-魔竜王外伝・4-弱小覇王(3/13-15:01)No.1721
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1721魔竜王外伝・4弱小覇王 3/13-15:01

何時の間にか・・・。ツリーが落ちてるーー!!?(がびーん!!)
てなわけで、外伝シリーズ、魔竜王篇、完結篇です。


魔竜王外伝・4(降魔戦争前伝篇)

のどかな山岳地帯の昼下がり、あちらこちらの牧場で、牛や羊ののんきな泣き声が
響いて来る。
・・・気に入らねえ。と、俺、魔竜王ガーヴはため息をついた。
全く、いくら冥王の頼み(つーかありゃあ完全に脅しだな)とはいえ、何が悲しく
てこんな虫酸の走るようなのほほんとした村に出向かなきゃならんのか。
それもこれも、あの変人が好きでこんな所に住んでるからだ!!

そこは、村一番の大きな館だった。大きな、黒い石造りの館。広い庭や、門からの
ぞけるテラスは荒れ果てていて、そこに、住人の存在を知らせない。蔓や蔦で覆わ
れた塀は、館と同じ黒い石で、門に使われている鉄格子は、錆びて斜めに傾いてい
た。
古く大きな、荒廃した館。村人からは「幽霊屋敷」と呼ばれているそこが、俺と同
じ、ルビーアイ様の五腹心のひとり、「覇王グラウシェラー」の居城である。
まあ、周りの村はともかく、中々いい趣味の家なんじゃねーか?と思いつつ、俺が
格子を押し開けて中に足を踏み入れたとたん・・・。
(カチッ)
「あ?」
俺の足下で、聞き覚えの無い妙な音がした。
ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん
ちゅっどおおおおおおおん!!!!!
「な、何いいいいいいい!!!??」
何と、足下の地面から、烈火球らしき火の玉が何個も飛び出して俺に襲い掛かっ
た!?
咄嗟に全部防いだ俺は、足下をよーーっく見てみる・・・特に変わった部分は無い。
「あの野郎・・・」
こういう事が大っ好きなこの家の主の顔を思い浮かべ、俺は次の一歩を踏み出し
た。
バチン!!!
「・・・ん?」
見ると、片足が鉄の歯に挟まれている。・・・今度は虎鋏かよ?と思いつつ足を引き
抜いて、三歩目を踏み込んだとたん・・・。
べしゃ。
何かに足を取られ、俺は豪快に地面に顔を打ち付けた。今度のは痛い!!
「ーーーー!!!」
今にもブチ切れそうなのを必死で押さえ、俺は足下を見た。・・・そいつは、脛の高
さに合わせて作った、小型結界だった。
「あんの野郎ーーー!!!もう我慢ならねえ!」
がばっと立ち上がり、俺は玄関へダッシュした。扉を思い切り蹴り開けた瞬間、俺
の足下には・・・何も無かった。
あやうく落ちかけたのを既の所で空中静止した俺は、大声で怒鳴っていた。
「くおらグラウううううう!!!とっとと出て来ねえとぶっ殺すぞてめええっ!」

「はっはっはっはっは、まさかあれほど見事に引っ掛かってくれるとは思いもしま
せんでしたよ。」
俺の向かい側に座っている黒髪の青年は、楽しそうに笑った。
年はだいたい二十歳前後、襟に付くほどの長さの黒髪を時々掻き上げる癖がある。
どっかのスットコ神官程じゃねえが、妙にニコニコと楽しそうな表情と、その割に
はどこかどんよりとした灰緑色の瞳と、意味深なアルカイック・スマイルを常に浮か
べた口元。
虚無と楽天を兼ね備えた年若い男、それが、覇王グラウシェラーだった。
「ったく、ありゃあ一体何の真似だ?」
不機嫌丸出しの俺に、グラウシェラーは、さも楽しそうにのたまった。
「いやあ、ここら辺の村人はどうも好奇心が強くて、ここに入って来ようとするん
ですよ。」
「庭の骨は何だ?」
「あ、それなら一ヶ月ほど前に肝試しに来た村の子供達でしょう。一番乗りの三人
組のうち二人を、放し飼いにしてたケルベロスが食べちゃいまして。」
「?後の一人はどうした?」
「その子なら、逃げ足だけは速かったので今は家で使ってますよ、ホラ。」
見ると、左腕が機械仕掛けの半魔族が、お盆に乗せた紅茶を運んできた所だった。
「覇王様、魔竜王様、どうぞ。」
生気の無い目で会釈すると、そいつは部屋を出ていった。ゼンマイの軋む音が遠ざ
かっていく。
「しかし、てめえの城にしちゃ、部下が見当たらねえなあ。」
運ばれてきた紅茶をすすりながら、キョロキョロと辺りを見回す俺に、グラウシェ
ラーはクスリと笑う。
「ちょっと使いに出していましてね、さっきの子以外は、シェーラとガイアだけで
すよ。・・・それより、ガーヴ。」
「あ?」
「一体、何の用ですか?まさか、貴方が独断でここに来るとは思えない。」
不意に、グラウシェラーの顔から笑みが消える。
「冥王殿が何か言いに来させたんでしょう?貴方に。」
「まあな。」
「ひょっとして、今、私と冥王殿の部下とで調べている、レイ=マグナスの事です
か?」
その言葉で、俺は、先程からそらしていた視線をグラウシェラーに向ける。
「中々察しが良いな。確かにその通りだ。」
「彼がルビーアイ様だという事はほぼ確定しましたが、それは二月前にダルフィン
に言いました。仕掛け役は、冥王殿の部下が一月前に申し出てきました。さて、今
度は何です?」
笑みの消えた能面のような顔で、グラウシェラーは俺に問い掛ける。・・・俺はこの
顔が嫌いなんだが、どうやら奴はそれを知っててやってるらしい。
「ガーヴ。」
「だあーもうわかったよ。言うから、その君の悪い面すんなって。」
俺が両手を挙げると、グラウシェラーは、またいつものアルカイック・スマイルを
口元に浮かべた。
「で、冥王殿は何と?」
その言葉に、俺は一呼吸おいてから答えた。
「結界を作る。」
「・・・・え?」
「だから、お前とゼラス、ダルフィン、それと冥王とで大陸を包み込む結界を作る
んだとよ。そうやって、ここらへんの瘴気を強めて、ルビーアイ様の復活を促し、
水竜王を他の神族から引き離す・・・らしい。」
俺の言葉に、何故かグラウシェラーの顔から、再び笑みが消える。
「ガーヴ。」
「何だ?」
思わず、見たくもねえ能面を見た、と思った俺が見たのは、困惑の表情だった。
「何故、貴方の名前が無いのですか?」
俺は返答に詰まる。そういえば、自分がはじきであることに、何の疑問も持ってい
なかった。
「さあな。俺に持ち掛けられた時にゃ、もうそうなってたんでな。」
そうだ、そして、冥王の野郎は俺に、「自分の務めを果たせ」とぬかしやがった。
「ま、そういうこった。」
そう言って俺は、何やら考え込んでいるグラウシェラーを尻目に席を立った。ドア
に手を掛けようとした時、ふと、グラウシェラーに呼び止められた。
「ガーヴ、私は・・・」
「?」
「私は五腹心の中で、貴方が一番好きですよ?」
「よせよ気色悪い。ま、俺もお前が一番話の解る奴だと思ってるがな。」

それっきり、俺はグラウシェラーと会う事は無かった。
降魔戦争で人間の体に封印され、その結果、ルビーアイに反旗を翻し、冥王の野郎
に滅ぼされて・・・・。
で、俺が今どうしてるかって?それはな・・・・・。
「どうなさったんでさう?ボーっとして。」
俺が振り向くと、目の前に、ニコ目のすっとこ神官(今はプー太郎)ゼロスが立っ
ている。
「あ?いや、ここらに来るのも久しぶりだなあ、と。」
俺とゼロスの目の前には、黒い石造りの館が、グラウシェラーの館が建っている。
あのゼンマイ仕掛けの半魔族や、俺と同じ顔の合成獣は健在だろうか?
「さて、行きましょうか?魔竜王様。」
「おう、行くか。」
一言ずつ言葉を交わして、俺達は、荒れ果てた庭へ足を踏み入れた。




お・・終わりました。これで、魔竜王外伝は終了です。
ラストで魔竜王復活してたり、覇王の外見勝手に決めてすいません(汗)
ちなみに、覇王のモデルは、某RPGの主人公です(アのつく16歳の)。
さて誰でしょう(笑)
最後に、このシリーズはこれで終わりですが、また何か思い付いたら書きますので
見つけたら読んでやってください。

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1727Re:魔竜王外伝・4松原ぼたん E-mail 3/13-20:00
記事番号1721へのコメント
 面白かったです。

>何時の間にか・・・。ツリーが落ちてるーー!!?(がびーん!!)
 よくあることです。あきらめましょう(笑)。
> 古く大きな、荒廃した館。村人からは「幽霊屋敷」と呼ばれているそこが、俺と同
>じ、ルビーアイ様の五腹心のひとり、「覇王グラウシェラー」の居城である。
 グラウシェラーって・・・・もしかして変わり者?
> 俺が振り向くと、目の前に、ニコ目のすっとこ神官(今はプー太郎)ゼロスが立っ
>ている。
 プーって・・・・獣王さまはぁぁぁっっっ!?
>ラストで魔竜王復活してたり、覇王の外見勝手に決めてすいません(汗)
 それは一向にかまいませんが・・・・(笑)。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1774完結記念キャンペーン弱小覇王 3/17-11:23
記事番号1721へのコメント
はっはっは。というわけで、
『モデルを探せ!』キャンペーンです。
対照キャラは、
@・魔竜王外伝2より、魔竜王(女性バージョン)&ガルシア=ガブリエフ
A・魔竜王外伝3より、ガゼル(悪ガーヴ)&ヴァーミリオン(善ガーヴ)
B・魔竜王外伝4より、覇王グラウシェラー
です。ヒントは、@・・・某テイルズ(魔竜王)、三国物語(ガル)
A・・・とあるホラーマンガと、某格闘ゲーム。
B・・・某RPGの主人公
いじょうを手掛かりとして、五人のモデルを探して下さい。
見事全員ばれたあかつきには、3ラストから4ラストまでの、ゼロスが過ごした空白の日々
(てゆーか、魔竜王復活?)を書きます。
それでは、暇だったら、やってみてください(はあと)