◆−スレイヤーズ!−デジタルワールドの冒険!−6−雪月花(1/28-14:25)No.13340


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13340スレイヤーズ!−デジタルワールドの冒険!−6雪月花 1/28-14:25


『〜〜〜〜っ!!』
一同、口を押さえて顔面蒼白にする。
まあ・・・・翔封界(レイ・ウイング)を使って水中をすすみ、そのため
乗り心地(?)は最悪なのだから、仕方ない。
「リ・・・・リナさん、もうちょっと安全運転・・・・」
「しょーがないでしょ!元々そーいうのうまくったってこーいう乗り心地なんだから!」
今一同は、海を渡って北北西の位置にある、エアフォルク山脈へと
向かっていた。
―――子供達は、デジモン達にかけられた術を浄化するため、
そしてあたし達は―――『あいつ』と決着をつけるために―――

「―――え?」
エアフォルク山脈に着いた途端のあたしのいきなりの発言に、太一くんの目が点になる。
「だから、あたし達はあたし達で決着つけるから、あんた達はデジモン達浄化
したらとっととここから離れなさい、っつってんの」
そう―――ゲンナイさんが、この世界の敵は自分達で何とかする、といったように、あたし達も、こちらの世界の敵であるジョイロックを、自分達で何とか
しなければならないのだ。
太一くん達まで巻き込むわけにはいかない。
しかし―――子供とゆーのはつくづく頑固であることを改めて実感した。
「何でだよ!今まで散々守られてばかりだったんだから、俺達だって・・・!」
「だからぁ!あんた達はあんた達であのピエロ男達と決着つけなきゃいけないんでしょ!?こっちもこっちで決着つけることにするから!」
「でもだからって・・・・!」
「・・・・美しき友情ってやつかい?お嬢ちゃん・・・」
『!?』
あたしが太一くんとそんな口論を繰り広げている時、聞き覚えのある声が
耳に届いてきた。
「―――出たわね、カエル魔族・・・・・・」
「勝手に変なあだ名つけるんじゃねえっ!ジョイロックだ!ジョイロック!」
「この際どっちでもいーでしょーが!」
「よくないっ!」
そしてその隙に、あたしとジョイロックとの決着云々の話はさておいて
元々デジモン達を浄化するのが目的でやって来た太一くん達は、頂上へと
向かう。
あたしはジョイロックの注意を子供達からそらすため(元々あまりないかも知れ
ないが)にワザとあんなことを言ったのだ。
いやホントだって。ホントにホント。お願い信じて。
「まあともあれ・・・・このままでいてもラチがあかねえな・・・・
そろそろ始めるとするか・・・」
この一言が―――戦いの合図となった。

攻防は長々と続いた。
両者ともに互いの攻撃をかわしてはいるが、こちらはそろそろ体力・魔力
ともに危ない。
・・・・さて・・・どうするか・・・・・
思った瞬間。
「ガイアフォース!」
どん!
いきなり輝くオレンジ色の光球が、ジョイロックにまともにぶち当たった。
「リナさん、大丈夫か!?」
「た・・・太一くん達!?逃げろって言ったでしょ!」
「―――あんた達はそうしてもらいたいかも知れないけど、一応俺達『仲間』
なんだぜ?」
ヤマトくんが、普段あまり浮かべない笑みを向けてくる。
・・・子供ってえのは・・・・
「セイントエア!」
・・・・おおおおお!?
光の粉のようなものが降り注いだ瞬間、あたし達の体力はみるみるうちに
回復した。
放ったのは―――げっ!?
「て・・・天使!?」
無論、デジモンが進化した姿だろうが、ガウリィが叫ぶのも無理からぬこと。
仮面で顔を覆ってはいるが、そこからかもし出される神々しさは、
まさに天使と同一視するに相応しいものだった。
「・・・しょーがない!みんな、手伝ってもらうわよ!」
『おうっ!』
あたしの言葉に子供達は、力強く叫ぶのだった。
そして大激戦が始まった!

「ガイアフォース!」「コキューバブレス!」「シャドウウイング!」
―――デジモン達の繰り出す技は、一応ジョイロックに少しのダメージを
与えてはいるが・・・そろそろケリをつけねば、みんな退化してしまうと、
光子朗くんは言っていた。
となれば・・・・・
あたしはガウリィの方を決然と向き、
「―――ガウリィお願い。今だけ光の剣貸して。―――勝てるかも知れないの」
「わかった!」
そして投げつけられた光の剣の柄を、ぱしぃっ!と受け取るあたし。
・・・・いーのかンなあっさり信じて・・・・?
「―――みんな!この剣の光に向かって攻撃して!」
そしてあたしは、バスタード・ソード並みの光の刃を、高々と天に掲げる!
「ガイアフォース!」「コキューバブレス!」「シャドーウイング!」
「ホーンバスター!」「フラウカノン!」「ハンマースパーク!」
「ヘブンズナックル!」「ホーリーアロー!」
―――そんな攻撃が、光の剣に収束し、刃は美しい、とすら言える程の
虹色の輝きを出現させた。
「へっ!いつかと同じテは通用するか!」
―――前、ガウリィの隙をついて光の剣を調べた所、こんなことがわかった。
―――例え竜破斬を二連発しても、あいつは倒せなかった、ということに。
あの光は魔族達が最も恐れる特殊な光で具現しており、あの光で攻撃力を
増幅していたからこそ、倒せた―――ということに。
つまり―――今までパワー・アップしたからにはあの時と同じテは通じない、
という考え、それこそが勝利への道を今まで塞いでいたのだ。
・・・・ま、『もーちょっと早く思い出せ、という説も、あるにはあるが・・・
そしてあたしの掲げた剣は、いつかのラウディ=ガブリエフの如く、その体を
真っ二つに切り裂いた!
ぐおおおおおおおおおっ!!
光の唸りが断末魔の叫びか。
それが―――あのここに来てからあんまし目立ってなかったカエル魔族・ジョイ
ロックの最後だった―――。

「―――じゃあな!縁があったらまた会おうぜリナさん!」
「ええ、・・・・あんた達も、こないだみたいなマイナス思考でいるんじゃない
わよ!そんなんだと早死にするから!」
―――場所は変わってゲンナイさんの家。
あたしとガウリィとゼルは、ただ今ゲンナイさんのワープ装置で元の
世界へと帰るところである。
「―――あとさ!」
「・・・・?まだあんの?」
あたしの言葉に、太一くんは何やら照れくさそうに、
「俺さ・・・・ガウリィさんがリナさんの言葉だけで、説明も求めずあっさり光の
剣渡した時、すごいなぁって思ったんだ・・・あんなに信頼しあえてるなん
て・・・・」
・・・・いや、ガウリィの場合、自分で考えようとしないだけなんだけどね・・・
「俺・・・そんな風にみんなと信頼しあえるよう、がんばるからな!」
「・・・・ん!じゃあね!」
そして光が視界に溢れると同時に―――
あたし達はデジタルワールドに別れを告げた。