◆-ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)-投稿者:えれな(1/10-08:16)No.664
 ┣━Re:ここは正義館(2.-投稿者:えれな(1/10-08:26)No.665
 ┣┳Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:えれな(1/10-10:40)No.666
 ┃┣┳Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:にゃーにゃ(1/10-11:33)No.667
 ┃┃┗━Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:えれな(1/10-13:16)No.674
 ┃┣┳Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:御茶らちゃ(1/10-12:33)No.672
 ┃┃┗━Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:えれな(1/10-13:28)No.675
 ┃┗┳Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:松原ぼたん(1/10-14:04)No.681
 ┃ ┗━Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)-投稿者:えれな(1/10-14:17)No.684
 ┣┳Re:ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)-投稿者:松原ぼたん(1/10-13:50)No.677
 ┃┗━Re:ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)-投稿者:えれな(1/10-13:59)No.679
 ┗┳ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)-投稿者:えれな(1/11-06:22)No.718
  ┣┳Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)-投稿者:松原ぼたん(1/11-06:58)No.719
  ┃┗━Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)-投稿者:えれな(1/11-07:09)No.721
  ┗┳Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)-投稿者:ろぼろふすー(1/16-21:54)No.832
   ┗━Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)-投稿者:えれな(1/17-01:26)No.835


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664ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)えれな E-mail 1/10-08:16



ばあしゅっ!
リナは目の前に迫ってきた緑色のアメーバが放った緑色のつぶてをその手のひらで
受け止めた。リナの両手には、霊王結魔弾(ヴィスファランク)で魔力がこめられ
ている。
とはいえ、いつもはショート・ソードを使って牽制するのに慣れているせいか、か
なり戦いづらい。それだけではない。いまのリナの装備は裸同然、水着なのであ
る。
プールの中は既に緑一色に染められていて、中の女の子達はぐったりとして動かな
い娘もいる。魔道士コースだけあって、奮闘している者もいるが、相手の数が数で
ある。もっとも、数える事は不可能だが。敵は、アメーバ状で分裂したり結合した
りを繰り返しているのだ。
周りに人がいなければ、大技一発ぶちかませば済む事なのだが、できないものをと
やかく言ってもしょうがない。
めんどくさいが、少しづつ倒していくしかないのだ。
その時、ふいにリナの背後に殺気が生まれる。
振り返らずにそのまま右に飛ぶリナ。
リナのいた空間に一乗の光が通りすぎる。
―――今のは、烈閃槍(エルメキア・ランス)?!でも呪文を唱えている様子などな
かったのに、いつのまに?―――
プールの縁のぎりぎりのところで着地すると、リナは振り返る。
そして絶句。
そこにはいつもの見慣れた顔があった。ガウリイ。



「ちょっと、なにすん・・・」
言葉をそこで切って、リナは後ろにさがった。ガウリイが光の剣できりつけてきた
のだ。
―――逃げよう―――
リナは瞬時にそう思った。ガウリイの腕は重々承知している。彼のもつ光の剣はリ
ナの手のひらで受け止めれるようなシロモノじゃない。
リナはガウリイに背を向けてジグザグに走り出す。まっすぐに走れば光の刃が打ち
出される可能性がある。
それを追うガウリイ。当然足は向うが速い。
―――間に合うかっ!?―――
ガウリイがリナに斬りつけようとした瞬間。
「封翔界(レイ・ウィング)!」
リナの体は高く宙に舞う。
すこしほっとして、とりあえず校舎に向かおうと進路を変えたその時。
「無駄だ。」
ガウリイの声はすぐ後ろで聞こえた。
―――そんなっ!宙にいるのに!―――
思わずいやな結末を想像したその時、声はした。
「螺光衝霊弾(フェルザレ−ド)!」
ルークの後ろからの一撃で虚空に消えるガウリイ。
ミリーナが飛んで、ルークが攻撃を担当しているようである。
下に降りろ、と合図を送るルーク。
術を解除してプールサイドに降りる。
「あんな相手にてこずるなんて、らしくないのな。」
不満げにいうルークにリナは、
「あんな相手ってねえ。ガウリイの姿してたんだから戦いにくいに決まってるで
しょ。本人かと思って逃げたのよ。」
まだ少し動揺が消えないのか、荒い口調で言い放つ。
しかし、ルークとミリーナは眉をひそめる。
「ガウリイさんの姿って・・さっきののどこが?緑色したトーテンポールだったよ
うに思うんだけど・・・」
「俺にもそう見えたけど。あんたがプールサイドでトーテンポールと追いかけっこ
してるから、何やってんだあいつ・・ってなあ・・・」
「へ・・・?そうなの?」
「うん。あ、本物のおでましだぜ。」
ルークの視線にめをやると、光の剣でアメーバを切り倒してるガウリイがいる。
アメーバの方は、学校中からの援護でなんとかなりそうである。
「ま、ここはなんとかなりそうだし、着替えてきたら?かぜひくわよ。」
「うん・・そうする・・」
ミリーナの呼びかけにリナはガウリイの姿をぼーっと見ながら答えたのだった。






「いやあ、昨日は災難でしたねえ。正体不明の生物出現!ってニュースになっちゃ
て、電話なりっぱなしで職員室は大騒ぎでしたよ。」
全然困ってない口調で言いながら、スーツに身をつつんだゼロスがリビングに現れ
た。
「で、今日のメニューはなんなんです?ゼルガディスさん。」
「アケメネス朝ペルシャの朝ご飯か、大和朝廷の朝ご飯か、インド人もびっくりの
朝ご飯かだ。今日は時間がなくて三種類しか作れなかった。悪いな。」
「いや、謝らなくても・・三種類あるだけで十分すごいですよ。」
落ち込むゼルをなだめるアメリア。
ゼルガディスは正義館の料理人である。
リナも料理には自信があったが、彼は格が違っていた。
彼は美意識で料理するのだ。味はもちろん、盛り付け、素材、アイデアにもこだわ
り、そのスピードも目をみはるものがある。
「じゃあ、僕はインド人もびっくりの朝ご飯をお願いします。」
「わかった。」
ゼロスは席に着いて、子供のようにフォークとナイフを握り締めて料理を待ちなが
ら、
「おや、リナさん。どうしたんですか。いつもはポニーテールなのに今日は三つ編
みなんですね。」
その言葉に、ブっと吹き出す一同(除くリナ)
「ちょっとした気分転換よ。」
不機嫌に答えるリナ。
何しろ昨日のアメーバ事件。どう考えてもリナが原因である。
リナにだけガウリイが見えたところから考えても、誰かがリナに、幻覚(イリュー
ジョン)をかけたとしか考えられない。
加えてリナの言ったセリフ。
・・・そんなやつ、ミトコンドリアでもアメーバでもなればいいのよ・・・
実際あの直後にアメーバが出てきたのだから偶然ではないだろう。
イッソンなんかの言う事を聞くのは癪だったが、またあんなことになったらたまら
ない。
リナは多少いらついていた。なにせ、相手が何を考えているのか全くわからない。
これほど不気味なものはない。
昨日の襲撃はなにが目的だったのか。なぜガウリイの幻覚を使ったのか。
そもそも、髪型がポニーテールであることが、アメーバやミトコンドリアとどう関
係あるのか。
「あああああああっ!むしゃくしゃするーっ!変態の考えることなんて、いくら考
えてもわかりゃしないっ。」
リナは大和朝廷の朝ご飯にぱくつきながら言った。
「変態・・?なんのことです?」
できあがったインド人もびっくりの朝ご飯を幸せそうに食べていたゼロスが眉をひ
そめる。
「・・・笑ったら竜破斬(ドラグ・スレイブ)うつわよ・・・」
リナは例の紙をテーブルの上に置く。それに手を伸ばそうとしたゼロスをゼルガ
ディスが制する。
「やめとけ。無理だ。」
「ゼロスさん、わたし家が壊れるの見たくないです。」
「あれを笑わずにいられるのは当事者か人間でないやつだけだ。」
「ゼル、アメリア、ルーク・・・あんたたち誰が家計握ってるのか解っててそうい
うこと言ってるわけ?」
家計、の一言におとなしくなる三人。この寮の家計、もとい会計はリナが握ってい
るのだ。
「これはこれは・・なんとも感動的な手紙ですねえ」
いつのまにか、ちゃっかり手紙を読むゼロス。
「とくにこの、恥ずかしがりやだから寂しい想いさせて罪深いってとこなんて、わ
かりますねえ。最後のミトコンドリアになりたい気持ちも切なくっていいですね
え・・・って、リナさん?」
目を点にする一同にまぎれて、リナはなにやらぶつぶつ言っている。
・・・黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの・・・・
「うわっ!!リナさんよ!!それ!!竜破斬(ドラグ・スレイブ)じゃねえか!!」
「うわあああああああっ!リナ―――っ!!やめろおおお!!寮長のオレが責任と
んなきゃならんのだぞおおお!!」
「ゼロス!!貴様が犯人だったのか!!ついにその道に走ったのか!!」
「ちがいますよー!!僕はただほんとに感動したんであって、別にからかったんで
も、犯人でもないですよー!!」
「嘘はみっともないわよ。今ならまだ間に合うわ。」
「うわあああああんっ!!わたしたちの正義館がああああっ!!!」
それぞれの想いを好き勝手にわめきまくる一同が静かになったのは、近所のおばさ
んが苦情を言いに来た時であった・・・





「ねえ、今日はバイクで行かない?」
おばさんに謝り倒したあと。洗面所で歯を磨いていたガウリイにリナは話し掛け
た。
「ほへはひーへほ、ほはへふはーほはほ?はんふひへふほ。」
「磨くか喋るか、どっちかにしてよ・・・」
ガウリイはがらがらとうがいをした後、
「オレはいーけど、おまえスカートだろ?パンツみえるぞ。」
「う・・・ちゃんと押さえるからいいのっ!」
「でもなんでまた・・・あ、そっか・・・」
うつむくリナに、ガウリイはぽんぽんとリナの頭に手を置いて、
「わかったわかった。だから、そんな顔しないの。」
子供をあやすように、くしゃくしゃっと頭を撫でる。
「あんたねええ・・・・」
リナはふーっとため息をついて、
「髪の毛せっかく結んだのに、また乱れちゃったじゃない・・」
「あ、ごめん。せっかくかわいかったのにな。オレが結び直してやろう。」
「へ・・・?あんた、髪の毛なんて結べるの?」
ガウリイはリナの髪の毛をほどきなおし、くしでときながら、
「言っとくけど、オレはプロだぜ。」
自慢げに髪を結い始める。
ガウリイの冷たい手がひんやりとして気持ちいい。鏡の中のガウリイはそれは器用
にリナの髪を結い上げる。
思わずじっと見つめるリナの視線に気がついた鏡の中のガウリイは、ふっと笑顔を
もらす。
その笑顔があんまりやさしくて。思わずリナは赤面してうつむいてしまう。
「こらこら、うつむいたら結べないだろ。」
ガウリイは後ろから手をまわして軽くリナのあごを持ちあげる。
その手がリナの唇に偶然触れる。一瞬どきっとするリナ。
「あ、ごめん。」
たいした気にかけた様でもなく、ガウリイは手をひっこめる。
しかし、リナはちがった。今ので全身が熱くなる。心臓がどきどきしているのが
はっきりわかる。
―――うわーっ!!なんなのよ、この動悸はーっ!あたし、今日、変!!―――
偶然と知りつつも妙に意識してしまう。リナはなるべくガウリイと目をあわさない
ように、でもできるだけ不自然でないようにふるまおうとした。
意識してるのに気づかれちゃいけない。どーしよう。どこ見よう。
視線の行き場に困りながらもリナはガウリイの手を見つめることにした。
よしっ。これなら不自然じゃない。
「はい、できあがり。ををっ!!我ながらかわいい!!ってリナ。どうしたんだ?
真っ赤になって。」
ガウリイのその一言に石化するリナ。
「おーい。リナー?熱でもあんのかー?」
言ってリナのおでこに手をやる。
その行為がリナのこころに火をつける。
顔が、全身がカッとなる。
―――だめっ!!あ、頭に血が上るっっ!!押えらんないっ!!!―――
気がつくと、リナはガウリイに抱きついていた。



「・・・え・・・・と・・・・」
面食らうガウリイはとりあえずリナの顔を上に向かせる。その目に一瞬どきっとす
る。
潤んだ瞳はガウリイが今まで見た事がない瞳だった。
なんだか直視できなくなって、ガウリイは思わず目をそらしてしまう。
「よいしょっと・・・」
ガウリイはリナをひょいっと抱き上げて、そのまま二階へ階段を上る。
辺りは静まりかえっていた。もう全員登校したようだ。
リナの部屋の扉を足で開けて、そのままベッドの前で立ち止まる。
ガウリイはリナを片手で抱きかかえつつ、布団をめくり、そのままやさしくリナの
身体を横たえる。
「ちょっと、待ってろ。」
そのまま、部屋を出て行くガウリイ。
―――一体、何をするつもりなんだろ・・・?―――
リナの疑問をよそにガウリイはすぐに戻ってきた。手にいろんな道具をかかえて。
「はい、体温計。熱はかりなさい。」
「・・熱なんてないわよ・・・」
リナは思わず苦笑する。あまりにもガウリイらしい行動だと思ったのだ。
「いいや、あるよ。いいからはかんなさい。」
仕方なしに、体温計を口に入れるリナ。その間にガウリイはまた部屋を出て行って
何かをしているようだ。
リナは天井を見つめながらため息をつく。
・・・どこまでくらげなんだろ・・あいつ・・・
本気でさっきのリナの行動をねつのせいだと思っているようだ。
すこしがっかりしている自分に気づいてリナは驚く。
―――あたし、なんでがっかりしてるんだろ・・―――
期待していたのだろうか。
―――期待・・・?何を・・・?―――
そんな事を考えながら、リナの意識は遠のいていった・・・




ガウリイは目の前で眠るリナを前にして、ふーっとため息をついた。
リナは本気で熱があったのだ。
38.5度。決して低い熱ではない。リナの額にのせたタオルを絞りながら、そっ
と彼女の顔をのぞきこむ。
静かに寝息を立てている。よく眠っている。
時計に目をやるともう昼を回っている。リナが目を覚ましたら、なんか作ってやら
なきゃな・・・・
一回の本棚で、ゼルガディス特製レシピを探しながら、ガウリイは違うことを考え
ていた。
さっきリナの表情を凝視できなかった理由を。
オレ・・・どうかしてる・・・
理由はわかっている。今までも何となく気づいていた。
だが、気づいていないふりをしていた。
考えたくないことだったからだ。
目の前に突き出された事実に、今更ながら動揺している自分にあきれてしまう。
・・リナがあいつに見えてしまうなんて・・・
ガウリイは思い出していた。
忘れたい、忘れられないその人を。




気がつくと、全身汗でぐっしょりしていた。
・・一体・・・?
リナはその時になって初めて自分の置かれている状況に気づいて、目をむく。
暑いと思ったら、毛布をかけられているではないか。
それだけではない。氷枕にアイスノン。完全に病人扱いである。
・・・ガウリイのやつ、何考えてんのよ・・6月に毛布なんて正気か?・・・
ベッドから降りようとリナは立ち上がる。
はずだったが。
リナはその場にへたりこんでいた。
「・・え・・・?」
天井を見ている自分に理解ができない。
―――あれあれ・・・?な、なんか・・・め、目がまわるううううううっ!!−−
ピーンポーン
そのときインターホンが鳴り響く。
ピーンポーン
「ちょ、ちょっとまって・・・」
リナはふらふらしながら、部屋のデイスプレイのスイッチを入れる。
『宅急便でーす。こちらにリナ:インバース様はいらっしゃいますかー?』
「あ、あたしですけど、玄関に置いといてもらえますか?」
『ちょっと待ってください。今、本人か確認させていただきますね・・・・・
はい、網膜パターンも声紋も一致しました。毎度ありがとうございました。』
デイスプレイのスイッチを切って、リナは部屋を出て、階段を降りる。
―――あたし・・まじで熱あるわ・・くらくらする・・・―――
ガウリイの姿は見えない。学校に行ったのかな・・薄情なやつ・・
玄関のドアを開けると、大きな木箱がひとつ。
外は雨が降っている。
「よいしょっと・・」
我ながらおばさんくさい掛け声をかけてしまった・・・などと考えながら、木箱を
持ち上げる。
めちゃめちゃ重い。
仕方なく、浮遊(レビテーション)をとなえて運び出す。
熱のせいか、いまいち頼りない浮遊(レビテーション)になっている。
「何が入ってんのよ。だいたいこれ誰から・・」
差出人の名前をみてリナは絶句する。
思わず、術の集中力がそれる。
そして、リナは木箱とともに階段を転がり落ちていた・・最悪。




「リナっ!!お、お前何やってんだ!!」
「何って、荷物運ぼうとして、階段から落ちたのよ。」
転がったままのリナの傍に手にした荷物を放り出してすっ飛んでくるガウリイ。
どうやら買い物に行っていたらしい。金の髪は雨の雫に少し濡れている。
「ばかっ!!病人がなにやってるんだ!!部屋でおとなしく寝とけよ!!」
「だって、しょうがないでしょ。宅急便来たんだもん。」
「こういう時は出なくていいの。そんなこともわからんのか?オレよりボケだ
な。」
「ボケって、あんたにだけはそんなこと言われたくないわよっ!!これは不幸な事
故なの!!ちょっと、聞いてるの!?」
ガウリイはリナを無視して、彼女を軽々持ち上げて黙って階段をのぼる。
「離してよ!!自分で歩けるわよっ!!」
リナはジタバタあばれる。
「降ろしてよっ!!降ろせーっ!!」
ほとんど猛獣並みに暴れるリナ。
ガウリイは仕方なくリナを二階の廊下に降ろす。

パン!

軽くリナの頬をたたく。
「・・・な、何すんのよ!!何であたしがぶたれなきゃなんないのよっ!!」
「・・・お前、オレの事なんだと思ってる。」
「脳みそのネジのはずれたくらげもどきよっ!!」
即答するリナにガウリイは小さくため息をついて、
「もういい。勝手にしろ。」
怒気を含んだ声で、そう言い残すとそのまま歩み去る。
・・・・あ・・・・
その後ろ姿にリナははっとする。
ガウリイの後ろ姿には泥のハネがいっぱい付いていた。
ズボンだけでなくその背中にまで。
おそらくガウリイは雨の中走っていたのだろう。
リナのために。
・・・あ、あたし・・・・
リナは立ち去るガウリイの背中に声をかけようとするが、言葉が見つからない。
背中を見ればわかる。
ガウリイの背中は本気で怒っていた。




・・・どうしよう・・・
ベッドで寝返りを打ちながら、リナは上の空で考えていた。
考えても考えても答えなんて出ない。頭がぼーっとしてる。
このままガウリイが怒って許してくれなかったら。このまま口をきいてくれなかっ
たら。
想像しただけで、心が締め付けられる。
目頭が熱くなる。
ガウリイと出会って二ヶ月。いつのまにか彼はリナの保護者を名乗り、気がつくと
隣にいた。
それを当然のように思っていた自分を不思議に思う。
出会って少ししか経ってないのに、それがずっと昔から続いていたように錯覚して
いた。
たった二ヶ月でここまで彼を信じきってしまっている。
たった二ヶ月でここまで感情を乱されてしまっている。
・・・なんでだろう・・なんでこんなにあたし・・・・
コンコン。
リナの想いを中断させたのは、ノックの音だった。
「・・・リナ。」
ドアを閉める音。
リナはガウリイの顔を見なかった。見る事ができなかった。
こわくて。
「腹減っただろ。おかゆ作ったから食べろ。」
リナは枕に顔を埋めてガウリイの言葉をきいていた。
いつも通りのガウリイの声。
「んで、飯食ったら薬飲めよ。買ってきたから。」
「うん・・・」
そういうと、リナは身を起こす。
そして、思い切ってガウリイの顔を見る。
ガウリイはふっと笑みをこぼす。いつもの表情だ。いつもリナの横にある笑顔だ。
「お前・・まだ制服着替えてなかったのか?しわくちゃだぜ。」
ガウリイは言いながら、リナのセーラー服の襟をただす。
それは、ガウリイが毎朝リナにする動作だった。リナはその仕草が好きだった。
目頭が熱くなる。
「やだ・・ほんと・・・気づかなかっ・・・・」
やっと出た言葉を切る。リナの頬には大粒の涙が零れ落ちていた。
「リナ・・・」
ガウリイはリナの頭にぽんっと手を置く。
「よしよし、泣かないの。ごめん、さっき大人げなかったよな、オレ。」
リナはふるふる頭を振って泣き続ける。
「あんまりお前がムチャするからつい、かっとなってな。お前っていつもなんでも
自分一人の力で解決しようとするだろ。苦しい時は、苦しいって言えよな。何のた
めにおれが保護者してるかわからないだろ。」
くしゃくしゃっとリナの頭を撫でる。
いつものリナなら、なんどもなんども人の頭ぐしゃぐしゃにすんなこのくらげ
え!!とか言ってアッパーをくらわすところだが、今のリナはただ泣いてうなずく
だけだった。
「あーもー。泣くなってば。そんな風にオレの前で泣かれても困るんだけど・・」
よわったなー、といった口調である。
「なに、他人事みたいに・・いってんのよ・・人のこと・・こんなに・・・泣かし
といて・・」
「じゃあ、抱きしめてキスでもしてなぐさめる方がいいってか?」
「!!!」
赤面して石化するリナ。
「ばーか。んなことするかよ。保護者だぜ、オレ。はいはい、病人はさっさと飯
食って、薬飲んで、寝る。ほら、おかゆ冷めちまうぞ。」
言うとガウリイはリナの口におかゆを運んだのだった。



エピソード2につづくっ!

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665Re:ここは正義館(2.えれな E-mail 1/10-08:26
記事番号664へのコメント
えれなさんは No.664「ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)」で書きました。
>
>
>ばあしゅっ!
> リナは目の前に迫ってきた緑色のアメーバが放った緑色のつぶてをその手のひらで
>受け止めた。リナの両手には、霊王結魔弾(ヴィスファランク)で魔力がこめられ
>ている。
> とはいえ、いつもはショート・ソードを使って牽制するのに慣れているせいか、か
>なり戦いづらい。それだけではない。いまのリナの装備は裸同然、水着なのであ
>る。
> プールの中は既に緑一色に染められていて、中の女の子達はぐったりとして動かな
>い娘もいる。魔道士コースだけあって、奮闘している者もいるが、相手の数が数で
>ある。もっとも、数える事は不可能だが。敵は、アメーバ状で分裂したり結合した
>りを繰り返しているのだ。
> 周りに人がいなければ、大技一発ぶちかませば済む事なのだが、できないものをと
>やかく言ってもしょうがない。
> めんどくさいが、少しづつ倒していくしかないのだ。
> その時、ふいにリナの背後に殺気が生まれる。
> 振り返らずにそのまま右に飛ぶリナ。
> リナのいた空間に一乗の光が通りすぎる。
>―――今のは、烈閃槍(エルメキア・ランス)?!でも呪文を唱えている様子などな
>かったのに、いつのまに?―――
> プールの縁のぎりぎりのところで着地すると、リナは振り返る。
> そして絶句。
> そこにはいつもの見慣れた顔があった。ガウリイ。
>
>
>
>「ちょっと、なにすん・・・」
> 言葉をそこで切って、リナは後ろにさがった。ガウリイが光の剣できりつけてきた
>のだ。
>―――逃げよう―――
> リナは瞬時にそう思った。ガウリイの腕は重々承知している。彼のもつ光の剣はリ
>ナの手のひらで受け止めれるようなシロモノじゃない。
> リナはガウリイに背を向けてジグザグに走り出す。まっすぐに走れば光の刃が打ち
>出される可能性がある。
> それを追うガウリイ。当然足は向うが速い。
>―――間に合うかっ!?―――
> ガウリイがリナに斬りつけようとした瞬間。
>「封翔界(レイ・ウィング)!」
> リナの体は高く宙に舞う。
> すこしほっとして、とりあえず校舎に向かおうと進路を変えたその時。
>「無駄だ。」
> ガウリイの声はすぐ後ろで聞こえた。
>―――そんなっ!宙にいるのに!―――
> 思わずいやな結末を想像したその時、声はした。
>「螺光衝霊弾(フェルザレ−ド)!」
> ルークの後ろからの一撃で虚空に消えるガウリイ。
> ミリーナが飛んで、ルークが攻撃を担当しているようである。
> 下に降りろ、と合図を送るルーク。
> 術を解除してプールサイドに降りる。
>「あんな相手にてこずるなんて、らしくないのな。」
> 不満げにいうルークにリナは、
>「あんな相手ってねえ。ガウリイの姿してたんだから戦いにくいに決まってるで
>しょ。本人かと思って逃げたのよ。」
> まだ少し動揺が消えないのか、荒い口調で言い放つ。
> しかし、ルークとミリーナは眉をひそめる。
>「ガウリイさんの姿って・・さっきののどこが?緑色したトーテンポールだったよ
>うに思うんだけど・・・」
>「俺にもそう見えたけど。あんたがプールサイドでトーテンポールと追いかけっこ
>してるから、何やってんだあいつ・・ってなあ・・・」
>「へ・・・?そうなの?」
>「うん。あ、本物のおでましだぜ。」
> ルークの視線にめをやると、光の剣でアメーバを切り倒してるガウリイがいる。
> アメーバの方は、学校中からの援護でなんとかなりそうである。
>「ま、ここはなんとかなりそうだし、着替えてきたら?かぜひくわよ。」
>「うん・・そうする・・」
> ミリーナの呼びかけにリナはガウリイの姿をぼーっと見ながら答えたのだった。
>
>
>
>
>
>
>「いやあ、昨日は災難でしたねえ。正体不明の生物出現!ってニュースになっちゃ
>て、電話なりっぱなしで職員室は大騒ぎでしたよ。」
> 全然困ってない口調で言いながら、スーツに身をつつんだゼロスがリビングに現れ
>た。
>「で、今日のメニューはなんなんです?ゼルガディスさん。」
>「アケメネス朝ペルシャの朝ご飯か、大和朝廷の朝ご飯か、インド人もびっくりの
>朝ご飯かだ。今日は時間がなくて三種類しか作れなかった。悪いな。」
>「いや、謝らなくても・・三種類あるだけで十分すごいですよ。」
> 落ち込むゼルをなだめるアメリア。
> ゼルガディスは正義館の料理人である。
> リナも料理には自信があったが、彼は格が違っていた。
> 彼は美意識で料理するのだ。味はもちろん、盛り付け、素材、アイデアにもこだわ
>り、そのスピードも目をみはるものがある。
>「じゃあ、僕はインド人もびっくりの朝ご飯をお願いします。」
>「わかった。」
> ゼロスは席に着いて、子供のようにフォークとナイフを握り締めて料理を待ちなが
>ら、
>「おや、リナさん。どうしたんですか。いつもはポニーテールなのに今日は三つ編
>みなんですね。」
> その言葉に、ブっと吹き出す一同(除くリナ)
>「ちょっとした気分転換よ。」
> 不機嫌に答えるリナ。
> 何しろ昨日のアメーバ事件。どう考えてもリナが原因である。
> リナにだけガウリイが見えたところから考えても、誰かがリナに、幻覚(イリュー
>ジョン)をかけたとしか考えられない。
> 加えてリナの言ったセリフ。
>・・・そんなやつ、ミトコンドリアでもアメーバでもなればいいのよ・・・
> 実際あの直後にアメーバが出てきたのだから偶然ではないだろう。
> イッソンなんかの言う事を聞くのは癪だったが、またあんなことになったらたまら
>ない。
> リナは多少いらついていた。なにせ、相手が何を考えているのか全くわからない。
> これほど不気味なものはない。
> 昨日の襲撃はなにが目的だったのか。なぜガウリイの幻覚を使ったのか。
> そもそも、髪型がポニーテールであることが、アメーバやミトコンドリアとどう関
>係あるのか。
>「あああああああっ!むしゃくしゃするーっ!変態の考えることなんて、いくら考
>えてもわかりゃしないっ。」
> リナは大和朝廷の朝ご飯にぱくつきながら言った。
>「変態・・?なんのことです?」
> できあがったインド人もびっくりの朝ご飯を幸せそうに食べていたゼロスが眉をひ
>そめる。
>「・・・笑ったら竜破斬(ドラグ・スレイブ)うつわよ・・・」
> リナは例の紙をテーブルの上に置く。それに手を伸ばそうとしたゼロスをゼルガ
>ディスが制する。
>「やめとけ。無理だ。」
>「ゼロスさん、わたし家が壊れるの見たくないです。」
>「あれを笑わずにいられるのは当事者か人間でないやつだけだ。」
>「ゼル、アメリア、ルーク・・・あんたたち誰が家計握ってるのか解っててそうい
>うこと言ってるわけ?」
> 家計、の一言におとなしくなる三人。この寮の家計、もとい会計はリナが握ってい
>るのだ。
>「これはこれは・・なんとも感動的な手紙ですねえ」
> いつのまにか、ちゃっかり手紙を読むゼロス。
>「とくにこの、恥ずかしがりやだから寂しい想いさせて罪深いってとこなんて、わ
>かりますねえ。最後のミトコンドリアになりたい気持ちも切なくっていいですね
>え・・・って、リナさん?」
> 目を点にする一同にまぎれて、リナはなにやらぶつぶつ言っている。
>・・・黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの・・・・
>「うわっ!!リナさんよ!!それ!!竜破斬(ドラグ・スレイブ)じゃねえか!!」
>「うわあああああああっ!リナ―――っ!!やめろおおお!!寮長のオレが責任と
>んなきゃならんのだぞおおお!!」
>「ゼロス!!貴様が犯人だったのか!!ついにその道に走ったのか!!」
>「ちがいますよー!!僕はただほんとに感動したんであって、別にからかったんで
>も、犯人でもないですよー!!」
>「嘘はみっともないわよ。今ならまだ間に合うわ。」
>「うわあああああんっ!!わたしたちの正義館がああああっ!!!」
> それぞれの想いを好き勝手にわめきまくる一同が静かになったのは、近所のおばさ
>んが苦情を言いに来た時であった・・・
>
>
>
>
>
>「ねえ、今日はバイクで行かない?」
> おばさんに謝り倒したあと。洗面所で歯を磨いていたガウリイにリナは話し掛け
>た。
>「ほへはひーへほ、ほはへふはーほはほ?はんふひへふほ。」
>「磨くか喋るか、どっちかにしてよ・・・」
> ガウリイはがらがらとうがいをした後、
>「オレはいーけど、おまえスカートだろ?パンツみえるぞ。」
>「う・・・ちゃんと押さえるからいいのっ!」
>「でもなんでまた・・・あ、そっか・・・」
> うつむくリナに、ガウリイはぽんぽんとリナの頭に手を置いて、
>「わかったわかった。だから、そんな顔しないの。」
> 子供をあやすように、くしゃくしゃっと頭を撫でる。
>「あんたねええ・・・・」
> リナはふーっとため息をついて、
>「髪の毛せっかく結んだのに、また乱れちゃったじゃない・・」
>「あ、ごめん。せっかくかわいかったのにな。オレが結び直してやろう。」
>「へ・・・?あんた、髪の毛なんて結べるの?」
> ガウリイはリナの髪の毛をほどきなおし、くしでときながら、
>「言っとくけど、オレはプロだぜ。」
> 自慢げに髪を結い始める。
> ガウリイの冷たい手がひんやりとして気持ちいい。鏡の中のガウリイはそれは器用
>にリナの髪を結い上げる。
> 思わずじっと見つめるリナの視線に気がついた鏡の中のガウリイは、ふっと笑顔を
>もらす。
> その笑顔があんまりやさしくて。思わずリナは赤面してうつむいてしまう。
>「こらこら、うつむいたら結べないだろ。」
> ガウリイは後ろから手をまわして軽くリナのあごを持ちあげる。
> その手がリナの唇に偶然触れる。一瞬どきっとするリナ。
>「あ、ごめん。」
> たいした気にかけた様でもなく、ガウリイは手をひっこめる。
> しかし、リナはちがった。今ので全身が熱くなる。心臓がどきどきしているのが
>はっきりわかる。
>―――うわーっ!!なんなのよ、この動悸はーっ!あたし、今日、変!!―――
> 偶然と知りつつも妙に意識してしまう。リナはなるべくガウリイと目をあわさない
>ように、でもできるだけ不自然でないようにふるまおうとした。
> 意識してるのに気づかれちゃいけない。どーしよう。どこ見よう。
> 視線の行き場に困りながらもリナはガウリイの手を見つめることにした。
> よしっ。これなら不自然じゃない。
>「はい、できあがり。ををっ!!我ながらかわいい!!ってリナ。どうしたんだ?
>真っ赤になって。」
> ガウリイのその一言に石化するリナ。
>「おーい。リナー?熱でもあんのかー?」
> 言ってリナのおでこに手をやる。
> その行為がリナのこころに火をつける。
> 顔が、全身がカッとなる。
>―――だめっ!!あ、頭に血が上るっっ!!押えらんないっ!!!―――
> 気がつくと、リナはガウリイに抱きついていた。
>
>
>
>「・・・え・・・・と・・・・」
> 面食らうガウリイはとりあえずリナの顔を上に向かせる。その目に一瞬どきっとす
>る。
> 潤んだ瞳はガウリイが今まで見た事がない瞳だった。
> なんだか直視できなくなって、ガウリイは思わず目をそらしてしまう。
>「よいしょっと・・・」
> ガウリイはリナをひょいっと抱き上げて、そのまま二階へ階段を上る。
> 辺りは静まりかえっていた。もう全員登校したようだ。
> リナの部屋の扉を足で開けて、そのままベッドの前で立ち止まる。
> ガウリイはリナを片手で抱きかかえつつ、布団をめくり、そのままやさしくリナの
>身体を横たえる。
>「ちょっと、待ってろ。」
> そのまま、部屋を出て行くガウリイ。
>―――一体、何をするつもりなんだろ・・・?―――
> リナの疑問をよそにガウリイはすぐに戻ってきた。手にいろんな道具をかかえて。
>「はい、体温計。熱はかりなさい。」
>「・・熱なんてないわよ・・・」
> リナは思わず苦笑する。あまりにもガウリイらしい行動だと思ったのだ。
>「いいや、あるよ。いいからはかんなさい。」
> 仕方なしに、体温計を口に入れるリナ。その間にガウリイはまた部屋を出て行って
>何かをしているようだ。
> リナは天井を見つめながらため息をつく。
> ・・・どこまでくらげなんだろ・・あいつ・・・
> 本気でさっきのリナの行動をねつのせいだと思っているようだ。
> すこしがっかりしている自分に気づいてリナは驚く。
>―――あたし、なんでがっかりしてるんだろ・・―――
> 期待していたのだろうか。
>―――期待・・・?何を・・・?―――
> そんな事を考えながら、リナの意識は遠のいていった・・・
>
>
>
>
> ガウリイは目の前で眠るリナを前にして、ふーっとため息をついた。
> リナは本気で熱があったのだ。
> 38.5度。決して低い熱ではない。リナの額にのせたタオルを絞りながら、そっ
>と彼女の顔をのぞきこむ。
> 静かに寝息を立てている。よく眠っている。
> 時計に目をやるともう昼を回っている。リナが目を覚ましたら、なんか作ってやら
>なきゃな・・・・
> 一回の本棚で、ゼルガディス特製レシピを探しながら、ガウリイは違うことを考え
>ていた。
> さっきリナの表情を凝視できなかった理由を。
> オレ・・・どうかしてる・・・
> 理由はわかっている。今までも何となく気づいていた。
> だが、気づいていないふりをしていた。
> 考えたくないことだったからだ。
> 目の前に突き出された事実に、今更ながら動揺している自分にあきれてしまう。
>・・リナがあいつに見えてしまうなんて・・・
> ガウリイは思い出していた。
> 忘れたい、忘れられないその人を。
>
>
>
>
> 気がつくと、全身汗でぐっしょりしていた。
> ・・一体・・・?
> リナはその時になって初めて自分の置かれている状況に気づいて、目をむく。
> 暑いと思ったら、毛布をかけられているではないか。
> それだけではない。氷枕にアイスノン。完全に病人扱いである。
>・・・ガウリイのやつ、何考えてんのよ・・6月に毛布なんて正気か?・・・
> ベッドから降りようとリナは立ち上がる。
> はずだったが。
> リナはその場にへたりこんでいた。
>「・・え・・・?」
> 天井を見ている自分に理解ができない。
>―――あれあれ・・・?な、なんか・・・め、目がまわるううううううっ!!−−
> ピーンポーン
> そのときインターホンが鳴り響く。
> ピーンポーン
>「ちょ、ちょっとまって・・・」
> リナはふらふらしながら、部屋のデイスプレイのスイッチを入れる。
>『宅急便でーす。こちらにリナ:インバース様はいらっしゃいますかー?』
>「あ、あたしですけど、玄関に置いといてもらえますか?」
>『ちょっと待ってください。今、本人か確認させていただきますね・・・・・
> はい、網膜パターンも声紋も一致しました。毎度ありがとうございました。』
> デイスプレイのスイッチを切って、リナは部屋を出て、階段を降りる。
>―――あたし・・まじで熱あるわ・・くらくらする・・・―――
> ガウリイの姿は見えない。学校に行ったのかな・・薄情なやつ・・
> 玄関のドアを開けると、大きな木箱がひとつ。
> 外は雨が降っている。
>「よいしょっと・・」
> 我ながらおばさんくさい掛け声をかけてしまった・・・などと考えながら、木箱を
>持ち上げる。
> めちゃめちゃ重い。
> 仕方なく、浮遊(レビテーション)をとなえて運び出す。
> 熱のせいか、いまいち頼りない浮遊(レビテーション)になっている。
>「何が入ってんのよ。だいたいこれ誰から・・」
> 差出人の名前をみてリナは絶句する。
> 思わず、術の集中力がそれる。
> そして、リナは木箱とともに階段を転がり落ちていた・・最悪。
>
>
>
>
>「リナっ!!お、お前何やってんだ!!」
>「何って、荷物運ぼうとして、階段から落ちたのよ。」
> 転がったままのリナの傍に手にした荷物を放り出してすっ飛んでくるガウリイ。
> どうやら買い物に行っていたらしい。金の髪は雨の雫に少し濡れている。
>「ばかっ!!病人がなにやってるんだ!!部屋でおとなしく寝とけよ!!」
>「だって、しょうがないでしょ。宅急便来たんだもん。」
>「こういう時は出なくていいの。そんなこともわからんのか?オレよりボケだ
>な。」
>「ボケって、あんたにだけはそんなこと言われたくないわよっ!!これは不幸な事
>故なの!!ちょっと、聞いてるの!?」
> ガウリイはリナを無視して、彼女を軽々持ち上げて黙って階段をのぼる。
>「離してよ!!自分で歩けるわよっ!!」
> リナはジタバタあばれる。
>「降ろしてよっ!!降ろせーっ!!」
> ほとんど猛獣並みに暴れるリナ。
> ガウリイは仕方なくリナを二階の廊下に降ろす。
>
> パン!
>
> 軽くリナの頬をたたく。
>「・・・な、何すんのよ!!何であたしがぶたれなきゃなんないのよっ!!」
>「・・・お前、オレの事なんだと思ってる。」
>「脳みそのネジのはずれたくらげもどきよっ!!」
> 即答するリナにガウリイは小さくため息をついて、
>「もういい。勝手にしろ。」
> 怒気を含んだ声で、そう言い残すとそのまま歩み去る。
>・・・・あ・・・・
> その後ろ姿にリナははっとする。
> ガウリイの後ろ姿には泥のハネがいっぱい付いていた。
> ズボンだけでなくその背中にまで。
> おそらくガウリイは雨の中走っていたのだろう。
> リナのために。
>・・・あ、あたし・・・・
> リナは立ち去るガウリイの背中に声をかけようとするが、言葉が見つからない。
> 背中を見ればわかる。
> ガウリイの背中は本気で怒っていた。
>
>
>
>
> ・・・どうしよう・・・
> ベッドで寝返りを打ちながら、リナは上の空で考えていた。
> 考えても考えても答えなんて出ない。頭がぼーっとしてる。
> このままガウリイが怒って許してくれなかったら。このまま口をきいてくれなかっ
>たら。
> 想像しただけで、心が締め付けられる。
> 目頭が熱くなる。
> ガウリイと出会って二ヶ月。いつのまにか彼はリナの保護者を名乗り、気がつくと
>隣にいた。
> それを当然のように思っていた自分を不思議に思う。
> 出会って少ししか経ってないのに、それがずっと昔から続いていたように錯覚して
>いた。
> たった二ヶ月でここまで彼を信じきってしまっている。
> たった二ヶ月でここまで感情を乱されてしまっている。
>・・・なんでだろう・・なんでこんなにあたし・・・・
> コンコン。
> リナの想いを中断させたのは、ノックの音だった。
>「・・・リナ。」
> ドアを閉める音。
> リナはガウリイの顔を見なかった。見る事ができなかった。
> こわくて。
>「腹減っただろ。おかゆ作ったから食べろ。」
> リナは枕に顔を埋めてガウリイの言葉をきいていた。
> いつも通りのガウリイの声。
>「んで、飯食ったら薬飲めよ。買ってきたから。」
>「うん・・・」
> そういうと、リナは身を起こす。
> そして、思い切ってガウリイの顔を見る。
> ガウリイはふっと笑みをこぼす。いつもの表情だ。いつもリナの横にある笑顔だ。
>「お前・・まだ制服着替えてなかったのか?しわくちゃだぜ。」
> ガウリイは言いながら、リナのセーラー服の襟をただす。
> それは、ガウリイが毎朝リナにする動作だった。リナはその仕草が好きだった。
> 目頭が熱くなる。
>「やだ・・ほんと・・・気づかなかっ・・・・」
> やっと出た言葉を切る。リナの頬には大粒の涙が零れ落ちていた。
>「リナ・・・」
> ガウリイはリナの頭にぽんっと手を置く。
>「よしよし、泣かないの。ごめん、さっき大人げなかったよな、オレ。」
> リナはふるふる頭を振って泣き続ける。
>「あんまりお前がムチャするからつい、かっとなってな。お前っていつもなんでも
>自分一人の力で解決しようとするだろ。苦しい時は、苦しいって言えよな。何のた
>めにおれが保護者してるかわからないだろ。」
> くしゃくしゃっとリナの頭を撫でる。
> いつものリナなら、なんどもなんども人の頭ぐしゃぐしゃにすんなこのくらげ
>え!!とか言ってアッパーをくらわすところだが、今のリナはただ泣いてうなずく
>だけだった。
>「あーもー。泣くなってば。そんな風にオレの前で泣かれても困るんだけど・・」
> よわったなー、といった口調である。
>「なに、他人事みたいに・・いってんのよ・・人のこと・・こんなに・・・泣かし
>といて・・」
>「じゃあ、抱きしめてキスでもしてなぐさめる方がいいってか?」
>「!!!」
> 赤面して石化するリナ。
>「ばーか。んなことするかよ。保護者だぜ、オレ。はいはい、病人はさっさと飯
>食って、薬飲んで、寝る。ほら、おかゆ冷めちまうぞ。」
> 言うとガウリイはリナの口におかゆを運んだのだった。
>
>
>
> エピソード2につづくっ!
>

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666Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)えれな E-mail 1/10-10:40
記事番号664へのコメント

はい。こんにちは。なんか間違えて二個同じのが入ってしまってるんで、ごめんなさい。
それと、ツリー式にしようと思ってたのにこんなんなっちゃって、ほんとすいません。
以後、気をつけます。すいません・・・
というわけで、エピソード2です。




2.踊る阿呆に見る阿呆・前編





翌日。リナの体調はガウリイのつきっきりの看病のおかげか、さっぱり、すっきり回復し
た。
しかし、問題がひとつ残っていた。
「どうするんだ。リナ。あれ。」
ゼルガディスはリビングにでかでかと置いてある木箱を指差す。
今日は日曜日。正義館の一同は、それぞれ好き勝手なことをしている。
まだ寝ている者、たまった担当の仕事を片づける者、趣味に走る者。
リナはTVを見ながら、
「あー、それね・・・どうしようか迷ってんのよねえ・・・どう考えてもマトモなもの入って
なさそうだし、かといって捨てるのもあとがこわいし・・・」
リナが差出人の名前を見て、階段から転がった例の木箱である。
そう。差出人の名前はイッソンだったのだ。
『己の闇に捕らわれし哀れなる者よ。あなたの血に染まったその手を、天が地が、お上が、パ
ン屋のおじさんが、例え許しても、わたしはあなたを許さない!!』
「かっこいいわあ・・・」
古典的なヒーローものの再放送に釘付けになっているのは、もちろんアメリア。
「かっこいいか・・?それ。あたしは、『助サン、格サン、おやりなさい!!』のが好きだけ
どなあ・・」
反論するリナにミリーナはアイロンをかけながら、
「そのセリフ、『行け!!ガウリイ!!』に似てるわね。」
にっこりと笑う。
「そ、そかな・・」
言われてちょっぴり赤くなるリナ。
「そーいえば、ガウリイさんどうしたんですか?姿が見えませんけど・・・」
尋ねるアメリアに、ゼルガディスはワイングラスを拭きながら、
「ああ、ガウリイならまだ寝てると思うぞ。昨夜っていうか、今朝の明けがた部屋に戻ってた
みたいだし。ま、それまでどこにいたかはあえて聞かんがな、リナ。」
意味ありげにいうと、にやりと笑ってリナを見る。
「へえええええええええ。そうなんだ・・・・」
ルークは通販のカタログから目を離し、リナをにやにや見る。
「ちょ、ちょっと。変な誤解しないでよ。あたしたちは別に・・・」
「あたしたち、ねええ。まだ何も言ってないのに自分からボロだすなんて、これはますますあ
やしいな・・・・ふーん。で、どうだった?」
「どうって・・何いってんのよ!!って、なんでみんなあたしに注目してんのよっ!!」
「いいから言っちまえよ。ガウリイさんには黙っとくからさ。みんな祝ってやってんだよ。
で、どうだった?感想は。」
「ルーク。それじゃまるで中年おやじよ。」
ミリーナのツッコミにいすから転げ落ちるルーク。
「ミ、ミリーナ。それはあんまりな例えだぞ・・・」
「んなことないわよっ!!さっきのあんたのあたしを見る目つきは中年すけべじじいのそれと
同じだったわよっ!!」
「あんたは黙ってろ。ミリーナ。まだ怒ってんのか、こないだのこと。あれは、ほんのはずみ
だったんだってば。」
「へえええええ。こないだのことって何?」
リナはさっきのおかえしとばかりに、無理矢理会話に割って入って、ルークとミリーナを見
つめてやる。
注目されたルークは、
「ふっ。そんなに知りてえなら、聞かせてやらぁ。聞いて驚くなよ。俺とミリーナはなぁ、こ
ないだ教室でピ――――――なことや、ブブ―――――なことを」
「してません!!!」
あわててミリーナはルークの口を塞ぐ。
手にしたアイロンで。
シュ―――――
ルークのユカイな顔面に一同は指差して笑い転げた・・・



「ミリーナ、お前リナさんと似てきたな・・・」
「ルーク。も一回アイロンあてるわよ。それは言い過ぎだわ。」
「どーゆー意味よ・・・」
青筋立てるリナに、ミリーナは少し身の危険を感じながら、
「そ、そういえば、話が随分飛んだように思えるんだけど・・そうそう。どうするの?この
箱。」
話を逸らすなああっとツッコミを入れたい衝動を抑えてリナは、
「どうするって・・・どうしたらいいと思う?あんたたちは・・・」
みんなに視線をおくる。
「開けちまおうぜ。絶対おもしろいものが入ってるはずだ。俺の勘ではマルピーギ小体とみ
た。」
「俺の個人的な要望だと、ビストロ〇マップのレシピだな。」
「わたし、鉄仮面とヨーヨーのセットがほしいです。」
「私は、干からびてカラカラになったマリモがいいわ。」
マトモな思考回路を持った人間はいないのか。だいたい、ミリーナ。あんたはそんなキャラ
じゃないはずだぞ、設定ではっ。
どつきまわしたい欲望に駆られながらも、リナは部屋の隅で黙って新聞読んでいたゼロスを
見て、
「ゼロス。あんたはどう思うの?」
ゼロスは苦笑しながらも、はっきり一言。
「バラバラ死体。」
その言ってはいけない冗談に凍りつく一同。
「・・は、はははははは・・・やあだ、何いってんのよゼロスったら、んなわけないじゃな
い。」
引きつった笑みを浮かべながら、箱からあとずさるリナ。
何となく臭い気がするのは気のせいか?
そこへ部屋から出てきたガウリイの姿。
「???・・・何みんなして固まってんだ?あれ、この箱まだ開けてなかったのか?」
言って、あくびしながら、箱に触る。
「わ――――――っ!!ガウリイ!!触っちゃだめええええ!!!」
「へっ!?」
その声に驚いて思わず箱を落っことすガウリイ。

ぱっかん。

「なんてお約束な展開だ・・・・・」
ゼルガディスは頭をかかえて呟いたのだった・・・・





「このくーらーげええええええええ!!!」
「ぐ、ぐるじ・・・」
リナに首絞められて、白目むくガウリイ。
「待って。リナさん。制裁はあとにしましょ。それよりも先にやらなきゃいけない事がありま
すよ。」
言って箱を見るアメリア。
みんな、しっかり箱から半径2m以内に入らないようにしていたりする。
ゼロスなんぞ冷蔵庫のかげに隠れている。
箱の中には、黒い物体と手紙のようなものが入っているように見える。
「とりあえず、バラバラ死体ってことはなさそうね・・・・・」
リナはフライパンを構えながら、おそるおそる箱に近づいて、
「・・・・これはこれは・・・死体のがましだったわね・・・見て。」
「な、なんなんだ?」
みんないっせいに箱に近寄る。
「こ、これって・・・まさか・・・」
「爆弾よ・・・・」
リナは絶望的に呟いた。
『ぎええええええええええええええええっ!!!!!』
みんなの悲鳴がハモったあと。
「とーさああああああん!!!先立つ不幸をおゆるしくださあああああああい!!!」
「じゅうおうさまあああああ!!愛してますううう!!さようならああああ!!!」
「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
「うおおおおおおおおっ!!ミリーナ!!死ぬ前にいっぱつやっちまおう!!!!」
「どなどなどーなーどーなー。子牛をのーせーてー。」(ミリーナ混乱中)
「リナあああああああっ!!お前のいるところはオレのそばだああああっ!!とことんの中な
んかじゃないぞおおおおおおおっ!!!」
「あああああああっ!!!うるさああああいっ!!!時限爆弾よ!!時限爆弾!!いますぐ死
ぬわけじゃないの!!」
リナの一喝で正気に戻る一同。
「え・・・?時限爆弾?」
「そう。しかもメッセージつき。」
リナは、みんなの前にいっしょに入っていた紙を広げる。




リナ:インバースとその手下達へ


君たちがこの箱をあけた瞬間がはじまりだよ。
この爆弾はたった今から12時間後に爆発する。その威力は20世紀の原子力爆弾並みだか
ら、たいしたことはなきにしもあらずんば虎児を得ず。
ついでに、これと同じものが、大阪、ニューヨーク、ベルリン、ロンドン、シドニーのある
場所に設置されているんだよよよよよ。
無視するのはきみたちの自由だけど、ゲームに参加するなら、大阪にある飯田 あいさんの
家に45分後においで。
もちろん全員でね。
来なければ、大阪の街は小林さ〇こさんの衣装よりもきらびやかな炎の花で彩られることに
なるよ。マッシュルームだよ。わかったかい?
警察なんかに言ったら、どうなるかわかるよね?
じゃあ、がんばって。


イッソンより




「45分後って・・大阪だって!?全員!?無理だ!!浮遊機(レビテーション・プレーン)
の予約なんて今から取ってたんじゃ・・・」
「まず無理ね。けどやるしかないのよ!!行くわよ!!」
愚痴るルークにリナは叫んで、玄関に走る。それに続く一同。
「行くってどこに行くんです?リナさん!!」
「飛びながら考えるのよっ!!ほらっ!!飛ぶわよ!!」
「だからどこに向かって飛ぶんです?むちゃくちゃですよ!!ちょっと落ち着いて考えましょ
うよー!!」
アメリアのツッコミにリナは、
「じゃあ、あんた落ち着いて考えたら、何かいい案だすわけ?!このままじっとしてるなんて
あたしはできない!!」
リナが取り乱すのも無理はない。大阪は彼女の郷里なのだ。
「リナ、落ち着け。アメリアを責めても何も解決しない。具体的な策を立てよう。」
たしなめるゼルガディスにリナは、
「わかってる、わかってるわよ。でもどうすればいいのよ!もう時間がないのよ!!」
ほとんど涙声で叫ぶリナ。彼女の腕時計はタイムリミットまであと40分と告げている。
「リナ・・・」
リナの頭にぽんと大きな手がかかる。ガウリイである。
リナの肩から少し力が抜ける。
「大丈夫だ。なんとかなるかもしれない。」
ガウリイはやさしい声で言うと、とんでもない案を話し出した。





「振動弾(ダム・ブラス)!!」
「魔風(デイム・ウィン)!!」
「烈閃槍(エルメキア・ランス)!!」
リナ達一行は問答無用の呪文を立て続けにぶっ放しまくりながら走りまわっていた。
「そこを右だ!!」
ガウリイの案内にしたがって、駆け巡っているのは横浜にある国際軍の基地の中。正義館か
ら歩いて30分くらいのところにあるのだ。
つまり、ガウリイは軍から戦闘機をかっぱらう、という案をだしたのである。
もちろん、立派な犯罪である。
ガウリイが国際軍の大尉だったというのは昔の話である。
それに例え大尉であろうが、将軍であろうが、勝手に軍の持ち物を使っていいわけがない。
だがしかし。民間の浮遊機(レビテーション・プレーン)なら、大阪ー横浜間40分かかる
ところだが、軍の最高特殊戦闘機の封翔機(レイ・ウィング・プレーン)なら、操縦者の腕次
第では20分で行けるというのだ。ちなみに、この浮遊機(レビテーション・プレーン)はそ
の名の通り。浮遊(レビテーション)の術を開発して、それに科学技術を加えて造られた文明
の利器である。
そこで、リナ達は、民間の浮遊機(レビテーション・プレーン)をハイジャックするよりは
まし、と一致団結、文句無しで基地に乱入したのである。
タイムリミットまであと30分。ガウリイの腕なら大阪まで飛ばせば15分強で着くという
ことだから、勝算はある。
「侵入者だっ!!捕らえろっ!!」
「どいてください!!ごめんなさい!!炎の矢(フレア・アロー)!!」
出くわす軍人さん達を、アメリアの攻撃呪文がなぎ倒す!
「おらおらおらおら、どけえええええっ!!世界のためだ!!火炎球(ファイヤー・ボー
ル)!!」
振り向きざまにルークが放った火炎球(ファイヤー・ボール)がリナ達の後ろで炸裂する!
「ひいいいいいいいっ!!あんたら、なんか俺らにうらみあんのか!?」
「んなものはないが、大は小を兼ねる!!氷の矢(フリーズ・アロー)!!」
ゼルの氷の矢にぶざまに倒れる軍人A!
「イッソン、むかつく、覚えてろ!!竜(ドラグ)・・・・・」
「わ――――っ!!リナ!!やりすぎ!!基地がつぶれる!!将軍におこられるー!!
・・って、あれだ!!乗れ!!」
ガウリイの指示に従って、封翔機(レイ・ウィング・プレーン)の一基に飛び乗る一同。
8人乗りの小型戦闘機で、その戦闘能力、スピード、などあらゆる機能はすべて操縦者の精
神力であやつられるという、これまた文明の利器である。操縦出来る者の数が極端に少ないの
で、民間ではポピュラーでないが、使えれば無敵の戦闘機と言われている。
「行くぞっ!!しゅっぱ―――― つ!!!」

どがあああああああん!!!

基地の壁を突き破って、無敵の一行は大空に飛び立った。



エピソード2.後編につづくっ!!








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667Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)にゃーにゃ E-mail 1/10-11:33
記事番号666へのコメント
おもしろかったですぅ。

『ぎええええええええええええええええっ!!!!!』
> みんなの悲鳴がハモったあと。
>「とーさああああああん!!!先立つ不幸をおゆるしくださあああああああい!!!」
>「じゅうおうさまあああああ!!愛してますううう!!さようならああああ!!!」
>「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
>「うおおおおおおおおっ!!ミリーナ!!死ぬ前にいっぱつやっちまおう!!!!」
>「どなどなどーなーどーなー。子牛をのーせーてー。」(ミリーナ混乱中)
>「リナあああああああっ!!お前のいるところはオレのそばだああああっ!!とことんの中な
>んかじゃないぞおおおおおおおっ!!!」

ああっ!?ゼロス様がどさくさにまぎれて
獣王様に愛の告白をっっ!?
うらやましいぞっ!獣王っ!(←本音)
・・・・って、口調が一瞬変わっちゃったですぅ。
ミリーナが混乱してる・・・。
ガウリイのセリフ、もしかしてNEXTをもとにしてるのでは・・・・?

それにしても、獣王様うらやましいですぅ。(まだ言ってる)

では。

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674Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)えれな E-mail 1/10-13:16
記事番号667へのコメント


読んでいただいてありがとうございます。


>>ああっ!?ゼロス様がどさくさにまぎれて
>獣王様に愛の告白をっっ!?
>うらやましいぞっ!獣王っ!(←本音)

わたしもそう思いながら、書きました・・
えれなは、ゼロスファン。そして、ガウリナ派。(なんじゃそりゃ)
読めばわかるって?

>ミリーナが混乱してる・・・。
>ガウリイのセリフ、もしかしてNEXTをもとにしてるのでは・・・・?
>

そのとーり!!この辺はあまり深く考えて読まない様に・・・(爆)
でわ。また読んでくださいね。感想ありがとうございます。


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672Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)御茶らちゃ E-mail 1/10-12:33
記事番号666へのコメント
おもしろかったですっ!!特にこの二つ・・・

>「ゼロス。あんたはどう思うの?」
> ゼロスは苦笑しながらも、はっきり一言。
>「バラバラ死体。」
> その言ってはいけない冗談に凍りつく一同。
>「・・は、はははははは・・・やあだ、何いってんのよゼロスったら、んなわけないじゃな
>い。」
ゼロリナにもサ−ビスサ−ビスぅ、ですか?
(今誰かが憑依しました。)
違うと思う・・・自分でつっこむところがかなしいっす。

>「爆弾よ・・・・」
> リナは絶望的に呟いた。
>『ぎええええええええええええええええっ!!!!!』
> みんなの悲鳴がハモったあと。
>「とーさああああああん!!!先立つ不幸をおゆるしくださあああああああい!!!」
>「じゅうおうさまあああああ!!愛してますううう!!さようならああああ!!!」
>「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
>「うおおおおおおおおっ!!ミリーナ!!死ぬ前にいっぱつやっちまおう!!!!」
>「どなどなどーなーどーなー。子牛をのーせーてー。」(ミリーナ混乱中)
>「リナあああああああっ!!お前のいるところはオレのそばだああああっ!!とことんの中な
>んかじゃないぞおおおおおおおっ!!!」
わけわかりません。(笑)
私、爆笑しちゃいました。
ギャグセンスありまくるんですねえ。
次回も期待してます。
それでは。

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675Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)えれな E-mail 1/10-13:28
記事番号672へのコメント

感想ありがとうございます!!

>ゼロリナにもサ−ビスサ−ビスぅ、ですか?
>(今誰かが憑依しました。)
>違うと思う・・・自分でつっこむところがかなしいっす。
>
ゼロリナサービスは、(高・校・教・師編)など、後半でいっぱいやらせていただきます。(爆)
待っててね・・・ふふふ。やばいぞ自分!!

>>「爆弾よ・・・・」
>> リナは絶望的に呟いた。
>>『ぎええええええええええええええええっ!!!!!』
>> みんなの悲鳴がハモったあと。
>>「とーさああああああん!!!先立つ不幸をおゆるしくださあああああああい!!!」
>>「じゅうおうさまあああああ!!愛してますううう!!さようならああああ!!!」
>>「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
>>「うおおおおおおおおっ!!ミリーナ!!死ぬ前にいっぱつやっちまおう!!!!」
>>「どなどなどーなーどーなー。子牛をのーせーてー。」(ミリーナ混乱中)
>>「リナあああああああっ!!お前のいるところはオレのそばだああああっ!!とことんの中な
>>んかじゃないぞおおおおおおおっ!!!」
>わけわかりません。(笑)

わたしもようわからん。(爆)やつらが勝手にしゃべった・・・という事にしといて下さい。
えれなはこんなやつじゃないいいい!信じて。もうおそいですか?いまさら。

>私、爆笑しちゃいました。
>ギャグセンスありまくるんですねえ。

えれなは大阪人、とだけ書いておこう。
笑ってくれてありがとうございます。
芸人の血が騒ぎます。(ちがうちがう。)

では、また。感想ほんとにありがとう、です。



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681Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)松原ぼたん E-mail 1/10-14:04
記事番号666へのコメント
 おもしろかったです。

> ルークのユカイな顔面に一同は指差して笑い転げた・・・
 あははははははははははははは(大笑)。
> その言ってはいけない冗談に凍りつく一同。
 そりゃ、凍り付くしかないわな。
> 「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
 そうかゼル、シメサバはやっぱり嫌が(笑)。
 他のは・・・・・コメント避けます(笑)。
> リナ:インバースとその手下達へ
 手下・・・・・(笑)。
 相変わらず引くつくようなお手紙で・・・・・(爆)。
>「イッソン、むかつく、覚えてろ!!竜(ドラグ)・・・・・」
 完全に八つ当たり入ってるな。

 続きを楽しみにしてます。頑張ってください。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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684Re:ここは正義館(2踊る阿呆に見る阿呆・前編)えれな E-mail 1/10-14:17
記事番号681へのコメント
感想ありがとうございます。

>> 「しめさばはいやだああああああああああああああああああああっ!!!」
> そうかゼル、シメサバはやっぱり嫌が(笑)。

あ、ちゃんとわかってくれました?このギャグ。さすが!

> 他のは・・・・・コメント避けます(笑)。

なんでやねーん(笑)

>> リナ:インバースとその手下達へ
> 手下・・・・・(笑)。
> 相変わらず引くつくようなお手紙で・・・・・(爆)。

これは、オリジナルです。しかしイッソン本人(実在)には足元もおよびません。



読んで下さってありがとう。いつも感想ありがとう。
いま、えれなの頭には「ありがとう」の歌がまわってます。
注;大江 千里じゃないです。(笑)

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677Re:ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)松原ぼたん E-mail 1/10-13:50
記事番号664へのコメント
 おもしろかったです。

>「これはこれは・・なんとも感動的な手紙ですねえ」
 うーん、さすがゼロス(苦笑)。
>・・リナがあいつに見えてしまうなんて・・・
 ・・・・ガウリイ・・・・・一体。
>「よしよし、泣かないの。ごめん、さっき大人げなかったよな、オレ。」
 うーん、ガウリイ優しいなぁ。

 続きこれから読んできます(笑)

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679Re:ここは正義館(1悩み多き青少年・後編)えれな E-mail 1/10-13:59
記事番号677へのコメント
感想ありがとうございます。

>>・・リナがあいつに見えてしまうなんて・・・
> ・・・・ガウリイ・・・・・一体。

それはまだ秘密です(はあと)

>>「よしよし、泣かないの。ごめん、さっき大人げなかったよな、オレ。」
> うーん、ガウリイ優しいなぁ。
>
病気だから特別優しく書きました。
リナもかなりいつもと違うけど、半分は発熱のせいです。

> 続きこれから読んできます(笑)

読んで下さい(笑)
では。

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718ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)えれな E-mail 1/11-06:22
記事番号664へのコメント

なんか、まじでツリー落ちるの速いですね・・・
ちょっとびっくり。
それはさておき。続きです。


ここは正義館(2.踊る阿呆に見る阿呆・後編)




「ふーっ。なんとかなりそうだな・・・」
ため息ついてくつろごうとしているルークに、ゼロスが一言。
「でも、飯田 あいさんの家って大阪のどこにあるんでしょうねえ。」
「そうだった・・・それも考えなきゃならんのだった・・・」
げっそりした表情でゼルガディスがうめく。
「おい。リナ。お前心当たりないのか?」
「ない。」
みもふたもなく答えるリナ。
「だろうな・・・」
はーっとため息をつくゼルガディス。
「でも、どっかで聞いた事ある名前よね・・・」
ぽそりとミリーナが呟く。
「どこで!?どこ!?思い出して!!」
操縦席の隣に座っていたリナが後ろに身を乗り出す。
その途端、ぐらっと傾く機体。
「うわっ!リナ!!じっとしてろって!!」
ガウリイに怒られて、慌てて座り直すリナ。
「うーん・・どこだっけ・・」
ミリーナは考え込んで沈黙する。
「大阪までこのまま順調に行けばあと10分で着くから、それまでに頭脳派、がんばってくれ
よ。」
ガウリイが言う。ちなみにタイムリミットまであと20分。
「これの出番ですかね。」
ゼロスはポケットから、ノートパソコンを取り出す。
「ゼロス!!えらいっ!あんたって、ドラえもんみたいね!!」
「・・・リナさん・・それ・・ほめてるんですか・・」
「もちろんよー!さあ、さっさと調べて!!ドラえもーん(はあと)」
「・・・のびたですか・・あなたは・・・」
「あははははは。さっさとやらんか!!」
と、その時。

どおおおおおおおおん!!

機体が大きく傾く。
「な、何!?ガウリイっ!?」
「追手だ。」
あっさり言い放つ。
「ま、当然の展開でしょうね。」
ゼロスはやたら落ち着いて言う。ちなみに傾いたまま。
『ガウリイ。どえらい事をしてくれたな。降参しろ。今ならまだ間に合うぞ。』
やおら機内に響く声。
「ジェ、ジェイク・・・見逃してくれ。頼む。今度ラーメンおごるから。」
『ほんとか!?ラッキー!!・・・って何言わせんだよ!!んなもんで、クビになれるか!』
「一瞬くらってきたくせに・・まあ、いいや。来いよ。オレと戦うってなら。」
『ふっ。貴様と勝負か・・・久々に血が騒ぐぜ。やってやろうじゃねえか。」
ジェイクはそう言い放つと、通信を切った。
「ちょっとガウリイ!!遊んでる暇なんてないのよ!!挑発してどうすんのよ!!」
食って掛かるリナに、ガウリイは平然と、
「どのみち戦うことになるんだ。だったら、早めに倒しといた方がいいだろ?あいつらとずっ
と追いかけっこしながら飛行なんてオレはいやだ。来るぞ!!」
やおら傾く機体。
どおおおおおおん!どおおおおおおおん!
「ぎゃあああああああああっ!!」
機内を転がる一同。
「あんたねえっ!!もうちょっと丁寧に・・・!!!」
うおおおおおおおん!!
何ともいえない感覚が全身を襲う。声も出ない。思わず目を閉じる。
き、気持ち悪――――――っ!!!
「うわ―――――っ!!ひっさしぶり、この感じ!!サイコ―――!!」
ガウリイがなにやら一人で叫んでいる。どうやら一回転したらしい。
ババババババババッ!!ヒュ――――ン!!ド―――――ン!!
ゲームセンターで聴くような音が鳴り響く。
しばらくして音が止む。
「終わったの・・・?」
「いいや。まだだ。それより、モバイルやってんのか?ゼロス。」
「この状況でどうやったらできるんですか・・・」
気分悪そうに呟くゼロス。ほかのみんなも顔色が悪い。
「できるだけまっすぐ飛ぶからがんばってやってくれ。さーて、ジェイク。隠れてないで出て
こい!リナ、ゼル、アメリア、ルーク、暇ならちょっと手伝ってくれ。さっさと片づけよ
う。」
「手伝うってどうすんのよ?」
「こうするんだよ。」
急に窓が開く。機体の装置はすべてガウリイが精神コントロールしているので、何もしなく
てもこうゆう芸当ができるのだ。
吹き付ける風。広がる雲海。
「さむ――――!!で、どうしろって?」
「ちょっとその辺の雲海に魔法ぶち込んでくれ。出てきたら総攻撃。リナは左。アメリアは
右。ゼルガディスは後ろ見といてくれ。んで、ルークは真下な。開けるぞ。前方と防御・回避
はまかしとけ。」
言ってガウリイは機体を雲海と平行にして、ルークの足元の窓を開ける。
それぞれ適当に雲海に魔法をぶち込む。
手応えなし。
「・・・上か!!」
こちらより小型なのを利用して死角になる真上を平行に飛んでいたらしい。
真上に向かってガウリイは砲撃し、その後後ろに後退する。
どおおおおおおん!!ひゅうううううう!!
目の前に落ちてくる一基の封翔機(レイ・ウィング・プレーン)。
そこに一同は唱えておいた呪文をぶつけてやる。
直撃するが、それでもまだ、飛んでいる!!
「しぶといわね、あいつ・・」
「ああ、でも次で終わりにするさ。来るぞ。」
敵はこちらに突っ込んでくる。
「こいつ!!相打ち狙いか!?」
叫ぶゼルガディスにガウリイは黙ったまま。
「はあっ!」
気合一閃!
ガウリイの至近距離での砲撃はものの見事に敵の機体に直撃する。
爆発する敵の機体!
―――誘爆する!!!!―――
誰もがそう思った瞬間。
「バリア全開!!」
ガウリイの放ったバリアで防御される。あたりは真紅の炎につつまれているが、こちらはな
んの影響も受けていない。衝撃すらない。
―――し、心臓に悪い・・・・―――
「終わったな。で、ゼロス、モバイルできたか?」
何事もなかったように聞くガウリイをよそに、一同は先ほどの熱戦の余韻にひたったまま
で、すぐに反応できない。
「おーい。終わりましたよー。もしもしー。タイムリミットまであと10分なんだけど。」
「・・・あ、あんたは、空中砲撃戦なんて慣れてるかもしれないけど、あたしたちはこんな恐
ろしいもん体験したことないんだから・・ちょっと驚いてただけよ・・で、できたの?ゼロ
ス。」
疲れた様子でリナは言う。
「ああ、はいはい。こんなん出ましたけど・・・」
「女性大食い記録保持者・・か・・データはそれだけ?住所とかわかる?」
「ちょっと、わかりませんねえ・・・」
「そ、それっ!!思い出した!!こないだ、その人『涙のチャレンジャー』にでていたひとで
す!!」
ミリーナが、声をあげる。
「待てよ。じゃ、TV局に問い合わせれば、住所わかるんじゃないか?」
ルークが言う。
「そんなの、教えてくれるでしょうか?部外者に・・」
「やかましーわよ、アメリア。聞き出すのよ。舌先三寸で。」
リナはゼロスの携帯握り締めて、不適な笑みを浮かべたのだった。




「やあ、さすがはリナさん。詐欺やらしてリナさんの右の出る人なんていませんね。」
「ゼロス、それ誉め言葉かしら?」
引きつるリナにゼロスはにっこり笑って、
「それは秘密です。」
「・・・・ま、いいわ。で、ガウリイ大阪に入るまで後何分?」
「もう着く。ほら、見えてきた。ちょっと急降下するから、しっかりつかまってろよ。」
ぐうううううううん。
身体に重力がかかる。しばらくすると、身体がふっと軽くなる。
「あ――――大阪だ―――。ひさしぶり・・・」
「懐かしがってる余裕はないぞ。こっからが、本番だ。」
「わかってるわよ。ゼル。」
タイムリミットまであと3分。
「リナ、こっからどう飛べばいい。案内してくれ。」
「わかったわ。大阪城目差して飛んで。で、公園の空き地に止めて。あ、あの辺でいいわ。そ
こから封翔界(レイ・ウィング)で飛んでいくわよ。みんな、準備してね。」
機体が空き地に着陸する。飛び去っていくハトの群れ。
「さあ、行くわよ!!あたしについてきて!!封翔界(レイ・ウィング)!!」



「この辺なんだけど・・どっかに飯田って家ない?23−4よ!えっと、ここが22−7・・
ああっ!時間ない!!あと何分?」
「あと一分切ったぞ!!えっと、ここが23−0ってことは・・あれだ!!あのレンガのでっ
かい家!!」
「あと30秒ないです!!みんな急いでください!!」
「飯田!!ここよ!!ごめんください!!あけて!!」
ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
返答がない。留守のようだ。
「ああっ!!うっとおしい!!」
ゼルガディスがドアを蹴り開ける。家の中に駆け込む一同。
「あと、5秒!!4,3,2,1、・・・」
トウルルルルルルルル・・トウルルルルルルルルル・・・
鳴り響く電話。
「どこ!?どこにあるの!?」
トウルルルルルルルル・・トウルルルルルルルルル・・・
「なんでこんなに広いんだ!!どこだどこだどこだ――――!!」
「あと、20秒しかないです!!はやく!!」
トウルルルルルルルル・・・トウルルルルルルルル・・・
「台所から聞こえるぞ!!」
「でもないわよ!!どこ!?」
「あと10秒だぞ!!どこにあるんだ、でんわあああああああああ!!!」
トウルルルルルルルル・・・トウルルルルルルルルル・・・
「もしかして!!」
ゼロスが冷蔵庫を開ける。
「ありました!!リナ!!」
「かして!!・・もしもしっ!!もしもしっ!!」
『いやあ、おめでとう。よくがんばったね。さすが僕のリナだ。』
電話の向うは、のんびりした図太い男の声。
「約束通り来たわよ。爆弾解除して。」
言いながら、リナはホーンというボタンを押す。
部屋中にイッソンの声が響く。
『とりあえず、君の努力に免じて大阪のは解除したよ。つぎはニューヨークだよ。君とガウリ
イはニューヨークに4時間後においで。場所は今から言うから、しっかり聞いとくんだよ。
織田信長が死んだ年に1000かけて、その数字から、今年のニューヨーク大学の留年者で一
番年上の人の年齢x5539を引いて、4で割るんだ。その余りの数字がヒントになる建物の
屋上に来て。時間はたっぷりあるからゆっくり考えてね。
それから、ゼルガディス出して。』
リナは無言でゼルガディスに受話器を渡す。
『君とアメリアには、ロンドンに来てほしいんだ。君たちにはヨーロッパをまわってもらう
よ。ロンドンには5時間後にしてあげる。戦闘機は一台しかないからね。場所はアメリアさん
の家。ま、説明するまでもないよね。それから、ルークに替わってくれる?」
「んで、俺とミリーナはオーストラリアか?殺すぞ。」
『ふふふ。好きだよ性格。殺せるものならやってみてよ。君の言う通り、オーストラリアに来
てもらうよ。7時間後にね。」
「おい。オーストラリアのどこだ!!」
『シドニーだよ。君の郷里。でも、君は国外追放令くらってるから、大変だね。シドニーの警
察署の真ん前。ふふふ、怨むならリナを怨めば?じゃあね、今、12時ちょうどだね。じゃ
あ、今からスタートだよ。』
ツ−―――――
ルークは受話器をおいて、
「あいつ・・戦闘機は一台って言ってたな・・・」
「ああ・・なんでしってるんだ・・何者なんだ?一体・・・」
ゼルガディスが言う。
「でも、そんなこと言ってもしょうがないだろ。どっちにしても行かなきゃならないんだ
し・・行こうぜ、リナ。」
「ここにいるのよ・・」
リナはうつむいたまま呟く。
「え・・・・?」
「犯人は、ここにいるのよ。」
「ここって、この家にか?」
「そうよ。正確にいうなら、犯人はあたしたちとずっといっしょにいたのよ。」
リナは言葉を切って、一同を見る。
「犯人はこの中にいるのよ!そうよね。」
言ってリナが視線を送ったその先には!

エピソード3につづくっ!!

次回予告

さて、犯人とはだれか!?
いつから金田一のパロデイになったんだ?!
しかも、なんかロス・ユニも入ってるぞ!!
これは、スレイヤーズではなかったのか!?

正解は次週!!


と、わけのわからんノリはおいといて。
次回で、ストーカー編のケリはつきます。
犯人がわかった人、レスでもください。
当たれば今ならもれなくえれなの干からびたマリモがもらえます。(うそです)

ではまた。えれなでした。









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719Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)松原ぼたん E-mail 1/11-06:58
記事番号718へのコメント
 おもしろかったです。

> なんか、まじでツリー落ちるの速いですね・・・
 ツリーの作り方分からない人がいるみたいですからねぇ。
>「やあ、さすがはリナさん。詐欺やらしてリナさんの右の出る人なんていませんね。」
 リナ・・・・すごい(笑)。
>『シドニーだよ。君の郷里。でも、君は国外追放令くらってるから、大変だね。シドニーの警
>察署の真ん前。ふふふ、怨むならリナを怨めば?じゃあね、今、12時ちょうどだね。じゃ
>あ、今からスタートだよ。』
 何をやった、ルーク。
> さて、犯人とはだれか!?
 気になるじゃないですかっ。
 個人的感情までくわわると完全に犯人予想がつきませんね。

 続きを楽しみにしてます。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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721Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)えれな E-mail 1/11-07:09
記事番号719へのコメント

いつも感想ありがとうございます。
あなたのために書いています(笑)見捨てないでくださいね。

>> なんか、まじでツリー落ちるの速いですね・・・
> ツリーの作り方分からない人がいるみたいですからねぇ。

えれなもはじめは解らなかった・・まあ、みなさんそのうち慣れるでしょう。

>>「やあ、さすがはリナさん。詐欺やらしてリナさんの右の出る人なんていませんね。」
> リナ・・・・すごい(笑)。

このセリフはほんとはナーガに言わせたかった・・
でも彼女出すと、ますます壊れるから。もう十分壊れてる?

>>『シドニーだよ。君の郷里。でも、君は国外追放令くらってるから、大変だね。シドニーの警
>>察署の真ん前。ふふふ、怨むならリナを怨めば?じゃあね、今、12時ちょうどだね。じゃ
>>あ、今からスタートだよ。』
> 何をやった、ルーク。
いろいろです。ついでに言うとミリーナもです。

>> さて、犯人とはだれか!?
> 気になるじゃないですかっ。
> 個人的感情までくわわると完全に犯人予想がつきませんね。

かなりこじつけで犯人に仕立て上げましたから。解れば天才ですよ。ほんと。

> 続きを楽しみにしてます。
> ではまた、ご縁がありましたなら。

ご縁はありますでしょう。(笑)
なぜなら、えれなもここに入り浸っている。

では。えれなでした。



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832Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)ろぼろふすー 1/16-21:54
記事番号718へのコメント
えれなさまつ!!!うっ!うっ!・・・・・・続きが気になりますぅーーーーーーーーーーー!!

ううーーーーーーーん、なんだか、緊張感が伝わってきます。
では、おもいっっっっっっっっっっっっっっきり、暴走して
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」ってがんばってくださいねっ!!!!
でわ、しぇいしぇい!!!!


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835Re:ここは正義館(2 踊る阿呆に見る阿呆・後編)えれな E-mail 1/17-01:26
記事番号832へのコメント
ろぼろふすーさん感想ありがとうございます。

>ううーーーーーーーん、なんだか、緊張感が伝わってきます。

これ、めちゃうれしいコメントです。今回はいかにどきどきはらはらさせるかに
重点をおいてましたから。

>では、おもいっっっっっっっっっっっっっっきり、暴走して
>「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」ってがんばってくださいねっ!!!!
>でわ、しぇいしぇい!!!!
>
いまから続きアップしますね。暴走してきます。(笑)
はやくアップしないと、ツリー消えちゃいそうですね。

では。えれなでした。