-異界黙示録伝《炎の書》その4-魔沙羅 萌(4/8-21:21)No.2155
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2155異界黙示録伝《炎の書》その4魔沙羅 萌 4/8-21:21

「え?姉さんがアルフ=ハイムにいない?」
少年は信じられないと言った感じで侍女の一人を見ていた。
まあ、これは演技の一つだが。
彼の名前はフレイム=ホムラ=アルフ=ハイム。
アグニの弟だ。
アグニに空中楼閣を撒かされたことは一応他言無用だと決めたのだが。
実際いなくなっていると聞くとさみしくなるものである。
「で、本当なのかい?姉さんがいなくなったっていうのは」
「はい、部屋にこんな物までありました」
侍女はフレイムに一枚の手紙を渡してきた。
手紙には、
『魔界に行ってきます。捜さないで下さい。アグニ=カテン=アルフ=ハイム』
などと書いてある。
フレイムはそれを読んだときはじめて、一杯くわさえたと気がついた。
確かにアグニは出かけると入っていたが、魔界にとは言っていない。
フレイムにはもう、姉の無事を祈ることしかできなかった。


死の舞踏A ――遠い日の歌――


「ようこそ、僕の死の舞踏会へ」
フェニックスはそういって虚空へと舞い上がった!
「アグニ!何か勝算はあるのか?!」
ゼルガディスさんは私にそうたずねてきた。
「ありません!私の属性は火。相手の属性も火。しかも相手は不死鳥。私をあまり頼らないで御二人で頑張って下さい。一応防御に私はまわります。一応精霊魔法でなら水の魔法を使えますから。一応言っときますけど、黒魔法は効きません!精霊魔法の氷、もしくは水系のモノを使って下さい!」
「無駄だよ。『時を統べるモノ』がいない限り僕と闘っても勝てないことぐらい君自身、よく分かってるんじゃない?」
フェニックスは空の上で私にそう言った。
「何を言うんですか!このアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが天に代わって貴方を裁きます!」
「それじゃあ僕を裁けないよ。僕はもう神に堕された存在なんだから」
フェニックスはアメリアに対してそう答えてやった。
確かにその通りなのだ。魔神とは元々天使だった者………すなわち堕天使なのだ。
「にしてもさみしいわね。昔、共に魔王を封印した者が今や魔王の手下になるとは」
私はそう呟いた。
「ふん、まあいい。立ち話はこれくらいにしておこう」
フェニックスはそういって炎を吐いた!
私たち3人は思い思いの方へ跳んだ!
「結破冷断(ライブリム)!」
アメリアさんの魔法は彼に当たったところでとけて蒸発してしまった!
「は、反則ですぅ」
アメリアさんは後退りながらそういう。
まあ、体の温度がめちゃめちゃ高いから無理もないのだが……。
「霊氷陣(デモナ・クリスタル)!」
すかさずゼルガディスさんが魔法を使うがやはりあまり効いていなさそうだ。
「無駄無駄。君たちがつかれるだけだよ。今度はこっちの番さ」
そう行ったと思った瞬間、地獄の業火が私達を飲み込もうとした!
まずい!私はいいとして、アメリアさんは?ゼルガディスさんは?
答えは一つ。跡形も無く消えてしまうのみ!そんなのは絶対に私の正義に反している!
「偉大なる水の精霊よ!やさしき慈愛の精霊よ!我が前に渦巻きし地獄の炎をかき消したまえ!」
私の唱えた呪文により、炎は消えたが………はっきり言ってこれはすごく疲れる術なのだ。なぜかと言うと、自分とはまったく正反対の属性の精霊を呼んでいるのだ。疲れて当たり前だ。
「アグニさん、大丈夫ですか!」
アメリアさんの声が聞こえる。
「ちょっと疲れましたが大丈夫です」
答える私に対してフェニックスの声が聞こえる。
「みえみえな嘘を!君がその術を使うと言うことは自然界に対して反したことをしたと言うことだ。どういうことだか分かってるよね、アグニ姫さま」
「………。」
「だってそうだろ?相いれるはずの無いまったく逆の属性の持った精霊を使う……火の神失格だよ」
「だからどうしたと言うのだ!貴様だってそうだろ!涙の国の守護魔神の筈のお前が『魔王』とやらに従うのと違うのか!」
「ちがうよ」
ゼルガディスさんの言葉に彼はからかったような声を出した。
「だって僕はあの御方につかえているのが本来の仕事だから」
「………本当にそれでいいの………?」
私は細く、かわいた声を出した。
「なに?」
「本当にそれでいいのって言ってるのよ!フェニックス!貴方は涙の国を魔王から守ろうとして私達と……ううん、『時を統べるもの』達と魔王を封印した!その貴方が何故?何故魔王にしたがっているの?答えてよ!フェニックス!!」
「時を統べるもの?」
「魔王を封印した……?」
アメリアさんとゼルガディスさんはかすれた声で言葉を紡ぎ出していた。

〔続く〕

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2157Re:異界黙示録伝《炎の書》その4松原ぼたん E-mail 4/8-22:33
記事番号2155へのコメント
 面白かったです。

>確かにアグニは出かけると入っていたが、魔界にとは言っていない。
 なんかなー。
>「何を言うんですか!このアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが天に代わって貴方を裁きます!」
 どこでもマイペースだね。
>「時を統べるもの?」
>「魔王を封印した……?」
>アメリアさんとゼルガディスさんはかすれた声で言葉を紡ぎ出していた。
 ・・・・一体何が・・・・?

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。