◆−ではでは…−みてい(2/14-23:41)No.13673
 ┣Familiar1 「帰郷」−みてい(2/15-00:13)No.13674
 ┣Familiar2 「再会」−みてい(2/15-17:11)No.13687
 ┃┗最恐(さいきょう)な人。−せりあ(2/17-16:42)No.13716
 ┃ ┗ありがとうございますぅ−みてい(2/17-18:28)No.13719
 ┣Familiar3 「逡巡」−みてい(2/17-18:56)No.13723
 ┃┗ガウリイ私物化計画!(笑)−砂緒(2/17-22:38)No.13734
 ┃ ┗なんたって「便利なアイテム1号」♪−みてい(2/18-00:59)No.13748
 ┣Familiar4 「収穫祭(前編)」−みてい(2/20-00:34)No.13799
 ┗Familiar5 「収穫祭(後編)」−みてい(2/20-17:15)No.13807
  ┗うう。ヤられました、ガウリナ毒に(笑)−あごん(2/20-23:28)No.13816
   ┗甘すぎると毒になる(笑)−みてい(2/21-08:29)No.13822


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13673ではでは…みてい 2/14-23:41


こんにちは、みていでございます。

今回の話は前作「Lover」の続きとなっておりますが、一応それぞれで話が通るようにしていくつもりですので、時間がありましたらそちらの方も読んでいただけるとまた違う楽しみ方が出来るかも…しれません(おい)

☆お読みになる前に
 今回の話は、場面上リナの家族が登場します。が、みていは発売されている文庫本をすべて読んでいるわけではなく、皆様のお書きになった話から想像して設定しています。
 したがって、「これおかしくないか?」というのがあるかもしれませんが、そのあたりはご容赦願います。

ではでは、またのおつきあいのほどを…

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13674Familiar1 「帰郷」みてい 2/15-00:13
記事番号13673へのコメント
みていでございます。
今回は、「リナちゃんゼフィーリアへ帰る」の巻です。
どのくらいの長さになるかは、まだわかりません(爆)
たぶん3〜4話くらいかな、と。

では、まずは一話、どうぞ。
*****************************************************************
【帰郷】


「おーいリナぁ、なんでそんなに急ぐんだぁ?」
「あのねぇっさっきも説明したでしょ!聞いてなかったのっ!!」
 こういう場面ならガウリイは頭を掻き掻き「忘れた」なんぞと抜かし、めでたくリナちゃん特製スリッパをお見舞いされるところであろうが、今はそうは出来ない事情がある。
「だってお前さん、とにかく急ぐのって教えてくれなかったじゃないか」
「あっ…」
 そう言えばそんな気もするなー。
 だってガウリイに説明する時間も惜しかったし。
 うーみゅ…
「しょうがないわね、ちゃんと聞いてなさいよ」
「ほいほい」
 説明して覚えてられるんだろうか、この男に。
そう言えば昔一般に信じられてる(あたしは信じてなかったけど)世界の成り立ち説明したときもこんなじゃなかっただろーか。
******************
 ゼフィーリアに入ってしばらくして。
 さっきまでやおら鼻をひくつかせていたガウリイが疑問を口にした。
「なぁリナ、この甘い匂いって何だ?今ってブドウの季節じゃないだろ」
「葡萄よ。ただし今の季節のね」
 どういうことだ、と問いかけてくる彼にあたしはお国自慢をちょこっとすることにする。
「ゼフィーリアはね、ワインの産地なの。それも品種改良されて節操無しに実をならす木じゃなくて、春には春の、夏には夏のっていうふうにそれぞれの季節に旬の木があるの。それがこの気候と見事に調和して名品と言わしめるワインが造られるのよっ」
 優しい向かい風があたしたちの横を通り過ぎる。
 甘い、そして懐かしい香りがあたしにこみ上げる嬉しさを運んでくる。
「すっごいなぁ。じゃあ年中ブドウが食えるんだ」
 まさに彼らしい返答だったが、それも予測済みで。
「ま、そういうことね。今の時期はね、味がしっかりしてるから、手間はかかるけどボディーのしっかりしたワインを作るのに適してるのよ」
「すごいなぁ」
 何度も無邪気にすごいを連発するガウリイは遊びに夢中になってる子どもみたいで、ちょっとかわいかったりする。
 …内緒だけど。
「じゃ、あたしちょっと魔道士協会に寄ってくから、そのへんうろちょろして迷子になるんじゃないわよ」
「ん、わかった」
 素直でよろしい。
 あたしはガウリイを外に待たせて協会の中へと入った。
 どうしてガウリイ連れて入らないかって?
 いい?
 魔道士ってのは、世間様に認識されてる呪文乱射タイプだけじゃなくて、自分の内に入り地下の実験施設でこっそりと開発に勤しむタイプもあるわけで。
 あくまでも『魔道士協会』なんだからあたしみたいな海千山千の天才魔道士以外にも、滅多に人と話しないような人もくるわけで。
 そんなところにいかにも「剣士ですっ!」てカンジのガウリイを連れて行ったらどうなるか。
 ……パニック起こしたひょろひょろ魔道士が訳のわからんことわめいてお役人さま呼んだのよっ!
 あとのことは押して知るべし。
「すみません、リナ=インバースですけど、何か連絡入ってますか?」
「一つ預かってますね。少々お待ちを」
 この魔道士協会ってのは横の繋がりがけっこうしっかりしてて、あっちの支部からこっちの支部へ情報を伝えることが出来る。
 だから今回みたいに何処かからの連絡を受け取ることが出来るのだ。
 …本部は、復興中だけど。
「こちらですね。受け取りにサインを」
 ロマンスグレーのおっちゃんから手紙を受け取ってサインをすると、あたしはその場で開いた。
 緊急の連絡なこともあるし、即返答を要するものもたまにはあるからだ。
 かさり。
 
 ひききききききききききききききききぃっ

 目に通した瞬間、あたしは背中に氷を入れられる以上の悪寒と恐怖を感じた。

『まだ?    ルナ=インバース』

「こここ、これ、いつ発信されたものですかっ!」
「え〜っとですねぇ」
「早くっ!」
 早くしないとあたしの明日は無いっ!

「ガウリイ、何してんの早く掴まってっ!!」
「お?どうしたんだ、そんなに慌てて」
 のほほんと日向ぼっこをしていたガウリイを急かし、あたしの肩に手を乗せたのを確認して呪文を唱える。
「『翔封界(レイ・ウィング)』っ」
 増幅かけられないのがちょっと痛いが、無いモノ願っても仕方ない。
 あたしはガウリイとともに宙へと舞い上がった。
**************************
「というわけよ、わかった!?」
「つまり、リナのねーちゃんが呼び出してるから急いでる、と」
「ををっガウリイがちゃんと理解してるっ!」
「おまえなぁ」
 魔道士協会を出てからもう街三つくらいかっ飛ばしている。
 さすがに疲れてきたがここの森を抜けるまでは高度は下げられない。
「リナっ!!」
「!?」

 ひゅいっ

 唐突にガウリイがあたしを抱えたまま身体を捻る。
 何事と文句を付けようとしたその横を氷の矢が通り過ぎていった。
「のきゃああああっ」
 ただでさえ干渉を受けやすい風の結界が呪文のバランスを失ったことで壊れ、あたしたちは引力の法則に従って落下する。
 ヤバイっ!高度が高すぎるっ
 がざざざざざざっ
 がくんっ
「…………あれ?」
 衝撃とともに落下が止まる。
 まだ木の中だ。
「リナぁ、どうなってんだ、こりゃ」
 細かい枝に擦られてあちこち傷が出来ている。
 すぐ頭上から降ってくる声に振り仰ぐとガウリイが左腕一本でわりかし太い枝に引っかかっていた。
 右手は、あたしに回されている。
「どっかの馬鹿があたしたちに喧嘩売ったみたいね」
 もう一度呪文を唱えようとしたのをガウリイは制する。
 ガウリイはあたしを抱えたまま枝から枝へ飛び移りながら地面へと近付いていった。
 人間ぶっちぎった運動神経してるわね。相変わらず。
「あっ…」
「お?どうした?」
 ガウリイの耳の下から首筋にかけて赤い線が出来ている。
 あたしは素早く治療呪文を唱える。
「あ、ありがとね」
「オレはいいから早く頬の傷治せよ」
 下りながらガウリイはちょっと硬い声で応えた。
 でもあたしは、まずガウリイのその傷を治してからでないと自分にかける気なんかさらさらなかった。

「リナ、誰か下にいる」
「えっ」
 あたしの頬の傷も消えた頃、地上を走ってこちらを追いかけてくる黒いシルエットが見えた。
 あたしは相手に悟られないように攻撃呪文の詠唱を始める。
 ガウリイはバランスをとって木の上に両足で降り立つとあたしを枝の上に下ろした。
 こちらの気配は消しているが、木に移ったときの音からおおよその場所の見当はつけられてるだろう。
 枝の陰に潜み、そっと相手の姿を窺う。
「んなっ」
 あまりの驚きに呪文詠唱が止まってしまう。
 そう、そこにいたのは――――
「なっ、ナーガっ!」

「おーっほっほっほっほっほっ!見つけたわよリナ=インバース!」

 悪の魔道士ルックに身を包み、近所迷惑な高笑いを所構わず轟かせ、あたしに何かとひっついてきてはゴハンをたかってきた金魚のフン!!
 一度会ったら二度と忘れられんようなこいつは、あたしがガウリイと出会う前に一緒に旅したことのある(というかナーガが勝手について来た)相手である。
「なんだあ、知り合いなのか、リナ」
 いつでも戦闘に入れるよう気を溜めていたガウリイも拍子抜けしたらしく、ついさっきまでの怜悧な表情からとっぽい兄ちゃんへと顔が変わっている。
「なんであんたがこんなとこにいるのよ!」
「そんなの決まってるじゃない。ゼフィーリアはリナの生息地だからうまく行けばただでワインを飲ませてもらえるからよ」
「生息地って…」
 おお、珍しくガウリイが突っ込みを入れている。
 …無視されたけど。
「じゃあ、あたしたちに氷の矢飛ばしたのは…?」
「聞けばリナのお姉さんはウェイトレスやってるって話じゃない。リナをつれていって苦労話の一つもすれば、ただでワインを飲んでお腹一杯ゴハンを食べて、ああやっとふかふかのお布団で寝られるという緻密な計算のもとにある行動よっ!」
 ただでワインを飲むですって?
 ねーちゃんにタダ飯食わしてもらうって??
 あったかい布団ですってぇえっ???
 なんって甘い考え!
 なぁんっって恐ろしいことを!!
 苦労話の一つや二つでねーちゃんはおごってなんかくれないっ!(断言)
 いや、いやそれよりも、こいつがあること無いこと言ったらあたしの未来に待ち受けるのはフルコースのオシオキ!
 ―――そりだけは、阻止せねばっ。
「んっんっんっんっ」
「り、リナちゃんなんか怖い…」
「あたしの明日の安泰のために飛んでけえっ『風魔咆烈弾(ボム・ディ・ウィン)』っ」
 
 ぶごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ

「あひぃぃぃぃぃっ」
 あたしの放った突風に飛ばされめでたくお星様となったナーガだったが。
「さあガウリイ、とっとと逃げるわよっ」
「へっ?」
 あのナーガのことだ。噂でもしようものなら即座に現れるやもしれないっ!
「そいやお前さんのねーちゃんが…」
「いっやぁああああっ!それもあったあっ」
 忘れてたわけじゃありません、ねーちゃん。
 ナーガの超音波があたしの脳を攪拌したのです。
「早く掴まってっ」
 幸いなことに、もう森の出口が見えている。
 急ぎ呪文を唱え、地面すれすれを飛行していく。
 これならさっきより格段にスピードアップ出来る。
 ものすっげー怖いけど、ねーちゃんのオシオキよりはぐっとましだ。
 
 森を抜けると懐かしいゼフィールシティが見えた。
 お願いですからねーちゃん、オシオキだけはご勘弁をっっ

                               /続/
*********************************************************************
とうとうやってしまいました、/続/でございます。
ワインの話はですね、聞きかじり程度ですのでどこまで合ってるかどうか…。「ボディーがしっかりしてる」ってのは、「色・味・香りと三拍子揃っている」という意味です。

リナとガウリイだけでは話は進めにくかったので登場させたナーガですが、次回も登場します。さぞ話をしっちゃかめっちゃかにしてくれることでしょうv
もちろん、ルナさんも出ます。

ドタバタな話になりそうですが、出来るだけ続いてアップしたいと考えてますので、是非おつきあいお願いします。
コメントいただければ幸いです。

以上、みていでございました。




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13687Familiar2 「再会」みてい 2/15-17:11
記事番号13673へのコメント
みていでございます。
この回ではいよいよルナさんが登場します。
*********************************************************************
 現在、あたしとガウリイは全力疾走中。
 どうしてって?
 ねーちゃんが呼んでるからよおおおおおおおおっ


【再会】


「おーいリナあ、疲れたぞ〜」
「何言ってんのガウリイ、あんたねーちゃんのオシオキもらいたいのっ!」
 ゼフィール・シティへ入ってからは、魔法を使わずこーやって走っている。
 さっきまでみたくかっ飛ばしていくと、風の結界であおられて周りにも被害が出てしまうからだ。
 んなことになったら、
―――来る、絶対に。
 オシオキしにねーちゃんが出張ってくるぅっ
 いやーーーーーーっ
「あれか?え〜っと、『リナなんだー』」
「何度言ったらわかるのっ『リアランサー』よ、『リアランサー』!!」
 街の中央にある赤い屋根の定食屋が見える。
 この街一番の大型店舗であり、一番の料理でもてなす店であり、街の中央ってこともあって街の人以外にも観光客とか旅人とかが気軽に立ち寄れるお店であり。
 何より、あたしのねーちゃんのアルバイト先である。
 ちょうど晩ゴハンの時間が近いこともあって、店からはいい匂いが漂ってくる。
 店の前で足を止め、呼吸を整える。
 うわー、どきどきするよ。
 ねーちゃんどんな顔するかな。
「ガウリイ」
 あたしはガウリイを指で呼んで、変なこと言わないように釘を刺す。
 まだ呼吸の戻りきらないあたしに比べ、さすがと言うか彼はもう汗すらかいてない。
 ガウリイはにぱっと笑ってこっくり頷いた。
 何がそんなに楽しいのかな。
「さて、と…」
 扉に手をかけようとして、留まる。
 …何て言って入ったらいいのかな。
 ここは店なんだから「ただいま」はおかしいし、だけど何も言わないで入ると怒られるし、「こんばんは〜」も他人行儀かなぁ。
「―――ナ、リナ」
 うるさいぞガウリイ、あたしは今究極の選択をしようとしてるのだ。
「おいリナってばっ」
 マントを引っ張るなあっ。
「だーーーーっもぉ何よっ!あたしが考えごとしてるときは」

「お客様のご迷惑になるでしょ」

 ぎぎぎいっ

 一瞬にして硬直した身体をむりやり捻って振り向くと、扉に軽く手をかけたウェイトレスさん。
「ねっ、ねーちゃん。いつからそこに…」
 あたしよりも赤の強い髪を肩で切りそろえ、茶色のワンピースにエプロン、片手に金属のお盆。
 まごうことなきルナ=インバースその人っっ!!
「あなたが店の前でぶつぶつ言い始めてすぐよ。それよりも、何か言うことないの?」
「えっ…と、
 あっ

 ただいまっ!」

***************************
 テーブルの上にでででんっと並べられる料理の数々。
 皿の上にもさらに積んで、もはや料理しか見えない。
「さ、どうしたの。食べなさい」
 両手だけでなく腕にも並べて優雅に歩いていくねーちゃんに促され、あたしはフォークを手にする。
「ねーちゃん、これって…て、ガウリイもう食べてるしっ」
「リナ」
「はいっ」
「私の勧めるものが食べられないのかしら?」
 営業スマイル100%。
「いえっ」
 どこかの国ではスマイルはタダとか言うらしい。
 けど、このゼフィーリアでんなことは決して無く、このゴハン代は払うのだろう、とあたしは覚悟を決め口に頬張った。

「はー食った食った」
「おいしかったぁ」
 旅に出て以来だからものすごく久し振りだけど、やっぱりおいしいっ!!
 テーブルに残るは料理を乗せていた皿のみ。
 最後のコーヒーで余韻を楽しむ。
 …ガウリイはブラックだけどあたしは砂糖とミルク入り。以前はこれでお子様扱いされたものだが。
 ちらりと目の前のガウリイを見る。
 ……………。
「何きょろきょろしてんのよ。子どもじゃないんだから」
「いやぁ、何つーか。あれ」
 困ったように小さく外を指差す。
「なっ」
 つられて窓を見ると、そこには鈴なりに店内を窺う人だかり!
 今まで食事に完全に気をとられていたが、どうも少し前からこうやって覗かれていたようだ。
 う〜〜〜っ気分悪い、食後の余韻台無し!!
 と、あたしのエルフとタメ張れると巷で噂の耳がひそひそ声を捉えた。

「間違いない、リナ=インバースだ」
「あのどらまたが男連れで帰ってきたぞ」

 ぼぼぼぼぼっ

 飛び込んできた言葉に思わず赤くなるが、その後聞き捨てならない発言がっ!!
「相変わらず-―――」

 ぷちっ

「おいお前さん、顔色が愉快だぞ」
「や・か・ま・し・い」
 何故か机の下でぴるぴる震えるガウリイを尻目にあたしは外へ向き直った。
 ぢろり。
 ぞざあぁっ
「ひいいいいっ」
 あたしと目の合った野次馬Aが尻餅つきながら後ずさる。
 バックに雷鳴背負い、あたしは暴言の主を探す。
 さぁあ誰っ
 とっとと出てきなさいっ!
 いいえみんなまとめてぶちのめーすっ!!!!
 んっふっふっふっふv
「お助けぇぇぇぇえっ」
 蜘蛛の子散らすように逃げ出す野次馬。
 本当ならあとは『力ある言葉』を紡いで『爆裂陣(メガ・ブランド)』を放つところだったが、それをしなかったのは背後に佇むねーちゃんの存在だった。
「騒々しいわよ。リナ」
 あうううううっ
 頭の中で『オシオキのフルコース』という言葉がぐんるぐる回る。
 ど、ど、ど、どう釈明を…

 ばんっ

「おーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ」
 な、なんでぇっ!? 
 ねーちゃんがついさっき閉めた扉を勢いよく開けて呼んでもない&会いたくない相手ワースト3に入るナーガが現れた!
「やっと見つけたわよっリナ=インバースっ!今日こそ奢られてあげるわっ」
 そして再び雄叫び(?)をあげるナーガ。
 も、もぉあかんし…
「ガウリイさん」
 突然ねーちゃんがガウリイに声をかけた。
「何ですか?」
「この方、リナの知り合い?」
 まっまずいっっ
 ここであのくらげ頭が余計なこと言ったらあたしを待つのは特製オシオキばーじょんあっぷ…
 口を挟もうにも、ねーちゃんの笑顔がコワすぎるし。
「この方、ですか?」
*****************************
「………ふぃ〜」
 ばたし。
 あたしは自分の部屋のベッドに倒れこんだ。
 お日様の匂いがする。
 気持ちいい。
 この布団は母ちゃんがあたしが帰ってくるらしいという噂を聞いて毎日干してくれたものだ。
(本の配置とか羊皮紙とか資料とか、リナが出かける前と髪の毛一本さえもずらしてないから安心してねv)
 そう言って母ちゃんは器用にウィンクをしてくれた。
 あたしの大好きな仕草の一つだ。
 こっちが恥ずかしいくらい父ちゃんと変わらず「らぶらぶ」してたし。
 父ちゃんと言えば。
 どうも父ちゃん、以前にガウリイとあったことがあるみたいだった。
(また随分と面変わりしたものだな。ん?)
(あなたは全然変わりませんね)
 昔のガウリイってどんなだったのかな。
 以前は話さないなら聞かないでもいいかって思ったけど、今は、―――知りたい。
 あたしもまだあんたに話してないこといろいろあるわ。
 ずっとしまっておきたいこともあるけど、ガウリイに話してみたいこともたくさんある。
 ――――それに、あたしはまだ、ガウリイに答えてない。
 誤解しないで。もう答えは出てるの。
 だけど、その〜…ね、
 きっかけが掴めなくて………。
 でも。
 ここにいる間に必ず『答え』を渡すわ。

「おっし!」

 あたしは勢いつけてベッドから飛び起きた。
 部屋を出て、向かうはねーちゃんの部屋。
 こんこんっ
「リナね、入ってらっしゃい」
「こんばんは、お邪魔しまーす」
 あたしの部屋みたく本や魔方陣が雑多(になっちゃうのよっ)に置かれてなくてきっちり整頓されている。
 その部屋の中央にある椅子に、ねーちゃんは腰掛けてた。
 ―――あたしが魔道を勉強しようと思った発端であり、
 ――――いつか追いつきたいと思う相手であり、
 ―――――あたしが旅に出るきっかけをくれた、
 あたしの自慢のねーちゃんに。
「ね、聞いてほしいことがたくさんあるの」


                           /続/

追記:ナーガは、ガウリイの「覚えてないなぁ」の一言により、「マナーを守れない方の入店はお断りしております」とねーちゃんにすりこぎでお星様にされた。
 くらげ頭もたまには役に立つぞっ。

*********************************************************************
出ました、ルナさんです。難しいです、この方。
話し方とか、立ち振る舞いとか、存在感とか。
一瞬だけ出たナーガ、この先出番はあるのかっ!?

ではでは、みていでございました。多謝。
…コメント欲しいなぁ…(とねだってみる。)





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13716最恐(さいきょう)な人。せりあ E-mail URL2/17-16:42
記事番号13687へのコメント

みてい様はじめまして!
せりあという火星人でございます。


ルナ姉ちゃんやっぱり強いですね!
何だかあたふたしてるリナが可愛かったです。
ガウリイのクラゲっぷりに救われてましたが(笑)


続きどきどきしながら待ってます〜!
でわ。


・せりあ・














リナ父が出てるううぅぅぅ!!!(ファン)
……っは?!し、失礼しました!!






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13719ありがとうございますぅみてい 2/17-18:28
記事番号13716へのコメント

>みてい様はじめまして!
>せりあという火星人でございます。
こんにちは、初めまして、みていでございます。

>ルナ姉ちゃんやっぱり強いですね!
>何だかあたふたしてるリナが可愛かったです。
>ガウリイのクラゲっぷりに救われてましたが(笑)
ルナが出るとどうしてもリナは自分のペースが保てません。
もう刷り込み状態なんでしょうね。
>
>続きどきどきしながら待ってます〜!
>でわ。
ありがとうございますですv

>リナ父が出てるううぅぅぅ!!!(ファン)
>……っは?!し、失礼しました!!
原作読んでないので、あちこちの話の総合で「父」像を作っております。
次の話「3」にはあまり出てこないのですが、「4」には出張ってもらうつもりでいますので、是非温かい目で読んでやってください。

ではでは、みていでございました。多謝v

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13723Familiar3 「逡巡」みてい 2/17-18:56
記事番号13673へのコメント

ども、みていでございます。
話が進んでくるにつれ、だんだんリナが別人になってきてる気が…(泣)
みていにしてはちょこっと長い第3話、おつきあいください。
*********************************************************************
 
 見覚えのある天井。
 差し込む朝日。
 整頓された部屋。
 何処だっけ、ここ。
 ………………っ!
 がばっ
 あたしは跳ね起きる。

 そうだ、あたし帰ってきたんだっ

【逡巡】


「おはよう、リナ」
「ちゃははは、おはよー母ちゃん」
 限り無く昼御飯に近い時間だ。
 寝坊なんかしたの久し振りな気がするなー。
「…ねーちゃんは?」
「もうお仕事よ」
 母ちゃんはあたしが起きてくるのを知っていたかのようにすぐ温かいスープを出してくれた。
 昨日はねーちゃんと遅くまで話してて、どうもそのまま部屋で寝てしまったらしい。
 ううっ恥ずかしいよう。
 その後も母ちゃんによってお魚さんや自家製の野菜サラダが並べられる。
「その魚、ダーリンが朝早くから釣りに行ったのよv」
 香草焼きにされたお魚さんからはとってもいい香りがしてくる。
 ん〜、父ちゃん感謝するぞっ。
「父ちゃん何してんの?」
「ガウリイさんとラクスさん家にお手伝いに行ってるわ」
「何しに?」
「建設工事かしら?土木工事かしら?水道工事かもしれないわねぇ」
 ラクスさん家と言えば。
 あたしの記憶が確かならば、ラクスさんとこには『爆発坊や』という実に親しみをこめた二つ名のついた息子がいて。
 とにかく爆発系の呪文が好きで。
 …得意じゃないのよ。好・き・で。
 練習と称しては家の地下に空洞をこさえたり部屋を一つ吹き飛ばしたり家の中にいながらお空が見えるように構造を変えたりしていた。
 あたしがいた頃は月に一回くらいの割合で起きてたことだったけど、今も続いてんのね。
 それで近所の者が集まって修理を手伝い、そのあと食事を奢ってもらうというほほえましい行事となっている。

 あぁお〜〜〜〜〜んっ

「ぶぶっ」
 犬の遠吠えが聞こえる。
「あら、もうそんな時間なのね」
「あーっはっはっはっはっはっはっ」
 たまらずあたしは吹き出した。
 だってあの遠吠え、『スポット』なのよっ!!
 ねーちゃんが前に拾って、飼ってるの。
 飼われてんのよ、あのイヌ!
 指差して笑っちゃったわよ、あたし。
 ゼルガディスにも見せてやりたいわ。
 きっと笑いを噛み殺しながら言うのよ。
(堕ちたものだな、ディルギア。いや、今はスポットだったな)
 で、ある日街の教会の鐘が壊れたってんで代わりに知らせるようねーちゃんに『お願い』されたらしく。

 あお〜〜〜〜〜ん、おんおん…

 あー、おっかしい♪
***********************
 どこもおかしいところ無い。よね。
 よね?
「母ちゃん、あたし出かけてくるねー」
 もう一度姿身の前で回って、家を出た。
 うーん久し振り、こういう格好も。
 せっかく帰ってきたんだから、ということで今日のあたしはいつもの魔道士ルックじゃないのだ。
 この自慢の栗色の髪によく映えるクリーム色のワンピース。
 …久し振りな所為か足が妙にスースーして気恥ずかしいんで中に同色のスパッツ穿いたけども。

「きゃあ、リナあ。噂は聞いてたけどホントに帰ってきてたんだ。
久し振りね〜」
 幼馴染みと会って。
「おやリナちゃん、なんだか楽しそうだね」
 近所のおばちゃんに挨拶して。
「どらまたぁっ!!」
 …………………『炸弾陣(ディル・ブランド)』。
 そんな些細なことが妙に嬉しくて。
 自然と人の多い方へと歩いていったんだけど。
「ね、リナ。結婚はいつするの?」
「けけけけけけけけ」
「え〜っじゃあもう旦那様なのぉ?」
「ち、ちちち、違うわよぉっ」
「かっこいいわねぇ。滅多にいないわ、あんな人」
「あたしもあんな彼氏が欲しいなぁ」
「ダメっ!あれはあたしのっ」

 …………………………。

「ごちそうさま、リナ」
「お熱いわね」
 手を合わせる青髪の友人と手で顔を仰ぐ銀髪の友人。
 ぼばばばっ
 あたしが自分の言葉の意味に気が付いたのは、友人が去ってしばらくしてからだった。

 かんかんかんかんかん

 小気味良い釘打ちの音に振り返ると、北の方に半分しかない家屋が目に入った。
 そう言えば父ちゃんとガウリイ、ラクスさんとこでお手伝いしてるんだっけ。
 …行ってみようかな。
 ……会いたいわけじゃないわよ、ここまで来たついでよ、ついで…
「何がついでなんだ?」

「うひゃあっ」
「おわあっ」

 突然の声に驚くあたしとその声に驚いたガウリイ。
仲良しさんか、あたしら。
(あれは、あたしのっ!)
 ぼばっ
「おいリナ、顔赤いぞ?」
 思い出してしまった科白が妙に恥ずかしい。
「だ、大丈夫よ」
「ホントかあ?」
 いつものようにあたしの頭に手を乗せようとするガウリイ。
 が、その手が直前まで来て引っ込められた。
「?」
「いやあ、せっかくかわいい格好してるのに汚したらもったいないもんな」
 こともなげに言ってにぱっと笑うガウリイ。
 すぱーんっ
「誉めてんのに殴るなあっ!それに毎度毎度どこに仕込んでるんだそのスリッパっ」
「オトメの秘密よっ」
 照れくささにちょっと炸裂させてしまったスリッパさんをジト目で睨むガウリイ。
「おーいリナちゃんやあ、んなとこで夫婦漫才してないでこっちに返してくれんかなあ〜」
「誰が夫婦漫才よっ」
 やけに間延びした声のおっちゃんこそがこの家の主、ラクスさん。
『爆発坊や』の父である。
「ほらガウリイ、行きなさいよっ」
「へいへい」
 作業現場に戻るガウリイの後ろ姿を、作業中のおじさんたちがひやかしながら迎える。
 …妙に馴染んでない?
 それに父ちゃん何処に行ったのよ。
 父ちゃんのことだからふらっと釣堀行っちゃったんだろうけど。
 あとで母ちゃんに告げ口してやる。
 ………せっかくだから、ちょっとだけ見ていこうかな。
 あたしはそこから少し離れた木陰に腰を下ろす。
 風下だから埃も飛んでこないし。
「り〜な〜ちゃんv」
「……………」
「リナちゃんてばぁ」
「何よ『爆発坊や』」
「やだなぁ。今は『爆発の貴公子』だよ」
 誰が付けたんだ、ンな名前。
「昨日見かけて、いつ声かけようかと思ってたんだけど、リナちゃんの方から来てくれるなんて、嬉しいなv」
「あんたに会いに来たわけじゃないわよ。悪いけど」
 今の今まですっかり忘れてたけど。
 この『爆発坊や』は昔あたしに妙に擦り寄ってきていた。
 レンアイ感情とか、そういうのじゃなく、
「照れなくてもいいよぉ」
 自分と趣味が同じだと思い込んで。
「違う(きっぱり)」
 断じて違うのだ。
 あたしは気に入らないことがあったりおちゃめで(もちろん手加減して)使うだけで、コイツみたいにのべつ幕なしに所構わず爆発させたりしない。
 …しないんだってば。
「そんなぁ」
 いらいらいらいらいらいらっ
「男のくせにンなねちっこい話し方すな」
「こういうのがいいって人もいるんだよv」
「あたしはいやじゃあああっ」
 
 ずとん。

「あ、すまん」
 屋根から声。
 見れば『爆発坊や』の背を擦るようにして瓦が一枚、地面に突き刺さっている。
 逆光に耐えて見上げれば、見慣れたシルエットが頭を掻いていた。
「危ないじゃない、ガウリイ」
「おー、すまんすまん。ケガ無くてよかったなぁ。そっちの人も」
 途端に起こる大爆笑。
 ラクスさんも大笑いしてるし。(いーのかな)
 顔をひきつらせる『爆発坊や』。
 あたしとガウリイは苦笑い。
 つまり、だ。
 それ以上の手出しは覚悟を決めてからにしろ、というえげつない脅し。
 あー見えて独占欲強いんだよね、ガウリイ。
 ……あたしも、かな。
*******************
「リナ、ちょっといいかしら」
「何?」
 母ちゃんがあたしの部屋にやってきたのはもう寝ようかなと思う時間帯だった。
 あたしが帰ってきてから、夜ねーちゃんが部屋に来たことはあったけど、母ちゃんが来たのは初めてだった。
「ね、リナ。これからどうするの」
「え…っ?」
「ガウリイさんと一緒に帰ってきたでしょ。だからどうするのかなあってv」
「ど、ど、ど、どうするって」
 今回帰ってきたのはガウリイがゼフィーリアへ行きたいと言ったからであって、それ以上の意味は…
 …あるのかな。
「どうだろう…」
「自分のことなのに、随分とあやふやねぇ」
「ん〜…」
 ここに到着する前。
 ガウリイはあたしに『証』と『質問』をくれた。
 あたしの『答え』はまだ渡せていない。
 今も、机の上で出番を静かに待っている。
 ガウリイは、答えを待っている。今も。
「どうしたい?」
「ん〜」
「さっきから「ん〜」ばっかね」
 母ちゃんはころころと笑って。
「昨日は街の真ん中であんなにはっきり言い切ったくせにv」
「昨日…って、なんで知ってる…あっ!」
 人の多い方=街の中心=リアランサーの前。
 …ねーちゃんの耳に入ったんじゃん。
「それからラクスさん家で…」
「うきゃあああっもおいいってぇぇぇっ」
「真っ赤になっちゃって、可愛いv」
「あう」
 指でちょこんとあたしの頭を突付いて喜ぶ母ちゃん。
 それが妙に板についてて、全然年感じさせない。
「大丈夫よ、自信持ちなさい」
「母ちゃん…」
「あなた、とてもいい眼になったわ。ルナもそう言ってた」 
 む。
「それにね。」
 母ちゃんはあたしに近寄ると口に手をあてて耳元で囁いた。
「『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』に一当て入れるような凄腕がリナに背中を預けてくれるのよ」
 一当てっ?
 あのねーちゃんに一当てっ!!
 今日ねーちゃんが妙に機嫌がよかったのはその所為だったのかな。
 父ちゃんは機嫌悪かったけど。
 う〜みゅ。
「一番無防備な背中預けてくれるのよ。よっぽど惚れこまれてんのね、リナv」
 …そういえば、あたしが背中合わせに座っても、ガウリイ嫌がったこと無い。
 正面とか横とかだと照れくさかったからなんだけど。
 背中は、自分にとっては死角。
 他人にとっては最も狙いやすいところ。
 だからこそ、背中を見せる相手は、吟味しなくちゃならない。
 見誤れば自分に危害が降りかかる。
 あたしもかなり人を見る目は鍛えられた。
 旅に出てからは、特に。
 …あいつも傭兵なんかやってたんだから相応の目は持ってたはずで。
 最近は、あいつから預けてくることもある。
 戦闘のときだけじゃなく、ふとした日常でも。
「あら」
 ――――知らず、笑みが零れた。
「母ちゃん、あたし、行ってくるわ」
 さすがに疲れたのか晩ゴハン終わると二階の客間に引き上げちゃって出てこないみたいだから。
 …寝てたらどうしよう。
 …………………………………起こす。
 母ちゃんがくれたこのきっかけに乗じないと、またいつになるかわかんないし。
 これ以上、待たせたくないし。
 何より、あたしがイヤ。
 あたしは机の上に手を伸ばし、部屋の戸を開けた。
 母ちゃんの、いってらっしゃいの言葉を背に。

                              /続/
********************************************************************
はい、いかがだったですか?別人ぽいですねー。

ラストに部屋を出た後、リナはどうにか『答え』を渡すことが出来ます。
何故ここでばらしてしまうかというと、その場面の話がすでに書いちゃってあるわけで。
気になる方は「Lover」シリーズの「LoverLover2」へどうぞ(CM)。
…一応読まずとも通じるように話は繋げていきますけども。

ではでは、みていでございました。多謝。





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13734ガウリイ私物化計画!(笑)砂緒 E-mail 2/17-22:38
記事番号13723へのコメント

こんばんは!砂緒です。
一話目と二話目にレスしないうちに三話目がでてしまいました。
悲しいやら嬉しいやら・・・・・複雑な乙女ごころです。(←なにがだ)

う〜ん、らぶらぶですね〜♪
リナがかわいいです。ガウリイ私物化してて(笑)
でも、密かにガウリイも怒ってるあたり、かわいい・・・・・・のか?(汗)
背中を預ける・・・・・・っていうのが、いい話だなぁと思いました。

次回、とうとう「答え」が返されるわけですか♪
楽しみに待ってます。砂緒でした!

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13748なんたって「便利なアイテム1号」♪みてい 2/18-00:59
記事番号13734へのコメント

>こんばんは!砂緒です。
こんばんは!みていですっ。

>リナがかわいいです。ガウリイ私物化してて(笑)
>でも、密かにガウリイも怒ってるあたり、かわいい・・・・・・のか?(汗)
>背中を預ける・・・・・・っていうのが、いい話だなぁと思いました。
リナとガウリイの二人の関係を簡潔に表現するとしたら、『背中の信頼』ってのもアリかなぁとふと思いついたのが始まりで。
どの『関係』を示す言葉も規格外な気がしまして。で、ああなったと(笑)
…甘いに代わりはないですが。

>次回、とうとう「答え」が返されるわけですか♪
>楽しみに待ってます。砂緒でした!
コメントありがとうございましたv
次回はリナの父ちゃんに出張ってもらおうかと思ってるのですが、いかんせんみていの中での彼は「やんちゃな年齢不詳中年(爆)」なので。
うぎ〜〜〜〜っ。
まぢでどうなることやら。出したいエピソードは数あれど(泣)

ではでは、錯乱してきたみていでした。
どうぞ見捨てずにおつきあいくださいませ。多謝。

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13799Familiar4 「収穫祭(前編)」みてい 2/20-00:34
記事番号13673へのコメント

みていでございます。
当初の予定ではこの話で区切りのはずが…
しかもこの話分けることになっちゃったし。

ではでは、おつきあいくださいませ。
********************************************************************

(次の目的地ってこと?)
(そうだな)

(ね、教えてくんない?この指輪には何て刻んであるの?)

「…けっ」


【収穫祭(前編)】


 街が活気付いている。
 大通りには出店が建ち並び、出稼ぎに行っていた家族も帰ってくる。
 街中をあげて盛り上がる。
 ―――今日は収穫祭だ。

 ことの始めは町内会長さんの誘いだった。
「リナちゃん、『ウィーネ』やってくれんか」
「『ウィーネ』!?」
「どうかなぁ、リナちゃん。記念になるし、やってくれんか?」
「やる!!」
「おっと一応確認しておくが、…条件満たしておるか?」
「……だ、ダイジョウブよ」
 口ひげの町内会長は「ほーかほーか」とほっそい目を眉毛に埋もれさせて何度も頷くと店を出て行った。
「リナぁ、『ういね』って何だ?」
 喜びに顔の緩みかけるあたしの背後からのほほんとした声がかけられた。
 あたしと同じく『リアランサー』でバイトしているガウリイだ。
 ねーちゃんからの厳命で、仕事中は髪を纏めるよう言い渡されたため、今はポニーテールに青いリボンが頭上で揺れている。
 …ちなみに、午前中は釣りに使うルアーが四つぶら下がっていた。
「そうかリナちゃん、今年の『ウィーネ』かあ」
「おめでとう、リナちゃん」
「『ウィーネ』があるなら盛り上がるな、今年のは」
 店の客から次々に賛辞の言葉をもらい、ついでに拍手までもらってしまった。
 や、どーもどーも。ほっほっほ。
「リナあ」
 情けない声に視線を戻せば。
 やるじゃねえか、と近くの客に背中どつかれてもやっぱしワケのわかんないガウリイは置いてきぼりくらった子犬みたいな目をしていた。
「しょーがないわね、説明してあげるわよっ」
「リナ、その前に配膳」
「はぁいねーちゃんv」
 くりっと厨房へ穂先を変えるあたし。
 …薄情と言うなかれ。よりよい選択のための条件反射なのだ。
「ガウリイさんも手伝って」
「はーい」
 ねーちゃんの指導により、お返事良く奥へと消えたガウリイがしばらくして戻ってきたとき、その両腕にはワインボトルが抱えられていた。
「名誉ある『ウィーネ』の家族からのおごりよ。一杯だけだけどね」
 ぼ。
 再び拍手が贈られ、ちょっと顔が高揚してきてしまったが、隣できょとんとしているガウリイに「後で教えてあげるわよ」と囁いた。
*****************
 あたしが『ウィーネ』をやることはあっという間に広まり、店にはいつもの倍以上のお客さんが押し寄せた。
 理由もわからず誉められるのもちょっと不気味なので、ねーちゃんに断ってから(重要)ガウリイを裏へ引っ張りこんだ。
「なー」
「いいわよわかってるから。ちゃんと順に説明してあげるから聞いてなさいよ」
「了解」
「いい、ここゼフィーリアってのは葡萄の産地であり、ワインの産地なの」
「おう、ブドウ美味しかったよなぁv」
「それで、葡萄の収穫時期にはお祭りをして大地と風に感謝するの」
「お祭りかぁ。出店たくさん出るか?」
「出るわよ。なんたって今年は『ウィーネ』がいるんだからね」
「……………『うぃね』って」
「焦らないの。ワインを造るにはどうする?」
「どうするって…絞る」
 雑巾を絞るような仕草をするガウリイ。
「いつもは器具を使うんだけど、あるときだけは違う方法をとるのよ」
「違うって?」
「樽一杯に葡萄を入れて、中に人が入って踏みつけることで果汁を搾り出すの」
「踏んづけるのかぁっ?」
「あのね。昔はその方法が主流だったのよ。そして、その葡萄を絞る役の人のことを『ウィーネ』って言うのよ」
「ふぅん」
 ふみふみと頷くが、思ったほどの反応は無い。
 ま、当たり前である。
 重要なのはこれからなのだ。
「でも、誰も彼もが『ウィーネ』をやれるわけじゃないのよ」
「誰がやるんだ?」
「そのいち。女性であること」
「どして女性じゃないといけないんだ」
 素朴な疑問である。
「あたしもよくはわかんないんだけどね。こう考えてるの。
 …いい?スネ毛の生えたむさいおっさんが足むき出して葡萄踏み踏みしてるの、あんた想像出来る?」
 さああなたも想像してみよう。
 例えばフィルさん。あの殿下が樽の中でどったんばったんして出てきた果汁。…飲みたい?
 どちらにも罪は無いんだけど、組み合わせるとトンデモナイことになることの一つだわ。
「…すまん、オレが悪かった」
 ほら、ガウリイもうなだれてるし。
「それから、その木が植えられて初のヴィンテージイヤー(あたり年)が一致しないといけないの」
「つまり、リナとブドウが同い年だってことか」
 この条件がある意味最も難しいのだ。
 木だって生き物だしその年の天候によって出来不出来が違ってくる。
 毎年一本は新しい苗木が植えられ、ある程度まで大きくなれば結実するようになるけど、最初はなかなかいい実がならない。
「さらに、その『ウィーネ』をやる娘が、その…、だから(ごにょごにょ)」
「何だ?」
「…だから、ね。一生やってけそうな相手がいないといけないのよ…」
 うあ〜、恥ずかしいっ。
「……………」
 をいコラ。
 なんで黙ってんのよ。余計照れるじゃないのっ!
 …じーっ…
 こちらを向いたまま軽く目を見開いて固まったガウリイが、まだちょっと固まりながら訊いてきた。
「リナ、それって、オレの都合のいいように受け取っていいよな」
 頷く。
「ガウリイのおばあさんに会いにいくわ」
 
 ふわっ

「えっ…?」
 一瞬、おでこを何かが掠めて、過ぎた。
「最高に嬉しいって、こういうこというんだな」
 あたしの後頭部に回されてるのは、彼の利き手。
 そう言って、ガウリイはそっとあたしを胸に抱いた。
「油断しないでよね。気い抜いたら置いてくわよ」
 照れ隠しにそう呟いてみても。
 あったかくて。
 大きくて。
 ――――嬉しくても、涙って出るんだ。
 ――――あたしは初めて知った。

  ざすん。ぼて。

「痛いぞ〜〜?」
「ふえ?」
 突如起こった奇妙な音。
 ついさっきまであたしに回されていた手は、己の頭をさすっている。

「いつまでもいちゃこいてんじゃねーぞ。おら」

「父ちゃん!」
 あたしたちから少し離れた勝手口にもたれるように立っていたのは他でもないあたしの父ちゃんだった。
「なんで魚篭(びく)なんか投げたのよっ!ガウリイあんたも無敵の反射神経で避けなさいよっ!!」
 そう、父ちゃんが投げたのは釣った魚を入れておくための魚篭だった。
「ムカついたからだ」
「なんとなく、ん〜」
 こんの男どもわあっ!
「釣り行ってたんじゃなかったの?」
 じと目で見ると、父ちゃんは面白くなさそうに舌打ちをして、魚篭をひっくり返すように言った。
 べしょ。びたべたぼたっ
「ひょええええっ!?」
「せっかくおれが気ままな釣りライフを楽しもうと思ったってのに、どこのポイント行ってもんな物体がふよふよしてやがる。なんだってこの時期に大発生してやがんだか…」
 なおもぶちぶち父ちゃんは言っているが、あたしたちは地面に落下したナマモノに目を奪われていた。
 赤いの。
 青いの。
 半透明の。
 足が長いの、短いの。
 花柄の。
 水玉の。
 おっきいの、ちっさいの、ちゅっくらいの。

「くらげね」
「くらげだな」

 もたもたと動くその姿はなんだか人に気力を失わせるというか、何も考える気がしなくなるというか…
「リナー。長い休憩ねぇー」
 はっ。
 い、いかん。今はそれどころではないのだ。
「行くわよガウリイ、今日のメインはクラゲよっ」
「…………………………………………………食うのか?」
 
 で。
 ということで。
 あたしの周りは俄かに騒がしくなった。
 とにかく、『ウィーネ』をするにはいろいろと前準備が必要なのだ。
 今あたしが何をしているかというと、
「動かないで、リナ」
 …立っている。
「まだ?母ちゃん」
「もうちょっとよ。じゃあ今度は右腕ねv」
 ただただ立ってるってのもツライものがあるんだけど。
 母ちゃんからなんだか「動くんじゃないわよ」オーラが発せられてるし。
 言われるままに右腕を差し出すとすっとメジャーが当てられる。
 直接肌に触れる度に冷たいんだけど、がまんがまん。
 母ちゃんはこうやってあたしのサイズを測っては紙に書き込んでいる。
「母さん、じゃあ行ってくるわね」
「はぁいよろしくねーv」
 階下からねーちゃんの声が聞こえた。

「はいお疲れ様。もういいわよ」
 母さんがぽんとあたしの背を叩いた。
「ひゅい〜」
「じゃ、出てちょうだいねv」
 押されるまま部屋から追い出され、入れ違いにねーちゃんが部屋へ入っていった。
―――この部屋へは、しばらく入れない。

 あたしは自分の部屋へ戻ると窓辺に腰掛けた。
 今日は十三夜。
 月の主張が強すぎて、周りに散らばる星が見えない。
「『ウィーネ』かぁ…」
 知らず、言葉が零れた。
 幼い頃、いつかやってみたいと思った。
 でもいつの間にか一線引いて考えるようになっていた。
 昼間のことを思い出して、おでこに触れる。
 昨晩はちょーっとしたアクシデントでうやむやになってしまったけど、自分で思ってたよりすんなり伝えられた。
 
 しゃらり

 首から下げているペンダントの飾り――指輪――に指を通す。
 手のひらに返したり、甲にしたり。
 ほぼ一周するように彫られているあたしの読めない文字。
 もしかしたらと思ってねーちゃんに見せたら、
(ガウリイさんのメッセージを、別の人の口から聞きたいの?)
 と言われたから。
「ぜったい訊き出してやるわ」
 と答えた。
 でも、あたし気の長い方じゃないのよ。

 しゃらり

 指を抜く。
 指輪は引力に従って胸元へ落ちた。
 …あんたわかってやったのかしら。
『証』が胸に留まるなんて、ガラじゃないけどちょっと粋な演出じゃない?

 そういえば、あの大量くらげ。
 美味しかったなぁ〜v…じゃなくて。
 …誰かが大発生させたらしいと父ちゃんが言っていた。
 んな変なもの発生させて喜ぶようなヤツ………

 ……………………。

 いや、いない。
 噂をすると沸いて出てきそうだからいないことにしよう。
 
 …いないのよぅ。
 ねーちゃんにどつかれて無事にいるヤツなんてぇ…
********************
「――――――――」

 いよいよ待宵の晩。
 水を飲みに行こうと思って階段に足を掛けたら、下で父ちゃんとガウリイの声がした。
 困ったなぁ。
 …なんで困るかって?
 変な規則その〜忘れた。とにかく『ウィーネ』をやることになった日の晩から、ガウリイと会っちゃいけないことになってるのよ。
 ンな規則すぺぺのぺいっなんて言ったら目を血走らせたおばちゃんたちに誠意ある説得されそうだし、のっとってみるのもいいかと思うあたしもいるのも事実で。
 母ちゃんは寝る間も惜しんであの部屋で作業をしているし。
 ねーちゃんは明日の準備とかで出かけちゃってるし。

「おい、どういうつもりだ」

 ロックで何かを飲んでいるのだろう。
 氷の揺れる音が聞こえる。
「そのままの意味さ」
 いつもより僅かに低いガウリイの声。
「もう一度言おうか」
 お行儀悪いが、階段に座り込んで聞き耳をたてる。
「聞いてやろうじゃねえか」
 父ちゃんの声に剣呑な響きが混じる。

「あんたが長年かけて育て上げた最高級の紅玉をひとつ、オレに譲り渡してくれ」

「だああああっマジに二回も言うんじゃねえよっ!」
「何だよ聞いてやるって言ったのはそっちじゃねぇか」
 ぼぼぼぼぼっ
 うっ、顔が赤くなるっ
「しかし、お前ほどのヤツならリナともども消息絶つくらいワケないだろう。サイラーグの一件のときのようにな。んぁ?『金色』」
「オレが名乗った覚えは無い」

 かんっ

 思わず身体が竦んだ。
 彼の声と感情を押し殺すように叩きつけたグラスの音に。
「まぁそう睨むなよ。おれが訊きてぇのは何故わざわざここまで来て頭下げてんだってことだ」
「そりゃあ、一人でも多くの祝福貰ったほうが断然いいし…風の噂で届いたなんてったら『リナのねーちゃん』に月夜どころか日の下も歩けないような生活送らされそうだし…それに、貰うモン貰っとかないと男同士立場無いだろ?」
 指折り思い出しているのか、一つ一つに時間をかけて話すガウリイ。
 …よかった。声柔らかくなってる。
「なんだ、おれの必殺契りの拳でも欲しいのか」
「ん〜、そいつはあまし欲しくないかも…」

「で、貰えるのか?」


「…許可証だ、受け取れぃっ!!」

 ばきぃっっ

 ずだあんっ
「ってぇぇ〜…。効きやがんなぁ、やっぱ」
 ひえええっ
 音からしてたぶん床に落ちたんだろうけど…
「はっはあっv
 いいかおれの可愛いリナを泣かせやがったら、インバース家総動員で三日以内にてめえ仕留めるからなっ!その派手な頭によっく刻みこんどけよっ」
 おぉイテぇと手を振ってるらしい父ちゃん。

「泣かせやしないさ」

 ……いかん、今日は涙腺緩いぞ。
 あたしは頬を抑えながら部屋へ戻った。

 ―――明日は収穫祭。

                                /続/
*********************************************************************
はいっ。謎がさらに増えてしまいした。
困りましたね〜☆

ワインについてですけど、みていはなんちゃって知識しか持っておりませんので、『ウィーネ』の設定など完全にオリジナルです。
葡萄踏み踏みは、以前そんな絵を見た気がするので使わせていただきました。男性もやってたらどうせいなぁ…謝るか。うん。
補足ですけども、『ウィーネ』がやりたいがためにリナは想いを伝えたのではなく、どもったのは、条件(本文には出てきませんでしたが)「女性魔道士&巫女なら誰でも気にする『あの日』でないこと」の確認だったからです。
…街中じゃすでに公認なんですね。二人の仲v

区切りが悪くなってしまったので急遽前後編に分けました。
とっとと後編あげる予定なので大目に見てください。
しかもさらに続きそうだし…

こんな気分屋みていではございますが、是非最後までお付き合いを。
よろしかったらコメントくださいねv
以上みていでしたv多謝。



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13807Familiar5 「収穫祭(後編)」みてい 2/20-17:15
記事番号13673へのコメント

はいこんにちは。みていでございます。
砂糖の蟻地獄へようこそお越しくださいました。
この話で「Familiar」は区切りとなります。
最後まで是非おつきあいの程を。
******************************************************************
「んじゃ、参りましょうか?お姫様」
 彼はそう言って、あたしに手を差し出した。


【収穫祭(後編)】


 ぽん。
 ぱぽん、ぽんっ
「ん〜〜〜…」
 外で花火の音がする。
(そっち運べー!)
(花はどうしたぃっ?)
 聞こえてくる声が、歓声が、今日の祭りを盛り上げる。
 どんどんっ
 あ、今度はノックの音だ。
「リナ!いつまで寝てるのっ!!」
「ねーちゃんっ!」
 まだ空も白み始めたばかりだが、戸の向こうで聞こえるねーちゃんの声に朝のまどろみは彼方へと消えた。
「ほら早くっ!」
 急いで身支度をすると家の前で腕まくりをしたおばちゃんたちが笑顔で迎えてくれた。
 …人間、切羽詰ってくるとわけもなく笑いが零れるものである。

 ちゃぷん。

 あたしは街の露天風呂に連れて行かれ、言われるまま湯へ身体を沈めた。
 普段は誰もが利用出来る場所なんだけど、今はあたししか入っていない。というか、他の人は入れない。
 あたしから向かって右には川のせせらぎがあり、四方を取り囲むように木が乱立している。
 天から降り注ぐ木漏れ日が湯に溶けて反射し、すくって手から零れさせればきらめきが滴り落ちる。
―――ゼフィールシティに住む人なら誰でも知ってる教えたくない場所の一つだ。
「リナちゃん、茹ってないね」
「ん」
 温泉というには温度が低いため、ゆったりくつろぐにはいい温度だ。
 おばちゃんの声にあたしが答えると、からからと引き戸が開いてカゴを抱えてねーちゃんが入ってきた。
 カゴの中にはたくさんの葡萄の花。
 ねーちゃんはその一房一房を大切に湯に浮かべる。
 周りは薄紫の花房で埋められた。
「あなたの風呂好きは知っているけれど、適当に切り上げてね」
 それだけ伝えて、ねーちゃんはすぐ出て行ってしまった。
 残されたのは、花と、あたし。
 あたしは花を一つ、湯からすくいだす。
 手から溢れてしまうような、大きくて存在感のある花。
 今あたしの周りにある花は、全部ガウリイの摘んだもの。
 今年の夏、結実するために咲いた生命力の塊。
 まだ朝露の残る(時期によっては霜)うちに、一本の木から一つだけ、貰い受ける。
『ウィーネ』に会えない婚約者が相手に贈る、唯一のもの。
 ―――婚約者。

 ばしゃばしゃばしゃっ!

 今更でも何でも。
 照れるものは照れる。
 悪いっ!?
「リナちゃん何暴れてるのっ!遊んでるなら出てらっしゃいっ!!」
「も、もうちょこっとダメ?」
「あとちょっとだけだよっ。皆待ちくたびれちまうよっ」
 とりあえずあと少しは時間をもらえるらしい。
 気配が再び遠ざかったのを確認してたぷんと首まで沈み込んだ。
 あたしの起こした波に花が揺れる。
 その姿がまるで笑ってるみたいで。
**************
「うん。似合う似合うv」
 着替えたあたしのあちこちから見回して正面まで戻ってきた母ちゃんは満足げに笑みを浮かべた。
「ほんとに、似合う?」
「私の目を信じなさいv」
 あたしも鏡の前で一回転。
 布をたっぷり使ったスカートの裾がひらりと踊る。
「リナは美人さんだから作り甲斐があったわ。いい思いさせてくれてありがとう。リナ」
「ううん…」
 母ちゃんはあたしの寸法を採った後、ほとんど休み無しでこのワンピースを作ってくれた。
 襟の無い、ノースリーブでシンプル。
 足首まで届くスカートにはたっぷり生地を使ってるのに重みを感じなくて。
 何の装飾も無い、純白のワンピース。
 ―――将来、この服を素地にドレスが作れるように。
「ほらリナ。これもかけて」
 今度はねーちゃんが柔らかいレースを被せてくれた。
「…すごい」
 一目でわかる。一点ものの極上品だ。
 ―――家族の愛を、布に託して。
「あたしの見立てよ。感謝なさい」
 ねーちゃんもまた満足げに笑って。

「おう、出来たかぁ」

「ダーリン、女性のいる部屋に入るならノックしないと。ねv」
「お、お…う。スマン」
 ばたむ。
 どん(1回)。
「お〜い、入っていいかー。いいよなー」
「入っていいわよ」
 かちゃり。「おっさすがおれの娘だけあって別嬪だなぁ」
「「………………」」
 そんなサムいやりとりに娘二人はあからさまな溜め息を吐いて。

「リナもそんな歳なんだよなぁ」
 ぼそっと父ちゃんがぼやいたのは母ちゃんとねーちゃんが部屋を出てってしばらくしてから。
「何よ唐突に」
「以前はこ〜んな小さかったリナがなぁ…」
 おい父ちゃん。それじゃあたしは小人さんか。人差し指くらいしかないじゃない。
「さみし〜な〜♪」
「やめないわよv」
「ちっ。言い出したらきかねぇ娘だったからな。お前もルナも」
 がしがしと頭を掻き、咥えたタバコをぴこんと動かす父ちゃん。

「リナちゃ〜ん、そろそろ出番だよ〜〜〜っ!」

 窓から身を乗り出せば運営委員のおじさんが手をぶんぶか振り回している。
「親子の語らい邪魔すんじゃねーよー」
「そんな困るって。早く来てもらわんとこっちも段取りが…」
「あぁもぉわかったからンなにけんけん言うんじゃねーって」
 再び父ちゃんは頭を掻いて。
 火の点いていないタバコをぺっと吹き飛ばすと弧を描いてゴミ箱へ消えていった。
「『ウィーネ』の父の大役、果たさせてもらうとしやしょうかね。
 …んじゃ、参りましょうか?お姫様」
 少しおどけて手を差し出す父ちゃんに、
「よろしくね」
 と身を寄せた。
********************
 わぁっと歓声。
 拍手とともにあたしと父ちゃんの進路を開けてくれる。
 あたしは父ちゃんに抱き上げられてその道を進む。
 道の先には、あたしと同じ年数を生きてきた葡萄樹の実を納めた樽。
 そして樽の傍らには、ガウリイ。

「綺麗よ、リナちゃん」
「役得だなぁ、オヤジさんよ」

 父ちゃんはゆっくりとその歩みを進める。

「やっほうガウリイ」
「おうっリナ」
「おまえら、もっと色気のある会話しろよ」

 樽の上へと続く階段を上って、父ちゃんはあたしを葡萄の海にそっと下ろした。
 素足に葡萄の実の弾ける感触。
 あたしは裾を持ち上げて一回一回感触を確認しながら踏み込んだ。
 やがて果汁は溜まり、下の栓を捻る。
 とろとろとゼフィーリア独特の赤紫色の果汁を直接グラスに受け、
「わっぷ」
「けっけ。美味いだろうv」
 本来は父と娘の婚約者がグラスを合わせて一気に飲み干すというのが通例なのだが。
「ひっでぇなぁ」
 父のアドリブにより彼の者は金に赤紫の色合いを添えた。

―――収穫祭の『ウィーネ』は
 豊穣をもたらしてくれた大地と風に感謝を
 娘に祝福を
 そして父から彼の者へのあてつけを
 そのすべてを象徴する存在
 何より、誰よりも強く輝かんことを願う存在―――

                                 /了/
*******************************************************************
あっはっは(汗だく)
なんかリナちゃん結婚したみたくなっちったい。
まだしてないんだけど…してないんだけど…ふっ。
自分で書いてて吐きたくなるほどの甘さです。

4、5はリナ父が出張りました。やっぱしやんちゃな方です。

前作・本作で張った伏線、処理できてませんね〜☆
引っ張りすぎで伸びちゃったかも。
でもどーしてもその場面でないと嫌だったので、引っ張ります。
今回散々だった彼に「言って」もらわないと不公平ですよねv(何が)
ということで。
しつこくも次回作を考えてますが、困ったのが登場人物。
海に漂っているらしい彼女はもう出ないつもりですが、オリキャラを何人も出せるほどみていはネーミングセンスがよくないので(謎)
そのいち。再び旅に出た彼。
そのに。王宮でむずがゆがってる彼女。
そのさん。ハウリング○ードを持ち歩く彼。
そのよん。不幸に見舞われる街出身の彼女。
そのご。「かわいい子猫ちゃん」と呼ばれて喜ぶ彼女。
…………………………う〜ん。まじに未定ですわ。この人たちの誰かになるとは思います。

ではでは、ここまでおつきあいくださってありがとうございました。
また是非おつきあいください。
コメントいただけば幸いです。

以上、みていでございました。多謝v






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13816うう。ヤられました、ガウリナ毒に(笑)あごん E-mail 2/20-23:28
記事番号13807へのコメント

こんばんは!あごんでぃすっ!
読みましたぁっvvv
familiar5!!

うふふふふふふふふふふふふふふふふ(壊れ中)。
リナがかわいいっ!!
羨ましいですぅ〜、こぉんなに可愛いリナが書けるなんて。
入浴場面なんて、臨場感あふれてますよねぇ。
あーゆー表現とか好きです。
センスの良さを感じる文章でした。

そしてリナ父!
実は私も外伝を読んでないのですが。
うみゅ、でもかっこええ!!

ガウリナの割にはガウリナの会話がないのに、ちゃんとガウリナ!
これは素晴らしいです!
実は今、短編でそーゆーの書こうかなぁと画策しておりましたが、この作品の後では書けません(笑)。
ちょっと比べられてしまう(笑)。

ではでは!ナーガの報復(笑)が気になるあごんでした!
次回は是非、お姫さまをvv

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13822甘すぎると毒になる(笑)みてい 2/21-08:29
記事番号13816へのコメント

>こんばんは!あごんでぃすっ!
>読みましたぁっvvv
>familiar5!!
ありがとうございますでぃす、あごんさんv

>うふふふふふふふふふふふふふふふふ(壊れ中)。
>リナがかわいいっ!!
>羨ましいですぅ〜、こぉんなに可愛いリナが書けるなんて。
>入浴場面なんて、臨場感あふれてますよねぇ。
>あーゆー表現とか好きです。
>センスの良さを感じる文章でした。
い、いやぁそこまで言われてしまうと照れますわぁ…

>そしてリナ父!
>実は私も外伝を読んでないのですが。
>うみゅ、でもかっこええ!!
やっぱやっぱ、「やんちゃ」です。話が微妙に進まない(笑)
>
>ガウリナの割にはガウリナの会話がないのに、ちゃんとガウリナ!
>これは素晴らしいです!
5では一言しか会話してませんね。確かめてみたら。少ないですね〜。
でもちゃんとガウリナになってましたか?よかったですv
>実は今、短編でそーゆーの書こうかなぁと画策しておりましたが、この作品の後では書けません(笑)。
>ちょっと比べられてしまう(笑)。
いへ、書いてください。画策してください。読みたいでっす。
>
>ではでは!ナーガの報復(笑)が気になるあごんでした!
>次回は是非、お姫さまをvv
超合金の姫様ですね。うみゅっ!!(したっと手を上げる)

あごんさま、みていの文章にコメントつけていただき有難うございました。
次回作も是非ご贔屓のほどお願いしますv

以上、みていでございました。多謝vv