◆−ノクターン story11 〜第十一楽章〜−春祭あられ (2002/4/25 01:55:25) No.20660


トップに戻る
20660ノクターン story11 〜第十一楽章〜春祭あられ E-mail 2002/4/25 01:55:25


「しかし、あんたくらいだよ。自分の影に悪魔を住まわせようなんざ」
ランポーの呟いた。たった今儀式を完了し汗だくになっているカーリーに対して。
だが、相当疲労が溜まっているはずの彼は、微塵も感じさせないような余裕の笑みでもってランポーを見据えた。
「今まで誰も思いつかなかったというわけか?馬鹿な奴らばかりだったんだろうな、悪魔を呼び出してきた者たちは」
「そういうわけではないと思うがのう」
「まあ、いい。とりあえず、あぶりだすか、奴を」
「どうやってだ?」
「お前に教える義理はない」
「冷たいのう。まあよいわ。そのうち分かるかもしれんし」
カーリーはランポーを睨みつけ、麻の着衣をひるがえすようにして部屋から出て行った。
影が、多少ゆらゆらと動いたが、すっかりと馴染んだようだった。
「くっくっく」
誰もいないその部屋で、ランポーは実におかしそうに笑った。
「今までの奴らは馬鹿な奴ら?少なくともおぬしよりは頭が良かった。でなければ自分の影に宿らせようとは考えんものなぁ」
「悪魔は、最初は影だがそのうち実体を伴って強くなる。だがこれでは影のまま。強くなることはないだろうさ」

「本当に馬鹿なのは、お前なのさ。カーリー」



浴室で十分身体を清め、普段から着慣れた服に袖を通す。
彼の腕からは血が滴らない。あれだけ深く切って止まらなかったのに不思議だった。
「おい、ナハルはいるか?!」
「ここに」
部屋の影から出てくる黒スーツの男。
執事のナハル。
「町全体にゼルガディスの生け捕り命令を出せ。報酬は金貨三千枚だ」
「かしこまりました」
それだけ言って、部屋から姿も、気配すら跡形もなくなる。
 悪魔の力の使い方は一通り感覚で分かった。
準備さえ整えておけば、空間転移も何とかできるだろう。
これからの予定―――ステラを確保し、ゼルガディスに精神ダメージを与える。そして街には生け捕り命令が出され、人間から化け物呼ばわれされてさらにダメージを受ける。
なぜなら夜のゼルガディスの姿は魔獣なのだから。
炙り出されてくるがいい。
精神的なダメージは、動きにも現れる。そうなったあいつをさらに壊すのは赤子の手をひねるようだ。
親友?ためらい?そんな言葉はもう自分の辞書には入っていない。
入って、いない。



「ねえゼルちゃん」
「・・・・・・ちゃん付けで呼ぶな。気持ち悪い」
「うん、まあ、どーでもいいんだけどそんな事」
「どーでもよくないだろう」
呆れながらゼルガディスは呟いた。
「いいんだってば。そうじゃなくて、えっとね、ゼル。妙に町全体が殺気立ってる気がするんだけどどうしてなんだろうねえ」
カシスが首をかしげて辺りを見回す。
そんな事誰も知るはずがなかった。
「しるか。そういえば、俺がお前のところに行く最中に幾度か襲われたぞ、街の連中に」
「まじ?なんか今もそこらへんの物陰で人が待ち構えてる気がすんだけど」
「別に気のせいじゃないぞ。網かなんか持って待ち構えてるんだろ?見飽きた」
知るはずがなかった。この二人には。
カーリーが、街全域に生け捕り命令を出していたなど。
これもそれも、この街にとって町長は、資金を繰り出してくれる貧弱な街の唯一の救いの手だからなりうること。さらに言えば、金貨三千枚は人々の目を権力ありなしにかかわらず変えることに大いに役立ったということか。
「眉月ちゃん出すの?やだー」
「だったら出すな。持ってくるな。いらん荷物なだけじゃないか」
ぶー、と膨れカシスはそっぽを向きながら布にくるんである眉月を取り出した。
対人戦には役に立つと言ったのは自分なのだ。
これから起こるのが対人戦と言うのならば仕方あるまい。
走りながらも、いつでも抜刀できるように身構える。
「夜だって言うのにご苦労なこった。この様子だとカーリーの家につくまでに一苦労だ」
「ほんとに。どんな裏道通ってもこう殺気立った人にぶつかるなんてねぇ。俺たちなんかやったっけ?」
「いんや」
首を横に振りながらも、ゼルガディスは懐から折畳式の黒い棒を取り出した。それが彼の唯一人相手に使える武器だった。
「これからやりに行くんだろ?」


              ◇◆◇◆◇◆◇


春祭「えっと、あは、あはは。春祭です。なんか、嫌に遅くなりましたノクターン。なんだかんだで忙しいからとかそういうのが理由にならなそうなくらい。(汗)ごめんなさい」
フレリオ「なんかさ、おいら前回に言ってたじゃん。続きは一ヵ月後になるかもって。当たってたっつーか、もっと?」
春祭「あうっ・・・(滝汗)」
フレリオ「しかも一ヶ月もしないうちに出すとか言っておきながらこのざまは何?かっこわるー」
春祭「う、うるさい!!こっちだって何とか必死に生きてんだ!邪険にするな!」
フレリオ「必死に生きているって・・・・・・普通そこまで大事には言わないぞ?」
春祭「生きてるんだから生きてんの。わかれ。さて、大変お待たせして本当に申し訳ありません。な、第十一楽章です。これだけ待たせたわりに進んでいないと言うのはどういうことか。最悪だな、おい」
フレリオ「知らん。オイラが書いてるわけじゃないし」
春祭「薄情者ぉー。でもま、これからは気分一新、頑張って書きます。マイペースに(ヲイ)何とか遅くはならないようにはしますんで、遅くなったら叱ってやって下さい。よろしく」
フレリオ「ほんと、遠慮なく叱ってやって。じゃないと反省しないしー」
春祭「お前に言われる筋合いはないぞ。まあ今回はこの辺にて。またこれを読んで下さった方々に会えることを祈って」
フレリオ「じゃあまた今度ぉー!バイバーイ!」

 春祭あられ