◆−血の後継者 第15話 〜存在の邂逅〜−羅琴みつき (2002/4/5 00:30:00) No.20539


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20539血の後継者 第15話 〜存在の邂逅〜羅琴みつき E-mail 2002/4/5 00:30:00


こんばんは。みつきです。
今回は血継の投稿です。『それ何?』って方、いるでしょう。当たり前です(きぱ)。何しろ最後に書いたのは2ヶ月以上前のことですから(死)。一応やる気だけはあるんですが……(説得力皆無)。
それでも最近、このままではいかん!!と思い始め、待ってる人もいないのに、再び書こうかなと。どこまで進んだか全然覚えてないので、話が変な所から始まります。でも虚像もちゃんと書きたいので、両立できたら良いな、と思ってます。
このお話は、作者の作品の中でも、随一の暗さを誇っています。今の所。虚像にやられそうですが(爆)。天使とか悪魔とか出てきて作者の趣味丸出しなめちゃくちゃな設定であります。
読もうかな、と思われた奇特な方、おられましたら、著者別ツリーで読んでから来ることをおすすめ致します。

さあ、今回はアメさんと例の彼女の対談だ(懐かしっ)!!アメさん性格違ーう(常)。
ちなみにこのお話にはキャッチフレーズがあったり↓
おどろおどろしい人間模様が炸裂する、不吉ファンタジックストーリー、第15話・れっつだうん(爆)。






『血の後継者』
第15話
〜存在の邂逅〜


塔へ帰ってきたアメリア達は、一度それぞれ自室へ戻ると、てきとうに集まって雑談をしていた。

「アメリア」

そこへ、彼女はやってきた。

「え?………あ、戻ってらしたんですか。ご苦労様です!」
「随分と久しぶりだな」
「任務、お疲れー」
「久しぶりじゃーん」
「てか何でいっつも単独行動?」
彼女は白の塔、上級重要天使。さっきまで地方で仕事をしてきたのだ。あまり騒ぐタイプではなく、アメリアたちと話すことは極端に少ない。
「それで……私に何かご用ですか?」
そのため、アメリアはもともと敬語を使うのだが、彼女は年上ということもあり、かなりかしこまってしまう。
本当は慣れないだけなのだが。そんな所は、人見知りをしないナコト達を羨ましがっているアメリアだった。
「少し、話があるの。後でいいから、私の部屋まできてもらえる?」
そう言うと、彼女は踵を返し、部屋の方へ行ってしまった。よく見るとまだ手に荷物を持っている。戻る前にここへ寄ったのか。
「あ、はいっ!」
緊張して声が裏返った。
「アメリア、お前さんアイツと仲良かったか?」
「え……うーん………」
ゼルガディスに聞かれ、アメリアは答えに迷う。
そして、
「……わからないです。仲良くなりたいなーとは思うんですけど、なんか緊張しちゃって…。失礼ですよね」
苦笑しながら言った。
「なかなかここに居ないもんね」
ミコトが相づちを打つ。
「何の用かなぁ、アメリアちゃんにっ」
「さあ?」
ハコトの問いに、誰もがそう言うしかなかった。
〃彼女〃はそんな人である。



―――コンコン
「アメリアです」
「開いてるわ。どうぞ」
しばらくしてから、アメリアは彼女の部屋へやって来た。
カチャ、とドアを開けて、アメリアは初めて彼女の部屋に足を踏み入れた。
その部屋の第一印象は『ああ、そうか』という、妙な納得みたいなものだった。始めから設置されているベッドや棚などの家具は皆同じ物だ。その家具以外、特に何もなかった。殺風景というわけではないが、物寂しい部屋だと感じた。もとから彼女の部屋が小物で溢れているからずという予想はなかったから、〃納得〃だ。
「えと…話って何でしょうか」
「ちょっと、聞きたいことがあってね。
 座ってどうぞ」
薦められるままに、アメリアは部屋に一脚しかない椅子に腰掛けた。
彼女は棚に背を預ける。
アメリアは初めて間近で彼女を見た。
色白だが血色の良い肌に、端正な顔立ち。素直に綺麗だなと思う。肩で切り揃えた髪は、風の無い部屋で静止している。今は白の塔の制服を着ていて、アメリアと同じ衣服だが、そこにもアメリアは妙な大人っぽさを感じる。〃大人〃といっても、彼女とアメリアは2つほどしか差がないのだが。
視線に気付かれないように見ていると、彼女は口を開いた。
「あなた、リナって子を知ってる?」
「………………!?」
先程スィーフィードに尋ねたことを、そっくりそのまま質問され、アメリアは驚く。彼女は真面目な顔で、その反応を見つめていた。
「黒の塔に居るって本当なの?」
アメリアがもう少し冷静にしていたなら、彼女の声の震えに気付いたことかもしれない。
「え…ええ、本当です。でも、何故?」
「そう…………………ありがとう………。本当なのね。
 逢ったこと、ある?リナに」
アメリアの問いには答えず、続けた。大人しく対応するアメリア。
「ありますよ。逢ったことなら」


彼女は小さく微笑んだ。
嬉しそうに、悲しそうに、微笑んだ。


「どんな子だった?」


―――――ッ!


顔を上げて、そう言った彼女の表情に、アメリアははっとした。
あまりに嬉しそうで、あまりに悲しそうだったから。輝いていたから。
「あ………」
それでも早く答えようとする。
「わ、私も何回か逢っただけなんで、『どんな』かは言えないんですけど、いろんな意味で、たくさんの意味で、とても凄い人だと思いますっ!」
早口で、それだけ言っておいた。
彼女は瞳を伏せて、静かに聞いていた。
「あのっ……、聞いてもいいですか?」
「何?」
アメリアの言葉に、彼女は綺麗な色をした瞳をあける。
「何であなたはリナさんのこと知ってるんですか?」
「あら、私はリナのことなんて何も知らないわ。だからあなたに聞いたの」
「そりゃ……そうですけど」
アメリアは〃リナのこと〃ではなく、〃リナ〃単体の意味で聞いたつもりだったが、全て理解してはぐらかされているのだから、それ以上は追求しないことにした。
不満そうなアメリアの顔を見て、彼女は笑い、言った。
「私にはね、リナに謝ること、訂正すること、伝えることがたくさんあるのよ」
まただ。
また、さっきみたいな顔になっている。
嬉しそうで、悲しそうな顔。
「ありがとう、アメリア。本当に。もういいわよ」
「……え…………あ…………は、はい!!」
ほうけていたアメリアは、慌てて立ち上がり、部屋を出ようとした。
「あ、アメリア」
そこを彼女に呼び止められる。
「え!?な…なんですか!?」
さらに慌てるアメリア。振り向くと―――

彼女はくすくす笑いながら言った。


「私って、そんなに恐そうかしら?」


「え゛……………いや、その…ごめんなさい………」


アメリアは冷や汗を流し、真っ赤になって、謝る場面ではないが、謝った。