◆−彼の望み [前編]−紫希(3/30-23:04)No.14751
 ┣はじめまして−市村雪(3/31-00:50)No.14759
 ┃┗Re:はじめまして−紫希(4/1-00:30)No.14785
 ┣はじめまして−一坪(3/31-08:53)No.14764
 ┃┗Re:はじめまして−紫希(4/1-00:30)No.14784
 ┣はじめまして!!−あごん(4/2-04:03)No.14809
 ┃┗Re:はじめまして!!−紫希(4/2-18:53)No.14832
 ┗はじめまして。−みてい(4/2-18:05)No.14831
  ┗Re:はじめまして。−紫希(4/2-19:43)No.14834


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14751彼の望み [前編]紫希 E-mail URL3/30-23:04

小高い丘の、大木の下。
無遠慮に瞳を刺す光を払いのけるように数度手を動かし、ルークは静かに目を開いた。
生ある者に等しく訪れる、新しい朝。しかし彼はもう、そこに意味を見出すことが出来ない。
気だるさに抗う気力も起きず、暫し虚ろな目で遠い町並みを眺める。
犇めく建物を縫うように疎らに動く人影。鳥の囀りに混じって響く低い鐘の音。
その余りにも平常な光景に触発され、あの日から幾度となく感じた問いが、再び泡の
ように心に沸き起こる。
何故、世界は変わらず存在しているのか――彼女はもう、いないのに。
彼はそこで、思考を取り払うように頭を振る。仕方ないのだ、そういう風に出来ているの
だから、と自分に言い聞かせ。

悪夢のような一日が、また、始まる。


ぼんやりとした時に身を委ねて、どれ位経っただろうか。彼は唐突にゆらりと立ち上がり、
何処か惚けた表情のまま歩き出した。
通い慣れた道を辿り、柔らかな光の降り注ぐ野原に着くと、徐に周囲の花を摘み始める。
黄・紫・橙・・・様々な花は、皮が剥がれ真っ赤に染まった左手に抱かれ揺れる。
黙々と作業に没頭していた右手が、ふと、淡い芳香を放つ白く小さな花を前にして
止まった。浮かんだ表情は、優しい、心からの極上の微笑み。先程の虚無感など微塵も
感じさせない程の。
「この花・・・初めて送ったプレゼントだったな。ミリーナの奴、いきなり花束渡されて、
流石に驚いた顔したっけな・・・・。」
呟き、そっと愛しむように花弁に触れ――そこで瞬時に顔が強張る。行き場の無い
思いに気付き、愕然として。
あの、無表情を装いながら微かに微笑む彼女は、過去の人。
既に幾度目とも知れぬ絶望に捕らわれそうになった自分を叱咤し、彼はまた、激しく
頭を振る。
白い花を、やや躊躇いがちに摘むと、逃げるようにその場を後にした。


そして彼は丘に戻って来た。抱えきれぬ程の花と共に。そこからは、白い墓標の並ぶ
広い芝地が見下ろせた。
その地に降りようとして、彼は先客の存在に気付き、咄嗟に足を止めた。
視線の先には、栗色の髪の少女と、金色の髪の青年。
「あいつらか・・・・。」
嘗ての戦友であり、彼女の死に立会い、埋葬した者。数日前には刃を交えた者。
遠い――あまりにも遠かった。
ついこの間まではお互いにからかい、笑い合った存在が、今はこんなにも希薄で、遠い。
二人はそれぞれ手にしていた花を捧げると、暫し無言で墓標を見つめ、ポツリポツリと
何か言葉を交わす。ルークは泣き笑いのような、奇妙な形に顔を歪ませた。
ああ、お前らは共に在るんだな、ずっとこれからも――郷愁にも似た思いが過ぎる。

一陣の風が吹いた。ざあっと木々が揺れ、舞う木の葉がリナの、ガウリイの、ルークの
頬を撫でる。
やがて立ち上がった二人は背を向け、歩き出し――そこでルークは凍りついた。
リナより少し遅れて歩くガウリイが、ゆっくりと振り向き顔を上げ――ルークを、見た。
この距離で自分の存在に気付く筈無い、などという懸念は直ぐに否定された。そこに
込められた真っ直ぐな意思によって。
そのターコイズブルーの瞳は、射抜くような――いや、穏やかな、波紋すら無い湖の
ような透明な眼差しだった。
一瞬とも永劫ともつかぬ邂逅の果て――ルークはたまらず目を背けた。
再び視線を戻すと、ガウリイはすでに背を向けていて、何事も無かったように歩みを
進めていた。
やがて二人の姿が見えなくなると、ルークは墓標に降り立ち、抱えていた花をそっと
添えた。墓石に両手を置くと、体を倒し抱擁を求めるように寄りかかる。
石の冷たく硬い感触を胸に抱きながら漏れた囁きは、誓いだったのか。
「やってみるよ・・・行ける所まで。だから、見守っていてくれ。ミリーナ・・・・・。」
か細い思いは、音となることも叶わず風に溶けて消えていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
初めての投稿をさせて頂きます、紫希といいます。かなり緊張してます。
14巻ラストから15巻前の間のルークの話です。まだあの事件については、完全には
答えを出せないでいるのですが・・私なりに考えてみました。
前編は、彼なりの努力を書きたかったのですが、見事に玉砕。
文章で表現するのって難しいよぉお(汗)
続きは雰囲気がガラっと変わりそうですが、読んで下さると嬉しいです。
・・・ツリーってどれくらいで落ちるんだろう、間に合うかな・・・(かなり不安)

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14759はじめまして市村雪 3/31-00:50
記事番号14751へのコメント

はじめましてこんにちは。市村雪と申します。
本当に久しぶりのルクミリで
嬉しさのあまり、ふらふらっと感想を描かせて頂いてます。
誤解のないように描いておきますけど
ルクミリ云々より何より私好みの文で、嘗め回す様に読ませて頂きました。
綺麗な言葉遣いが描く絶望――個人的には、そんなイメージでした。

>悪夢のような一日が、また、始まる。
この一文が一番どきっときました。
そうですね・・・彼にとっちゃあ悪夢なんでしょうけど・・・
「また」か・・・(泣)

>続きは雰囲気がガラっと変わりそうですが、読んで下さると嬉しいです。
続きがあるんですか?コレ1本だけでも十分に完成してるのに!
文章力がある方のルクミリがまだ見れるなんて・・(泣)嬉しいです。
あせらずに、じっくりかいて下さい。楽しみにしてますv

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14785Re:はじめまして紫希 E-mail URL4/1-00:30
記事番号14759へのコメント

>はじめましてこんにちは。市村雪と申します。
こんにちは。コメントありがとうございます!!!
嬉しくて思わず涙が出そうでしたっ(マジ)

>本当に久しぶりのルクミリで
>嬉しさのあまり、ふらふらっと感想を描かせて頂いてます。
確かにルクミリって少なめですよね。私はよくルクミリ求めて
ネット散策に没頭したりします。

>ルクミリ云々より何より私好みの文で、嘗め回す様に読ませて頂きました。
>綺麗な言葉遣いが描く絶望――個人的には、そんなイメージでした。
あんな拙い文章には勿体無いようなお言葉を頂き、恐縮ですー。
勇気出して投稿してよかったよぉ〜〜よぉ〜〜〜(エコー)

>>悪夢のような一日が、また、始まる。
>この一文が一番どきっときました。
>そうですね・・・彼にとっちゃあ悪夢なんでしょうけど・・・
>「また」か・・・(泣)
そこは、ミリーナを失ってからの生き続けるだけで苦しい一日の
繰り返し、という意味が主ですが、ミリーナに出会う前の光の無い
日々が再び・・という意味もちらっと含めたもので、思い入れの
ある一文なので、注目して下さって嬉しいです。
ルークはたぶんミリーナに会うまでは救いようのない程荒んだ
日々を送っていたんじゃないかなぁ、と思って。

>続きがあるんですか?コレ1本だけでも十分に完成してるのに!
>文章力がある方のルクミリがまだ見れるなんて・・(泣)嬉しいです。
文章力・・無いです・・無さすぎです・・・。
この話も読み返す度に「ここはやっぱり、こうしとけばよかったー」とか
「ここ、文法的にちょっと不自然だぞっ」とか叫んでるくらいです(汗)
次は、ルークが魔王に変化していく様を書きます。辛い・・。

>あせらずに、じっくりかいて下さい。楽しみにしてますv
あせってクオリティこれ以上下げるのはヤバい!と、遅いと見捨てられるぞ!
の間で格闘してます(超遅筆)頑張ります!!!

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14764はじめまして一坪 E-mail 3/31-08:53
記事番号14751へのコメント

投稿ありがとうございました!

うーーーーー胸にズキっと来ました。
やっぱルークさんの話は切ないですねー。
綺麗な文章で切なさ倍増(?)です。


ツリーに関しては気にしないでください。
もし落ちてたら(すぐ落ちそうだったら)新規投稿してくださればいいので。
だから、じっくり書き上げてくださいね。
楽しみにしています。

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14784Re:はじめまして紫希 E-mail URL4/1-00:30
記事番号14764へのコメント

>投稿ありがとうございました!
こちらこそ、投稿の場をくださりありがとうございました!(大感謝)

>うーーーーー胸にズキっと来ました。
>やっぱルークさんの話は切ないですねー。
>綺麗な文章で切なさ倍増(?)です。
14・15巻は、読む度に切なさがこみ上げて来ます。
それが少しでも伝わる文章を目指して修行中っ。

>ツリーに関しては気にしないでください。
>もし落ちてたら(すぐ落ちそうだったら)新規投稿してくださればいいので。
>だから、じっくり書き上げてくださいね。
あぁ、なんて心の広い方・・って、それに甘えちゃいかんぞ私。

>楽しみにしています。
ありがとうございます。頑張ります!!


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14809はじめまして!!あごん E-mail 4/2-04:03
記事番号14751へのコメント

はじめまして、あごんと云う者です。
関西ルクミリ派代表として(笑)、もー凄まじく嬉しいですっ!

私も、ルークとガウリイって小さな、でも確かな友情を育んでいた、という思想の持ち主なんですよ。
あああ、深く澄んだ湖のようなガウリイの瞳。
そこにあるメッセージをルークは・・・。

とか思うと、涙出そうです。
続きを楽しみにしております。
ではでは、短いですが、この辺で。
あごんでした!

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14832Re:はじめまして!!紫希 E-mail URL4/2-18:53
記事番号14809へのコメント

>はじめまして、あごんと云う者です。
えぇっ、あごんさんってひょっとして、あのあごんさん!?(意味不明)
私、あごんさんの小説大好きで、全部読ませて頂いてますっ!最初に「冬に咲く春花」を
読んですごい衝撃受けて、それ以来大FANなんです。感想のメール送ろうかと思ったくらいで。
あごんさんに読んで頂いたなんて〜〜っ。

>関西ルクミリ派代表として(笑)、もー凄まじく嬉しいですっ!
関西ですか、私は関東ですー。ルクミリいいですよねっ!(力説)実は本命はガウリナですが。
「遺言」も読ませて頂きました。私もミリーナは最後まで「愛してる」等の言葉は伝えなかったと思ってます。

>私も、ルークとガウリイって小さな、でも確かな友情を育んでいた、という思想の持ち主なんですよ。
同士発見!!!(ガッツポーズ)なんていうか、通じるものがあると思うんですよ、この二人って。
・・って語ると長くなるので自粛しておこう。

>あああ、深く澄んだ湖のようなガウリイの瞳。
>そこにあるメッセージをルークは・・・。
・・続きがツラいですね・・。その辺りのフォローは、後編でしたいのですが・・上手く書けるかなぁι

それでは、コメントありがとうございました!!


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14831はじめまして。みてい 4/2-18:05
記事番号14751へのコメント

>初めての投稿をさせて頂きます、紫希といいます。かなり緊張してます。
はじめまして紫希さん。こちらのツリーの上下でちょろちょろしているみていと申します。

>14巻ラストから15巻前の間のルークの話です。まだあの事件については、完全には答えを出せないでいるのですが・・私なりに考えてみました。
あの事件は…なっかなかヘビィでした。
みていの拙作にも出してあげたい、というか出してみたいのですが、原作世界である限り出せなさそう…つーか原作世界以外の世界書けない…(泣)
>前編は、彼なりの努力を書きたかったのですが、見事に玉砕。
>文章で表現するのって難しいよぉお(汗)
紫希さんは語彙がたくさんあって羨ましいですっ。
>続きは雰囲気がガラっと変わりそうですが、読んで下さると嬉しいです。
ガラッと…今回がシリアスだったから……わくわく。
>・・・ツリーってどれくらいで落ちるんだろう、間に合うかな・・・(かなり不安)
「1」の方は落ちるまでに早いときと遅いときがあるみたいです。

ではでは、続き楽しみにしています。
みていでございました。

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14834Re:はじめまして。紫希 E-mail URL4/2-19:43
記事番号14831へのコメント

>はじめまして紫希さん。こちらのツリーの上下でちょろちょろしているみていと申します。
のわぁあっ、あごんさんに続き、またもやアコガレの御方がっ!!?小説、楽しく読ませて頂いてますー。

>あの事件は…なっかなかヘビィでした。
>みていの拙作にも出してあげたい、というか出してみたいのですが、原作世界である限り出せなさそう…つーか原作世界以外の世界書けない…(泣)
ヘビイでしたね・・。みていさんの書かれるルクミリ、読みたいですっ(おねだり←殴)
私も現代物等は書けません。想像出来ないっていうか、全くの別物になってしまうというか・・。

>紫希さんは語彙がたくさんあって羨ましいですっ。
超ボキャ貧ですよ、私ι同じような表現が重なってしまい、慌てて修正する日々ですからι

>ガラッと…今回がシリアスだったから……わくわく。
うっ、そういう意味じゃないんです。次もドがつくシリアスです。
雰囲気が変わるというだけで・・というか、あまり変わらないかも(おい)・・しまったι
ガラッと変わるってのは無視して下さいっι

>「1」の方は落ちるまでに早いときと遅いときがあるみたいです。
うー、まだ後編、半分もいってません。ぎゃおう(吐血)

コメントは読むとホント元気出ますー♪ありがとうございました!!