◆-ゼロス君のリナちゃん観察日記-投稿者:鈴野 あや(1/18-10:42)No.893
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893ゼロス君のリナちゃん観察日記鈴野 あや 1/18-10:42

 初めて投稿します。
 この話はスクリーンセーバーをゼロスの視点で追いかけて書いてみました。
 つたない文ですが楽しんでいただければ幸いです。


       ゼロス君のリナちゃん観察日記

 ふぅ・・・、獣王様も無茶なことを・・・。
 相手は誰でもいいから人間の「観察日記」をつけろ、だなんて。子供の宿題じゃ
あるまいし。
 ・・・・それとも獣王様には僕には想像もつかないような深いお考えがおありに
なるんだろうか?
 こうして考えている間にも、時間は刻々と過ぎてゆく。命じられた期日までもう
時間がない。
 あ、別にさぼっていたワケじゃありませんよ。誰を使おうか、と人材を捜してい
たんですから。ただ、ほとんどの人間が観察するに値しない型にはまった日常を
送っていて書く気にならなかっただけで。
 ・・・・信じて下さいね・・・・
 ああそうだ!あの人がいた!型にはまった等という言葉とは全く無縁の人が。
 何で今まで気付かなかったんだろう。
 僕は彼女の気を探し出すと、そこへ転移した。


「かーっ、くーっ、ムニャムニャ」
 静かに寝てますね・・・・
 現在午前三時三十分。リナさんはまだ夢の中を彷徨っているもよう。
「竜破斬!」
「わぁっ」
 あぁビックリした。
 ・・・寝言ですか・・・。おや、これはガウリイさんのぬいぐるみ。
 リナさんって、意外にかわいいところがあったんですね。
「う〜ん」
 おっと、リナさんが目を覚ますといけませんね。第一、いや万が一にもこんな所
をガウリイさんに見つかったりしようものなら、光の剣で叩かれたって文句言えな
くなっちゃいますよ〜。
 ハッ、この気配は・・・・マズイですね・・・
『ゼ〜ロ〜ス〜、覚悟はできてるんだろうな?』
 ギクッ、
 精神世界面から聞こえた彼の声はきっと僕の気のせいではないハズ。
 はいはい。わかりましたよ。
 ちょっと念じて精神世界面に移動する。
 あ〜あ。リナさんのかわいい寝顔、もう少し見ていたかったのにな〜。


「ふわぁぁぁぁぁっ」
 欠伸をしながら大きく伸びをする。それからまだ眠たそうに目をこする。
 現在時刻は六時三十分。さっさと次の行動に移る辺り、リナさんはいつもこの時
間に起きているみたいですね。
 ぐぐぅぅぅぅぅっ、
 高らかにリナさんのお腹が鳴る。
「お腹空いた〜」
 そう言いながら顔を洗い、それが済むと髪をとかす。
 この次は着替えしかないでしょうから一時、退散しますか。


 七時十五分、ガウリイさんと一緒に朝食、っと。 リナさん達とかなり離れた
テーブルで、様子を見ながらメモを取る。
 今の姿はいつもの神官服とは違い、いかにも学者です、というような格好。小道
具として分厚い本も三冊ほど脇に置いてある。
 一応注文したモーニングセットを食べながら、リナさん達の様子を観察する。
 朝は割と静かに食べているみたいですね。
 ええっと、朝食は普段とは比べものにもならないほど静かに・・・・・
「ああっ、リナ!オレの腸詰め返せっ!」
「そんなの早い者勝ちよ!」
「なにを〜このっ!」
「ああっ!何て事すんのよ!あたしの愛しい目玉焼きさんをっ!」
「さっきのおかえしだ!」
「何ですって!」
 ・・・・・前言撤回・・・
 朝食は凄まじいまでの争奪戦が展開されていた、っと。
 おや、二人とも宿を出るみたいですね。
 2人のいたテーブルを見てみると、・・・・無い・・・あれだけあった料理の山
が・・・。
 おっと、見失うといけない。それじゃ、僕も行きますか。
 テーブルに代金を置いて小道具を持ち、リナさん達に続いて宿を出た。


 九時から十二時までは、街道をひたすら歩くだけでしたね。
 何か変わった事というと、途中荷馬車に乗せてもらった事くらいですか。
 ホント、こうして見ると二人とも普通の旅人に見えるんですけどね。


 十二時十分、街道沿いにある小さな村の食堂で昼食。
 朝と同じように人間のフリをしながらリナさん達の様子をこっそりと観察する。
ちなみに今回は魔道士姿。
 お冷やを飲みながらチラッとリナさん達の方を見ると、ナイフとフォークの応酬
戦をやりながら、
「ガウリイ!あんたレディ・ファーストって言葉、知らないの!」
「リナ!オレの分取るなよ!」
 ・・・・ははは・・・朝より凄まじいですね、このやり取りは。
 メモを取ろうとテーブルに手を伸ばし・・・・
 ダン!
「うわっ!」
 あービックリした。
 とっさに手を引っ込めたからよかったようなものの、そうでなかったら飛んでき
たナイフが手に刺さっていましたよ。
 まぁ僕にしてみれば魔力のこもった武器というわけではないし、肉料理用のナイ
フが刺さったところで痛くも痒くもないんですが、それでも余り気持ちのいいもの
ではありませんしね。
「すいませーん、大丈夫でした?」
 後ろから掛かった声に振り向くと、リナさんが立っていた。
「ええ、まあ」
 僕としては普通にしゃべったつもりだったが、少し声が引きつっていたかもしれ
ない。
「じゃあこのナイフは貴方が?」
 テーブルに突き刺さったナイフを指さす。
「連れと料理の取り合いをしてたらすっぽ抜けちゃって・・・・テヘ」
 テヘ、じゃないですよ・・・
 テーブルに刺さっていたナイフを引き抜いてリナさんに渡す。
「すみませんが、もう少し静かに食べてもらえますか?」
「はーい」
 どこまで聞いているんでしょうかねー。
 リナさんが席に戻ったのを視界の隅で確認すると、メモを取る。
 昼食は朝よりも激しい争奪戦を繰り広げながらとっている。それは場合によって
は周囲を巻き込むほどの凄まじさ。事と次第によらなくても命がけ、っと。
 さて、と。いったん今まで書いたメモをまとめてきますか。
 僕は店を出ると精神世界面に移動した。


 メモをまとめ終わってからこっちに戻ってきたのは四時を過ぎてから。
 てっきり街道を歩いていると思ったのにリナさん達の姿が見当たらない。
 どこに行ったんでしょうねぇ?
 気配を探るために気を集中し・・・・・
 どぉぉぉぉぉぉん
 この爆音は・・・、ひょっとして・・・・
 音のした方に向かって飛んでって見ると、リナさんが野盗らしき人達に呪文を
放っていた。
「火炎球!」
 ちゅどぉぉぉん
 三人が吹っ飛び、
「炸弾陣!」
 後ろから来たザコが宙を舞い、
「爆裂陣!」
 あ、全員吹っ飛んだ。あ、ガウリイさんまで・・・・・・合掌・・・・・
 リナさんは近くに倒れいた一人を引っ張り起こし、にこやかに、
「ねぇ、と・う・ぜ・ん・お宝の場所まで案内してくれるわよね(はぁと)」


 リナさんが泣きわめく野盗達から色々なものを巻き上げて、街に入ったのは完全
に日が沈んでから。
 えーっと、現在時刻は、と。
 懐から獣王様から頂いた大切な懐中時計を取り出して・・・・、七時二十五分で
すね。
 パチンとふたを閉めてしまい込む。
 ちなみに、リナさん達は街に入るや否や食堂にすっ飛んで行きました。
 もう食事時の模様は述べるまでもないでしょう。


 現在時刻は八時。部屋に戻ったリナさんはなにをしてるのかなー。
 姿を消してリナさんの部屋の中に移動する。
 床に魔法陣と水晶球が置いてありますね。それとたくさんのくず宝石も。そのほ
かにも見慣れない魔法の道具。
 どうやら宝石の護符を作っているみたいですね。 
 リナさんが唐突にこっちを向いた。
 何やら呪文を唱えている様子。
 でも僕の姿は見えないハズ。
「烈閃槍!」
 うわわっ、
 閃光はそのまま壁にぶつかって消える。
 とっさに避けたからいいようなものの、そうでなかったら姿が見えてしまってい
たかも知れません。
 ちなみに僕が防がずに避けたのは、存在がばれないようにするため。
 考えても見て下さい。放った呪文がいきなり消えたりしたら、誰だって怪しいと
思うじゃないですか。
 その上そんな芸当が出来るのは、中級以上の力を持った魔族だけですから、一発
で正体ばれちゃいますよ。
 リナさんのよく知る魔族で高位魔族は僕一人ですからね。
「・・・・気のせいだったかな?」
 リナさんは小さく呟くと、再び作業を始めた。
 目の前で次々と宝石が護符や呪符に姿を変えて行く。
 相変わらず人間離れした才能ですね。ホント、人間にしておくのは惜しいです
よ。
「よっし、これでおわりっと」
 リナさんは完成した護符などをザックにしまい、床に広げていたその他の道具も
しまい込むと、
「さーて、お風呂に行ってこよーっと」
 ベッドに置いてあったパジャマとタオルを持って部屋を出ていった。
 お風呂ですか・・・・。そっちの方もどんな様子か見ておきたいと思うのは、
やっぱり男(?)の性でしょうかねぇ。
 もっとも、そんなことを企てようものなら彼からどんな仕打ちを受けるか判りま
せんし、それはアメリアさんの精神攻撃の次にイヤですから。
 何せリナさんが関わると手加減を知りませんからね、あの人は。
『ほぅ、一応判ってるんだな』
 ギクッ、
 再び精神世界面で声が聞こえる。
『ま、僕も命は惜しいですからね』
 彼と同じように精神世界面から呼びかけてやる。
『安心して下さい。覗こうなんて思ってませんから。獣王様に誓ってもいいです
よ』
『・・・・ならいい』
 ふぅ、
 彼の気配が消えたのを確かめてからため息をつく。
 まったく、本当に地獄耳(?)なんだから。
 ま、それはさておき、これだけデータが揃えばいいか。
 後はこれをまとめて獣王様に報告すればいいし。 僕はレポートを再びまとめる
ために、精神世界面に転移した。


 四時間後、僕はリナさんを探して街の近くの街道の空を飛んでいた。
 この時間ならガウリイさんも熟睡してるだろう、と思ってリナさんの寝顔を見る
ために行ってみると、ベッドはもぬけの殻。
 まさかと思って飛び出してきたが、よくよく考えてみると、リナさんに限ってそ
れはあり得ない。
 考えを巡らせながらフワフワ飛んでいると、
 ドゴォォォォォォン
 近くの森から盛大な音と共に煙が立ち上る。
 ひょっとして・・・・・
 行ってみると、心底嬉しそうに盗賊達に呪文をぶちかますリナさんの姿があっ
た。 
 ・・・・・さすが『盗賊殺し』・・・・・
Fin.

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898Re:ゼロス君のリナちゃん観察日記松原ぼたん E-mail 1/18-14:50
記事番号893へのコメント
 おもしろかったです。

> この話はスクリーンセーバーをゼロスの視点で追いかけて書いてみました。
 そうなんですか。一度見てみたいですね。
>『ゼ〜ロ〜ス〜、覚悟はできてるんだろうな?』
 ・・・・・器用なヤツ(笑)。
> 今の姿はいつもの神官服とは違い、いかにも学者です、というような格好。小道
>具として分厚い本も三冊ほど脇に置いてある。
 ・・・・・どんな感じだろう。って、顔も変わってるのか。
>ちなみに今回は魔道士姿。
 再び、どんな感じだろう。
> とっさに手を引っ込めたからよかったようなものの、そうでなかったら飛んでき
>たナイフが手に刺さっていましたよ。
 ・・・・・すごひ。
> ・・・・・さすが『盗賊殺し』・・・・・
 全くですね。

 本当におもしろかったです。また何か思いついたら是非書いてくださいね。
 ではまた、ご縁があれましたなら。

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940Re:ゼロス君のリナちゃん観察日記えれな E-mail 1/19-01:43
記事番号893へのコメント
鈴野 あやさん、かなりおもしろかったです。
>『ゼ〜ロ〜ス〜、覚悟はできてるんだろうな?』
> ギクッ、
> 精神世界面から聞こえた彼の声はきっと僕の気のせいではないハズ。
> はいはい。わかりましたよ。

ものすごく気になるんだけど、この彼ってだれですかあ?
まさか、ガウリイ?でも、アストラルからだし・・
よければ教えてください。

> お風呂ですか・・・・。そっちの方もどんな様子か見ておきたいと思うのは、
>やっぱり男(?)の性でしょうかねぇ。

えれなも気になる(爆)

> もっとも、そんなことを企てようものなら彼からどんな仕打ちを受けるか判りま
>せんし、それはアメリアさんの精神攻撃の次にイヤですから。
> 何せリナさんが関わると手加減を知りませんからね、あの人は。

やっぱり、誰?ガウリイに思えるけど、ゼロスがびびるわけないしー。
わからん。

またよければ、投稿してくださいね。
この話、とてもおもしろかったです。
3人とも、らしくて。

ではでは。えれなでした。

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975えれなさんへ鈴野 あや 1/20-16:53
記事番号940へのコメント
本文中の彼というのはガウリイです。うちのゼロスはガウリイに対してある種の苦手意識を持っ
ているので。もちろん戦い、ということになればゼロスの方が強いと思います。
 精神世界面からちょっかいをかけるのはテレパシーの応用技みたいなものだと思ってくださ
い。
 お風呂は・・・・覗いたらリナに殺されるものと思ってください(笑)。