◆−ガブリエフ家の食卓(気まま問題外編)−CANARU(1/31-09:49)No.13366
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  ┗まさに命懸けです〜(爆笑)−CANARU(2/3-09:55)No.13420


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13366ガブリエフ家の食卓(気まま問題外編)CANARU 1/31-09:49


ナポリ、ヒチリアを取り仕切るまだしも合法的なマフィア組織「カタート」。
その若き総帥、ゼロスは実はルクセンブルク公国『ワルキューレの騎士団』
の副旅団長にしてリナの義兄、そしてそのリナはルクセンブルク公国の公女
だったりする・・・・・。
そしてその日も何時もの如く・・・・・・。
「・・・・リナさん・・何やってるんですか・・・?」
その日の事件は・・・ど〜やら台所から起こったらしい。
顔を引き攣らせ、先程彼自身がトイレに行く直前、正確に分量をはかり、砂糖、ミルクの計量にも細心の注意を払い・・・・・・・・。
そして、お湯の温度、カップの温め方にもと〜〜〜〜〜っても気を配った好物のココアに何かを混入しよ〜としているリナにゼロスは尋ねる。
「・・・ん〜〜・・一寸・・ドクニンジンを・・入れようとおもって。あはは〜♪」
「・・・ドクニンジンですか・・・。そりゃ〜〜すっごいですねえ・・。て、ゆ〜か貴方、ンなモン入れたら普通死ぬでしょ?」
「大丈夫、大丈夫。かの古代ギリシャの哲学者、ソクラテスもこのドクニンジンの入った杯をあおったわ〜〜〜♪」
「いやですね〜〜リナさん。そりゃ〜〜古代アテナイの一般的な『処刑』方法でしょ〜♪」「大丈夫よ・・・。ガキの頃から毒に慣らされた体質の人間って、致死量の毒を飲んでも普通死なないっていうでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
無邪気に(?)言うリナの一言にたちまちゼロスの顔色が青ざめて・・・・。
「・・・子供の頃から・・ど〜〜〜も・・・時々原因不明の体調不良が僕にはあったんですよね・・・・。で・・・それは・・僕が繊細に出来ているから・・そ〜だとばかり思っていたんですけど・・・リナさん・・・貴方・・・・・・・・・・・・・・。」
「さ〜〜お仕事、お仕事。さっさと居眠りしてるガウちゃん叩き起こしてお仕事しなくっちゃねえ〜〜〜♪」
「・・・・質問に答えてください・・・。一寸・・・リナさん・・・・。」
なにやら不満そうなゼロスを残し、とっとと何処へとも去っていくリナ。
そんなゼロスの肩をポン、とアメリアは叩き・・・・。
「ゼロスさん、諦めてください。毒殺の常習犯は当初の目的は『遺産』『暗殺』などの目的を有し、その残虐な計画を実行するといいます・・。しかし・・・・。その『毒殺』計画が成功すればするほど・・・その行為は更にエスカレートし・・・。ついには『癖』ないしは『マニア』になると言われています・・・・。」
「・・・・むちゃくちゃ恐ろしいこと言ってるよ〜なきがするんですけど・・・・。
アメリアさん・・・・・・・・。」
「・・・・・別に良いんじゃないか?ど〜せ被害にあうのはコイツだけなんだ。」
ゼルの冷徹な一言にクシュンクシュンと半泣きしながらフテ腐るゼロス・・・・。
かくして・・・・・・・。
「うわああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜不味い〜〜〜〜〜〜〜!!!」
すっかりリナの悪戯も悪癖となっていたのだろう・・・。
『青汁』を昼寝の最中、口の中に流し込まれたガウリイの絶叫が隣室から木霊するのだった・・・・・・。


「まったく・・・。何で俺がこんな目に・・・。」
ブツブツとガウリイは先程から酷く不機嫌である。が・・・リナは。
「大口開けて、涎たらして居眠りしててから面白いかな〜〜〜っと思って。」
味も素っ気もないリナの言葉にガウリイは否応なしに沈黙するしかない。
「で・・・なんでエジプトくんだりまで今日は来てるんだ〜〜?」
早速青汁を飲まされた直後に空港まで引っ張って来られ・・今このエジプトのアレクサンドリアに出張してきている・・と言う訳である。
「内情は今ジョヴァンニに〜さまが調べてくれてるんだけど・・・。昔、あんたが所属した『フレイの騎士団』の不祥事を調べて来いって命令よ・・。」
「・・・調べてる・・・・???」
その一言にさしものガウリイも怪訝そうな顔をする。
「ええ・・・。あんたの親父さん・・・。フレイの騎士団の元旅団長がキーワード的にしか自白しよ〜〜としないんですって・・・。」
アレクサンドリアの日差しがまぶしいのか・・リナは頭をボリボリと掻き揚げ、眩しそうに目を細めながら言う。
「・・・あんのクソ親父・・・。で、キーワードってのは?」
「・・・・・『古代ローマの損害』と『クレオパトラの饗宴』ですって・・・。」
まあ・・クレオパトラの饗宴といえば・・エジプトのアレクサンドリアである。
更に言えば・・最近海底から腑抜けの夫、アントニウスが釣りをしているのをクレオパトラが怒鳴りつけた・・という場所も発見されている・・・・。
「はあ・・まあ、別にい〜けど・・。で、リナこれからど〜するんだ・・・。」
「ローマの損害・・。それはまずもって『お金』(金の含有量の多いコイン)だと思うのよ。実際、ローマは・・・東方との貿易で大打撃を受けてるわ・・・。」
少々考えながらリナは言葉を紡ぐ。
アレクサンドリアの港町・・・・・・・。
カエサルを魅了したクレオパトラの宮殿のあった場所か。
成る程、確かにコレほどまでの富を見せ付けられれば、カエサルとてポンペイウスなんぞとゆ〜貧乏人の同属の敵を追っかけ回すのはアホらしくなるかもしれない。
東方に夢を抱き、喧嘩するきっかけをふっかけるほ〜がよっぽども有意義な事である。
しかし・・・・。
「でもよ〜、『貿易』って、一応お互いの利益を得るための事だろ〜?なんで・・ンなことになったんだ〜?」
「・・・ガウリイにしては良い質問。ローマの東方から買い上げたものは・・・。
『消耗品』だったのよ・・・。黄金とエメラルド、絹と銀を交換するのとは訳が違うわ。」「・・・?消耗品で高価なモンと同じ価値のものなんかあるのか〜〜?」
・・・珍しく今日のガウリイは鋭い。
「あるのよ、それが!!飯に使う『スパイス』よ!!塩は自給できるとしても胡椒、サフラン、更には芥子にエトセトラ・・・。ヨーロッパでは決して手に入らない香辛料を単なる『贅沢』の為に金や銀の『貨幣』と交換したわけ!!」
許さない!!とでも言うようなポーズをとりながらズイっとガウリイに詰め寄るリナ!
「・・・わかるなあ・・・旨い飯・・俺も食いたい・・・・・・。で・・それでナンか問題あんのか〜〜〜?」
ズベ・・・・・涎をたらしてとんでもね〜(ある意味彼らしい)事をカマすガウリイにリナは思いっきりコケ、海に落っこちそうになるのを辛うじて堪える。
「あ・の・ねえ〜〜〜〜!!腹に入れば消え去るスパイス!!永久に価値が普遍の黄金!!その『差』ってモンを考えなさいよ!!『差』を!!それがローマ国内ではなくて海外に流失すんのよ!!」
「・・・・・で・・・それで・・ど〜なるんだ・・・?」
流石にリナの勢いに圧倒されたのか・・汗を浮かべつつガウリイ。
「経済の破綻よ!!金本位経済の弱みって奴ね・・・。貿易先の国に金が溜め込まれたり・・。インド辺りでは穴を開けられて首飾りにされたっていうじゃない・・・。当然、金貨がローン国内に還元される事はなくなるし・・下手すりゃ〜質の悪い金貨が出回って経済だって大混乱よ!」
「・・・・そっか・・・とにかく・・大変なんだ・・・。で・・・今回の事件との関係は・・?」
「・・・ど〜やら・・ルクセンブルクの国庫の金が大量に何かと交換されたらし〜んだけど・・・。その物資が発見されないって事は・・・・・。」
「・・・『消耗品』・・だったて事だな・・・?」
「そ・・・。真坂飯の為のフリカケや胡椒や化学調味料と金が交換されるわけ無いし・・。ここは・・『非合法』な何か・・そう考えるほうが頭良いわね・・・・。」
「・・・薬って訳か・・・・・。」
ここに至り、ようやっとガウリイも事の重要性に気がついたらしい。
暫し、彼は瞑目し・・・そしてやおら・・・・・。
「ふっざけるなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!そ〜〜〜〜んな残酷な事!!僕は死んでも出来ないねえ〜〜〜〜〜!!それなら・・・・・。」
不意に聞こえる・・・・・。よく見知った・・出来れば絶対聞きたくない・・・声・・。
「・・・なあ・・リナ・・あの声・・・オマエの中学時代の同級生の・・・。」
言うまでも無い・・・・・。
ナルシスト、危な系のロクデナシ・・・英国貴族と日本人女性のハーフ、自称超絶美形、銀髪、直ぐキレる・・・と言えば・・・・・・・・・・・・。
どんがらがっしゃ〜〜〜〜んがらがらがっしゃああああああ〜〜〜〜ん!!!!
不意に金具が崩れ落ちる音が聞こえる・・・・。
そして・・これまた見覚えのある一人の女性が見事にオープン・レストランの看板の下敷きになり・・・・・・・・・。
「ああああああ〜〜〜〜!!ね〜ちゃん!!ここの勘定支払わないで身罷っちゃいやだあああ!!って・・ガウリイさんにリナさんぢゃないですかあ〜〜〜!!?」
「よお〜♪廻!!ひさしぶりだなあ〜〜〜♪」
これまた見知った日本人のクラゲ仲間の少年に声をかけ、挨拶するガウリイ。
「・・・一寸・・廻・・おね〜さん・・ま〜た被害にあったようだけど・・・。『あはは〜♪しめしめ、これで緋雨裡ね〜ちゃんに『受験勉強しろ!!』って当分の間怒られなくて済むぞ、あはは〜♪』とか思ってるんじゃないでしょうね・・・?」
リナの何気なく言ってみた突っ込みに・・・・。
「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
マトモに動揺する廻!!って・・ゆ〜か・・良いのか?出歩いてて・・受験生・・・。
「・・・君達・・よ〜〜っくも僕を無視して話をすすめてくれたね・・・・。」
背後でひとしきり忘れ去られていた存在・・リナの中学時代の同級生・・氷が此方を睨みつけながら一同にそう威嚇をする!!
「・・・あんた・・居たの?不貞腐れてさっさとご帰宅したと思ったわ。」
係わり合いになりたくないリナは出来るだけ冷淡にそ〜対応する。
「・・・言ってくれるね・・・ってゆ〜か!!廻!!これはど〜ゆ〜事なんだい!!」
半ば怒りの形相を顔に浮かべつつ、氷はビシっとテーブルの上を指差す!!
「・・・・旨そうな・・鳥の丸焼きだなあ・・・・・・・。」
ヂ〜〜〜〜・・・・既にガウリイの視線は其方の方向に釘付けである・・・・。
が!!キっと其方の方向に視線を送りつつも氷は・・・・。
「フン!!鶏肉を食べるだって〜〜〜〜!!とてもじゃないけど!!僕にはそ〜んな残虐な事は出来ないね!!ああ・・この鳥も・・・つい一ヶ月前までは自由に大空を・・・。」
「・・・・鶏が空飛んでたまりますかい・・・・。」
リナの突っ込みに・・しかし氷は慌てず、騒がず、しっかりと・・・・。
「やだね・・・鶏肉を食べる野蛮人は。これだから愛鳥保護団体も嘆くんだ!!」
「・・・単に・・オマエ自身が鶏肉嫌いなだけぢゃね〜〜のかあ・・・?」
さしものガウリイも呆れ果て・・・そう言う・・・。
「はん!!ナンとでも言うが良いさ!!この僕に・・鶏肉を出した罪は重いよ!!
この店を貸しきって僕が一流ディナーを・・・・」
言うが早いか。店の厨房を占拠せんかと言わんばかりに歩き出す氷を・・・。
「・・・誰がてめぇの腐乱酢(フランス)料理なんか食うか〜〜〜〜〜〜!!」
何時の間にか復活した緋雨裡の怒りのパンチが炸裂するのだった・・・・。
「・・・いこっか・・・ガウリイ・・・・。」
「ああ・・・なんだかなあ・・たく・・。何処の家でも食事に関する事になると・・。
喧嘩が絶えないもんだぜ・・・・・。」
なにやら訳の分からない感想を述べつつガウリイはリナの後について惨劇の現場を離れるのだった・・・・。


「そうそう、リナ・・。飯まだだったよな・・・?」
歩いていたリナに後ろから不意にガウリイが声をかける。
「・・・ええ・・。まあ、さっきの騒動だし・・。あの店じゃとても食べてる暇ないしね。」「・・コレ、か〜さんがリナに渡すようにって。結構料理好きなんだぜ?か〜さん〜♪」
「そ、あんがと。」
ガウリイに貰ったオーリママお手製クッキー片手に・・・・。
さしあたり今日は宿舎に引き揚げる事にするリナとガウリイだった・・・。


「ガウリイ・・。今回は別行動をとるわ・・・・。」
不意に深刻な表情をし・・リナは翌朝食事をとっていたガウリイの目の前に現れたのだった。
「・・・リナ?」
何時もと様子が違う・・尋常ではない・・・。そう察したガウリイは既に後姿を彼に向け、その場を走り去っていこうとするリナの腕を咄嗟に掴む!!
「離して・・・お願いだから・・・・・。」
声に焦りすら含んでいる・・・・。
「何を・・・知っているんだ・・・?」
ビク・・・・・やおらリナの顔に動揺の色が浮かぶ事を見逃す筈が無い・・・。
そして、リナ自身も隠しとおせないと察したのだろう。
もはや開き直った態度すら浮かべ・・・・。
「・・・言えないわね・・・。まあ・・言ったところで・・あんたがど〜にか出来る
事じゃないわ・・・・。」
苛立ち・・そして微かな怒りすら含んだ刺々しい口調。
「・・・・俺を・・・信用できないのか・・・?」
こんなリナの反応は初めてである。第一・・何事も告げないなど・・・。
話にもならない。
「・・・今回ばかりは・・譲れない・・・。悪いけど・・アタシの勝手にさせてもらうわ!!」
振り切るようにガウリイの腕を払い、彼が呆気に捕らわれている隙に既にリナの姿は其処から消え去っていた・・・・。
「・・・・リナ・・・・・・・・・。」
追ってはみたものの・・・既に其処に彼女の姿は消えていた・・・・。
「・・・何だよ・・アイツは・・・・・・・。」
きっぱりと『信用できない』・・・・そうとまで言い切られた。
「・・・俺の立場も・・たく!!アイツは!!」
怒りながら暫くは『放っておけ!!』とでも言うような自棄になった気持ちが芽生える。が・・・・。
それも一瞬の事である。
「・・・やっぱり・・勝手にはさせられないな・・・・・・・。」
ふう・・・と重いため息をつきながらガウリイはアレクサンドリアの町にリナを探しに
繰り出していくのだった。


宿舎を飛び出し、街道に出ようとしたその時・・・・。
ズドン!!!!!!!!!
何かにぶつかるが・・無論ガウリイにはあまり衝撃は無く、ぶつかって来た方が一方的に尻餅をつく!!
「・・・あ・・すまないって・・・ガストン!!!!!???」
急に現れた弟にガウリイは驚愕の声をあげる!!
「いでぇ・・てめ・・気をつけやがれって!!馬鹿兄!!てめ〜〜なあ!!ま〜った
ボ〜〜〜〜っとして歩いてただろ!!なお更気をつけやがれよな!!ったく!!」
「・・・オマエ・・最近言葉づかい悪くなったな・・・・・。」
「・・うっせ〜ぞ、馬鹿兄・・・。今俺は死ぬほど忙しいんだ!!てめぇの暇な散歩に付き合ってる・・・って・・・何処つれていきやがる!!誘拐現行犯で訴えるぞ!!」
気付いたときには既に遅し・・・・。
ずるずるとガウリイに腕を引っ張られて連れ去られそ〜になってるガストンは大慌てで抗議するのだが・・・・・・・・・・。
「ガストン〜〜〜〜・・リナと離れ離れになったんで・・・リナ探そうと思ったら・・・俺・・迷子になったんだ〜〜〜〜・・一緒にリナを・・探してくれえ〜〜〜・・」
「・・・・・分かったから死ね・・・・・・・・・・・・・・・・・。とにかく!!『仕事』が終わってからな!!」
泣きながら訴えてくるガウリイを振り払いながら悪態をつくよ〜にガストンは答える。
「『仕事』・・?受験勉強か・・・?」
「・・阿呆、受験勉強するくらいならなあ・・・オリジナル・パスタぜ〜〜んぶ食い尽くしたほ〜が100倍マシだぜ。俺、勉強嫌いだもん。まあ、聞けよ。アレクサンドリアに巨大な『薬』の密売があるらし〜んだよ・・・・。で、その取引現場をって・・・?」
・・・・・・・薬・・・コレだけ探しても・・見つからないリナ・・・・。
自分を信じられないと言った理由は定かではない・・・のだが・・・・。
今回のキーワードにもあまりにも酷似している・・・。
もしかすると・・・リナは・・・・・。
「ガストン!!今すぐその場所に案内しろ!!!!」
「・・・お・・おい・・・?馬鹿兄・・・????」
まあ・・ガストンとしても今からその場所に向かうところだったので依存は無い。
かくして・・・・。


薄暗い船着場にはガラの悪い数人の人物・・・・・。
いかにも『何か悪巧みをやっています』と言うような数人の人物がたむろしていた。
間違いなくこの場は密輸出の現場に違いない。
そう確信したガウリイとガストンは物陰に潜んでこっそりと出て行く『隙』を見計らう。
「・・・でもよ・・親父・・あ〜みえても中々の切れモンだぜ・・?こ〜んなチンケな悪党とつるむよ〜な真似・・するか・・・?」
「・・・・取引相手がこいつらしか居なかったんじゃね〜のか・・・?それに、じゃあオマエはナンでこいつら追跡してたんんだよ・・・?」
「・・・・・暇つぶし・・か〜さんが今アジア旅行中なんだよ・・・・。」
「・・・・聞いた俺が本物の馬鹿だった・・・・・・。」
ともあれ今は追い詰める事が先決・・である・・・・。かなり間抜けな兄弟の会話だが。
「で・・『目撃者』はどうします・・・?」
耳を澄ますうちに密輸業者の一人が上層部らしい人物に声をかける。
「な〜〜に。このコーヒーの麻袋に詰めてある。基本的だが、海にでも放り込んでおけばいい。」
そんな会話がここまで聞こえる。
「・・・・真坂・・・リナさん・・・??」
ここにいたってようやっとガストンにも緊張が走る。
「・・・ああ・・・下手をすれば・・・な・・・。」
辛うじて焦りを押さえ、ガウリイは物陰から密輸の物資に銃口を構え・・・・。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!
引き金を引くと同時に放たれる音・・・。そして・・破損部分から流れ出る白い粉・・。
「・・・あれは・・・間違いない・・・。」
「・・・『麻薬』って奴か?」
すかさず駆け寄り、そのものを調べるガストンに敵と交戦しながらも尋ねるガウリイ。
「ば〜〜か、ンな生易しいモンじゃね〜よ!!コイツはかのボルジアの毒薬、カンタレラの複製品だ!!これを・・・・・・。」
「・・・政府要人に売りつければ・・・って訳か!」
これならばフレイの騎士団が介入した理由も・・分かる・・・・。
そうのこうの言っている間に、敵は大方倒されて・・・・・・・。
ガウリイとガストンが証拠物件を持ち、その場を引き揚げ『目撃者』を救出しに行こうとしたその時だった!!
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!!
不意に背後から聞こえる銃声!!
辛うじてそれをかわすが・・・まだ敵は何処かに潜んでいる!!?
そう気付くに至り、再度ガウリイは獲物を構えるが・・・・再度不意打ちにまた新手の敵が現れる!!?
「・・・間に合わない!!!!!!!」
そう察知したその瞬間・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ドンガラガッシャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンン!!!!!!
見事に伏兵全員が・・・船の渡り橋から蹴り落とされたドラム缶の犠牲となって潰れるのだった・・・・・・。
「・・・・まったく・・世話やかせんじゃ無いわよ・・・・・。」
其処に佇むのは・・・なぜかイリジウム携帯電話と・・ハンディ・パソコンを手にしたリナだった・・・・・。
「・・・リナ・・・?????」
「何よ、馬鹿ガウ。落ち着いてハッキングも出来ないじゃない!!何こ〜んな雑魚やっつけて楽しんでるのかしら・・・?あ、そうそう、ガストン君。オーリさん、急遽明日には帰国する・・ですって・・・。」
リナの一言にやら顔色をかえるガストン・・・・。まあ、無理からぬことだろうけど。
「・・・リナ・・無事だったのか・・・?」
「何のこと・・・・?????」
「いや・・だって・・その・・・・・・・・。」
コーヒーの麻袋に人質・・・そう言っていたが・・どうやら・・リナではなかったらしい。一応その人質を助けなければ・・とガウリイが思ったその時である。
『ずぎゅううううう!!こほぼふきゅにゅいおくよくいにぃえりょじゅぎょぅぽ〜〜〜〜〜!!きゅむぽむぉんこびびょおおおおおおおおおおお!!!!(ちょっと!!この美しい僕をこ〜〜んな布袋に閉じ込めるってど〜ゆ〜事!!訴えてやるううううう!!)』
「・・・なんだか知らないけど・・助ける必要は無いわね・・・・。」
「そ〜だな・・・・・・・・・・・・・・・。」
何故氷が目撃したか・・それは永遠の謎である・・・・。


「なあ・・リナ・・。オマエ・・俺を信用できないって・・ど〜ゆ〜意味だ?」
帰国してからず〜〜っとこの質問攻めである。
最も、ガウリイには今回の事件の概要は説明していない。
『解決したからさっさと忘れろ』では・・・いくら彼がクラゲでも納得はしない・・
というモンである・・・。
「・・・世の中には・・知らないほうが幸せって事もあるわ・・・・。」
深刻な顔のリナになおもガウリイが詰め寄ろうとしたその時・・・。
「ちょいと・・リナ・・。伝票、今更発見されたよ。ま〜・・シュレッダーされたと思って半ば諦めてたんだけど・・運が良いね、あんたさ〜♪」
急にラウラがバタンと足で扉を開けて室内に入室して来る。
「・・・伝票・・・?」
手振りでリナがラウラに退室をお願いするよりも早く・・バシっとガウリイはその伝票を引っ手繰る!!
「お〜い!!リナ!!態々調査させて済まなかった!!奴は吐かなかったが・・・・。
つい今しがた『証拠物件』が押収された!!ま・・・あんだけ買い込んどいて・・・。そ〜簡単に『食いきれる』訳ね〜しなあ・・・・。」
これまたひょっこりと現れたジョヴァンニが手を振りながらリナに言う・・・・。
「・・・・おい・・・リナ・・ど〜ゆ〜事だよ・・。この『高級スパイス』・・・『高級化学調味料』・・・更に言えば・・『胃薬10年分』って・・・・・。」
震える手で伝票を握り締めながらガウリイはリナに言う。
「・・・古代から中世にかけては・・無論、冷蔵庫・・なんてゆ〜モンは存在しなかったわ・・・。其処で・・ヨーロッパの人々は・・アジアから輸入されるスパイスを料理に用いて多少の臭み、痛み、味の劣化を押さえたの・・・・。でね・・・・更に言えば『保存』にもそれらは用いられ・・・・・・・・。」
額に微かに汗を浮かべつつ・・訳の分からないはぐらかしをガウリイに説明するリナ・・。そして・・その間にも廊下から少女の泣き声が聞こえ始め・・・やがて部屋に到達し。
「・・・リナおね〜〜さまぁぁ・・・ガスちゃんが・・・ね・・・。オーリお母様の・・お手製『スペシャル・パスタ』食べて・・・お腹壊して・・・入院しちゃたあああ!」
泣きながらそう訴えるのはエリザベス姫・・・・・・・。
「・・・つまりね・・ガウリイ!!あんたのお父さんは・・オーリママの不味い料理に耐えかねて!!!!!(好きとは言ってたけど・・あのクッキーの味!下手の横好き!
殺人的だったから分かったのよ!!)・・・国庫を使って『味』改良の品々と・・・『保身』の為に胃薬を買い占めたのよ!!!!」
し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・。
永遠に続くのではないかと思われる・・・。
重く・・そして辛く・・・・・・・・・・・・・。
冷たい沈黙が部屋を支配する・・・・・・・・。
しかし、それも本当に一瞬の事。永遠に続く闇など存在しない・・・。
バタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン・・・・・。
「・・・・すまん・・リナ・・・。俺・・・・母上の料理の・・殺人的な味・・・。
忘れてた・・・・あんなクッキー渡しちまって・・すまなか・・・・」
「そんな事忘れるな〜〜〜〜!!このクラゲってええええ〜〜〜〜〜〜!!!
ガウリイ!!ガウリイ!!」
不意にぶっ倒れたガウリイをリナは揺さぶり・・・・。
なおも彼はなにやらうわごとを呟いている・・・。
もっとも・・オーリママの料理の味を忘れ・・あんなクッキーすすめた事事態
『殺意無き殺人』行為といっても過言でもないのだが・・・・。
クラゲだからこの際この一件に関しては不問・・としよう・・・。
おかげで事件の真相もわかったわけでだし・・・・・・・・・。
「・・・こ〜〜りゃ・・完全にショックでぶっ倒れちまったね・・・。って・・ジョヴァンニ・・あんた、何泣いてるんだい・・・?」
やはり料理の殺人的なラウラを眺めつつ涙するジョヴァンニ・・・。
自覚の無いラウラも大したものであるが・・・。
彼女に自覚があった場合、ジョヴァンニの命は無い事は確実である・・・。
そんなこんなことになってる間に、既にガウリイの意識はトリップしてしまっている・。
「だああああ!!だ〜〜か〜〜ら!!この場合アンタは信用できなかったのよおおおおおおおおおお!!!!」
ショックで倒れたままのガウリイにすがりながらさしものリナもここぞとばかりに絶叫する・・・・。
かくして・・こうして一日も早く忘却したい事件は終わったのだった・・・。


(おしまい、本編へ続きます。)

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13408国庫を傾けた愛(笑)P.I E-mail 2/2-22:54
記事番号13366へのコメント

CANARUさ〜ん!お久しぶりですうううっ!!
しばらく来てなかったうちに、いつの間にか「気まま」と「魔槍」両方あっぷ
されてるし〜♪すごいですわっ!!
さてさて今回の事件、大本は・・・オーリさん!貴女でしたか!!
ガウリイが「結構料理好きなんだぜ〜」と言うのを見て、思わず白いエプロン着て
朝のキッチンで爽やかに微笑むオーリ・ママを想像しちゃいましたよ!
・・・見た目だけは素敵な主婦(笑)
ま〜人間、命にかかわるよーな経験とかすると、脳が拒否反応起こして
きれいさっぱり忘れてしまうことがあるそうだから、ガウリイが母上の料理のこと
忘れてたのもそーゆー事情が過去にあったからなんでしょうね、きっと(笑)
しかしそんな料理でも、国庫で買ったスパイスとか使ってちゃんと食っていた
フィリップとーさん。・・・これも愛、なんだと思いたいなぁ(^^;)残したら
命がなかったから、なんて理由じゃなくて。ははは・・・・(汗)

コミックス版「スレすぺ」2巻、買いました〜!当然ながらガウリイが出てない
のが残念ですが(笑)絵がかわいくてキレイです♪
ではでは引き続き「魔槍」の方で・・・・

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13420まさに命懸けです〜(爆笑)CANARU 2/3-09:55
記事番号13408へのコメント

>CANARUさ〜ん!お久しぶりですうううっ!!
>しばらく来てなかったうちに、いつの間にか「気まま」と「魔槍」両方あっぷ
>されてるし〜♪すごいですわっ!!
はい〜〜♪
この問題外編書いたら・・妙に創作意欲が沸いたので〜♪
>さてさて今回の事件、大本は・・・オーリさん!貴女でしたか!!
>ガウリイが「結構料理好きなんだぜ〜」と言うのを見て、思わず白いエプロン着て
>朝のキッチンで爽やかに微笑むオーリ・ママを想像しちゃいましたよ!
>・・・見た目だけは素敵な主婦(笑)
ですねえ〜〜!!
しかし・・実態は・・・。
砂糖を塩と間違えるのはもはや日常!!
ヘタすれば味噌汁にダシ入れないなんてもはや常識かも
しれませんしねえ〜〜♪
姿形はにこやかなのに!!!
>ま〜人間、命にかかわるよーな経験とかすると、脳が拒否反応起こして
>きれいさっぱり忘れてしまうことがあるそうだから、ガウリイが母上の料理のこと
>忘れてたのもそーゆー事情が過去にあったからなんでしょうね、きっと(笑)
ですね〜〜!!
きっと独り立ちしてからガウリイ!!
オーリママのお料理のことは忘却のかなたに!!
案外自衛から彼の料理の腕前はそうとうなモノかもしれませんね〜♪
>しかしそんな料理でも、国庫で買ったスパイスとか使ってちゃんと食っていた
>フィリップとーさん。・・・これも愛、なんだと思いたいなぁ(^^;)残したら
>命がなかったから、なんて理由じゃなくて。ははは・・・・(汗)
ははは・・・。
どちらにしても「命懸け」ですねえ〜〜!!
パパ・・きっとお小遣いも減らされたから国庫から・・という暴挙に!!?
>コミックス版「スレすぺ」2巻、買いました〜!当然ながらガウリイが出てない
>のが残念ですが(笑)絵がかわいくてキレイです♪
おお!!
もう発売されたんですね〜〜!!
アタシも今日捜索にいきま〜〜っす!!
>ではでは引き続き「魔槍」の方で・・・・
ではでは〜!