◆−微笑みの傷跡 22−ブラッド (2002/3/2 01:18:01) No.20242


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20242微笑みの傷跡 22ブラッド 2002/3/2 01:18:01


皆様こんばんわ。ブラッドです。
残るところあと2話。の微笑ですが、またまたブラッド新キャラだしちゃいました(汗)
なんかまたすっごい個性強そうです(汗)
でもまぁ、これ以上出ない予定です(笑)というか、これ以上キャラ増えたらブラッドまとめきれないです(をい)

とゆうわけで、自分でも展開速すぎだろ、をい。な22話。
よろしければ、お読み下さいませv
感想なんかくださったら、ブラッド真剣に喜びますんでv

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                  だから笑っているのかもしれない。







      +++++++微笑みの傷跡 第22話++++++++






 ただの可能性なのだ。
 そう、可能性にすぎないといってしまえば、その通り。
 それでも。
 どうして、その可能性にすぎないモノが、こんなにも真実だと思えるのだろう。
 真実かどうかなんて、確かめすら、確かめの術すら知らないのに。
 わからないけど。
 わからないけど。
 真実だと、思ってしまう。
 これは、直感?

 

 


「くだらないわよね?」
「いや、そんないきなり聞かれても」
 思わぬ、突然すぎるルカの問いにアメリアは戸惑いながら彼女に視線を向けて首を傾げた。
「試されてるか。うん、可能性の一つとしては十分ありえるわね」
 


 予言者は語る。
 




「そうよ。んなことあってたまるもんですか」






 汝、罪深き思いで、第一歩を踏み出すだろう。 








「ルカっち、ちゃんと気付いてくれるかなぁ?」
「……っというか、なんだ。そのルカっちっていうのは」
「べつにー。気分よ、気分。文句ある?」
「文句は無いが、疑問と関心はあるな」
「まぁ、どっちに転んでもロードさんの思い通りだよね」
「今の言葉で、君が俺をどういう目でみてるかなんとなくわかった気がするよ」
「ありがとう。でもまぁ、私はみんなに幸せになってほしいと思うんだけどな」
「ほぅ。君にしては珍しいことを言うじゃないか」
「だって、それがあの子達の望みでしょう? ルカっちにしろ、ジュエルにしろ、ラズにしろ。私達にしろ。ね?」
「まぁな」
「で、長年の捜し物は見つかりそうなのかしら?」
「ふむ、灯台もと暗し、とでもいっておこうか」






 欲しかったモノは、幸せ。
 ただ、求めた。




 
 まるで深海のように孤独感が襲ってくる。そのどこまでも深い闇は自分までも飲み込んで包み、浸食していく。





 何かに今まで囚われてきたんだ。





「それでも、貴方は人を殺したんですよね」
「えぇ。こればかりは、どうしようもできない事実ね」
 声だけで、笑った。
 相変わらず、後ろを振り向くことはできない。
 世界はこんなにも広いというのに、あんなに遠くを見つめられるというのに、何故後ろを振り向くことができないのだろうか。前だけをみてればいいなんて、何処か間違ってる気がする。




 だけど、胸の扉もう開くべきだ。





「さて、そろそろ行くか」
「ねぇ、本当にいいの?」
「なにが?」
「あの子をおいていって」
「それが、俺のやり方だ」
「ま、いーけどさ、あの子悲しむよ」
「…………関係ない。所詮、道具だ」
「どーだか」
「保健はかけておいたさ」




 君は今すぐ翔び立てるのさ。






 信じられない、と言うのが今の気持ちを表すのに一番適切な言葉だろう。次に、わからない。いったい何が信じられなくてわからないのか、と問われれば全部かもしれない。いや、本当に全部なのか。
(今日帰らなくちゃいけないんだ)
 タイムリミットは、淡々と近づく。ぎりぎりの時間は、無情に流れていく。例えどんな状況であろうが、時の流れというものは変わらないモノだ。それが、やけに虚しくも、時間というものは絶対である。
(こんな状況で帰れるわけないですよっ)
 叫んでも、それはもうどうしようもできない。
 こんな事になるだなんて、予想すら考えすら思いすらしていなかった。 
「さっきまで、笑っていたじゃないですか……」 




 過去も未来も関係ないさ。



 
 今自分が被っている帽子をくれて、やっと笑えるようになってくれて、いつものように嫌味でキザで、余り外に出るのが好きじゃないと本人がいっていたように、外にほとんど出ないため異常なほど白い肌は赤く染まっていて、彼にとっては様々な思いに包まれた『スノー・ジュエル』に包まれて、その『スノー・ジュエル』は赤くなっていて―――――――
 あぁ、もう頭の中を整理するだけで精一杯だ。否、その整理すらもできない。今考えた事すら、前と今が混乱している。
「ねぇ―――どうして―――――――」
 そう、つまりはそれだ。
 どうしてなのか。
「ねぇ、どうしてなんですか?」
 思ったことばをそのまま口に出す。それは簡単ともいえ、簡単では無いともいえる。そして、それは時に諸刃の剣となり、相手に突き刺さる。
 別にそのようなことを考えて口に出したわけでもないのだが、その言葉に対してのルカの反応が、この状況すら把握しきっていない自分からみても明らかに戸惑っているのだとわかった。この場合、さっきの軽く口にした言葉は剣となったといっても正解だろう。
 だが、そんなことを考えて、そんなことを狙ってアメリアはその言葉を口にしたわけではない。本当に問いかけたのだ。
 



 其処にいると思ってた。また会えると思ってた。




(ねぇ、どうして?) 
「説明したでしょう?」
 アメリアの呟きに、ルカは小さく答えた。小さく、感情が全く読みとれぬ程一定に。
「あなたは、ジュエルを殺したくないと思いながら殺したんでしょう」
 言葉が、次から次へと溢れ出てくる。だがその言葉は震えていて、それでも少しだけ怒気を帯びているのが自分でもわかった。
「――――否定できないわ」
 その返事はまた小さかったけれども、少しだけれども感情が見えた。それは、答える前の少しの間。




 でも、忘れられない。




「じゃぁ、いったい誰がジュエルをこんな風にするように頼んだんですか」
「言ってもいいけど、多分あなたには理解できないわ。私にも理解できていないもの」
 ルカの表情が、人を小馬鹿にしたように口の端を歪めるのが見えた。
「理解なんてどうでもいいんです。ただ、誰なのか、と聞いてるんですよ」
 そうだ。どうでもいい。理解なんてしなくていいし、できるとは思ってもいない。妙に落ち着いたルカの声は、余計に苛立つ。
「――――言えば、それであなたの気が済むというのなら」
「気が済むってそんなんじゃ無いんですよっ」
 こちらが逆上すればするほど、何故だかルカは落ち着いていってるようにすら聞こえてくる。この人は、いったい何を考えているのだろうか。
「彼の父親よ。ロード=セラング」
「父親!?」
「そうよ。少しは聞いたことあるでしょう?」
「でも死んだはずって」
 問われて、ルカはふっと笑みを漏らした。
「そのへんのややこしい事は私もよく知らないわ。でもね、彼の父は生きていた。勿論、彼の母親っていっても義理だけどね」







「さっきから人が死んだって決めつけないでくれる?」

 会話の相手はルカ。でも、彼女の声とは明らかに違う声が聞こえた。
 血生臭い湿った風と友に聞こえてきた声。懐かしいなんていう程時間もたっていない、つい数時間前に聞いた声。でも、もう聞くことは無いと思っていた声。小さくて、吐き捨てるような言い方だったけれども、それは間違いなく彼の声。途中でかまないのが不思議なくらいのマシンガントークを聞かす声。決して低くもなく、高くもない声。ジュエルという人の声。
「ジュエ――――」
「なんでっっっ!?」
 振り向いて、叫んだ声が見事に遮断されてしまった。その圧倒的な叫び声に、思わずからだがぴくりと一瞬震えてしまった。聞こえた方向は、後ろから。後ろにいるのは誰。
 其処にいるのは、ルカだった。見えるのはもう背中ではない。彼女は、しっかりとこちらを見つめている。その焦茶色の瞳にうつるのは濃い混乱。
「おかしいじゃない。なんで生きてるのよっ!! 死んだはずでしょう?」
「あのねぇ、仮にもこっちは怪我人だよ。もうちょっと静かにしてくれない? そんなに馬鹿でかい声出されなくたってちゃんと聞こえてるよ」










「生きてた――――そうわかったとき、本当に嬉しかったんです」
 さぁ、もうすぐ頂上へとつく。
「その舞台が、今あたし達がいるこの丘ってわけね」
 辺りを見回しながら、リナはゆっくりとアメリアの少しだけ後ろを歩いていた。別にリナがゆっくり歩いているわけではない。アメリアの歩が遅いのだ。案内人のアメリアを抜かしてあるいては、先に進めるわけがない。
 地面にある白い花。一度赤く染まってしまったけれども、もうそれは数年も前のお話。今では元通り真っ白な花。
「でもイマイチわかんないのが、その父親よね、ロードだっけ?」
 リナの問いは、もっともだった。その答えは、未だにアメリアも知らない。
「そのルカという奴も、ようは利用されていたんじゃないか」
「どうなんでしょう、そうかもしれないし、そうでは無いかも知れない」
「どういうことだ?」
「わからないです。でもね、ルカさんは『利用されてる』じゃなくて『試されてる』っていう可能性をあげたんですよ」
 でも、このお話は途中まで。
 全員の結末なんて知らない。
 だって。
「結局、私はこの舞台を途中で降りたんですよね」
 本当の物語のようにうまくはいかない。
 これは、現実だから。
「まだ、ひっかかるな」
「なんですか?」
「アメリアは俺に言ったな。『生きているかわからない』と。いったい、なにがあった」
(でも――――やっぱり私は途中退場には変わりはないんですよ)
 声には出さず、アメリアは独りごちた。
 あの光景が真実だったかどうかさえ、今では曖昧だ。が、記憶とはそんなものなのだ。必ず薄れていく。どんな思い出でも、ずっと完璧に鮮明なんてありえない。必ず、どこか薄れていて、曖昧なのだ。
「もし、私の記憶が確かで、私の当時の想像通りだったとしたら」
 あくまで、それは当時だ。今とは違う。
 それでも想像力なんてモノは制御ができないもので、当時の想像通りのものが見事に胸中で描かれている。ずっとそう思いこんできたのだから当然なのかも知れないが、今のアメリアにとっては何処か皮肉だ。まるで、今の考えは間違っていて、当時の考えた正解なのよ、とでもいわれているような気分になってしまい、信じたくない、信じないとは思っていても、胸をきつく締め付けられるのは否めない。
(信じなさい)
 何度も、自分に命じるかのように言い聞かせる。   
 自然と下に移動した視界には白い花があった。わけも無しに観察してみる。
(なんだろう、この違和感は)
 この丘は、さして昔と変わった様子はない。それなのに、時折感じる違和感。この白い花だって、ちゃんとあるのに。 
 アメリアは、無理矢理その違和感から思考を離脱させて、仕切り直すかのようにゆっくりと視線をあげた。
(そう。あれは、当時の考えならば)
 しっかりとした口調で、アメリアは短く静かに告げた。 
「自殺――――です」
    
 



 









「ジュエル、怪我は大丈夫なんですか?」
「この血だらけの姿をみて、何処をどう大丈夫って言えばいいのさ。それに、そんなこというんだったらさっさと治してよ。この際だから復活(リザレクション)じゃなくて治癒(リカバリィ)でもどっちでもいいからさ」
 どんな時でも口だけは元気という人は、実際世の中に結構いたりする。絶対ジュエルもそのタイプだよな、等と胸中で思いながらアメリアは素早く治療を開始した。
 一瞬、邪魔をされるのではないかという危険性をかんじたのだが、ルカは呆然とその光景を見ているだけだった。
(大丈夫、邪魔されない――――) 
 そう、確信した。
 







「終わりました」
 誰に言うまでもなく呟き、アメリアは視線をゆっくりとルカへ向けた。
 彼女の確信どおり、全く邪魔はされなかった。ルカは、いまだに視線が変わらない。余りにも変わらなさすぎて実は彼女はもう此処にはいなくて、それは巧妙に作られた人形なのではないか、という馬鹿げたことすら思えてくる。
「死ななかったんだ」
 唐突に、彼女は口を開いた。その言葉にはまったく抑揚がない。だが、無表情というわけでもない。わずかだが、うっすらと感情が見受けられる。彼女自身、混乱しているのだろうか。
「あいにく、僕は君ごときにそう簡単にやられるような間抜けでは無いんでね。ちゃんとそう言ったと思うけれども君には聞こえていなかったのかい?」 
 言いながら、ジュエルは自身の手に拳銃を握らせルカに近づいた。ルカは其処から一歩も動こうとすらしない。
「もし君がまだ僕を殺そうというのであれば、僕は躊躇いなくこの引き金をひくよ」
「ジュエルっ!!」
「わかってるわ。多分、貴方は本当にそうするでしょうね」
 そこで、やっとルカは動いた。
「私の負けよ。私は貴方を殺せない」
 ルカの瞳と声は、もう随分と落ち着いていた。

 







「じゃーもうサヨナラってわけダネ」
 背後から急に声が聞こえた。其処にいたのは白髪の青年だった。小さな丸眼鏡を飾りのようにかけ、にたりと笑う。
「ルカチャン。もう一回試してみたら? 案外簡単に殺せるかもよ」
 キャラキャラと笑いながら、その青年はルカに近づくが―――――――――止まる。
「そんな挑戦的な目したって、キミがオレに勝てないことくらいわかってるデショ? だってオレはキミのセンセーだもんねー?」
「悪いけど、私変態の教師をもった覚えはないから」
「んん〜。その口の聞き方、全くかわってないネェ。その強気な態度とか。でもね、残念ながら不合格v」
 ゆっくりと、足音すらたてずに近づく青年に、ルカはじりっと後ろへ下がった。
「キレーなお顔が真っ青ダネ?」
 見ているだけで、正直背筋が凍り付いているのがわかる。相手の狙いは今はルカ独りに絞られている。
(今なら逃げれる――――?)
 アメリアは、軽く唇を咬みながらかぶりをふった。逃げるわけにはいかないのだ。
 青年がルカに一歩近づけば、またルカは一歩後ずさる。彼女の表情は、青年が指摘したように確かに真っ青だった。右手に堅く拳を握って精一杯の自制をしているのだろう。顔色こそは真っ青だが、ルカの表情は全く変わりが無かった。それは、正直凄いと思うが、結局のところ形勢不利なのは変わらない。
「ルカさん」
 ぽんっと肩を叩かれ、アメリアは思わず振り向いた。
「アメリア。馬鹿なコト考えない方がいいよ。差くらい、君だって理解できるだろう?」
 そのジュエルの言葉は、痛いくらい実感していた。納得せざるえないのだ。
「ヘェ。キミって自分の実力ってものをわかってるんだ。以外」
 青年の関心は、ジュエルへとうつった。
「弱いとこと認めないで足掻くっていうのは、見苦しいからね。なにより美しくないよ」
「同感ダネ」
「ねぇ、なんとなく目的はわかってるのよ」
「ほぅ」
 ルカの言葉に、青年は少なからず声色をかえた。
「でさ、彼女は関係ないでしょう。確か今日戻る予定だったんだと思うんだけど」
 いきなり自分が話題にあがったことに、アメリアは正直驚いた。緊迫した空気の中なのに、その瞬間は随分と間抜けな顔をしただろうな、と我ながら思う。虚を突かれて思わず視線を彷徨わせると、パチリと青年と目があった。何もうつしていないような瞳。その瞳に射竦められたかのように全身を強張らせると、青年はにっこりと笑った。
「雨が降るネ」
 唐突に思いついたような、そうでもないような言葉はもっともだった。確かに雲行きはあやしく、いつ雨がふりだしてもおかしくない。だが、そんな言葉にいったいなんの意味があるというのだろうか。それとも、単に思いついた言葉をそのまま口にしただけなのか。つまり、たがの考え過ぎなのか。
「確かにね。アメリア、そろそろ時間だよ」
「つまり、全員意見は一致したってワケダ」
「どういうことです?」
 答えを一応求めるものの、なんとなく予想できる。
「ごめんね。これ以上巻き込むわけには行かないのよ」
「ここまで巻き込んでおいて、今更なんなんですか」
 声を荒らげても、それは誰の耳にもとおっていないような気がする。それこそ、気のせいだろうか? それこそ考えすぎだろうか?
 目の前では、自分抜きで話が進められている。
 ルカが何かの呪文を唱えている。
 いったい、何に注目をすればいいのか。
(展開はやすぎっ!!)
 正直な思いを胸中で愚痴りながら、アメリアはとりあえず会話の方に耳を傾けた。まるで、芝居をみるかのように。そう、それほどまでに距離は離れてしまっているのだ。一度瞬きをしてみたら、じわりと睫毛が湿っていった。
「ルカは、キミを殺すことができなかった」
「それで?」
 青年の言葉に、ジュエルはさらりと返す。
「やっぱり失敗したら誰かがそれの尻拭いをしなきゃいけないよネ」
「僕からみれば、僕を殺すことが失敗だと思うけど」
 嘆息混じりにいうジュエルに、気の抜けた声で話す少しおかしな口調の青年。
「つまりさ、僕が死ねばいいってことでしょう」
「ものわかりがいい人って結構嫌いじゃないよ」
 手には拳銃を握るジュエル。多分ジュエルが発砲したって何らかの方法で必ず避けてしまうだろうという隙のない青年。呪文の詠唱をし終え書けているルカ。
「あ、ホントに雨降って来ちゃったネ」
「濡れるの嫌なんだけどね」
 ゆっくりと拳銃を動かすジュエル。まったく動じない青年。呪文の詠唱をし終えたルカ。降り出した雨。

 
 


 同じ空の下雨は止まないけど 本当に君と出逢えてよかった




「ごめんね」
 いったいルカは何をいっているのだろうか。そう思った瞬間に、自分の身体が浮いているのだと気付いた。
「ルカさんっっ!!」



 毎日は いつも向かい風



 勝手に飛ばされているというのは、実に奇妙で気落ちが悪い感覚だ。戻ろうと思ってなんど足掻いても決して戻ってはくれない。だんだんと高度は高くなり、ジュエル達を見下ろす形になる。




 なぜ微笑み捜して
 



「アメリア。また会えるんだろう?」
 いつもの調子でジュエルは言う。
 彼の拳銃は、彼自身へと向けられていた。否、向けるというよりも銃口を彼自身の身体に当てているように見える。
 こんな時に、彼は笑顔だった。




 また誰も傷つくの  




「ジュエルっ! ちょっと、何する気なんですかっっ!!」




“ここにいる”と大声で叫ぶけど




 声を張り上げても、もうそれは遠く。
 彼らの姿はとてもとても小さくて。




 見えないものに向かう時



 もう、確認をすることさえも困難。
 雨がよけい視界を邪魔する。




 人は誰も孤独




 バンッッッッ!!!





 この雨は止みそうにもないね





「ジュエルーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」













「アメリア? どうしたんじゃ」
「とーさん……」

 ずぶ濡れだった。
 あのまま無理矢理運ばれて、丁寧に人気が少ないとこでおろされて、そこは何処でどう調べたのか、父と待ち合わせをしている場所のすぐ近くだった。

「わたし……わかんないですっっ」

 ただ泣きじゃくった。
 しがみついて、彼らにもらった帽子をくしゃくしゃに握りしめて、泣きじゃくった。