◆-誰かお願い・・・-投稿者:謎の人(1/1-20:47)No.461
 ┣┳ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。-投稿者:あいる(1/2-00:53)No.462
 ┃┣┳Re:ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。-投稿者:YUKARI(1/2-15:39)No.463
 ┃┃┗┳お読み頂き、ありがとうございます。-投稿者:あいる(1/3-17:42)No.466
 ┃┃ ┗┳お答え-投稿者:YUKARI(1/3-19:46)No.470
 ┃┃  ┗━Re:お答え ありがとうですぅ。-投稿者:あいる(1/8-19:32)No.595
 ┃┣┳Re:ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。-投稿者:松原ぼたん(1/2-22:28)No.464
 ┃┃┗━ぼたんさん、いつもありがとうございます。-投稿者:あいる(1/3-17:47)No.467
 ┃┣┳おもしろかったです。-投稿者:御茶らちゃ(1/4-15:22)No.473
 ┃┃┗━らちゃさん、ありがとうございますぅ。-投稿者:あいる(1/8-19:23)No.593
 ┃┗┳あいるさんへ-投稿者:にふな(1/5-15:55)No.498
 ┃ ┗━にふなさん、ありがとうですぅ〜。-投稿者:あいる(1/8-19:29)No.594
 ┗┳Re:誰かお願い・・・-投稿者:むつみ(1/5-12:13)No.487
  ┣┳Re:誰かお願い・・・-投稿者:松原ぼたん(1/5-15:10)No.493
  ┃┗━今年もよろしくお願いします-投稿者:むつみ(1/6-07:36)No.527
  ┣┳Re:誰かお願い・・・-投稿者:にふな(1/5-15:45)No.497
  ┃┗┳初めまして-投稿者:むつみ(1/6-07:43)No.528
  ┃ ┗━Re:初めまして-投稿者:にふな(1/6-12:34)No.542
  ┣┳Re:誰かお願い・・・-投稿者:霧川 綾音(1/7-13:44)No.569
  ┃┗━お読みいただき、ありがとうございます。-投稿者:むつみ(1/7-21:36)No.580
  ┗┳Re:お読みしましたぁ。-投稿者:あいる(1/8-19:36)No.596
   ┗━Re:お読みしましたぁ。-投稿者:むつみ(1/9-09:12)No.615


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461誰かお願い・・・謎の人 1/1-20:47

誰か・・・ゼロス×アメリア書いて・・・(←自分で書かないやつ)

怒られるのこわいからアドレスも正体も書かない。
誰か書いてくれたら正体あらわすけど。

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462ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。あいる 1/2-00:53
記事番号461へのコメント
どうも、どうもです。
 はじめまして〜って、お名前分からないから 分からないですけど。(笑)
  ゼロアメとは‥珍しいカップリングですね〜。
  ボクはゼロリナ派なんですが、アメリアさん 好きですぅ〜もちろん、他の皆さんも。
 ゼロアメ‥には あまりなってないかも知れませんが、一応お話が浮かびましたので
  書いちゃいました。お気に召さなかったら‥スイマセン。(汗笑)
 ところで、あなた様は どちらかでゼロアメを書きかけていらっしゃいませんでしたか?
  確か‥猫南‥だったような…。(←不確かです)
  いえいえ、別に何でもないんですけど。
 それでは‥よろしかったら、どうぞ。


★心優しき姫君

「‥お‥お助け下さい…」
  一人の老人が、よたよたと歩み寄る。男は、そちらを振り向きもせず言った。
「あなたを助けなければならない理由は、僕にはありません」
「あぁ‥どうか…」
  何かあったのだろう。老人は、あちこちに怪我をしていた。その場に倒れ込むと、そのままピクリとも動かない。
 ここは深い森の中。そう運よく、近くを人が通りかかるとは思えない。放っておいたら、まず間違いなくこの老人の
 命はないだろう。
  だが男は、歩みを止めず老人の前を通り過ぎる。人のよさそうな笑顔の下に隠された、冷たく鋭い瞳ーそう、彼は
 魔族なのだ。しかも彼、命令以外の行動は決して起こさない、真面目な(?)純魔族君だったりする。この世の闇を 
 統べる王、シャブラニグドゥの腹心の一人である、獣王に仕える獣神官ゼロス。それが彼であり、彼にとってそれが
 全てだった。
  するとそこへ、どこからか声が聞えて来る。小さな女の子のようなトーンの高い、しかしハキハキとした、張りのある
 声。ゼロスには、その声の主に心当たりがあった。
「そんな所からじゃ、よく聞えませんよ。降りていらしたらどうです?」
「…・…・…・…・… !!」
  空を仰ぎ見る彼の視線の先には、豆粒のような人影があった。影は彼の声に何かしら叫んで答えるが、はるか
 木の上から、その声は風に乱されてよく聞き取れない。
  一瞬の沈黙の後、木の上の人影が徐々に大きくなって来た。どうやら、飛び降りたようである。この高さから飛び 
 降りるとは、魔道士か、よほど体力に自身があるのだろう。
   ‥ヒュ‥ルルルル‥ルル‥ どしゃっっ !!
  ‥落ちた。
  頭を地面の下に埋めて痙攣していたが、ややあってすっくと立ちあがり、ビシッとポーズを決める。なるほど、たい
 した体力の持ち主である。
「傷ついたご老人を見捨て立ち去ろうとするなんて、それはすなわち悪っ! 天が許そうともこの私、アメリア=ウィル
=テスラ=セイルーンが許さないっ! その行いを恥じ悔い改めないと言うのなら、正義の鉄拳が下るはもはや避けら
れないものと覚悟なさいっ !!」
  そう言い言い切ると、アメリアは再び腕を振りゼロスを指差した。
  降りて‥いや、落ちて来たのは、クリーム色の軽い服装をした、小柄な女の子だった。深蒼色の髪を肩で切り
 揃え、所々に土の付いた頬を淡桃色に染め、潤んだ大きな瞳で彼をじっと見つめている。
  一部始終をただ笑顔で見ていたゼロスは、のほほんとした口調で言った。
「そう言われましても‥僕は魔族ですよ」
「おだまりなさいっ!」
  ゼロスの言葉を一喝して遮ると、アメリアは倒れている老人に駆け寄り、呪文を唱え始める。てのひらに淡い光が
 集まったかと思うと、老人が体を起こした。回復呪文をかけたようだ。涙を流す老人に、アメリアは優しく微笑みかけ
 る。
  アメリアは何があったのかと尋ねたが、老人は回らない舌でお礼を言って、その場を去って行った。
  老人を見送るアメリアの後ろから、ゼロスが声をかける。
「相変わらずですね、アメリアさんは」
  ゆっくりと振り向いたアメリアの顔は、険しく真剣なものだった。ゼロスの取った行動に対して、何か意見があるよう
 だ。
「あなたには、自らの意志はないのですか。魔族が滅びを望む事は知っています。でも、最終的に目的とする所は、全
てのあなたの行動を決定する事が出来るのですか」
  アメリアの怒りを感じ取りながら、ゼロスはその言葉を聞いていた。
  人間と魔族。ここにあっては、相容れぬ存在。アメリアの怒りももっともだが、ゼロスの行動も、魔族として当然の
 事だった。アメリアにもそれは分かっているのだろうが、彼女はやはり言葉として出してしまうのだった。
  しばしの沈黙を置いて、ゼロスが静かに答えた。
「おそらくは。その通りでしょう‥僕は、魔族ですから」
「‥ごめんなさい」
「なぜ謝るのです?」
  ゼロスの言葉にうつむいて背を向け、アメリアが言った。ゼロスも、そう来るとは思っていなかったらしい。本当に分
 からないという風に尋ねた。
「魔族には、魔族なりの事情があるんですもんね。鳥達が、花や虫達や、他のいろんな生き物が、それぞれの掟に従
って生きているように‥もちろん私達人間も、皆んな同じなんですよね」
  アメリアの口調は、微かに震えていた。ゼロスは何も言わず、アメリアは続ける。
「こうする事があなたの掟なら‥私が口を出してはいけないのかも知れません。私が、今こうして、あなたの行動に対
しているように、あなたも、私の行動には沿う事は出来ないでしょうから。たとえ目的地が同じでも、そこへ行く方法を
一つに強制する事は出来ませんものね。でも‥」
  ゼロスは、おや? ‥と思った。目の前にいるはずのアメリアが、なぜかとても遠く、そして懐かしく感じられるの
 だ。ゼロスはどこかで、この不思議な感覚をいつも感じていた気がした。
  背を向けたまま顔を上げ、アメリアは更に続けた。
「でも皆んな、一緒に生きているんです。行く方向が違って、争ったり間違ったりするけど、それでも皆んな、ここで生き
ているんです。この‥世界の上で。違うものがたくさん、同じ場所で生きているんです。何だか不思議ですよね」
  一つ息をして、アメリアはゼロスを振り返る。木漏れ日を受け、まるでアメリア自身が輝いているようだ。
「私、ここが大好きです。ここにある皆んなが、誰も悲しい思いをして欲しくないです。私の言葉が、あなたを傷付けた
かも知れない‥だから、ごめんなさい」
  そう言って、アメリアはペコリと頭を下げた。きらめく雫が、木漏れ日に応える。
  ゼロスは、すぐには言葉を返す事が出来なかった。アメリアの言葉は、押し付けがましい偽善心から来るものでは
 ないだろう。この人間の少女は、魔族にさえ情けをかけるのか。その心の傷を思い、涙まで流すというのか…。
「この世界の全てを愛する、ですか…。全く、あなたって人は」
「そっ、そんなっ、愛するだなんて…」
  いつもの調子に戻って、ゼロスは口を開いた。アメリアは照れたように、あさっての方を見上げている。
  ゼロスは、いつか獣王ゼラスから、そんな言葉を聞いた気がした。零れる事なく全てを救うために、我々は滅びを望
 むのだと…。
「そろそろ行った方がいいのでは? あんまり遅くなると、リナさんに怒られるんじゃないですか?」
「あ゛ぁ゛っ! そうでした! ‥って、どうして知ってるんです?」
「それは‥ヒ・ミ・ツ・です☆」
  いつものポーズで言うゼロスに、アメリアは、わざといぶかしげな表情を作って見せ、プッと吹き出す。やがて小さく
 手を振り、笑顔で駆け出して行った。
  森を抜け小さく消えるアメリアの後ろ姿を見送りながら、ゼロスは恭しく一礼する。
「ご心配を、どうも。心優しい‥姫君」
  森を吹き抜ける風は温かく、春を思わせる。
  音もなく浮き上がると、ゼロスは虚空にその姿を消した。

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463Re:ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。YUKARI 1/2-15:39
記事番号462へのコメント
どうも、謎の人ことYUKARIです。
あいるさんどうもありがとうございました。

>どうも、どうもです。
> はじめまして〜って、お名前分からないから 分からないですけど。(笑)

たしか、はじめましてです。

> ところで、あなた様は どちらかでゼロアメを書きかけていらっしゃいませんでしたか?
>  確か‥猫南‥だったような…。(←不確かです)
>  いえいえ、別に何でもないんですけど。

ぎぎぎくぅぅぅ!!
なんで!?なんでわかったのぉ!?
口調も変えてあったのに!!
・・・でもまあゼロアメ好きな人なんて全然いないからね。

その通りです、猫南にあった話題別の掲示板にゼロアメを1作出しておきました。
これの足下にもお呼びしないけど・・・

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466お読み頂き、ありがとうございます。あいる 1/3-17:42
記事番号463へのコメント
どうも、どうもです。
 お読み頂いたのですね、ありがとうございますっ!

 あの作品を書かれたのは、あなたでしたか。はいぃ〜、ゼロアメカップリングって珍しいですから
  このボクの脳ミソでも 記憶していたようです。(笑)

 それで あのぅ‥ “ゼロアメを1作出しておきました” とおっしゃられていましたが‥
  再掲示なさったんですか? 新作をアップされたんですか?
  よろしかったら、お教え下さいませ…。

 足下にも及ばないなんて、そんな事ありませんよ きっと。作品の中には、書かれた方の
  世界が広がっているものです。それは 誰と比べるものでもありませんから☆
 ありがとうございました。
ではでは。

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470お答えYUKARI 1/3-19:46
記事番号466へのコメント

> それで あのぅ‥ “ゼロアメを1作出しておきました” とおっしゃられていましたが‥
>  再掲示なさったんですか? 新作をアップされたんですか?
>  よろしかったら、お教え下さいませ…。
                       .    
打ち間違えです。ほんとは”ゼロアメを1作出しておりました”です。
再掲示しましょうか?
手元に残ってるので。

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595Re:お答え ありがとうですぅ。あいる 1/8-19:32
記事番号470へのコメント
どうも、どうもです。
 お答え頂いたのですね、お手数を掛けてしまいました。
  ありがとうございます。
 ボクが言うのもなんですが、せっかくですから アップされては?
  猫南のツリーは 読めませんし…。

 遅くなりましたが、ありがとうです。
ではでは。

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464Re:ちょっとだけ、ゼロアメですぅ〜。松原ぼたん E-mail 1/2-22:28
記事番号462へのコメント
 おもしろかったです。

>「魔族には、魔族なりの事情があるんですもんね。鳥達が、花や虫達や、他のいろんな生き物が、それぞれの掟に従
>って生きているように‥もちろん私達人間も、皆んな同じなんですよね」
 こういうセリフはなかなかいえませんよね。さすがはアメリアです。

 できまた、ご縁がありましたなら。

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467ぼたんさん、いつもありがとうございます。あいる 1/3-17:47
記事番号464へのコメント
どうも、どうもです。
 いつも真っ先にレスされて‥すごいですぅ! (尊敬っ)
  お読み下さって ありがとうございます !!

 アメリアさんのセリフ‥アメリアさんっぽかったですか?
  自分としては‥ちょっと、堅苦しかったかなぁ〜とか思ってます。
  アメリアさんっていつも 正義の讃歌を歌っているような雰囲気でしたから(アニメなど)
   そうでない時のセリフが 思い付かなくって…。(汗)

 またご縁がありますように♪ (笑)
ではでは。

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473おもしろかったです。御茶らちゃ E-mail 1/4-15:22
記事番号462へのコメント
> ところで、あなた様は どちらかでゼロアメを書きかけていらっしゃいませんでしたか?
>  確か‥猫南‥だったような…。(←不確かです)
あ、なんかそれ、私も知ってます。

>「そんな所からじゃ、よく聞えませんよ。降りていらしたらどうです?」
>「…・…・…・…・… !!」
・・・確かに。聞こえませんよねえ。そんな高いところからじゃあ。(笑)

あいる様、ゼロリナなのは知っていましたけどゼルアメ小説お上手ですね。
私はゼロリナとガウリナ以外書いたことないですから。
いつも楽しく読ませてもらってます。
・・・のわりに感想送れなくってスミマセン。
それでは。またの小説お待ちしております。再見☆

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593らちゃさん、ありがとうございますぅ。あいる 1/8-19:23
記事番号473へのコメント
どうも、どうもです。
 遅くなってスイマセン〜! ご感想、ありがとうございます !!

 ゼロアメ‥になっていたでしょうか? 自分としてはチョット心配です。(汗笑)
 ありがとうございますぅ〜。

 お返事の事は お気になさらずに! お読み頂けるだけで光栄ですから。
  ボクこそ、遅くなってばかりで申し訳ないです。
ではでは。

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498あいるさんへにふな E-mail 1/5-15:55
記事番号462へのコメント
こんにちは☆
おお!?ゼロアメ!これはまた珍しい(爆)

この話を読んで、アメリアちゃんもまた、ゼロスしゃま、魔族という存在を
認めてくれてるのかなぁと思いました。
そうだったらいいな。
では、また〜☆

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594にふなさん、ありがとうですぅ〜。あいる 1/8-19:29
記事番号498へのコメント
どうも、どうもです。
 遅くなりましたぁ〜ご感想、ありがとうございますぅ〜!

 大丈夫ですよ、アメリアさんなら。やっぱり考えは違うでしょうが、存在は 分かって頂けると思いますよ。
  以前のままでは 理解しがたい存在だったでしょうけど、リナさんと出会ってから
   いろいろありましたしネ。(笑)

 お読み下さって ありがとうございます。
ではでは。

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487Re:誰かお願い・・・むつみ E-mail 1/5-12:13
記事番号461へのコメント
YUKARIさん。こんにちわ。はじめまして。むつみと申します。
このHPは初めてです。あなたの提案が面白そうだったので、チャレンジしてみ
ました。読んでみてください。気に入らなくても、返品は不可!です。
それでは。
月光幻想曲

アメリアは、物思いに耽っていた。
始まりは、セイルーンの地方領主一族のお家騒動だった。
「このままでは本当に血が絶えてしまう。」と、わずか五歳の少女を護りつ
つ、セイルーン・シティまで逃げてきた老執事。
彼の言い分だけを一方的に信じるわけにもいかず、裏付け調査の後にアメリア
が調停にやってきたときには事態は既に収束していた。狂気の惨劇。
疑心暗鬼から親族を殺害し続けていた次期領主は、恐怖にかられた領民達の手
にかかり、あえない最期を遂げていた。セイルーン王家直々の出動が、彼ら心
弱い領民の決心の背中を押す一突きになったことは想像に難くない。
地方領主の館は、生命の気配さえ感じられなかった。殺された者は既に教会に
送られ、命あった者は自らの才覚で逃げ出した。今は、野生の鳥達でさえ近づ
くのを遠慮しているかのように、がらんとしている。
アメリアが、「今夜はここに泊まる」と言いだしたときは、当然皆が止めた。
だが、一度こうと決めた彼女の決心を翻すことのできる人間は、この世界広し
といえどさほど多くないのである。
そういうわけで、彼女は今ただ一人、領主の館の豪華な客間にいる。勿論、隣
室には護衛やら召使いやらが控えているのだが。
「おひさしぶりです。」
静かな声にアメリアが顔をあげると、月光差し込む大窓の前に黒い影が立って
いた。暗い室内と対称的な窓の明かりのせいで、その人影は完全に逆光になっ
ている。
だが、もし室内が光に満たされていたとしても、やはりその人物は黒々とした
影のように見えただろう。
存在自体が半ば影のような男。謎のプリースト、ゼロス。
「どうして・・・ゼロスさんがここに?」
「なあに。野暮用のついで・・・ってやつですよ。ボクも結構、忙しい身です
からね。」
大窓にもたれたまま、横着に答えるゼロスの表情は相変わらず見えない。
「そんなところに立ってないで、こちらに来て座りませんか。」
今夜は、顔の見えない相手としゃべるのは辛い。
ゼロスは、アメリアが指し示した長椅子ではなく、彼女の座る肘掛け椅子の背
もたれにちょんと腰を下ろした。驚いて、自分の背後をふりかえるアメリア
に、いつもの笑顔を向ける獣神官。
「ここは、あなたがいるにはふさわしくない場所のような気がするんです
が。」
場所・・・と言うより、この館全体の持つ雰囲気のことをいっているのだろ
う。アメリアは、自分がここにいる理由を話してみる気になった。
「う〜ん。よく、判りませんね。結局、なぜ、あなたがここにいなけりゃなら
ないんです?」
「・・・考えてみたかったんです。国のこと、王族のこと、色々・・・」
うつむいてしまったアメリアの顔を、無遠慮にのぞき込むゼロス。
「考えるだけなら、ここじゃなくてもいいですよね。セイルーン王宮での政務
の合間に、ちょっと考えて、忘れてしまえばいいじゃないですか。」
「そんな・・・!」
何か言いかけたアメリアを制して、ゼロスは人差し指を振りながら囁き続け
る。
「いいですか。この館には、権力闘争に敗れた怨念が満ち満ちているんです
よ。そんな場所で、セイルーンの王女様ともあろうお方がのんきに『考え事』
ですか?
この、あふれんばかりの負の感情を逆撫でして?」
ゼロスが指さすその先に、その、『負の感情』が凝り固まっているように感じ
て、アメリアは身体を固くした。
「忘れちゃいけないんです!そんな愚かな争いに巻き込まれて死んだ人たちの
ことを!それに!もし、怨念に縛られて浄化できないのなら、私が手助けでき
ます!」
いつのまにか肘掛けの上に移動したゼロスが、アメリアの背後の背もたれに腕
を伸ばし、椅子に半ば身を乗り出す。
「間違えちゃいけませんよ。今、ここにいるのは、多かれ少なかれ己の欲望に
足をすくわれた魂ばかりなんですから。だからほら、生まれついての王女であ
るあなたに対する恨みや妬みがこ〜んなに渦巻いていますよ。」
ゼロスが、まるで、サロンに群れ集う人々を紹介するようなジェスチャーで、
掌を向ける。
「見えるんですか?」
勿論。ボクは、魔族なんですから。その囁きに顔を上げ、ゼロスと目があった
とたんに金縛りになってしまった。この男が魔族だということをつい失念した
自分の愚かさを悔いてももう遅い。
「甘いですね。ま。せーぎなんて言うお題目を心の支えにしなきゃいられない
ようでは、所詮問題外ということですか。」
「まさか・・・今回のお家騒動・・・」
「ボクがやったのかって?もしそうだったらどうします?ボク一人を『悪』と
決めつけて、退治して、いい気分で『忘れ』ますか?この怨霊達も、魔族に操
られたかわいそうな人として、高司祭の力で無理矢理浄化しますか?」
アメリアの真正面にあるゼロスの顔は、いつものにこにこ顔のままである。
「もしそうなら、それって、ボクら魔族と同じじゃないですか。力でもって消
滅させるなら、ね。」
違う!そうじゃない!言いたいことはたくさんあるが、心が千々に乱れて言葉
にならない。ただ一つの行為が、彼女の心を雄弁に語る。
頬をつたう、一滴の涙。
「・・・やめましょう。これ以上続けると、本気になりそうです。」
アメリアの涙を人差し指で受け、立ち上がるゼロス。
「・・・本気で、いじめたくなりますから。」
来たときと同じ窓際に立ったゼロスが、最後の一言を発した。
「今回の件には、ボクは関知してませんから。念のため。」
振り向いた顔が、月光に照らされて冴え冴えとした印象を与える。
「信じる信じないは、ま、貴女の勝手ですがね。」
ぬぐい去ったように消える影。あとにはアメリア一人が残された。
とうさん、かあさん。姉さん。リナさん、ガウリイさん。シルフィールさん、
フィリアさん・・・・・
大好きな人たちの名前を心の中で唱える。それがアメリアの落ち込んだときの
おまじないだった。だが、一番呼びたい人の名前が出てこない。
とうさん、かあさん。姉さん。リナさん、ガウリイさん。シルフィールさん、
フィリアさん・・・・・
祈るように続くつぶやき。呼んではいけない名前。呼んだら、ここにいないこ
とを思い知らされることになる。
とうさん、かあさん。姉さん。リナさん、ガウリイさん。シルフィールさん、
フィリアさん・・・・・。
・・・・・さん。
心の中で唱えていたはずのものが、いつのまにか言葉になっている。ただひと
つの愛する人の名前に。
一度呼ぶごとにこぼれる涙。とぎれることなく続くそれを、月光だけが照らし
ていた。

鳥さえも近づかない地方領主の館。月光に照らし出された尖塔の上に、ゼロス
は佇んでいた。磨き上げられた銅板で葺いた屋根は、きらきらと幻想的に輝い
ている。
しかし、その尖塔にでさえ影はある。その、塔自体が作る影の中に、ゼロスは
いるのだ。、かすかに見開いた眼で何を見ているのか。さっきから身動き一つ
しようとはしない。
いつもの癖で、人差し指を唇に当てたゼロスはふと、妙な顔をする。
それは、甘いと思って口に入れたお菓子が、実は意外と苦かったときの子供の
顔とでも言えばいいのか。
「ふむ。」
自分の指をしげしげと見るゼロス。そこには、さっきのアメリアの涙(感情)
が、残っている。
燃えるような怒り。哀しみ。悩み。後悔。自己嫌悪。
だが、『絶望』だけが無い。あるのは、『慈愛』。そして『希望』。
ゼロスにとっては、やけどしそうに危険な感情だった。
・・・面白い。なかなかいけそうですね。
凄絶な笑みを浮かべ、ゼロスは消えた。
あとに残るのはあふれんばかりの月光と、・・・そして影。
            
                           終

私の書くゼロス君は、とても魔族なのでアメリアがかわいそうなことになって
しまいました。いいのかなー。こんなの書いて。

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493Re:誰かお願い・・・松原ぼたん E-mail 1/5-15:10
記事番号487へのコメント
 おもしろかったです。

>私の書くゼロス君は、とても魔族なのでアメリアがかわいそうなことになって
>しまいました。
 たしかに、それはちょっと思いました。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

 

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527今年もよろしくお願いしますむつみ E-mail 1/6-07:36
記事番号493へのコメント
松原ぼたんさん。小説、読ませていただきました。私はどうも、あなたの追っかけを
しているようです。

> たしかに、それはちょっと思いました。
・・・やっぱり?「とんでもない奴に見込まれたね、アメリア。」ってのが、私の感
想です。あのあとどうなっちゃったのか・・・考えたくない。
 それでは。松原さんの作品、楽しみに待ってますね。

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497Re:誰かお願い・・・にふな E-mail 1/5-15:45
記事番号487へのコメント
読ませていただきました。

>私の書くゼロス君は、とても魔族なのでアメリアがかわいそうなことになって
>しまいました。いいのかなー。こんなの書いて。

いいんです(笑)
あたしは魔族なゼロスしゃまも好きですから。
アメリアちゃん・・・うーん、確かにかわいそうになってますけど、
でもだからこそ、アメリアちゃんの芯の強さ、確固たる信念?みたいなものが
出てていいと思います。
ではー☆

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528初めましてむつみ E-mail 1/6-07:43
記事番号497へのコメント
にふなさんは

>いいんです(笑)
そう、言い切っていただけると、私も気が楽です。

>あたしは魔族なゼロスしゃまも好きですから。
ゼラス様に自分の名前の由来を聞くゼロス君も、可愛らしかったですよ。

>アメリアちゃん・・・うーん、確かにかわいそうになってますけど、
>でもだからこそ、アメリアちゃんの芯の強さ、確固たる信念?みたいなものが
>出てていいと思います。
ははは。ゼルアメなんですよ、私。アメリアのパートナーはやっぱりゼルかなと。
でも、あのままだと彼女「処女王」として、一生を国に捧げちゃうんじゃないかと心
配で。(帰ってくるのか第一王女。)
何とかしろよ、ゼル。

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542Re:初めましてにふな E-mail 1/6-12:34
記事番号528へのコメント
>ゼラス様に自分の名前の由来を聞くゼロス君も、可愛らしかったですよ。

うわぁぁぁぁ!?こんなところに感想が!!??
読んでいただいてたんですねぇ!ひーーーっっ(><)
ありがとうございますぅ!

>でも、あのままだと彼女「処女王」として、一生を国に捧げちゃうんじゃないかと心
>配で。(帰ってくるのか第一王女。)

第一王女、帰ってきてもそれはそれで問題のような・・・・
あの人が国を運営するなんて・・・・恐い。

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569Re:誰かお願い・・・霧川 綾音 E-mail 1/7-13:44
記事番号487へのコメント


>「おひさしぶりです。」
>静かな声にアメリアが顔をあげると、月光差し込む大窓の前に黒い影が立って
>いた。暗い室内と対称的な窓の明かりのせいで、その人影は完全に逆光になっ
>ている。
>だが、もし室内が光に満たされていたとしても、やはりその人物は黒々とした
>影のように見えただろう。
>存在自体が半ば影のような男。謎のプリースト、ゼロス。

あああああああっ☆ゼロスだあ(はあと)
かっこいい文章ですねえ、うらやましいですう☆




>鳥さえも近づかない地方領主の館。月光に照らし出された尖塔の上に、ゼロス
>は佇んでいた。磨き上げられた銅板で葺いた屋根は、きらきらと幻想的に輝い
>ている。
>しかし、その尖塔にでさえ影はある。その、塔自体が作る影の中に、ゼロスは
>いるのだ。、かすかに見開いた眼で何を見ているのか。さっきから身動き一つ
>しようとはしない。
>いつもの癖で、人差し指を唇に当てたゼロスはふと、妙な顔をする。
>それは、甘いと思って口に入れたお菓子が、実は意外と苦かったときの子供の
>顔とでも言えばいいのか。
>「ふむ。」
>自分の指をしげしげと見るゼロス。そこには、さっきのアメリアの涙(感情)
>が、残っている。
>燃えるような怒り。哀しみ。悩み。後悔。自己嫌悪。
>だが、『絶望』だけが無い。あるのは、『慈愛』。そして『希望』。
>ゼロスにとっては、やけどしそうに危険な感情だった。
>・・・面白い。なかなかいけそうですね。
>凄絶な笑みを浮かべ、ゼロスは消えた。
>あとに残るのはあふれんばかりの月光と、・・・そして影。
>            
うをををを・・・かっこいい(はあと)
すごいかっこいいですーーーー(はあと)


>私の書くゼロス君は、とても魔族なのでアメリアがかわいそうなことになって
>しまいました。いいのかなー。こんなの書いて。
>
そーですねえ、たしかに少し、アメリアがかわいそうな気がしはしましたけど、シリ
アスなゼロスなら分かるような気もします。
すごい文章力ですねえ・・・あたしにその1/1000000でもあったら(笑)

それでは・・・。



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580お読みいただき、ありがとうございます。むつみ E-mail 1/7-21:36
記事番号569へのコメント
霧川 綾音さん。はじめまして。よろしくお願いいたします。
>

>あああああああっ☆ゼロスだあ(はあと)
 ゼロスなんです、はい。ダークなゼロスが好きなんです〜。


>うをををを・・・かっこいい(はあと)
>すごいかっこいいですーーーー(はあと)
 そうでしょ?ゼロスはやっぱり、かっこよくなけりゃ。


>すごい文章力ですねえ・・・あたしにその1/1000000でもあったら(笑)
 やはは。お褒めにあずかり、恐縮です。私の腕・・・というより、ゼロスの魅力なの
よ。うん。>

>それでは・・・。
 こちらこそよろしくお願いします。
>
>

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596Re:お読みしましたぁ。あいる 1/8-19:36
記事番号487へのコメント
どうも、どうもです。
 遅くなりました。感想ですぅ。

 すごい設定ですねっ! さすが、むつみさんです。(感)
  むつみさんの小説って、いつも細かい設定まで しっかりされているので
   感心しています。偉そうな言い方ですね〜すいません〜。(謝)
 面白かったです。またお書きになったら、きっとお読みしますねっ。
ではでは。

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615Re:お読みしましたぁ。むつみ E-mail 1/9-09:12
記事番号596へのコメント
あいるさん、こんにちわ。
> 遅くなりました。感想ですぅ。
>ありがとうございます。
> すごい設定ですねっ! さすが、むつみさんです。(感)
「設定」を、いじいじ考えるのが好きなんです。「世界観」とか、そういう言葉
にも弱い!だから長くなるんだよな・・・
>  むつみさんの小説って、いつも細かい設定まで しっかりされているので
>   感心しています。
 ありがとうございます。いや〜。照れちゃうな。(はあと)
 偉そうな言い方ですね〜すいません〜。(謝)
 とんでもない!ものすごく嬉しいです!また、何か書いたら読んでください
ね。それでは。