
猛スピードで走り去る男の背中が米粒ぐらいの
大きさに見えるほど、遠くにあった。
「魔族と融合しやがったな・・・
 ドラゴン・マスターーー!
 後は任せたぜっ!!」
言ってオレは、近くに立て掛けてあったスノーボードを
手にする。
「任せたって・・・
 一体どうするつもりなんだ!?」
「こうするんだよ!!」
オレは近くの山肌に向かって魔力弾を放った。
ズガガガアアアァアァァアアン!!!!!!!!!!!!!!!
魔力弾は爆発すると、その付近に積もった雪を崩し、
雪崩となってこちらへ向かって爆走して来た。
「な・・・なななななな!!!!!!!!!!!!!」
さすがのドラゴン・マスターも目を白黒させる。
「じゃ、被害者が出ねぇよーによろしく頼むわ。」
「ちょっと待たんかっ!!!!!!!!!
 ガーヴ!!!!!!!!!!!!!!!」
すぐ近くまで迫ってきている雪崩に向かってオレは―――――――
「ひゃっほう!!」
雄叫びを上げて飛び乗ると、サーフィンよろしく
雪崩に波に乗った。
怒濤のよーな雪崩は、走り去った男の姿をすぐに
捕らえた。
「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「中級魔族の分際で、このオレ様に楯突こーなんざ
 10億年早えぇーーーーんだよ!
 グハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!」
泣きべそをかく男を波の下に見下ろし、
大笑いしてやる。
次第に男とオレとの距離が短くなって行き・・・
「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
ついに男は絶叫と共に雪崩に飲み込まれていったのだった・・・





「さてと・・・」
雪崩がおさまって、しばらくした後、オレは雪に埋もれて
ノビている男を掘り出した。
その手にはしっかりとマジック・アイテムが入った袋が
握られているんだから、見上げた根性である。
その中からオレは赤い二つの玉が糸でくくり付けてある
アメリカン・クラッカー風なのに目を付けた。
それを懐の中にしまったのとほぼ同時に、肩を怒らせた
ドラゴン・マスターがやって来た。
「ガーヴ!!
 私が被害が出るのを何とかくい止めたから
 よかったものの・・・
 何て無茶をするんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
怒鳴るドラゴン・マスターに対してオレは。
「被害が出なかったんだから、いーじゃねーか。
 それより『浄解』頼むわ。」
「そう言う問題じゃないだろ!
 後でお仕置きだからねっ!!!!!!!!!!」
う゛・・・・・・
オレの背中に冷たいものが走ったのがハッキリと分かった。
ちなみに「浄解」とは、魔族と融合した人間や
キメラにされた人間をドラゴン・マスターの
力を借りて元に戻す呪文のことを言う。
融合した魔族の力、または魔物などの数が
あればある程、術者の魔力と技術が要求される。
人間が唱えてもせいぜい二種の融合を
元に戻すのがやっとだ。
だが、その力の源であるドラゴン・マスターにとって
融合によって瞬間移動能力を失っちまう程度の
魔族なんか、へでもねぇ!
ドラゴン・マスターは青い輝きを放ちながら
掲げていた左手を男に向かって振り下ろす。
「浄解!」
そのかけ声と同時に男から、魔族が抜け出る。
オレはその魔族に向かって炎の帯を放つ!
イギャァァアァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!
あっさりと魔族は滅んでいった・・・
オレの力を持ってすれば、当然のことだ!!
「後はコイツを役人に突きだして、マジック・アイテムを
 あの商人の元へ返せば終わりだな!
 ヴァルのことも気に掛かる・・・
 急いで戻ろうぜっ!!」
「どんなお仕置きをしようかな・・・」
「冗談じゃねぇ!!」
オレは慌てて走り出した。
「逃げようたって、そうはいかんぞ!!
 ケド、どうしようかなぁ・・・・・・」
後を追って来やがる、ドラゴン・マスター。
モチロン、オレがブン取ったマジック・アイテムは
雪崩に飲まれてどっかに行ったことにして
ドラゴン・マスターには内緒にしておいたのだった・・・


【終わり】

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2220Re:真冬の悪夢松原ぼたん E-mail 4/10-21:34
記事番号2215へのコメント
 面白かったです。

>【19】
 が、一番最初に行き着いたエンディングでした。
 ドラコンマスターの過去とかいろいろあったし。
 ヴァルの傷を増やして「ファッションだ」と言い切ったところが笑えました。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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2261松原ぼたん様へ加流ネメシス E-mail 4/14-03:44
記事番号2220へのコメント
松原ぼたん様
感想ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!(^0^)
ヴァルガーヴの傷や特攻服、アメリカン・クラッカーについては
私なりの自由な解釈で書きたいと、前々から考えていました。
一番悩んだのは、傷と特攻服でしたが、傷を見せる為に特攻服に
したと言うことにしました。(^-^)


それにしても、19や18にたどり着いた方が多いようですね。
やっぱり、ガーヴの性格を考えると、これが一番なのかな・・・・!?



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2245せめて13日までは…みいしゃ 4/12-16:44
記事番号2215へのコメント
加流ーん姐さんへ

帰った時にすでに過去記事へ…。
と言うことは笑い事じゃありませんね(-_-;;;;)。
はたしてこれを読んで下さるときはツリーが存在しているか不安です。
所で、【15】の題の訂正は一坪さんが速攻で直してくれました。
何ともありがたいことですm(- -)m。
と言うことで残る気がかりは…シナリオ【8】の…。くは!

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2263Re:せめて13日までは…加流ネメシス E-mail 4/14-03:59
記事番号2245へのコメント
みいしゃ様、本当にご苦労さまでした。
ちゃんと、ツリーが存在している時に、帰ってきましてた!!!!!!!!!
シナリオ8については、伝言板の方にも書きましたが
あれで大丈夫ですので、どうか安心してくださいね。(^-^)


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2235Re:「真冬の悪夢」むつみ。 4/11-09:05
記事番号2196へのコメント
加流ネメシスさん!さっそく挑戦しました。

>実はこの「真冬の悪夢」はサウンド・ノベル
>「かまいたちの夜」と言うゲームに影響されて
>書きました。(舞台が同じ白馬をモデル(?)にしてますし(汗))
>と―――――言うことは、そうです!
>このお話は選択肢形式で進みます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
>つまり、読んでいるうちに、いくつか選択肢を
>選ぶところが出てきて、読んでいる方が選んだ
>選択肢によってストーリーが変わって行くと言う
>訳なのです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 ・・・な、何て画期的!

 さて。私のエンディングは(18)でした。マスタードラゴン中心だったと思
います。さて。もう一度、試そう。この企画、凄くいいです。!
 沈んでしまわないように、二回目プレイの感想はまた後日書き込みます。
 それでは。

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2262むつみ。様へ加流ネメシス E-mail 4/14-03:54
記事番号2235へのコメント
むつみ。様
感想、ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
エンディングは沢山ありますので、良かったら何回でも
挑戦してやってくださいね。(^-^)
一見、同じシナリオに見えても、所々違っていたりもしますよ。
本当に楽しんで頂けて、書いて良かったと実感しています。
さすがに、こんなことはしばらく出来ませんが、これから書くであろう
普通の形式のお話の方も、よろしくお願いしますね。(^-^)