◆−魔族的新年会−一姫都(1/27-22:37)No.13318
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13318魔族的新年会一姫都 E-mail URL1/27-22:37


 魔族的新年会

 

 

「あけましておめでとうございまーすっ」

 ゼラスがきゃぴきゃぴとした声を玄関で上げた。

 それと同時に台所で焼いていた餅が膨らんで手が離せなくなってしまった。

「ゼラスー、勝手に上がってくれ」

「ふぁーい」

 グラウの声を聞く前に、さっさと草履を脱いでいたゼラス。

 華やかに着飾った姿はいかにも正月といった感じだった。

「あめおめー」

 ダイニングには、相当前に来たのか、すでにワインを一本開けてくつろぐディープシーの姿があった。浅黒い肌に金色の瞳を持つ彼女は、人魚のような輝く青いドレスを身に纏っている。

「おめでとう。早いわねぇ」

「でしょう?」

 一般的には正午ともいえる時間だったが、ゼラスが会場に二番のりなんてことは珍しい。

 こたつにもぐりこむゼラス。

「いっつも寝坊しちゃうからさー。

今日はゼロスに言いつけて、死ぬきで起こしてっていったのよねー

 あ、死ぬってゆーか滅ぶかー。やー、あたしも最近人間かぶれしちゃってるのかしらねー。あはははは」

「笑えないって」

 ディプシーのつっこみを無視して、台所のグラウに声をかけるゼラス。

「グラウー、ご飯まだぁー?」

「ちょっと待ってろって」

 サラダボールにアボガドを乗せているグラウ。

 横で手伝っているのはシェーラだった。

「あれー?

もう一人はぁー?」

「あいつは、仕事中だ」

「えー、お正月早々、大変ねぇ。

魔族は週休二日制なのがいいところなのにねぇ」

「俺達は国家公務員か?」

「あ、ガーヴ。いらっしゃーい」

「お前の家じゃないだろっーが。

あ、グラウこれ土産なー」

 そう言ったものの、中身は乾きもののつまみであり、今日の宴会で自分が食べるために買ってきたことがばればれだった。

 それをまず一袋取り出し、封を切るゼラス。

「あー、軟骨がナイーーー。

人間混じってるくせに、気が利かないわねー。ガーヴは」

 やれやれ…とチーカマを食べだすゼラス。

「お前、何も持てって来てないのに、よくそんなことが言えるなっ!」

「きゃははははー」

「おっはー、あ、最後じゃん」

 フィブリゾが、真っ白なコートに真っ白なぼうしをかぶってダイニングに入ってきた。

「うを!?

雪だるまが入ってきたのかと思った!」

「おっはー、ほらほらガーヴ、フィブだってお土産持ってないわよ」

「土産?

ナニガーヴ、また、つまみでも持ってきたの?」

「悪いかっ」

 べっつにー…とコートをかけて、こたつに入り込む。

 長テーブルを元にしたこたつは、優に8人は座れるだろうゆとりがあった。

 そのフィブの隣に、しぶしぶと腰をおろすガーヴ。

 ディプシーがリモコンを取って、チャンネルをお笑い番組へと変える。

「ディプシーはそういうのスキよねー」

「しかも、めっちゃマイナーな奴」

「こいつ笑いのツボ違うもん」

「ほっといて」

「ほら、端から皿回していけ」

 煙たそうにディプシーが呟いた直後に、台所に一番近い位置にいたゼラスは皿が渡される。それをほいほいっと回していくゼラス。

 奥からシェーラが見栄えのよいおせち料理を、次々と運んでくる。

「きゃー、おいしそうっ

うちのゼロスは料理ヘタだから、こーゆーの食べてなかったのよー」

 はむっと、つまみぐいをするゼラス。

「ちょっとガーヴ、あんま呑まないでくれるっ

お前酒癖悪いんだから」

 と、フィブリゾが箸を割りながら言った。

 すでに飲む気満々なガーヴは、その言葉を気にとめることなくビールを開ける。

「酒が無くて宴会と言えるかっての!」

「そうだーーー」

 と、ゼラスが口添えをする。

「どうでもいいけど、暴れたり吐いたりしたら追い出すからな」

「グラウひっどーいっ!

自分が焼酎しか飲まないからってひがんでるんじゃないのぉ?」

「焼酎しか飲まないって訳じゃない」

「いーや。

こいつは、100年前の忘年会でも、ひとりでちびちび焼酎飲んでた」

「無駄なことしか覚えてないな、お前は…」

 ゼラスの突っ込みに、呆れたように返すグラウ。

 すべての料理が並べられたテーブルは、もうリモコンを置くスペースさえ無くなった。

「おーウマそー」

「僕、そこの伊勢えび食べる」

「高いもんばっかスキだよなーフィブは」

「僕の口は高貴なものしか受け付けないんだよ」

「ナマコの酢の物も美味いわ」

「うげっ、最悪っ」

 独特の色カタチの食べ物を、気持ち悪そうに払いのけるフィブ。

 小鉢を独り占めにして、酢の物を食べているディプシー。

「しかも微妙に共食いじゃん」

 いえてる。

 フィブは伊勢えびを取ってもらって、ぱくぱくと食べている。

 ゼラスは、全部の料理をひとくちづづ食べていく気なのか、小皿に移すことなく大鉢から食品を箸でつついている。

「ローストビーフ取ってー。

タレは何なのー?」

「ローズマリーで香り付けしてしょうゆで味付けしてあるから、そのまんま食べろ」

「わー、手間かかってるー。

さすが器用貧乏なグラウっ」

「誉めになってないぞ…」

 そう呟きながら、せっせと焼肉をレタスと味噌と大根で包み込んでいるグラウ。

「一家に一台ってかんじねぇ」

「グラウ様をドラエモンと同等の扱いで…」

 ううう…と、ナベに野菜を入れながら涙ぐむシェーラ。

 みんな何の感ので、ばくばくと食いつくていく。

 10人分はあったかと思われる料理が、すっかり無くなったころには、時刻は2時を回っていた。

「ちょっとぉぉー、暇よぉぉぉぉおおおおっっ!

誰か芸でもしなさいよぉぉぉっっっ!

はいっ!シェーラ!」

「うへぇぇえ!?

そ、そんな…あたし…」

「あたしぃの命令に逆らうってぇのぉぉ!?

そーゆー子は、ガーヴ子のセーラー服・15歳でごめんね☆

9時間耐久ライブに送り込んじゃうゾッ!(はぁと)」

「ひぃぃぃぃぃ!」

「しゃ…しゃれにならん……」

「こ、呼吸がっっ…っっ

脇腹が刺されたように……!!」

 みな何かを思い出して、一様に驚愕の色を表す。

「んじゃ、グラウ、なんか歌ってよ」

「よ、よしてよゼラス!!

2000年前の惨劇を忘れのっ!?」

「…カラオケボックスに響く歌声…。

そしてあの戦い(第120回・魔族カラオケ大会・優勝商品熱海バナナワニ園招待券)

によって滅んだ魔族は数知れず…。

わたしの部下も帰らぬ人に……うっ(涙)」

「泣くなディプシー…」

「お前等…いいすぎ…」

 グラウがその額に青筋を立てている。葬式会場のように静まり返る室内。

「えー、なにー、みんなしょーがないなー。

新年会なんだから、ぱあーーっといかなきゃあ☆」

「お前のせーだろが」

「じゃーーーーーーん!

どうせそんな事だろうと思って、あたしがちゃんと用意し・と・い・た・ぞっ(はぁと)」

「話聞けって」

 いそいそと立ち上がって、闇からマイクを取り出すゼラス。

「さあっ、宴もたけなわ人もよし!

最後はこの方に締めくくっていただきましょうっ」

 ちゃららんらん、ちゃらららん…と演歌が流れてくる。

「ちょ、ゼラス何を……」

 ごおおおおおおおおおおお!!

 止めかけたフィブリゾの声を、どこぞから噴出したスモークがかき消す。

「紅白みてぇ…」

「では、ご登場していただきましょう!!!」

 小指を立てて、声を高く上げるゼラス。

「2001年だよドラエモン☆

S様新春豪華・蛇柄ボディコンスーツで、大登場――――――――!!!!!」

 ごぴゅ!!!!!!

 そこには世にも恐ろしい魔族の長の姿がっ!

 S様は無表情のままで片手を振って、呟いた。

「ぶりおっす」

 ごふふふふぅぅぅぅ!!(吐血)

 

――その後1年、彼等の姿を見たものはいなかったという…。

  あまりにも哀しい事件だった。

  これも若さゆえかもしれない。

  バーイ・ゼラス

 

   

  END


ゼラス様女子高生日記に続き・・・って感じですねー。
もしよかったら、ご感想ください。(はぁと)
え?ない?
 

 

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13332そういえば。723 E-mail URL1/28-01:42
記事番号13318へのコメント

以前私も似たようなタイトルの小説を書いてたような………。
この後投稿しなくては。でも今だとこの作品と比べられそうで少し嫌かも(謎)

それはさておきこんばんわ〜♪723です。
小説、楽しく読ませていただきました♪では感想を。

> 華やかに着飾った姿はいかにも正月といった感じだった。
ゼラス様、和服姿が似合いそうですねぇ…………☆
>人魚のような輝く青いドレスを身に纏っている。
ダルフィン様はドレスですか。……他の方々も袴とかタキシードとか着てらっしゃるのでしょうか?(爆)
>
>「あれー?
>
>もう一人はぁー?」
>
>「あいつは、仕事中だ」
もう一人……グロウ君でしょうかノースト君でしょうか(笑)
> フィブリゾが、真っ白なコートに真っ白なぼうしをかぶってダイニングに入ってきた。
可愛いですね〜♪
>「おっはー、ほらほらガーヴ、フィブだってお土産持ってないわよ」
『おっはー』ですか………恐るべし慎●ママ、魔族にまで影響を及ぼすとは!(謎爆)
> 奥からシェーラが見栄えのよいおせち料理を、次々と運んでくる。
をを、流石は覇王様お手製の料理!というか、羨ましいです!!

>「しかも微妙に共食いじゃん」
>
> いえてる。
(笑)
>「一家に一台ってかんじねぇ」
>
>「グラウ様をドラエモンと同等の扱いで…」
欲しい…………けどいたらいたで迷惑なような(爆)

>
>「あたしぃの命令に逆らうってぇのぉぉ!?
>
>そーゆー子は、ガーヴ子のセーラー服・15歳でごめんね☆
>
>9時間耐久ライブに送り込んじゃうゾッ!(はぁと)」
>
>「ひぃぃぃぃぃ!」
成る程………覇王様がドラちゃんならガーヴ様はジャイ●ンですか(爆)
>
>「んじゃ、グラウ、なんか歌ってよ」
>
>「よ、よしてよゼラス!!
>
>2000年前の惨劇を忘れのっ!?」
2000年前………(笑)
>
>「…カラオケボックスに響く歌声…。
>
>そしてあの戦い(第120回・魔族カラオケ大会・優勝商品熱海バナナワニ園招待券)
>
>によって滅んだ魔族は数知れず…。
>
>わたしの部下も帰らぬ人に……うっ(涙)」
覇王様は音痴なのですか♪(爆)……って私もですが。
>最後はこの方に締めくくっていただきましょうっ」
>
> ちゃららんらん、ちゃらららん…と演歌が流れてくる。
>
>「ちょ、ゼラス何を……」
>
> ごおおおおおおおおおおお!!
>
> 止めかけたフィブリゾの声を、どこぞから噴出したスモークがかき消す。
>
>「紅白みてぇ…」
凄いですね………(汗)
>
>「では、ご登場していただきましょう!!!」
>
> 小指を立てて、声を高く上げるゼラス。
>
>「2001年だよドラエモン☆
ドラちゃん大好きです!!(関係無い!!)
>S様新春豪華・蛇柄ボディコンスーツで、大登場――――――――!!!!!」
ぱちぱちぱちぱち………
……ところでボディコンって何ですか?(←馬鹿)
>――その後1年、彼等の姿を見たものはいなかったという…。
>
>  あまりにも哀しい事件だった。
>
>  これも若さゆえかもしれない。
若いんですか……(爆)
>

はい。今回も楽しませていただきました♪とても面白かったです♪
でわでわ。おやすみなさいです♪