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    タイトル : 白と茶と緑の来訪者と黄昏色の十字路 H
    投稿者  : kou
    投稿時間 : 2010年9月14日21時09分03秒

「なるほど、間違いなく商人が関わっているわね」
 すべてを聞いて、リナはそうつぶやいた。
「なあ。リナ」
「商人は顔や姿を自由に変えられるの。魔族みたいに!
 で、あんたの顔が気に入ってあんたの顔をまねているの」
「いや、それはわかるんだけれどよ」
 ガウリィの疑問に答えたリナだが、ガウリィは困ったように、
「なんで、あいつ俺の髪の毛の色と瞳の色をまねなかったんだ?」
 その言葉に、全員が黙る。
「ねえ。ゼロス。魔族とかって絶対に変えられないとかそういう何かがある?」
「まあ、実力によっては人間そっくりに化けれないとか。実力までまねるとか記憶の模倣は不可能ですけれど、瞳の色とか髪の色とかは別ですね。
 例外を言えば、魔王様ですね。赤い瞳の異名通り、その瞳の色を変えることはしません。とはいえ、それは当人の意志ですけれど……」
 ゼロスは困ったように言う。
「珍しいな。そこまで、詳しく説明するとは」
 ゼルガディスの言葉にゼロスは肩をすくめて、
「どうせ、僕が言わなくてもマントさんが知っていて言うんでしょ」
「理解が早いようですね」
 あっさりと肯定されて、ゼロスはこめかみをすこしだけひくつかせたのをリナは見逃さなかった。
「銀髪に黒い瞳であることになにか意味があると言うことかもしれないな」
 クウが独白に近い形でつぶやいた。
「とにかく、行方不明者は夕暮れ時に起きているんだな」
「は、はい」
 急に話題を変えたクウにシルフィールは、すこし戸惑いながらも頷く。
「ええ、ですから、最近は対策として夕暮れ時は出歩かないようにしています」
「黄昏時の辻か……」
「つじ……なに?」
 クウのつぶやいた言葉にリナは、怪訝な顔をして聞き返す。
「辻。わかりやすく言えば、十字路。クロス・ロードのことだ。二つの道が交錯しあっている道のことだ」
 クウの言葉でリナは気づく。行方不明者が居る場所は、すべて十字路だと言うことに……。
「黄昏時は言わずもながら、魔が現れる時。
 この世界じゃ、魔王を意味する言語ですらある。
 辻はこの世とあの世の境目とか言われていて、不吉とされているんだ」
「そういえば、そんな文献を読んだことがあるな」
 クウの言葉にゼルガディスがつぶやく。
 黄昏時の十字路は文字通り、魔への入り口となっていたのかもしれない。
 クウが言わんとしていることに気づいて、リナはあることに気づいた。
「そういえば、ルークを見た場所も十字路だった」
「! レゾを見たところもだ」
「冥王を見た所もです」
「………僕も十字路でしたね」
 リナの言葉を皮切りに、全員がつぶやく。
「黄昏時の十字路。
 行ってみないか。俺のカンが正しければ、真相を知るのに一番の近道だ。しかも、商人がいる気がする」
 クウは不敵な笑みを浮かべてそう宣言した。 


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白と茶と緑の来訪者と黄昏色の十字路 C-投稿者:kou なし