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    タイトル : ドラスレ! 19
    投稿者  : とーる
    URL    : http://blacktail.blog.shinobi.jp/
    投稿時間 : 2011年5月30日17時18分47秒

 




第十九話





「……さあ」


氷の笑みをはりつかせたまま、ゼルガディスは言う。


「早いとこ見せてもらおう。お前の力ってやつを。――それとも
 今ので腰でも抜かした?」

「……さすがに“レゾの狂戦士”だけのことはあるな。
 貴様に精霊魔術がある限り、この俺に勝算はないか……」

「へえ。それじゃあまるで、剣なら私に勝てるとでも?」

「そう言ってるのさ」


獣人は背負ったかなり長めのシミターをズラン、と抜いた。
巻き込まれるのはごめんだと、俺はさっさと身を引く。
ついでに、止めようとするアメリアも。
ガウリイお嬢ちゃんは剣という言葉が出た時にはすでに、身を引いていた。
お嬢ちゃんは俺たちとは違ってれっきとした剣士であるがゆえ、
ゼルガディスたちの戦いに手を出そうとはしないのだろう。


「リナさん、ゼルガディスさんがっ!」

「あっちは大丈夫だろ。アメリア、俺たちはこっち」

「え?」


トロルの残骸の向こう側に、初めて見る顔がいくつかある。
うち一人は明らかに魔族の奴。
ディルギアとトロルたちを俺たちに向ける第一軍とするならば、
魔族と『その他大勢』がいる第二軍ってことか。


「……たいそうなお出迎えね」


ガウリイお嬢ちゃんが剣を構えなおしながら、その軍勢を見据える。
ちらりと後ろを見れば、未だ剣をぶつかり合わせるゼルガディスたち。
とはいえ、俺の目から見ても腕はゼルガディスの方が上なので、
それほど長くは続かないだろう。
逆に言えば、魔族のいる第二軍の方がやっかいだ。

おーし、やったるわいっ!

俺は口の中で、低く呪文の詠唱を始めた。


「ファイアー・ボール!」


俺の放つ一撃が、戦闘開始の合図になった。
完全に不意をついた形となり、オーガたち『その他大勢』を炎に巻き込む。


「ディグ・ヴォルト!」

「ダム・ブラス!」


一気になだれ込んで来る敵に、俺とアメリアが攻撃呪文を叩き込む。
それを逃れた奴らをガウリイお嬢ちゃんが斬っていく。
一応俺は先頭の魔族を狙ったのだが、あっさりと交わされてしまった。
代わりに背後にいたバーサーカーを一人葬るが、これはかえって
魔族の注意を俺に引きつける結果になってしまった。
案の定、魔族は俺の方に進路変更。

えーい、来るなら来い!


「エルメキア・ランス!」

「かあっ!」


ギリギリの所で攻撃を避け、速度を増した魔族と間合いが一気に詰まる。
下級とはいえ、さすがは純魔族。
その掌から炎のムチが伸び、俺は冷気の呪文を放って空中で薙ぎ払う。
しばしの距離を置いて、対峙する。


「……このゾロムにちょっかいを出すとは、いやはや元気のいい
 坊ちゃんじゃ」

「……このリナを相手にするとは、いやはや命知らずな魔族だな」


負けじと言い返す俺に、ゾロムは低く笑う。

ぶっちゃけた話、ここで俺の大得意の魔法をお披露目して
すぐさまこの戦闘を終わらせてもいい。
ただそうなると魔法の威力上、『その他大勢』だけではなく、
ガウリイお嬢ちゃんたちをも巻き込むことになる。

そしてここを退けたとしても、レゾが遅れて登場した場合を考えると
魔力の残りがまずいことになる。

……はあっ。
こんなことならラ・ティルトを真面目に習得しとくべきだった……。


「わしから行くぞ!」


ゾロムの額がぱっくりと割れ。
そこから何条かの銀光が俺に向かって駆る。
――早い!



キィン!



銀の針が乾いた音と共に地に落ちる。
素晴らしいタイミングで剣を振るうは――


「大丈夫? リナ」


ウインク一つ。


「ガウリイお嬢ちゃん!」

「ほう……あの軍勢を抜けられる仲間がいたか」


ゾロムの問いに、お嬢ちゃんは首を振る。


「『仲間』じゃないわ。私はこの人の『傭兵』よ」

「ふむ……まあ、何でもよいわ。とにかくわしとお前は敵同士、
 ということになるのだろう?」

「そうなりますね、ご老体」

「なら、ぬしから倒してやろうぞ」

「できるかしらっ!」


言うなり、お嬢ちゃんが走る。
ゾロムから繰り出される炎のムチと銀の針をたやすく交わし、
一気に間合いを詰める。
剣が一閃した。

速い!!





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