◆−【世界滅亡】その傾向と対策−星露丸 (2002/3/24 00:56:52) No.20388
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20388【世界滅亡】その傾向と対策星露丸 2002/3/24 00:56:52


どうも!初めまして!
星露丸と申します!
皆さんの作品を読んでたら自分も書きたくなっちゃいました。
ちゅーわけで暇だったら読んでくださいな。
長編でオリジナルですっ!(かなり無謀)
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刀に月明かりがあたり、とても神秘的な光を放っていた。

だが、この場面には相応しくない。

路地裏はまさに地獄と化していた。



                     【世界滅亡】その傾向と対策
                           序章



男の周りにはさっきまで、人と呼ばれていた物が転がっている。

赤い絵の具を大量にぶちまけたように広がり、血の匂いが狭い空間を覆い尽くす。

「馬鹿ガ・・・タカガ人間ガ、俺ヲ倒セルトデモ思ッタノカ。」


男は人ではない。人のカタチをしているだけだ。

「うぅ・・・ば、化け物め・・・ぐッ・・・」

横たわっている血にまみれた男が、かろうじて声を上げる。

だが、その行為は自らを苦痛に追い込むようなものだ。

「ホウ・・・サスガ、教会ノ兵。生キ残リガイタカ。」

少々、驚いた。というような顔つきで、這いつくばっている男を見下す。

すっ、と刀身を血まみれの男に向ける。

「消エロ。」


トスッ


気味の悪い刃物の音が、狭い路地裏に響く。

その瞬間、魂の炎がふっと掻き消えた。

「フハハハハ!」

今宵は満月。狂気に染まった男の顔がはっきりと照らされる。

男はこの世には在ってはならない存在。

人の恐怖を喰らい、世に邪(よこしま)なる救いを行うもの。

身を翻すと、男は真紅に染まった路地裏を去っていった・・・

それが始まり―――否、終わりへの秒読みだった。





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ということで序章デス。
これから頑張って書くんで暇がおありなら読んでくだされ。
文章、書くの下手でごめんなさいです。
お眼汚しにならないことを祈って・・・


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20406【世界滅亡】その傾向と対策2星露丸 2002/3/26 18:09:02
記事番号20388へのコメント


「今朝のニュースです。昨夜、学校付近の路地裏で男性四人が遺体で発見されました。」

いつもと変わらない日常。今朝も起きて、飯を食って学校へ行く。

「遺体は全員、鋭い刃物で斬られており、通り魔の可能性もあるということで警察も警戒をしています。」

漠然だが永遠続く果てしないメビウスの輪。

日は昇り、落ち。世界は廻る。

変わらない日常。

変われない日常。

「なお、四人は・・・」

ニュースもそこそこに家を出る。これからまた一日がはじまる。

そしてまた終わる・・・






【世界滅亡】その傾向と対策






「はぁはぁ。」

真っ暗に染まった道を必死に走っている。

「やべー遅くなりすぎたぁ。」

遅くまで部活をしてたらこんな時間になっちまった。

「近道しよ。」

俺の家は公園を通り抜ければ近いのだが、その公園は薄気味悪くてあまり近寄りたくなかった。

公園に入るとさっきよりも速く走り速攻でぬけようと思っていた。

「はぁはぁ。」

公園はいつもより温度が下がっている気がする。

背中がぞくぞくするような、気持ち悪い感じ。

嫌な予感がする。背中に冷や汗をかいてきた。

「気のせいだよな・・・」

口に出していってみるが、不快感はおさまらない。むしろ、ひどくなってきている。

「はぁはぁ・・・」

呼吸が走るつらさではなく、違う何かによって乱される。

緑に囲まれた公園が、まるで決して出られない牢獄のようにかんじる。

不意に、視線の端に人影が写った。

正直、心の中でほっとした。

「人がいる。はぁはぁ、俺なにびびってんだろ?」

走るのを止めてゆっくりと呼吸を整えるように歩く。

次第に近づくにつれ人影がしっかりする。

しかし、何か違和感を感じた。

言い知れぬ不安がまた襲って来る。

さっきよりも、深く明確に。

突然ゆっくりと歩いてくる人影が右手を伸ばす。

何事かと思い、目を凝らしてみる。

瞬間、視界が白に染まる。

「!!」

いきなり閃光が発したので、俺の頭はパニックになる。

「なっ!いったいどうなってんだ!!?」

閃光が止み次第に開けてくると目の前には、

「うあっ!」

さっきの人影が純白の大きな刀を振りかざしていた。

「見ツケタゾ、我ガ使命ノ鍵ヨ!」

そう言うと男は、大刀を俺めがけて振り下ろしてきた。

動かない。突然に死に直面したためか、思考回路がショートしちまったらしい。

「コレデ我ガ思ハ成就サレル。」

男の凶器が目の前まで迫ってきたとき、

俺は目を閉じた。

いきなり人生の終焉とはな・・・

なぜか落ち着けた。元々、生に未練が無かったのかもしれない。

もしくは、突然すぎて実感が湧かなかったのかもしれない。

とにかく俺は死を受け入れた。



パァン!!パァン!!


「グァ!?」


チッ


顔に激痛が走る。

目を開けると男の姿はすでになく、公園の薄暗い道が見えるだけであった。

呆然として、何も考えられなかった。

頬に触れるとぬめっとしたものが手につく。

血だ。血だ。血だ!!

チダチダチダチダチダチダチダチダチダチダチダチダ!!

男の大刀がかすったらしい。

理解した瞬間、地面にへたり込み、体が震えだす。

恐怖が、死ぬという恐怖が今ごろになって襲ってきたのだ。

「あぁ・・あぁああ・・・」

情けない声を出して俺は泣いていた。

涙がとめどなく溢れていく。



恐怖ガ



心ヲ



蝕ンデイク



ガサッ


ビクッ!!

草むらから聞こえる物音に俺は敏感に反応した。

モウ恐いのはいやだ。

心の叫びが震えとなって現れる。

しかし

「だいじょ〜ぶぅ〜?」

聞こえてきたのは間の抜けた女性の声。

その方向の草むらから女性が出てきた。

その容姿は見事な金髪、適度に引き締まった体。

それに瞳はブルー。

外国の人らしい。しかし日本語は堪能だ。

だが、

右手には拳銃。

それを見たとたん、涙をぬぐうことすら忘れて俺の体はまた震えだす。

「あ、大丈夫よ。私はどちらかというとあっちの敵だから。」

と彼女の視線の先には起き上がってきているさっきの男がいた。

ここではじめて理解した。

さっき殺されそうになったとき、この人の撃った弾が俺を助けてくれたことを。

「あれはいったいなんだ!?」

あれとは勿論俺を殺そうとした。男である。

銃弾を受けたはずなのに生きている。おかしい、絶対人間じゃない!

さっきより落ち着いた俺はまず状況を理解しようとした。

「話は後。あなたは逃げて。殺されるわよ。」

さっきの間の抜けたときとは別人のような声で言う。

「コノ・・・教会ノ小娘メガ!邪魔ヲスルナァァ!!」

男の咆哮が夜にこだまする。

「消えなさい。お前がこの世界を滅ぼすというのなら、主の御名において・・・」

彼女銃を持った手が、男にねらいを定める。

「無に還します!!」


パァン!!


放たれた銃弾は、まっすぐ飛んでいく。その先には大刀を握り締める男がいる。

「小癪ナ・・・」

弾丸は男の横をすり抜けていった。

男が素早く避けたからだ。

「チッ!!なに突っ立ているの!早く逃げなさい!奴の狙いはあなたなのよ!」

銃を再び構えなおすと、女性はこちらも見ずに叫んだ。

もう頭がぐちゃぐちゃで何がなんだか分からない。

分かることといえば、ありきたりな日常が終わりを告げたことと、

ここにいれば死ぬことだけである。

「くそっ!!」

立ち上がると渾身の力で駆け出す。暗い公園の森を駆け出す。

「教会に逃げ込みなさい。そうすれば何とかなるわ!」


パァンパァン!!


二発続けざまに撃つと女性は叫んだ。

俺は人生でこれほど体が悲鳴をあげるまで、走ったことは無い。

止まれば、死。

立ち止れば確実に死が自分に降りかかると分かっていたから。









「コンナコトヲシテモ、結末ハ変ワランゾ。」

男が女性に話し掛ける。しかし手にもった大刀の切先は常に女性へ向いていた。

「あら、そんなこと分からないわよ。あなたがここで引き下がればね。」

こちらも銃口は男に向けたままだ。

「フン。所詮ハ滅ビル存在ナノダヨ、全テナ。」

二人とも微動だにしない。それはまるで時が止まったかのように。

「あの少年が『創造せし者』なの?」

沈黙を破るように女性は口を開いた。

「・・・・・・・・・」

しかし男は問いには答えない。

「そうなのね・・・でも、お前には渡さない。渡してたまるもんですか!」

キュっと自分の持っている拳銃に力が入る。

「女・・・シナリオハ変ワラナイ。コノ世ハ滅ビ、貴様ハ・・・」

男の紅く、狂気の色に染まった眼に殺気がこもる。

「ココデ死ヌノダァァ!!!」

その言葉の次の瞬間、殺し合いは始まった。





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20486【世界滅亡】その傾向と対策3星露丸 2002/4/1 22:42:36
記事番号20388へのコメント


すでに公園は抜けていた。

夜もふけてきて月は頭の上で輝いている。





【世界滅亡】その傾向と対策





体に感じていた違和感は消え、気分は落ち着いてきた。

「はぁはぁ・・・一体どうなってんだ!?」

漆黒の夜空の下、力いっぱい叫んでみる。

(夢・・・そうだ!夢に違いない!それ以外考えられねぇ!)

だが頬に感じる痛みがそれを否定する。

もう走るのはやめていた。ゆっくり歩道を歩いていく。

(教会・・・そんなこと言ってたな。)

俺は頭の中の地図を引っ張り出すと教会の位置を検索する。

「あっちか・・・」

一人呟き、教会へと向かっていった。





さほど遠くない距離なので教会にすぐたどり着いた。

西洋風の割と大きな教会である。


トントントン


その大きな扉を控えめにノックする。

数秒ほど待っていると、いかつい扉が音も無く開いていった。

「どなたですかな?」

いかにも好々爺のようなヒゲづらの小さな神父さんが顔を出す。

「どうされましたかな?こんな遅くに。」

しわとヒゲがいっぱいの顔を微笑みで歪ませながら聞いてくる。

「いや、そのぉ・・・」

考えてみればあの女性が勝手に教会へ行けと言ったので来てみたが、俺が教会に用があるわけじゃないんだ。

いきなり化け物に襲われまして助けてもらった人に教会へ行けと言われましたって言っても・・・

絶対に頭おかしいと思われるよなぁ・・・

下手すりゃ病院直行だ。

「おや、怪我をなされてますな。まぁ中にお入りなさい」

俺の顔を見て神父さんが頬の傷に気付き、手招きをする。

「はぁ・・・すんません」

そう言って教会へと入ろうとした。


バチィ!!


「うわっ!!」

体が電気でも流れたかのようににしびれた。

いきなり壁みたいなものに阻まれたようだ。

どうなってんだ?と思って触れてみる。


バチィ!!


やっぱりまた・・・

俺が困っていると、神父さんが深刻そうな顔をしてこちらを見ている。

「君は・・・一体・・・」

そう呟き、俺の瞳を見つめる。今にも吸い込まれそうな深い瞳だ。

金縛りにあったかのように一歩も動けない。決してそらすことができない。

「邪悪なるものは感じられない・・・いいでしょう。ちょっと待っていなさい。」

ふっと緊張感がぬけ、また優しい目に戻った。

「アブ・ベン・ルアック・ァカデッシュ・・・」

手を組み、目をつぶり不思議な言葉を唱えだし、フッとさっきまであった見えない壁が無くなった。

「さ、お入りなさい。もう大丈夫です。」

そう言うと教会の中へ入って行った。

その後に続き俺も入っていく。








何度目かに放った弾丸はまたしても、男の横をかすめていった。

「ククククク・・・」

男の口がにんまりと歪む。

彼女の顔は苦虫を潰したように厳しい。

共に公園の林を所狭しと駆けながら、攻防を繰り広げている。

二個目のマガジンを捨てると、再度新しいマガジンを入れる。

その隙をつき、男が雄たけびを上げながら疾風のごとき速さで近づいてくる。

「ゴォォォォォ!!!」

男が女性の脳天へと、常人なら見ることすら叶わないほどの鋭さで斬りつける。

「チィ!消えろ消えろ消えろぉーーー!!!」


パァン!パァン!パァン!


乾いた銃声が、連続して夜空に響く。

「グゥ!?」

男の2メートルくらいの巨体が、後ろへ吹き飛んでいく。

「分が悪いわ・・・『消え去る獣』、ここまでとはね・・・」

空になった薬莢が大地へと落ちる前に、後ろに飛びのき体勢を整える。

男はいつの間にか立ち上がり、こちらをにやけた顔で見ている。

「ツマラン!ツマランゾォォォォ!人間!!」
にやけた顔が狂気の笑い声に変わる。


「モット、俺ヲ楽シマセロ!ソノ脆弱ナ肉体デ、モットアガクノダ!」

男の火照った肉体がさらに熱を帯びていく。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

女性は黙ったまま、ゆっくりとした動作で引き金を引く。


パァン!


男の脳髄へと叩き込まれる。

「虫唾が走るわ、そうゆうの。」

彼女の冷ややかな目線が男に突き刺さる。

男は目線をまったく意に介さず、吹き飛んだ頭の一部をさらしたまま歩み寄ってくる。

「ホザクナ人間。貴様ニハモウ飽キタ。逝ネ。」

男は笑いを止め、目が合うだけで殺されるよな眼で睨んだ。

しかし、彼女はその眼をまっすぐ見据える。

「シャアアアア!!!」

男が飛び込んでくる。先程とはくれべものにならないくらいの速さでだ。

女性はすっと胸元から黒い物体を取り出し男へ投げつけた。

その瞬間、


パァァァァ!!


人工的な光が男の網膜に焼きつき視界を奪われた。

「クッ!貴様ァァ!!必ズ殺シテヤル!!」

視界を塞がれた男は捨て台詞を吐く。

しかし彼女はそれも終わるか否かのところで夜の闇に消えていった。