◆−魔槍伝承談8−CANARU(3/26-09:56)No.14602
 ┗ちびガウ(笑)−P.I(3/29-00:18)NEWNo.14697
  ┗本人も忘れてました〜(苦笑)−CANARU(3/29-09:25)NEWNo.14704


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14602魔槍伝承談8CANARU URL3/26-09:56



「オラオラオラ!!もたついてんじゃね〜〜〜よ!!」
柔らかな黒い髪を靡かせながら・・一人の男が数百人にも及ぶ部族の民を
号令一つで思いのままに・・・・・。
「リナ〜〜〜・・・俺腹減ったよおお・・・・」
「ガウリイ!!それ、アタシの整髪料!!勝手に使わないでよお!!」
「ゼルガディスさ〜〜ん!!見てください!!とう!!」
「馬鹿!!それは重要文化財だぞ!!勝手に登るな!!飛び降りるなあああ!!」
「・・・・ガウリイ様・・木の実かってきましたよ・・・」
「ええ・・ゼロス・・俺・・マズイから・・その木の実嫌いだぞおお・・・」
号令一つで・・・意のままに・・・・・・・。
「ヴァノー・・・もう・・疲れた・・お昼寝する・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
半ばこめかみの辺りを引き攣らせ・・・。
「おい、ハンニバル・・・・」
身近で彼の指揮を手伝っていた甥・・ハンニバルに睨みつけるような視線を送る。
「・・なんです・・伯父上・・・・(汗)」
嫌な予感がした・・隻眼の淡い髪の色の男・・ハンニバルはズズズ・・とその
黒髪の男・・リナの父から半径3メートル以上遠ざかる。
「てめぇ・・・あのヤローどもと・・うちの馬鹿娘と・・馬鹿息子・・だまらせろ・
・」
「・・・・100パーセント無理ですね・・・」
苦笑交じりにハンニバルはさっさと逃げ出す。
「くっそ・・ルナの奴が居やがったら・・あんな連中のさばらせはしね〜〜んだがな
ああ・・」
まだまだ声が引き攣っているのは・・うん。
気のせいだけではないだろう。しかし、ハンニバルは言わずにはおれず。
「ルナね〜さんが居たら伯父上、貴方も今ごろ悲惨な目に・・・って・・・
御免なさい・・失言でした・・・」
さしものハンニバルもこのリナ父の殺気だった目を見てこれ以上何も言う気力は
無いらしかった。


すやすや・・・すやすやすや・・・・・。
「では、ガウリイ様、ハーブティーのお毒見は済みました、安心してお飲みください
ね」
浮かれたゼロスの声が眠っていたヴァノッツァの耳に不意に聞こえてくる。
「ええ・・俺。そんな人が飲んだモン改めて飲むの嫌だよお・・・」
とっても嫌がった声のガウリイの声が聞こえてくる。
「・・・・・仕方ありませんね。じゃ・・ボクが全部飲みます・・シクシクシク・
・」
なんだか苛められた子供のようにいじけたゼロスの声が聞こえてくる。
「ヴァノー・・・つまんない・・・・・・・・・・・」
面白く無さそうにガバリ、とヴァノッツァは起き上がり・・。
ふと辺りを見回せば『人が飲んだのなんて嫌だ』とか言いながらちゃっかりリナが
飲み残したハーブティーを何時の間にか飲み干し、怒られているガウリイ。
遺跡から飛び降り、思いっきり足を地面にぶつけたのだろう・・。
ひ〜ひ〜痛がってるアメリアに呆れた声を投げかけているゼル。
何やら未だにいじいじといじけているゼロスに・・そして・・・・・。
黒髪のリナ父に詰め寄られ、答えに窮している実弟のハンニバル。
「どっか・・いこうっと・・・・・・」
そういって遊牧の準備の手伝いなんて放り出し。
さっさとその場を後にするヴァノッツァだった・・・・・・・。


「リナちゃん・・・ヴァノーね・・・ソコの角に居る・・行商人の・・人に・・」
「はいはい〜♪良かったわね、ヴァノッツァね〜さま〜」
遊んでいた(?)事を父に咎められ、頭にでっかいたんこぶ乗っけ・・・。
ガウリイに重いものを持たせ、自分はやかん、フライパン、泡だて器などの
軽いものしか持ち上げず。
リナはヴァノッツァに曖昧な返答をして遊牧の為の引越し準備にかかる。
「・・・いいです・・・どうせ・・ぼくなんて・・・」
未だに飲みかけのカップを持ったままいじけるゼロスに・・・。
「ほら!!けが人は休んでろ・・ったく!!」
「うえええ〜〜〜ん!!ゼルガディスさ〜〜〜ん!!ごめんなさあああ〜〜〜い!
!」
馬車に腰掛けたアメリアに、二人分の仕事をこなすゼル。
「・・・・ヴァノー・・つまんない・・・・・・」
折角面白いもの買ったのに・・・・。
そんなことをヴァノッツァが思っていると・・リナ父に怒りの呼び出しを食らった
ゼロスがノロノロと・・その場にカップを残し、立ち去っていく。
「・・・・・・・そうね・・・たいくつ・・しのぎ・・」
言いながら・・・。
先程妖しげな商人から買い上げた髑髏マークの入った粉を・・小さなカップに対して
かなり大きめなビンの中身を全部入れるかのように溢す!!
「・・・・・・どうしよう・・・・・・」
言うまでも無く・・溶解できなかった粉が・・哀れなほどカップに浮かび上がり・・
・。
周囲にもカップに落ちきらなかった粉が悲しいほどに散らばっている・・。
「・・・リナちゃん・・これ・・・ど〜しよう・・・粉がね・・溶解・・
しきらなかった・・・の・・・・・」
ツンツン、と何やら布地を運んでいるガウリイの隣でその置き場所を指示している
リナにヴァノッツァはヘルプを求める。
「・・ああ?水に粉が溶解しきらなかった・・?ですって?あっためれば解けるわ!
あっためれば!!」
ろくにヴァノッツァの方を振り返りもせずにそう返答するリナ。
「・・・・そう・・・あっためれば・・いいの・・ね・・うん・・・」
しかしうんうん、と真剣に頷きながらヴァノッツァ。
「おい・・ヴァノー?お前・・何・・・」
リナ父が止める間もなく、そこらへんで燃やしていた火種を松明用の木にうつして・
・。
「燃やせば・・・とける・・・・・・・」
言うが早いかさっさと粉・・そしてカップに火をつけるヴァノッツァ。
急に風が吹き上がり・・机の上で燃え上がっていた粉の一部がぶああああ〜〜っと
舞い上がり。
「あぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢ〜〜〜〜〜!!!」
「きゃああああ〜〜〜〜ガウリイ!!火が!!火が!!火がああああああ!!!!」
運んでいた布に火が燃え移り・・・・・・・・・・・・・・・。
大騒ぎして大暴れするガウリイの後を大慌てで追うリナ。
「・・・解けない・・それどころか・・焦げちゃった・・リナちゃん・・・ヴァノー
・・ま〜〜った・・失敗しちゃった・・・・」
「何燃やしたのよ!!ヴァノッツァね〜さまあああ!!」
ガウリイに燃え移りかけた火を手早く水をぶっかけて消火しながらリナ!
「・・・ゼロスって変な人のお茶に・・・・イスパニアの・・・ヴァレンシア地方で
・・重んじて生成される・・・・」
そう言いながら炎から辛うじて生き残った髑髏マークのビン・・・。
「すごいの・・あひさんとぉ・・・ぼくさつしたぶたのないぞうっていうの・・使っ
てるみたいなの・・・・・・・」
尚も嬉しそうに呟くヴァノッツァ。
「それって・・悪名名高いボルハの・・・カンタレラ・・つ〜・・毒薬じゃないのお
・・」「そう・・毒薬・・・・・・・・・」
彼女も分かっていたらしい。
「つ〜事はさあ・・・失敗したってリナ・・。もしかして『粉を溶かす事』じゃな
くって・・」
半ば顔色を悪くしたガウリイがボソリっとリナに・・・・。
「間違いないわ。『ゼロスを暗殺するのに』って・・事よね」
此方も顔を青いしながらリナが答える。


「あ〜あ・・。まったく・・・。ね〜さまのせいで見事に無駄な時間を費やしたわ・
・。
愚か者、って感じよね・・」
はあ・・とため息をつきながらリナがガウリイに言う。
「ま〜な。本当は今夜にはアモーロからどっかに出発する予定だったんだろ?」
自分たちのサボりを棚に挙げ、リナとガウリイは夜中の市街地を徘徊する。
やっぱりガウリイとしては生まれ故郷と言う事もあるのだろう。
少々名残惜しそうなところが見受けられる。
「・・・別に・・残りたければ・・・残ってもい〜んだけど・・?」
チロリ・・とガウリイの方を見遣りながら無愛想にリナが言う。
「そう言うなって・・・」
そうは言っても・・彼の名残惜しそうな様子・・。
ガウリイの敵といっても良かったネロは既にこの世界には居ないのだ。
残されたものは・・この焼け残った市街地に・・荒れ果てた政治だけとはいえ。
ここはガウリイにとっては故郷なのだし・・・・。
はあ・・・・っと少しため息をつきながらリナ。
「あのなあ・・今更ここに残る理由はないし・・俺は俺で・・気になることがあるし
・・旅を続けたいんだしな・・・」
何やら勘違いをしたらしいリナに落ち着いた声でガウリイ。
「そう・・けどさ・・・・」
何やら言いかけたリナが急に歩みとともに喋るのをとめる。
「リナ・・・???」
そんな彼女の異変に気付いたのだろう。
ガウリイも急に歩みを止めてリナの隣に立ち止まる。
「ねえ・・ガウリイ・・こんな所に・・・こんなもの・・あった?」
急にリナはブロックの一角・・・。
先のネロの放火事件によって焼け落ちたためだろうか?
巨大なフォルム、壮麗なたたずまいを持ちながらも黒焦げに焼け落ちた一つの巨大
な建物・・そして何者かの彫刻を指差す。
「さあ・・・俺、ここに住んでたとき、あんまり町を出歩く機会、無かったしなあ・

けど・・この彫刻の人物なら・・宮殿で見たことはあったかな?誰かまでは・・」
「・・・意識してなかった・・でしょうけどね・・・」
はあ・・・と想像して言い放った一言にアッサリガウリイは頷いてくれる。
焼け落ちた町・・そして文化的なアモーロの町並み。
夜になれば危険極まりなく、かなり曲がりくねった上に真っ暗なこの町。
フェニキアなどの諸都市では夜中になれば松明は燦然とたかれ、遠くから見れば
その都市が昼かと見間違えるほどの明るさを誇るというのに。
こもアモーロは・・常に『夜』は静寂を保っている。
しかし・・・・・・。
それは何時ものことであって・・・。
わかりきっていることでもあるのだが・・・・・・・。
この凄まじい『違和感』はなんだろうか?
今感じ取られる静寂は・・『夜』のそれ『だけ』ではない。
なんと言うのだろうか・・・・・・・・・・。
「う〜ん・・けどよ・・。ネロが放火した恐怖が未だに抜けきってね〜のかな?
ど〜も・・町が静かじゃね〜かぁ・・・?」
「・・・ガウリイ・・貴方・・夜は日が沈むと・・さっさと寝るようにしつけられて
たでしょう???」
「・・良く知ってるな・・お前もしかして・・俺のストーカーか!!」
ズサっとさがりながらガウリイが面白そうな目でリナに言うのだが・・。
「あるかい!!ボケ!!」
ボカリっとガウリイの頭を殴りながらリナはそっけなく言う。
「けれども・・・なんか・・・・」
異変に気付いた、と言う事はガウリイも同じであったらしい。
不意に闇から飛び出した殺気に彼の獲物・・『聖剣』エクスキャリバーを構える。
「そう・・ね・・・・・・・」
リナも颯爽と手にしていた『魔槍』ゲイボルグを闇の方向に突きつける!!
ズシャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
僅かな殺気ながら此方のほうにせまってくる気配!!
「な!!?」
それは・・リナが驚愕の声をあげた刹那だった。
カ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ン・・・・・。
鈍い音をたてて・・殺気が一瞬にして途絶え・・・・・。
目の前を横切る、金色の光・・・・・・。
「ガウ・・・・・・????」
ガウリイ!!?
リナがその名前を呼ぶ以前に目に飛び込んできたものは・・・後ろで驚愕したように
リナ同様立ち尽くしたまま・・強いて言えば剣を動かしてもいないままのガウリイ。
「・・・リナ・・お前じゃ・・」
「アタシなわけ無いでしょ・・実際目の前に・・・・」
尚も金色の塊が動くたび、その殺気の群れは次第に霧散していく。
「おい・・。お前ら・・・・」
そして、殺気が完全に消え去り・・・・。
あたり一面に血の流れが・・・路上を満たした時のことだった。
金色の塊・・いいや・・・・・・。
金色の髪を持った・・年のころなら14〜5と言った所だろうか?
その年代の少年の平均的な身長。
腰の辺りまでに無造作に流した髪・・そして・・冴えるような青い瞳・・・。
「お前ら・・今の状態わかってんのか?まあ・・武装はしてるみて〜だけどさ・・。
ま、このご時世じゃあ・・当然か・・」
はあ・・・っと自分を納得させるかのように少年はため息をつき、二人を見渡す。
「あの〜〜・・アンタ・・いや・・。アタシはリナ、で、こっちのボサ〜〜って突っ
立てるのはガウリイ」
何か疑問があったらし〜が、リナはさっさと言葉を飲み込み、少年に対して自己紹介
をする。
「へぇ・・・道理はわかってるみてぇ〜じゃね〜か・・姉ちゃん」
「・・・道理って・・・???」
少年の言葉にリナのマントをツンツンと引っ張りながらガウリイが尋ねる。
「・・馬鹿ね。こ〜ゆ〜タイプのおガキ様に『アンタは?』って聞いてみなさいよ!

帰ってくる答えはただ一つ!!『てめ〜なあ!!他人(ヒト)に名を尋ねる時は、て
めぇから名乗る!!ソレが筋ってもんじゃね〜のか!!?』って言うに決まってるで
しょうが!」
コソリっと少年の耳に届かないようにリナはガウリイに耳打ちする。
「・・俺はガウイス。・・・ここじゃかなり有名な氏族だと思うよ・・。まあ・・・
もっとも・・叔父貴があのクソヤローに処刑された今。多くを名乗ろうとはおもわ
ね〜けどさ・・・・」
「・・・・叔父貴・・?あの『クソヤロー』・・????」
何が起こったのか良く分からないが・・さしあたりリナは頭の中の疑問符を正直に少
年にぶつけてみることにする・・。
ガウリイに至ってはもはや表情にも完全に事態を理解してはいない・・事は
事実である。
「まあ・・そっちのに〜ちゃんにしても・・ね〜ちゃんにしたって・・はあ・・。
悪かったよ!!俺の口調が乱暴すぎて理解できなかったんだな・・うんうん・・」
どうやら・・。
少年・・ガウイスは外見とは裏腹の自分の言葉づかいの悪さゆえにリナ達が言ってい

事を理解していない・・と思ったらしい。
「俺の叔父さん・・政治家だったんだけど・・スラ・・アイツがあくどい独裁政治を
望んだせ〜で・・一昨日処刑されたんだ。ま、俺の叔父が『誰』・・かとは言えない
けど・」
ふっと少しガウイスは遠い目をしながら二人に告げる。
「そう・・・・けど・・・・・・」
ふっとガウリイの方を見遣りながらリナは視線だけで尋ねる。
「・・・スラなんて奴・・知ってる?」と・・。
ネロの政権下、ひたすら頭角を現そうと狙っていたわけでも無さそうだが・・・。
けれども・・・何処かで聞いたような・・・・・・???
「まあ、新しい皇帝が決まってない今・・一晩にして家臣が頭角を現すって例は無き
にしもあらず・・けど・・・・・・・」
急激に『処刑』なんて事が出来るほど・・・?
少なくとも『地盤』を作れないで居る限りあくまで『暗殺』でそれはなければならな
い。
さもなければ・・・・・・・・・・。
そんなリナの疑問を知ってか知らずか・・・。
ガウリイに至ってはまったくもって状況を理解できていないのは事実・・であり・
・。
ガウイスは不信そうな目で此方を眺めている。
「ね〜ちゃん・・夢遊病のケとかね〜〜か・・・?」
ジト目でふっとリナを眺めつつガウイスは冷たく彼女に言い放つ。
「は・・・???」
頭の中の疑問符を更に増加させながらリナは逆にガウイスを直視する。
が、彼は冷たいジト目と容赦の無い口調を緩める事無く・・・。
「で、さ・・・。そっちのぼ〜〜っとしたに〜ちゃんは痴呆のケがあって・・。
あんたら二人は・・毎晩気付いたら武器屋から槍と剣を盗んで・・・」
おいこら・・一寸待て!!
ナンだか訳の分からない解釈をならべたてる少年にリナは・・・。
「アンタ・・良く『劇作家』になれるとか・・言われない・・?」
「そ〜ゆ〜ね〜ちゃんこそ・・なんかの本の読みすぎじゃね〜か・・・?『皇帝』な
んざぁ・・このアモーロに存在しね〜ぜ・・・?それに・・馬鹿みたいにこの国の連
中は元老院のクソ爺どもの言いなりだ・・。ま、それをぶち壊そうとしやがったスラ
・・。気持ちはわからね〜でもね〜けどよお・・・。アイツは一寸やり過ぎなんだよ
!!」
「そっか・・やっぱり世の中、悪い奴はいっぱいいるんだなあ・・」
うんうん・・っと訳の分からないことに納得顔で頷くガウリイ。
こういった点では・・彼のほうが理論武装が無いだけ正直に受け止められるのかもし
れない・・・・。
「じゃあ・・この燃やされた建物って・・・?ネロがやったんじゃないの?」
「・・・あの三流のペーペー騎士階級の臆病者のシッコ垂れが?アイツは家に帰って
か〜ちゃんに泣きついてるだけの・・武勲もな〜んにも出来ないヴェルヴァ氏の末っ
子だろ?女ばっかの兄弟の甘やかされた金持ちの・・。こんな放火なんてする度胸は
ね〜ぜ?」
・・・・完璧人違いしているところからみても・・。
間違いなく『あの』ネロがこの建物を破壊したわけでは無いらしい。
「・・・じゃあ、誰がやったんだ・・・?」
にほほんっとした口調で完璧に『悪い奴にみんな苦しんでる』程度の認識しか持ち合
わせていない・・ある意味幸せな立場に居るガウリイがガウイスに聞く。
「・・・ね〜ちゃん・・このに〜ちゃん・・絶対痴呆だぜ・・?病院つれてけよ・・
・・」「そうね・・。まったくもってその通りよ、ガウイス。でもまあ・・このまま
じゃ納得しないから・・教えてあげて頂戴・・」
その事はリナとしても聞きたかった事だが・・。
流石にガウイスにガウリイと同様痴呆・・・或いは先程のように『夢遊病』とか思わ
れてしまっては叶わない。
仕方無くリナは彼をダシにしてガウイスに様子を聞く事にする。
「・・・・・・・・リナぁ・・俺、病院・・嫌いだぞ・・・・」
半ば泣きそうな声を出しながらガウリイはリナに訴えるが・・・無視・・・・。
「決まってるだろ?に〜ちゃんよぉ・・。ありゃ〜あのクソ馬鹿・・。スラがやらか
した事に決まってンだろ〜がな・・。ったく・・・もともとここは・・・・。ま、ア
イツに反逆した某貴族の家だったんだよ・・・・・」
「・・・反逆に対する見せしめね・・・・」
登りかけた朝日が・・焼け焦げた屋敷を明るく照らし出していく。
「・・・・そっか・・・・・・・・・」
その生々しい情景にようやっとガウリイも状況を理解するに至ったらしい。
ふっと登りかかった朝日に照らされたリナを見て、ガウイスも何かに気付いたらし
い。
「アンタ・・・・」
何やら横で未だに一人で頷いている
「ん・・・?何よ・・。ガウイス・・・・・・・。」
「アモーロの人間じゃ・・ね〜な・・・?」
暗闇が取り去られ・・明らかにアモーロの女とは違う衣装を身に纏ったリナに
気がついたらしい。
ガウイスは珍しそうにリナを見遣り・・素直に気がついたことを告げてみる。
「・・・ええ・・・まあ・・・・」
「もともとリナは俺の婚約者でさ・・。事情があってと、あるローマ属国の部族に預
けられてたんだけど・・婚約を契機に帰ってきたんだよ。うんうん!!」
ズガッシャン・・・・・・・・・・・・・・・・・!!
こ〜ゆ〜ごまかしには天才的な頭脳の回転をみせるガウリイに・・・。
毎度おなじみ『魔槍』ゲイボルグの燻し銀の飾りがついた繊細な彫刻を施された飾り

勢い良くぶん殴る!!
「いで・・・・・・・・・・何すんだよおお・・リナ・・」
泣きながら訴えてくるガウリイに・・刃に気をつけ、更に自分の身長の倍はある槍
を一回転、その反動を使って再度・・・・。
ボカリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
景気の良い音を立てて尻の部分がガウリイの頭に直撃した!!
しかも・・加速がついているので・・・なお更痛いことは請け合い・・である・・。
「そっか・・あんたらも大変だな・・。若年ボケの旦那に・・クサンチッペよろしく
な悪妻・・・そっか・・そげエ組み合わせだし・・大変だな・・・うんうん・・」
何やら同情すらした様子で頷くガウイス・・・・・。
「ナンで俺たち・・・同情されなくっちゃいけないんだ・・?」
未だに涙目でえリナを見遣りながらガウリイが聞いてくる。
「・・う〜ん・・政略結婚かなんかかと思ってるんじゃないの・・・?ともあれ・
・。
今は・・『帝政』アモーロに居るんじゃなくて・・『共和制』アモーロに居る・・。
それが事実らしいわね・・・・」
時間を超えて・・過去に来てしまったと言う事か・・。
「そんなことできるのかよ・・?」
当然の疑問といえば疑問かもしれないのだが・・・。
『聖杯』を盗み、不思議な魔術を操るガウリイの母、モーガン。
そして・・『スキピオ』・・その祖先の女性『エレイン』の事もある。
「正直言って・・何が起こっても不思議じゃない状況よね・・多分・・」
吐き棄てるように言いながら自分の後についてくるように言ったガウイスに続き、こ
の時代のアモーロの町並みを進むリナとガウリイ・・・。


「ど〜せね〜ちゃんもに〜ちゃんも根無し草なんだろ・・?でもって・・ついでに言
えば・・かなりの凄い腕・・そうだろ・・?」
挑むような視線でリナとガウリイにそう言ってきたガウイス・・・。
そして・・彼が案内した・・アモーロのかなり端に位置する・・と、ある廃墟。
「ここは・・・???」
数人の男たちが朽ち果てた大理石の柱に座り込み・・。
恐らく『上座』にあたる位置なのであろう。
一人の年若い・・と言ってもガウリイよりも大分年上であろう男が構えている。
「お兄ちゃん。助っ人になるそうなヒト拾ってきたよ、言われたとおり。よそ者だっ
て言うから・・多分害は無いと思う」
兄・・と言う事は間違いの無さそうなその上座に構えた男・・・。
通った鼻立ち、ガウイスのふっくらとした印象とは似ても似つかない痩せた頬。
そして・・・。
何よりも印象的なのは・・剣呑な雰囲気が拭い去れない瞳。
「・・・唯モンじゃねぇな・・・・」
その男から発せられる気配に敏感に気付いたのだろう。
ガウリイがそっとリナに耳打ちする。
「・・・ガイウス様・・・・・・・・・」
ガイウス・・ガウイスと名前も似ている事もあり・・そして取り巻きが『様』
と敬称をつけて呼んだことから考えても・・それがこの男の名前であろう。
「・・・そうだな・・・・・貴方たちに頼みたい事がある。我々は・・スラの暴政に
苦しみ・・あまつさえ・・私の叔父・・そう・・。ユリアの夫である・・政治家が先
日処刑された。貴方たちにご助力を願いたい!!」
恐らく騎士階級なのだろう。
低く腰を落とし、軽く足を地に付け、男はガウリイとリナを直視する。
「それって・・暗殺をするって事・・・?」
「いかにも・・・・・」
何処かで聞いた事がある・・・・。
無論、歴史を辿れば・・その事はいとも簡単に紐解かれる事であるのは事実なのだ
が。
その歴史事態が今制作されている最中だとしたら。
流石にそうもいかないだろう。
「けどよ・・。そのスラって奴・・・。ど〜してそんな急に権力持ったんだ?」
話からしてスラ・・この男が急に力を持ち始めたのはここ一、二年のことらしい。
さしものガウリイとて・・そんな短い期間で急激な独裁、改革を起こすことなど不可

と言う事は理解したらしい。
「奴は・・地方の総督としての数年の任期を終え・・このアモーロに帰ってきたんだ
・・。
ナンダカ怪しい力と・・『聖杯』とかいうわけのわからね〜けど・・すっごい力を秘
めたモンを持って・・さ・・・・・・・・・」
ガウイスが悔しそうな口調でそう告げる。
「・・・真坂・・その・・スラってのが赴任してたところって・・・??」
「・・ガリア地ですが・・・・??」
やっぱり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
話がもしも本当だとすれば・・彼らは多分・・・・・・。


「お前さんさ〜〜?妥協したのか・・・?」
不意に隠れ家から抜け出し、あれから大分時がたち・・。
再び夜空となった景色を眺めているリナにガウリイが声をかける。
「妥協・・・?ですって・・・?」
「だってよ・・お前が・・その無条件で人の役に立つなんてなあ・・・」
ボリボリと頭を掻きつつガウリイ。
「・・・・もし・・アタシの予想が正しければ・・彼らは・・ね・・。今はまだ言え
ないけどね」
苦笑交じりにリナはガウリイがなお更疑問符を残す言葉を残し・・・。
そして魔の槍、『ゲイボルグ』を構える!!
「・・・まあ・・良いけど・・出てきたらどうなんだ!!?」
リナの背後に構える形でガウリイも聖剣『エクスキャリバー』で宙を薙ぎ・・・。
バサリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
その一撃に闇夜に散らばる・・黒い髪・・・・。
そして・・白い頬と腕から流れ出す・・・赤い血の筋・・・・・。
が、彼女は構う事無く、その血を『聖杯』に注ぎ込み・・・・・・・。
やがて・・それを赤い舌で・・飲み干す・・・・・・。
「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それは自然でもあり・・そして・・凄まじい威圧感を感じる光景であった・・。
尚も流れ出す血で聖杯を満たしつつ・・彼女はその場に佇む。
「・・・モーガン・・・お前・・・・・・」
あまりの情景に気分を完全に悪くしたリナを気遣いつつも・・ガウリイはその人物を
睨みながら凄む。
「・・・禊をしないものに・・・聖杯は扱えはしない・・・・・」
バシャ・・・・・・・・・・・・。
「う!!!!」
リナとガウリイに向かって投げつけられる、真っ赤な血・・・・。
それと同時に耐え切れなくなったリナは思わず嘔吐する。
「・・・気分が悪い・・・・・・・・・・・・・・」
「貴様・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
モ−ガンを直視する事すら叶わないリナに代わってガウリイが聖剣を構えたとき。
『禊』を終えた・・と言葉を残し・・・・。
既にモーガンは消え去っていた・・・・。
「また・・逃がした・・みたい・・ね・・・・」
自分にこびりついた血に露わな嫌悪感を示しながらリナ・・・・・。
「ああ・・・大丈夫か・・・?」
「・・・問題は・・無いわ・・ごめんなさい・・・」
流石に少々情けなかったかも・・・・・・・・・・・・・・・・。
そんな考えしか抱けず・・リナはスラについての因縁を考えるのだった・・。

(続きます)







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14697ちびガウ(笑)P.I E-mail 3/29-00:18
記事番号14602へのコメント

CANARUさん、こんばんは☆
いよいよ始まりましたね〜「ガウイス編」!!
ガウイスくんって、見た目まるっきりちびガウのよーな気がするのですが・・・
リナちんたちは気づいてないのかな?
そして今回もまた謎の言葉を残して消えてしまったモーガン母さん(笑)
禊ぎは済んだ、さてそれからどーする!?
血の禊ぎなんか受けちゃって、リナちんに災難が降りかからなければいいんです
けどね〜。ふふふ、リナちんを守るガウりんの活躍が見られるでしょーか(嬉)

冒頭部分で、そーいえばリナパパって族長さんでエラい人だったんだな〜と
思い出しました。(要するにすっかり忘れてた・笑)
その族長さんをして「ルナがいれば・・」と言わしめたルナねーちゃん、
今どこでなにしてるんでしょーね(笑)ヴァノーたんと対決させてみたいわ(爆)

ではではまた続きを楽しみにしてます〜♪

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14704本人も忘れてました〜(苦笑)CANARU URL3/29-09:25
記事番号14697へのコメント

>CANARUさん、こんばんは☆
>いよいよ始まりましたね〜「ガウイス編」!!
はい〜♪
絶対にこの「ガウイス編」だけは書こう!!
とこの話書き始めたときから考えていました!
>ガウイスくんって、見た目まるっきりちびガウのよーな気がするのですが・・・
>リナちんたちは気づいてないのかな?
ふふふ・・・。
当社比ですが・・・。
ガウイス、幼少時代のガウリイより100倍性格悪し!!
という設定です〜!!(苦笑)
>そして今回もまた謎の言葉を残して消えてしまったモーガン母さん(笑)
>禊ぎは済んだ、さてそれからどーする!?
>血の禊ぎなんか受けちゃって、リナちんに災難が降りかからなければいいんです
>けどね〜。ふふふ、リナちんを守るガウりんの活躍が見られるでしょーか(嬉)
はい〜♪
次回、ついに極悪非道政治家、スラとの直接対決です〜!!
そのとき、ガウイスくんの正体(?)もきっちり書きたいと思います!
>冒頭部分で、そーいえばリナパパって族長さんでエラい人だったんだな〜と
>思い出しました。(要するにすっかり忘れてた・笑)
あはは・・・。
書いてる本人も既に忘却のかなたの設定でした〜!!
しかし・・必ずトラブルメーカーさんたちは・・・。
言う事を聞かないんですね〜〜(しみじみと・・)
>その族長さんをして「ルナがいれば・・」と言わしめたルナねーちゃん、
>今どこでなにしてるんでしょーね(笑)ヴァノーたんと対決させてみたいわ(爆)
あううう!!
意外と同盟組んだら・・リナ父、大ピ〜〜ンチですうう!!
>ではではまた続きを楽しみにしてます〜♪
はい〜♪
余談ですがホームページの方に、オリジナルのボルジア小説アップ
しはじめました!!
イッポリータ(オリキャラですがね・・)というドン・ミケちゃんの
おね〜さんが主役です〜!!
お暇でしたら覗いてやってください〜!!
では〜!