◆−穏やかな眠り−白河綜(8/30-17:48)No.16860
 ┗Re:穏やかな眠り−むくぅ(8/30-20:19)No.16868
  ┗実は裏主人公はL様(爆)−白河綜(8/31-15:59)No.16876


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16860穏やかな眠り白河綜 E-mail 8/30-17:48




「……二人に……してもらえますか……」



   【穏やかな眠り】



 風が吹いていた。
 セレンティア・シティ、北の神殿の一室。
 泣きたくなるくらい、穏やかな昼下がり――……
 ミリーナがベットに身を横たえたまま、その手をルークの頬に伸ばした。

  カタンッ……

 部屋の戸が閉まり、それと同時にミリーナの手がルークの頬に触れた。優しく、彼の頬を撫でる。泣きそうな顔で見つめてくる、彼を。
「……ミリーナ……」
「なんて顔、してるんですか。あなたらしくない」
 今にも消えてしまいそうな、儚く優しい笑み。
 つられるように、ルークも微笑んだ。頬に触れる彼女の手に、自らのそれを重ねる。
「そうだよな……、俺らしく……ないよな……」
 今自分は脆弱な笑みを浮かべているのだろう。自分でも可笑しいくらい、表情が作れない。
 ミリーナが、ルークの頬にそえた手はそのままに、ゆっくりと眼を閉じる。
 ――――手が、冷たい。
 ルークは自分の温もりが少しでもミリーナに伝わるようにと、重ねた手に力を込めた。
 ミリーナが眼を閉じたまま、ゆっくりと口を開く。
「……私は……」
「ん?」
「……私は不器用だから……」
「…………うん」
「……あなたが今まで私にくれたモノの半分も……返せてはいないから……」
 言葉を切って、小さく息をつく。
 ――もう、息をするのも辛いのだろう。額に浮かんだ玉のような汗と、苦しげな吐息、重そうに上下する、胸――
「ミリーナ、もう……」
「最後まで言わせて下さい。
 もう……本当に最期だから……」
 ルークがその眼を見開く。たまらなくなって、重ねたミリーナの小さな手を強く握った。その手が震えていることに、ルークは果たして気付いているのだろうか?
 ミリーナが、ゆっくりと眼を開ける。
 そのまま、視線を窓の外へ。
 青々と茂る、緑へ。
「だから……今のうちに全部伝えておきたいの……
 ……ルーク」
「…………ん?」
「人間を嫌いにならないで」
「……………………」
 ミリーナは視線をルークに戻した。
「……二人で……色々な土地を旅しましたよね。本当に……色々な人がいました…… その誰もがみんないい人だったとは言えないけど…… 例えば、リナさんやガウリイさん……竜族のミルガズィアさんに、エルフのメンフィスさん…… 出会えて良かったと思える人達も、確かにいるから……」
「ミリーナっ」
 苦しげに息をするミリーナの頬に、ルークは空いているほうの手を寄せた。力の入らない手で、ミリーナはその手に自分の手を重ねる。
 ――――彼と同じように。
 虚ろな瞳――もう見えていないのかもしれない――で、必至にルークを見上げる。
 その表情は、優しい笑顔。
「……もしも……輪廻が巡って、もう一度あなたに出会えるなら、……今度はもっと早くに言うから…………」
「もういいっ!
 しゃべるな、ミリーナっ!!」
「ルーク……
 …………私は、あなたが…………」









    『すき』







  とさっ……

 軽い音をたてて、ミリーナの手は掛け布の上に落ちた。
 閉じた瞳。
 徐々に消えゆく温もり。
 上下しない胸。


「…………ミリーナ…………」





 ――――次にリナ達が扉を開けたとき――――
 部屋にルークの姿は無かった。
 ベットの上のミリーナは――――ただ穏やかな眠りのうちにあるようにも見えた。









『彷徨える幼子よ――』
『傷ついた魂よ――』


『貴女の願いを叶えましょう』
『貴方の願いを叶えましょう』


『――――いつかその傷が癒えたときに――――』
『――――穏やかな眠りから覚めるときに――――』


『私は金色を纏う者』
『私は全ての物事を司る者』

『混じる事なき純粋な力』


『だからそれまでは』
『傷が癒えるまでは』



『――――ゆっくりと休みなさい――――』

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16868Re:穏やかな眠りむくぅ 8/30-20:19
記事番号16860へのコメント

 あああっ! すいません。レス返ししようとしてぽちゃんっと落ちてしまったむくぅなのです(汗)
 こんばんわ。

 うぉぉぉおおっ! かっこいいのですミリーナさんッ! ルークとミリーナのカップリングはあまり見てないのですが、すごいのですV
 えーと、尋常じゃないぐらい短いですが、これで感想を終わらせていただきますのです。
 それではむくぅなのでしたッッ!

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16876実は裏主人公はL様(爆)白河綜 E-mail 8/31-15:59
記事番号16868へのコメント

むくぅさんは No.16868「Re:穏やかな眠り」で書きました。

> あああっ! すいません。レス返ししようとしてぽちゃんっと落ちてしまったむくぅなのです(汗)

 だいじょーぶです!! レス有り難うございましたv うれしいっす! そして申し訳有りません!!! 何にしても、ハーリアさんは無事だったのですね…… よかった、ホッ。

> こんばんわ。

 こんばんはです。

> うぉぉぉおおっ! かっこいいのですミリーナさんッ! ルークとミリーナのカップリングはあまり見てないのですが、すごいのですV

 ありがとうございます。そう、ルークとミリーナって少ないですよね。好きなんだけど、何ででしょう?

> えーと、尋常じゃないぐらい短いですが、これで感想を終わらせていただきますのです。

 ほんっとうに有り難うございましたvvv むくぅさんも、次回作頑張ってください!! 楽しみにしてます!

> それではむくぅなのでしたッッ!

 白河綜でした!