◆−アルノの陰鬱(気ままシリーズ)−CANARU(11/24-22:40)No.12456
 ┗不幸ニューロン?(笑)−P.I(11/25-23:23)No.12477
  ┗ほぼ回復です〜♪−CANARU(11/26-09:38)No.12478


トップに戻る
12456アルノの陰鬱(気ままシリーズ)CANARU 11/24-22:40


どうも〜〜〜!!
風邪で死に掛けのCANARUでっす〜〜〜〜!!
あはは・・頭真っ白でっす〜〜!!
ともあれ・・やっと完成!!2部の何回目か忘れちゃったけど(爆)
久々気ままシリーズ本編でっす!!

**********************
ドンガラガッシャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンガラガラガラガラパッチ〜〜〜ン!!!!
「・・・何のつもりですか・・?リナさん・・・・・・。」
今、思い切り机を蹴飛ばし、派手なオーバーリアクションでもって
彼の首筋に小刀を突きつけ・・・・。
そして、見事に手首を捻り上げら、いかにも悪態ついてる義妹に向かって・・・。
ナポリ、シチリアを取りしきるまだしも合法的なマフィア組織・・・。
『カタート』の若き総帥ゼロス・・しかし実態はルクセンブルク公国「ワルキューレの騎士団」副旅団長のこの人物は・・・思わず額に汗を流しながら言う。
「・・・チ・・・ミスってわね・・・・・・・・。」
そんな義兄にふふふふふ・・と不敵(?)な笑みを浮かべながらリナは答える。
「・・・ミスったって・・・ど〜ゆ〜意味です・・・・。」
「・・・・暗殺・・・・・・・・・・・・・・。」
腕を振り払うように外し、リナは手首を摩ってそう答える。
「なんかな〜〜。こいつ、今すっごく機嫌悪いんだよ・・・。俺もさっき・・。
リナの言うところの・・ナンだ・・・。『逆セクハラ』されて・・。」
何時の間にか現れたガウリイ・・・リナの名目上の仕事の相棒がぼりぼりと
頭を掻きながらがら現れる。
「・・・逆セクハラ・・・?珍しいですね・・・。リナさんのよ〜な
タイプの人が・・・・・。」
「失礼ね!!ガウの顔じ〜〜〜〜っと見て・・。『女みたいな顔してるわね』って
言葉で言っただけよ。勘違いしないでよね。ったく・・・。」
絶叫でこそは無いがかなり厳しい口調でリナはゼロスに怒鳴りつける。
「・・・な、重症だろ・・・?」
「・・・・・・・勝手なあたしを病人扱いしないでよ!!『暗殺者の心理』
を知りたいだけよ!!」
急に飛び出したとんでもない発言にしばし言葉を失う二人。
「・・・あんさつって・・暗いって字に・・・・・。コロスって書く・・アレだよな・?」「そう・・ですねえ・・・・・・。」
理由の無い言葉ばかりをブツブツと呟くガウリイとゼロスに・・・。
「だあああ!!!うるさい!!今度ね・・中学時代の同窓会で劇をやることになったの!!」
不機嫌に言い放たれたリナのその言葉にさしものガウリイ、そしてゼロスも
このイライラの理由が分かったらしい。
「ああ〜〜〜・・・。『アレ』ね・・・。リナの大嫌いな・・な・・、そ〜だろ?」
「そうですねえ・・・。確かに・・中学在学中からリナあの自称、超絶美形、ナルシスト、危な系、ロクデナシ、更に性格キョ〜レツの『あのお方』の事を嫌ってましたしね!!」
あははは〜〜〜♪
とリナの苛立ちをますますあおるよ〜な台詞に笑い!!
「だまれえええええええええええええええええええええええええええええええええ
えええええええええ!!!今度ね!!あたしは劇をやる!!もっちろん『アノヤロー』
も出るわよ!!けどね!!何であたしが『暗殺者!!』の役柄しなくちゃ
いけないのよおおおおおおお!!!!」
バシン、バシン、バッシ〜〜〜〜〜ンンンン!!!!!!!!!!
容赦なくリナの台本攻撃が二人の脳天に炸裂するのだった・・・・・・・・。


「暗殺者ロレンザッチョ・・・・・。」
ため息混じりにガストンはその言葉(?)を兄のガウリイに向かって語り掛ける。
「ロレンザッチョ・・・????」
「小ロレンツォ。ないしは『悪党』と言う意味。この家系・・・。フィレンツェの
メディチ家の男子にはこの名前の人物がかなり多い。だから・・・。
この『暗殺者』はロレンザッチョと呼ぶことが妥当とされている。」
そう言いながらガストンは一枚の紙切れ・・・・。
(恐らく美術雑誌からの切り抜きだろう。)をガウリイに見せる。
端正な黒髪の美貌・・・。しなやかな雰囲気に黒で統一された色彩・・・。
更に背景はやけに古めかしい景色が描かれている。
「これは・・・?」
「現在に唯一残っているとされる・・彼のたった一枚の肖像画。まあ、異説もあるけど
そ〜ゆ〜事。先祖のパッツィ家の陰謀で惨殺されたジュリアーノの顔に雰囲気は
よく似てるだろ?馬鹿兄。」
「・・・すまん・・・・よく分からん・・・・。」
「(ムカッ)これが・・当時のフレンツェ・・神聖ローマ帝国皇帝にしてスペイン王。
カルロスのバックボーンによって君臨していた傀儡公爵アレッサンドロを暗殺した
男って事。・・・リナさんは・・その役をやんなくちゃいけなかったんだよ・・。」
「・・・・へえ・・・・。リナがかあ〜〜〜へお〜〜リナが・・・・。」
「(ムカムカムカムカムカ!!!)だああああ!!!!そんなことだから!!
リナさんが家出しちまったんだろうがああああああああああああああああああ!!!」
「だあああああああ!!悪かったよ!!悪かったぁぁぁ!!リナぁぁぁぁぁ!!
帰ってきてくれえええ〜〜〜!!」
フィレンツェのアルノ川の上にかかる巨大な橋・・・・。
ある意味この橋そのものが一つの大通りといった印象を受け・・・。
宝石商などの美しい店が居並ぶこの界隈・・・・・・・・。
ひたすら家出したリナを慕って大泣きするガウリイが居るのだった・・・・・。


「あ〜〜あ・・・。」
思わずため息が出る・・・・・・・。
何となくフレンツェに家出してきてしまったが・・・・・。
どうも行動がわかりやすすぎたかな・・・と少し後悔するリナ・・・。
「リナさ〜〜ん・・・。いいかげん機嫌直してくださいよ。」
同行してきたアメリアが取り付く島も無い・・と言ったようにリナに言う。
「そ〜は言っても・・・・・。」
暗殺者の役・・・なんて・・・。
『悪人に人権は無い!!』をモットーに生きているリナとしては・・・・・・。
「ははああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・。」
その心理も少々理解できないし・・・・ましてや演じ切れる自身は・・毛頭無い。
「リナさん・・リナさん・・・。」
クイクイクイクイ・・・・・・・。
落ち込むリナの袖口をアメリアが少々慌てたように引っ張る・・・。
「何よ〜〜。アメリア。人が折角感傷に浸って・・・・・・。」
銀色のアルノ・・と呼ばれる川を眺め・・・コジモ・デ・メディチの残して美術品
を眺めて・・・・・500年も昔の出来事に思いを馳せていたのに・・って!!
「前門の虎!!後門の狼!!!!???」
わたわたわたわた!!!!!!!!!!!!!
前方に見えるのは・・・間違いなくナルシスト、危な系、ロクデナシの自称「超絶美形」
の・・リナの中学時代の同級生・・・その名も「氷(ひょう)!!!」
後門には・・・だれがどう見たって見間違えるはずがない!!
金髪をなびかせたやっぱり美形の兄弟、ガウリイとガストン!!!
「ど・・どうしましょ〜〜〜!!リナさ〜〜〜ん!!」
「だあああ”!!前門のほ〜がマシよおおお!!いざとなったら殴ってストレス解消も
出来る相手だもん!!」
今ガウリイに連れ戻されたら・・・・。
折角今回の劇から逃れようと思った計画もおじゃんである!!!


「なんだ〜〜〜い!!君たち!!劇の練習してるわけ〜〜?今回の話!!中学時代の同窓会でやるんだからね!!君たちが僕の足引っ張っちゃ・・すっごく困るんだけど・・・?」
う・・・・・・早速聞こえてくるいやみな声・・・・・・。
「・・・氷・・・。そ〜ゆ〜あんたこそ・・・。『ラウドミア』の役・・・。
ちゃ〜〜んと練習しなくって良いわけ・・・?」
ラウドミアとはロレンザッチョの妹にあたる女性の名前である。
さしあたり・・・この話の「ヒロイン」と言ったところだろう。
「ちなみに!!あたしは『賢母』のマリア・サルビアーティの役で〜す!!」
意味も無く手をぶんぶん振りながらアメリア・・・・。
「そうそう・・。ゼルがその檀那様の『黒隊・ジョヴァンニ』の役なのよねえ・・。
良いわね・・劇中でもアツアツで・・・・。」
「そ!!そんな事言わないで下さいよ〜〜〜。あ・・・。ジョヴァンニと言えば・・。
リナさんの実兄・・ジョヴァンニさんからの連絡、無いんですか?」
「・・・そういえば・・・・。」
今週は今のところまだ何も連絡は無い・・・・・。
だが、そろそろ仕事の周期を考えれば・・・と言ったところなのだが・・・。
「こらああ〜〜〜〜〜〜〜!!!!僕を無視するなああああ!!!」
し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んん・・・・・。
やおら氷の絶叫がリナとアメリアの鼓膜いっぱいにひびく・・・。
「ふふ〜〜ん〜〜♪ヒロインのラウドミアの役は僕のモノだよおおお〜〜♪
紫のドレス着て〜〜『お兄様ぁ〜お助けを・・』の一言とお嫁に行くシーンだけ
だもんね〜〜♪僕の美貌を引き立たせるすばらしい役柄の上に、しかも楽して目立つなんて!!そ〜〜〜んな君が大好きだああああああああああああああああああ!(意味不明)」


「あっれ〜〜〜!!廻じゃないか〜〜♪」
不意に現れた旧知の日本人のクラゲの少年に向かって嬉しそうに声をかけるガウリイ!
「ああ!!ガウリイさんじゃないですか〜〜!!」
「珍しいなあ・・。お前一人かあ〜・・。まあ、俺もガストンと『だけ』一緒・・。
な〜んてかなり奇妙な状態だとは思うが・・・・。お前のね〜ちゃんと氷はどうしたんだ?」
「ああ・・。緋雨裡ね〜ちゃんはポンテ・ヴェッキオからアルノ川にざっぶ〜〜〜〜ん!
と落っこちて現在入院中でっす・・・・。しかもね・・。今時バナナの皮で滑って転んで転落したんですよお〜〜!!なんかのオペラのにも『あの人との事認めてくれなければポンテ・ヴェッキオの橋からアルノに身を投げるしかない』ってあるんですけど・・・。
すごいですねえ〜〜〜♪そのまんまですよ〜〜〜♪」
事も無げに言う廻・・・・・・・・。
「相変わらず・・不幸だよな・・・。お前の姉貴・・・。」
半ば呆れた顔でガストンは廻に言う。
「で・・・氷は・・・・?」
と、今度はガウリイ。
「ああ・・。氷さまですか。アブノーマルでアブないから・・・とっとと逃げてきちゃい
ました〜♪」
いや・・・人間正直が一番・・・・なのかもしれない・・・・・・。


ウッフィ美術館。
ここのは数々の絵画があるのだが・・・さすがに元々シエナの女子大に飛び級で
通っていたリナである・・・・・・。
「アレッサンドロ大公の指輪・・・?」
不意に噂をすればナンとやら・・といったところだろうか・・・?
ジョヴァンニからの電話がリナの携帯に急にかかってきたのはそのすぐ後の事だった。
一人陶酔している氷をポンテ・ヴェッキオから突き落とし・・・(汗)
後は野となれ、山となれと言った気分でフィレンツェの町並みをアメリアと一緒に歩いていたその時だった・・・・・。
『タン・タン・タ〜タンタンタンタンタンタンタンタ〜〜〜ン・・・・・タンタタ・・・」「・・・バッハの『革命』・・・。リナさん・・・。ゼロスさんの携帯の着信音。
『ワルキューレの騎行』のこと・・。笑えませんよ?」
「・・・・悪かったわね!!もしもし!!」
そして・・・それがリナの実兄、ジョヴァンニからの調査・・・・。
消えたルクセンブルクのエルミタージュの宝物を探す、という使命の連絡だった。
「そう。ロレンザッチョが・・・」
「知ってる!!アレッサンドロ大公を暗殺したんでしょ?」
苛立ったようにリナは言う。
「その時、犯行に成功したロレンザッチョはアレッサンドロの指から指輪を抜き取った・・。」
「知ったるわよ!!第一ね、それを通行の手形、としてまんまとフィレンツェから逃げ出したんでしょ!!」
もともとアレッサンドロは暴君であった・・といわれる。
しかし、犯罪は犯罪・・という意識は変わらないらしい。
「で、その指輪は彼の逃走中、ルクセンブルクに流れて・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「だあああああああ!!うるさい!!分かってるわよ!!!!!じゃ〜ね!!切るわよ!
さっさと食中毒治して自分で探しなさいよ!!ったく!!」
そう・・・この兄・・・空腹のあまり夜中にカビの生えた賞味期限切れのパンを食って
牛乳を飲み・・・・・・・・。あっけなく食中毒で入院したそうな・・・・・・・・。
「ジョヴァンニさん・・ちゃんとご飯・・食べてるんでしょうか・・・。」
「・・・・・・知らないわよ!!ったく・・・。」
情けないやら・・ナンのやら・・・・・・・・・。
泣きたい気持ちでリナはこれから『ある場所』へ向かうのだった。


かつてのフィレンツェの大貴族・・・ソデリーニ家の子孫・・と称する人物の館。
「美術館所蔵以外のものを見られるのは・・。私たちのもとくらいですよ。」
ルネサンスの貴族の面影をたたえた一人の男・・現在のこの家の当主である。
「そう・・・・・???」
目の前に差し出された数々の彫刻・・・そして絵画・・・。
古代モノももあればルネサンスの品もある・・・ね・・・・・・・・・。
「すっご〜い!!この古代の彫刻!!」
アメリアがそっと許可をもらい・・一つの古代の彫刻・・・。
恐らくロムスとレムルスのローマ建国神話の彫刻だろうか?
狼の乳を飲んでいる双子の赤ん坊の彫刻に触れようとする・・・そのときだった・・・。
がしゃあああああああああああああああああああああああんんん!!
何を思ったか、リナはやおらこれを蹴り倒した!!??
「・・・何を・・・・?」
ソデリーニの末裔と称するその男は驚愕とも驚異との思えない声をあげて一応はリナの
抗議する。
だが、リナは一向に構う様子すら見受けられる。
凄まじい形相でその男をにらみつけて・・・・・・・・・。
更に高価な彫刻の・・・これは恐らくクリテメストラ・・・それはきっとアガメムノン・・・。そのよなものの首を無言で道具を使い、首を刎ねて行く・・?
「リナさん!!???」
その様子は・・・・少々尋常ではない???そう一瞬ながらアメリア思ったその時・・。「『必要ない』から処分してあげただけよ・・・。」
冷酷無比にリナは言い放つ・・・・・。
「・・・必要ないって・・・・・・・・・・・・???」
「確かに・・古代の彫刻が『部分部分』使われてる。売ればそれなりにはなるわ・・。
けどね・・こんな『贋作』は・・見るに忍びないわね・・・?」
不愉快極まりない。そんな気持ちが訳も分からずにこみあげて来る。
古来の・・本来の姿をいじくられ・・さらには贋作となったこれらの彫刻が
哀れでならない・・・。
本当に・・・それだけだった・・・・・・。


「あんたが氷を見捨てるなんて・・。意外ねえ〜〜廻!」
「いや〜〜!!だってあの人、危ないですし〜〜♪」
さっきまでの形相は何処へやら・・・・。偶然再会(?)かなったガウリイや廻、そして
ガストンと談笑するリナ。ジョヴァンニから連絡があった今、連れ戻される理由は無い。「なあ・・。リナ・・・。けど、そのロレンザッチョって・・・。」
なかばこの話をはばかるかのようにガウリイはリナに尋ねる。
「まあ・・彼もね。この時代の君主の例に・・(ましてやメディチ家的特徴に)漏れないでね・・・。かなりの天才でもありながらかなりの変わり者だったのよ。」
実際にこの時代の君主・・・・・・。
ミラノのヴィスコンツィンにしてもフェラーラのエステにしても・・・・。
それらの君主はナンらかの「精神的」な錯乱を持っていた・・・のである。
「で・・・。何でまた・・・ソデリーニ家の人間の見せてくれた美術品を破損なんか
させたんですか・・・?」
しばし考えたようにリナにガストンが問い掛ける。
「・・・あれはね・・・とんでもない『贋作』でしか無いわ。」
醒めたようにリナは彼に向かって言い放つ。
・・・・そういえば・・・ロレンザッチョも・・・・。彼はフォロ・ロマーノの遺跡
にあった・・・数々の古代の遺跡を破損したという・・・・。
無論、それは彼なりの理由があって・・・の事なのだが・・・・・・・。
『さあ、この芝居の作者が誰なのか。そんな事はどうだっていいじゃないですか。作家は会ってみれば胸クッソ悪くなる連中ばかり。其の名が皆様の耳に入ろうものなら、その名を聞いただけで折角のお楽しみもご破算でしょう。もう一つ、作品の出来が良いなど決してお褒めにならないように。うっかり褒めようものならいい気になってまた芝居など書きますぞ。むしろ、悪口を申されるほうがよかろう。さすれば、つまらぬギサクに憂き身を窶し、疲れることも無くなりますから、奴めも皆様に感謝するでしょう。・・・・さはさりながらこの芝居、ご高覧遊ばして、最後に、作者めを満足させてやって頂きたい。何、お言葉だけで結構、皆様にとっては一文の損にもなりますまいにて。そうなりますと・・・・。『程なく、この作者独特の、さらに見事な芝居をご高覧頂くことになりましょう』・・・・。』
「・・・それ・・ど〜ゆ〜意味だ〜?」
ブツブツとリナの言った言葉にガウリイが問い返す。
「・・アレッサンドロ公爵の結婚式にロレンザッチョが自ら演劇のシナリオを書いたんだけど・・『程なく、この作者独特の、さらに見事な芝居をご高覧いただくくことになりましょう』・・・・。』の部分・・・。草稿にはアンダーラインが引かれていたって程よ・・。今回の事件は関係が無いことだけどね・・・・・・。」
少々考えながらリナは呟く。
「ともあれ・・・・メディチ宮殿に行きましょう。ゼルガディスさんも既に行ってる
って・・ジョヴァンニさんも言ってましたしね・・・。」
アメリアの提案にリナも頷くのだった。


壮麗なるメディチ宮殿・・・・。
『国父』コジモ・デ・メディチが収集した美術品が今でも所狭しと保存されている。
さらにこの場で・・・アレッサンドロは暗殺された・・・か・・・・・・・。
「遅かったな・・・・。」
既にその現場に到着していたゼルが一同に声をかける。
ちなみに廻は『後々うるさい事になると困るから・・』と言うことで一応氷を
探しに行ったのだった。
「へえ・・・ここが・・・・・・。」
感心したようにリナは何やら壁に訳も無く触れてみる。
この壁はこのメディチ宮殿の隣にあるロレンザッチョの宮殿の一室と続いている隠し扉がある場所・・・・・・・。
「一般公開はされていないと思うが・・・?」
リナの意図を察したのかゼルが一応釘をさす。
「・・・一般公開って・・・・?」
相変わらず事情が飲み込めてないガウリイが二人に聞く。
「・・・ここで・・公爵アレッサンドロは暗殺されたの。ロレンザッチョはこの壁に
ある筈の『抜け穴』を使ったと言われるわ・・・。」
「・・・でもよ・・・。ここって一応一等地だろ?そんな暗殺騒ぎ起こせば・・・。
絶対誰か気付くと思うのだが・・・。」
ガウリイにしてはなかなかな質問・・と内心思いながらリナは・・・・。
「簡単すぎるトリックよ。元々ロレンザッチョとアレッサンドロ公爵はご乱行の仲間でもあってね・・・。この界隈に馬鹿仲間集めてどんちゃん騒ぎの決闘騒動起こしてね・・。
『殺される』だの『この人殺し!!』な〜んて大声ワザト出してね・・。
通行人や近所の住民が驚いて周囲を見渡せば・・・。みんなで彼らを嘲笑ったり、睨み付けたりしたのよ・・・。まったく・・・・。」
「お前さん好みの悪戯だな〜〜〜・・。」
ずげらっしゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんん!!!!
ガウリイの脳天にリナの手荷物が炸裂したのはその三秒後だった。
「・・・狼少年の応用ってわけ・・って・・・。ゼル!!ここ・・・開くわよ!!?」
ガウリイに説明しながらも壁の調査をしていたリナは・・・。
言うまでも無いロレンザッチョの抜け穴を発見し、そっとその隠し扉を押し開けている。
「おかしいな・・・・・。俺がさっきいじった時は・・・・・・。」
「開かなかったんですか?」
アメリアの問いかけに素直に頷くゼル。本当に・・少し飲み物を買いに行った程の
時間、この場を離れた・・との事だが。
「まあ・・この場所・・。観光客にまぎれて・・・・。」
「何者かが侵入することも可能って訳か・・・・・・・・・・・・。」
先頭に立ち、抜け道の中に進んでいくリナに続きながらガウリイが言った。


暗い抜け道・・・・・・・・・・・・。
そこには何も無い・・・。筈なのだが・・・・・・・・・・・・・・・。
「おい・・リナ・・。さっきお前さんが壊したのって・・・・。」
「ええ・・・・・・・・。」
言わずと知れている。この贋作の芸術作品の数々・・・・・・・。
そして・・・こんなあくどい真似をする犯人も・・先程会ったばかり・・である。
「ク!!」
侵入者に気付いたのだろう。むちゃくちゃに打ってかかってくる一人の人物・・。
「おいおい〜〜!!ナイフはそんな風に扱っちゃ。自分の腕、傷つけるぜ?」
アッサリと言ってのけ、ガウリイは『彼』の腕を簡単に捻り上げ、手に持った果物ナイフを奪う取る!!
「あ、あったあった〜〜♪」
そのガウリイに押さえつけられた腕・・・さらにナイフを奪われたため無防備な形態に開かれた手の指から・・・・・・・。
探していた「アレッサンドロ」の指輪をリナは簡単に抜き取る。
「はい、ご苦労さん〜♪」
チョイ、っとその男・・・ソデリーニ家の末裔を称する『贋作作品』売りの男を突付いただけで気絶させるガウリイ。
「ともかく・・コイツを捕まえたからには・・・・。」
後の一味はもはや一網打尽、と言った所だろう・・・。かくして・・・・・。
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる〜〜〜♪
そんな安心しきったムードを一度に大慌てさせるような・・ましてや密室空間の抜け穴
だけに・・なおさらけたたましく鳴り響く・・携帯電話の着信音!!!!!
「リナ!!」「リナさん〜〜〜〜!!!」
「分かったわよ!!ちゃんとマナー・モードにしておくわよ!!(環境問題)って・・もしもし!!」
『・・・リナ・・・。まったく・・今日はついて無い日だよ・・・。』
ブツブツと文句を言っている若い、男言葉の女の声・・・。言わずと知れたリナの大学時代の先輩、ラウラの声である。
「どうしたの・・・?ラウラ・・一体・・・・?」
「・・・どうしたもこうしたもあったモンじゃないよ!!ったく・・・。今からフェラーラに行こうと思ってるんだけどさ・・。アルノ川の辺り歩いてたら・・・。まあ、これは許せるんだけど・・・。若い女の人が川に落ちたらしくて・・・。病院に担いでいったんだよ・・・・。」
「・・・なあ・・リナ・・。もしかして・・・・・・・。」
「・・・・。多分・・・・廻のおね〜さん・・・緋雨裡さんね・・・・・・。」
半ば諦めたように呟くガウリイとリナ・・・・・・(汗)
「でさ・・・。彼女を病院に送っていった後・・・。ま〜〜た川に変な若い男が落ちたんだよ!!しかも・・ラウドミアが云々とか言ってさ・・・。ったく・・・。あんまりにもクドイナルシストな事言ってるんで・・。放置してきてやったよ・・。ったく!!」
・・・・・恐らく・・・リナ自身が川に落とした・・氷のことだろう・・・。
「・・・別にそのまま簀巻きにして川に放り込んどいて良かったのに・・・・。」
「ああ・・。そうだね・・。今度ジョヴァンニにあったら・・。八つ当たりも兼ねてそ〜しとくよ!!」
ガチャン!!そうとだけ言い残すとアッサリと電話を切るラウラ・・。が、リナの顔色は今ひとつ冴えない・・所か少々青ざめた感じになっている・・・?
「・・ガウリイ・・どうしよう・・。今・・ジョヴァンニ兄様・・・。フェラーラの病院に入院してるんだけど・・・・(汗)・・・・・。」
その一言にたちまちガウリイの顔も青ざめたものに変化する・・・。
「リナ・・・。諦めろ・・。お前の兄さん・・。明日にはポー川の藻屑と消えている・・・。」
「・・・・・それよっか・・。氷・・ラウドミアの役・・劇で到底出来る様子じゃ無さそうだけど・・・・・・・・・・・・・・。」
自分で川に放り込んどいて今更こ〜言うのもナンな話なのだが・・・。
「おお!!良いアテがあるぞ!!」
女装・・・・演劇・・・女のような儚げな容貌・・ましてや美女の役・・・・・。
そのカテゴリーがぴったり当てはまる一人の少年は厭な予感がして・・兄の傍から逃げようとするのだが・・・・・・・・・・。
とき既に遅し・・・キッチリ上着のすそをつかまれているのだった・・・・。


『さあ、この芝居の作者が誰なのか。そんな事はどうだっていいじゃないですか。作家は会ってみれば胸クッソ悪くなる連中ばかり。其の名が皆様の耳に入ろうものなら、その名を聞いただけで折角のお楽しみもご破算でしょう。もう一つ、作品の出来が良いなど決してお褒めにならないように。うっかり褒めようものならいい気になってまた芝居など書きますぞ。むしろ、悪口を申されるほうがよかろう。さすれば、つまらぬギサクに憂き身を窶し、疲れることも無くなりますから、奴めも皆様に感謝するでしょう。・・・・さはさりながらこの芝居、ご高覧遊ばして、最後に、作者めを満足させてやって頂きたい。何、お言葉だけで結構、皆様にとっては一文の損にもなりますまいにて。そうなりますと・・・・。『程なく、この作者独特の、さらに見事な芝居をご高覧頂くことになりましょう』・・・・。』
この口上から開始される、リナたちの演じる「ロレンザッチョ」の悲劇・・・・。
「いや〜〜〜・・ガストンさんの女装も・・。なかなかもモンですねえ〜♪」
ラウドミア・・・ロレンザッチョの妹にあたる女性がウェディングドレスに身を包む
シーン・・・・・・・・。
「ははは〜〜♪我が弟ながら傑作傑作〜〜〜!!」
笑いながら冷やかすガウリイ・・・。その隣では・・・・・・。
「ガストン・・・あんな青ざめた顔で!!やる気あるのかしら!!まったくアノ子は!!
リナお嬢様の迷惑に成なったらど〜しようかと・・・。あたしはもう心配で心配で・・・。」
オロオロしながらもしっかり次男の監視を怠らないオーリママ・・・・。
最も・・ガストンの緊張の原因は『彼女にある』と言っても過言ではないのだが・・・。そして・・・・・・・・。
ロレンザッチョたるリナが・・・公爵を暗殺するシーン・・・・・・・・・・。
ズダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンン!!!!!!
終わりにさしかかった劇の場面を想定したかのように・・見事に・・・・。
「リナさん〜〜〜〜!!!貴女と言う人はあ〜〜〜〜〜〜〜(涙)」
見事に・・・リナの仕掛けた仕掛け・・・ゼロスの使用していた客席が陥没したのだった!!
「チ!!ミスってわねえ・・・・・・・。」
暗殺者の黒衣を纏ったまま、リナは客席に向かってそう言う!!
その隙にコソコソと舞台裏に逃げ込もうとするガストンを素早く視線だけで圧倒するオーリママ!!
が・・そんな騒動をかえって楽しみつつガウリイは・・・・・・・・。
「リナ〜〜!!ど〜ゆ〜仕掛けなんだ?これ?」
「・・ふふふ・・・。もともとロレンザッチョはこの方法で公爵を暗殺しようとしたのよ。最も・・あらかじめ仕掛けがバレて・・・失敗した手段らしいけどね〜♪」
楽しげにいいながらリナは黒いマントを投げ捨て客席に一礼する。
かくして・・・劇はこうして無事(?)終わったのだった・・・。
PS、ガストン&ジョヴァンニの運命を知るものは・・・誰も居ない・・・・。


*********************
と、言うわけで。
次回はフェラーラでお会いしませう〜〜〜!!
ジョヴァンニ・・・生きてるかな・・・?

トップに戻る
12477不幸ニューロン?(笑)P.I E-mail 11/25-23:23
記事番号12456へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜♪
わーい「気まま」最新作〜〜♪♪と思ったら、風邪ですって?
大丈夫ですか?早くお医者さんに診てもらってくださいね。
さてさて、またしても女優リナちん(笑)今回は男装の麗人‥‥っつか、
一体なんでリナがロレンザッチョで氷殿下がラウドミアなんだぁぁぁっ!?
このキャスティングしたの誰っ!?同級生で氷殿下のマニアなファン?(大笑)
殿下が川に落っことされて劇に出られなくなったんだから、リナちん、責任は
殿下に押しつけて劇そのものをつぶすこともできたのに、それをやらなかった
とゆーことは・・・・さては、リナちんも見たかったんだな、ガストンちゃんの
女装!!(^0^)そのついでとばかりにゼロス兄を亡き者に・・・・(汗)
冒頭部分でのゼロスとの攻防、馬鹿兄とはいえさすがは副旅団長って感じ
でしたね〜。珍しくゼロスが見せ場を作ってたので感心しました♪
そして・・・・最初っから最後まで大人しく入院していたのに、なぜか
不幸を引き寄せる男ジョヴァンニにーちゃん!!食中毒が治ったと思ったら
今度はラウラの八つ当たりでポー川へ(笑)そのまま引き上げる人もなく
アドリア海までどんぶらこ・・・・ああ〜、なんて不幸なんだぁぁっっ!!!
きっとこれも人工ニューロンのせいに違いない!!(爆笑)

BS2で「オデュッセイア」のドラマをやっていたのでビデオにとって今日
やっと観ました〜。塩野さんのエッセイに「あれは朝帰りした旦那の奥さんに
対するいいわけホラ話」とする説が出てましたけど、それにしたって程度と
ゆーものがあるでしょ!?とPは言いたい(18年もだぜ〜・・・)。
リナがペネロペイアだったら
「今までど〜こほっつき歩いてたああああああっっっっ!!!!?」
と怒鳴りつつ、帰ってきたオデュッセウス(当然ガウりん)の頭をスリッパで
ばしばし叩きながらイタケ中追い回しそうだな〜と、ドラマを見終わって
思ってしまったです。・・・・う〜ん、毒されとるな〜〜(^^;)

それではまた。お大事に〜!

トップに戻る
12478ほぼ回復です〜♪CANARU 11/26-09:38
記事番号12477へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜♪
>わーい「気まま」最新作〜〜♪♪と思ったら、風邪ですって?
>大丈夫ですか?早くお医者さんに診てもらってくださいね。
ありがとうございます〜〜!!
ほぼ80%回復致しました!!
ふふふ・・けれども・・・昼ご飯の毛蟹食うまでは・・・。
死んでも寝ません!!(断言!!)
>さてさて、またしても女優リナちん(笑)今回は男装の麗人‥‥っつか、
>一体なんでリナがロレンザッチョで氷殿下がラウドミアなんだぁぁぁっ!?
はい〜〜♪
書いているうちにそ〜んな風になってしまいましたあ〜〜〜!!
かなり氷本人はご満悦でしたねえ〜〜(汗)
>このキャスティングしたの誰っ!?同級生で氷殿下のマニアなファン?(大笑)
はい!!
言わずと知れた「匿名C」さんでっす!!(爆!!)
>殿下が川に落っことされて劇に出られなくなったんだから、リナちん、責任は
>殿下に押しつけて劇そのものをつぶすこともできたのに、それをやらなかった
>とゆーことは・・・・さては、リナちんも見たかったんだな、ガストンちゃんの
>女装!!(^0^)そのついでとばかりにゼロス兄を亡き者に・・・・(汗)
ですねえ〜〜♪
ふふふ・・よろしかったら今度イベントでお会いする機会ありましたら・・・。
特性「女装ガストン!!」の落書きお渡しします〜〜♪
ぢつは・・結構フランス人形のよ〜に可愛い・・という設定
なのですよ〜〜(汗)リナちゃんもこっそり見て大笑い!!?
>冒頭部分でのゼロスとの攻防、馬鹿兄とはいえさすがは副旅団長って感じ
>でしたね〜。珍しくゼロスが見せ場を作ってたので感心しました♪
ですねえ〜〜〜!!
普段だったら絶対に大人しく抹殺されていそうですよね〜(汗)
珍しくマトモ・モードでした!!
>そして・・・・最初っから最後まで大人しく入院していたのに、なぜか
>不幸を引き寄せる男ジョヴァンニにーちゃん!!食中毒が治ったと思ったら
>今度はラウラの八つ当たりでポー川へ(笑)そのまま引き上げる人もなく
>アドリア海までどんぶらこ・・・・ああ〜、なんて不幸なんだぁぁっっ!!!
まったくですうう〜〜〜〜〜!!
さて・・次回のフェラーラ編・・・。
無事に生還しているかど〜〜か・・・。
運が良くて・・「風邪」でしょうかねえ・・・・!
アドリア海にまた新たなる悲劇が〜〜〜(汗)
>きっとこれも人工ニューロンのせいに違いない!!(爆笑)
ですねえ〜〜〜〜!!
ああ・だんだん兄様の性格が破綻して行く〜〜(涙)

>BS2で「オデュッセイア」のドラマをやっていたのでビデオにとって今日
>やっと観ました〜。塩野さんのエッセイに「あれは朝帰りした旦那の奥さんに
>対するいいわけホラ話」とする説が出てましたけど、それにしたって程度と
>ゆーものがあるでしょ!?とPは言いたい(18年もだぜ〜・・・)。
ありましたねえ〜〜〜!!
「サロメの乳母」にも同じようなこと書いてありましたしね!!
ちなみに新しい塩野さんのエッセイ「ローマの街角から」ゲット
しました〜〜〜♪
>リナがペネロペイアだったら
>「今までど〜こほっつき歩いてたああああああっっっっ!!!!?」
>と怒鳴りつつ、帰ってきたオデュッセウス(当然ガウりん)の頭をスリッパで
>ばしばし叩きながらイタケ中追い回しそうだな〜と、ドラマを見終わって
>思ってしまったです。・・・・う〜ん、毒されとるな〜〜(^^;)
ありえますう〜〜〜〜!!
でもって・・辺りは無論ドラ・スレで壊滅ですよね・・・(汗)
>それではまた。お大事に〜!
ではでは〜〜〜!!