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◆−原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食−ウロボロ子 (2010/7/23 09:09:29) No.35165
 ┣Re:はじめまして−フィーナ (2010/7/24 22:20:38) No.35168
 ┃┗Re:はじめまして−ウロボロ子 (2010/7/25 16:40:07) No.35170
 ┣原作のアメリア最高!!−井上アイ (2010/7/31 01:56:26) No.35175
 ┃┗Re:原作のアメリア最高!!−ウロボロ子 (2010/8/1 15:56:33) No.35177
 ┣Re:原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食−みか (2017/8/3 08:39:37) No.35247
 ┗Re:原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食−みか (2017/8/3 08:39:41) No.35248


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35165原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食ウロボロ子 2010/7/23 09:09:29


「あ、ゼルガディスさん?」
食堂にいたのは一人の少女。つややかな黒髪を肩で切りそろえた、童顔の美少女だった。確か名前は…… アメリア。正義かぶれで何も考えていないように見えるが、戦闘中の状況判断、ときおり見せるシビアな言動などに、頭の良さと芯の強さをうかがわせるものがあった。リナやガウリイとどういったいきさつで一緒に旅をしているのかはわからないが、まあ変わった女のようだし、変わった事情などあるのだろう。とりあえず、俺のこの外見にも何一つ驚いた顔も疑問も呈さない時点で普通ではないが、正直そのニュートラルな態度は助かる。
「朝ごはんまだですか? よろしければこちらに座りません?」
ぱたぱたと、にこやかに右手を振りながら話しかけてくる。断る理由もないので、俺はうなずいて彼女の向かいの椅子に座った。
「リナはまだ寝てるのか」
尋ねる俺に、紅茶にがっぽんがっぽんと砂糖を放り込みながらうなずく。
「昨日、なんだかんだでかなり魔力を使ったみたいですしね。疲れてるんじゃないかしら」
「あんたはどうなんだ」
メニューを開きながら尋ねると、少女はにこりと微笑む。
「私はそれほど集中の必要な戦闘も状況もなかったので」
「あれだけの施設で、ひとりで脱出騒ぎを起こしておいて、か」
「ゼルガディスさんやリナがぶちあたったような面倒そうな敵には出くわさなかったんですもん。魔力を封じられた小娘ひとりと侮って、たいした警備はつけなかったんじゃないでしょーか」
 ウェイトレスに、モーニングセットAを頼んで、俺は向き直る。
「その、魔力だが」
「はい」
 パンケーキを優雅に、しかし見事なすばやさで切り分けながらアメリアは目だけをあげる。蒼く大きな瞳。リナの燃えるような紅い瞳とはまた違う狡猾さを秘めて。
「封じられたといっていたが・・・・・・ 完全に封じられていたのか」
「ええ。『光り』ひとつ使えませんでしたよ」
「で、今は」
「絶好調ですね。なんの支障も無い」
 そうか、とうなずいたところで俺の前に湯気をたてるオムレツが運ばれてくる。
そこからもくもくと、ただ向かい合って食べ進める時間が続いた。
 若い女と向かい合ってメシを食うことなどほとんどないが、アメリアとやらは、にこやかに振舞いこそすれ、余計な気遣いはほとんど持ち合わせていないらしく、それ以上の会話もジェスチャーも投げかけてはこない。媚態も緊張も見栄もなく食事に集中してはいるが、相手の存在は感知している。そういった態度だ。リナと一緒にいられる理由がわかる気がした。よっぽど強い自己を持っているか、あるいはガウリイのように何もかもを受け入れ、流し、認められる人間でない限り、あのドラまたと一緒に行動するなんざ不可能だ。
「いいチョイスですね」
 顔をあげると、ホットケーキを食べ終え、ナプキンで口もとをぬぐいながらアメリアがにこやかに俺の皿を見ていた。
「……ああ、このメシのことか」
「ええ! とてもふわふわでおいしそう。もし明日もここで朝ごはんを食べることになったら、わたし、それをいただこうかしら。あ、実際、味はいかがです?」
「悪くないってとこだ」
 と、突然、アメリアが身を乗り出し、くんくんと、俺のオムレツの上で鼻を鳴らす。
「見たところセイルーンのオムレツとちょっと違う風味がありそうですねー」
「ああ、アトラスでよく使われる香草が入っているようだ。……あんた、セイルーンの出身なのか」
「あ、そういえばちゃんと自己紹介してませんでしたね」
 にこりと微笑むとアメリアは、普通のトーンで、にこやかに言った。
「私、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンと申します。セイルーンの火竜王神殿で巫女頭やってます。よろしくお願いします! で、ゼルガディスさんはどちらのご出身ですか?」
「ああ、俺はどこかといえるような故郷も…… ってちょっと待て」
 名前の最後につくセイルーン。
あの白魔法大国・火竜王信仰総本山の巫女頭。
そのふたつの条件が導き出す答えは……
「あんた……まさか」
一応これでも、国際情勢には最低限通じている。そういう立場でそういう苗字の人間がどんな立場のどんな存在か聞いたことがある。目の前の女はその立場でそういう苗字だという。そんなわけあるか。いや、しかし、俺の本能が言っている。この女は嘘をついていない。第一リナとガウリイの仲間だ。多少変な素性でも、こんなところにいるわけがない存在でも、いるかもしれない。あいつらのいる世界に常識なんぞない。そしてそんな奴らにまたしてもぶちあたり、関わっている俺だって、まあ言ってみれば裏の世界の有名人で、実の祖父である某聖人に合成獣にされたという、ちょっとどころかとんでもなく妙な素性の持ち主だ。
俺はこめかみを指で支え、気が進まないながらも訊くことにした。
「つまり、あんた、セイルーンの第二皇女か?」
「はい」
 あっさりとうなずくと、アメリアはテーブルの端にたてかけてあったメニューをとり、おもむろにデザートのページをめくる。
「……なんでまた、お姫さまがこんなとこにいるんだ?」
「そりゃもう、正義を広めるためですよ。あ、私今からウェイトレスさん呼んでデザート頼みますけど、ゼルガディスさんも何か頼みます?」
「いらん」
「そうですか。じゃ、ちょっと注文の間だけ“お互い”素性のお話はナシにしましょうね」
 元気よくウィンクをすると、さっと手をあげて、ウェイトレスを呼ぶ。俺は思わず苦笑をもらした。
『お互い』か。なるほど。
 プリン・ア・ラ・モードとかいう特大のデザートを頼み終え、ウェイトレスが厨房にひっこんだのを見届けると、アメリアは大きな蒼い瞳を猫のように輝かせて、ささやき声で言った。
「今度は私の番です。“白のセルガディス”って、あなたですか?」
「ああ」
 俺はアメリアにまっすぐ視線をかえす。アメリアはでっかい目をますますでかくして俺を見つめている。恐れを知らない小動物のようなその姿に、思わず苦笑がもれた。
「それにしてもあんた……単刀直入だな」
「あなたはリナの友達でしょう? じゃあ、まわりくどく言っても仕方ないかな、と」
「俺のことなんざ、どこで知ったんだ?」
「名のある魔道士や剣士、暗殺者の名前や噂には常に目を光らせていました」
「お姫さまに必要な知識とは思えないが」
「それが意外と、必要なんですよね」
 少し乾いた笑みを浮かべて少女は言う。そこではじめて、聖王国といえどもセイルーンはお家騒動が絶えず、フィリオネル王子の暗殺未遂など数々の血なまぐさい事件がおきたことを思い出した。アメリア第二皇女は、グレイシア第一皇女の失踪後、フィリオネルの唯一の子のはずだ。目の前で屈託無く紅茶を飲み、屈託無く笑い、話す少女が、肉親同士で命を狙いあう環境にずっといたことが、急に実感された。
「なるほど。王族ってのも大変なもんなんだな」
 思わず漏れた俺のつぶやきに、アメリアは「誰の人生だって大変なものですから」と大人びた表情で答えた。確かリナより2,3、年下のはずだったが、そうはとても見えないまなざしだった。
「あなただって、大変な人生を送ってらっしゃるわけでしょう? ゼルガディスさん」
「まあな。リナから聞いたか」
「あらかたは。といっても、あなたの生まれ育ちは知らないわ。ただ、あなたの体がどうしてそうなったかは聞いた。あなたがそれを元に戻す術を探していることも」
 楽な相手だ。俺はそう思った。
「ああ。ダメでもともとで聞いてみるが、あんたはこういったものの治療方法は」
 アメリアは首をふった。それから、ごく適切な、少しだけすまなそうな表情を浮かべて言った。
「現在、私たちの使える白魔術では、解毒や復活がせいぜいです。あと、巫女の私に許されているのは『カン』というか…… 何かを知らされる力だけ」
「そうか」
「すみません」
「気にするな。ダメでもともとで聞いた、と言ったろう」
 俺は紅茶のカップをもちあげ、アメリアのほうに少しだけ寄せた。それから不思議そうな蒼い双眸に、にやりと笑って見せてやる。
「ま、しばらく一緒に動くことになりそうだ。よろしくな、お姫さん」
 アメリアは一瞬だけきょとんとしてから、にっこりと笑顔を浮かべた。
「アメリアと、呼んでください。ここは旅の空ですから」
「わかった、アメリア」
「よろしくお願いします、ゼルガディスさん」
 アメリアも紅茶のカップを持ち上げた。俺たちは軽くカップをあわせて、静かに乾杯した。


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35168Re:はじめましてフィーナ 2010/7/24 22:20:38
記事番号35165へのコメント


こんばんは。ウロボロ子さん。
はじめましてフィーナと申します。
原作に沿ったゼルガディスとアメリアの対話。楽しく拝読させていただきました。
特に原作ではかたられなかった二人の関係性。そのような会話があった、またはありえたかもしれないとおもいました。
特にアメリアの描写は、アニメと原作では異なる部分も多いので(原作はアニメによっていった傾向あり)
タイトルどおり、ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食風景に、ほとんど初対面の二人が同じ席に着き朝食を食べる。普通初対面の人間同士が向き合っての食事なんて、気疲れしそうなものですよね。特にゼルガディスはその外見から奇異の視線にさらされることを嫌ってますから。アメリア自身はそのことは気にしてませんが。
魔力を封じられたリナが、施設に潜入し魔力を取り戻した彼女が、アメリア。そして教団とクレアバイブルをめぐり、やってきたゼルガディスと再会し目覚める前のザナッファー相手から難を逃れたその翌日というわけですね。
ゼルガディスの視点として書かれていますが、特筆すべきは互いの観察力と洞察力。
アメリアのゼルガディスに対する指摘や、ウェイトレスがくるまで「互いの」ことには触れないようにおさえるべきところをおさえる部分。
ゼルガディスがアメリアから感じ取った、明るく人懐っこいだけでなく、時折見せる狡猾な部分や王族として王位継承問題で浮上する暗殺者の名前などの必要とされる知識の背景。
それ普通の一般の人相手だったら、であって翌日の朝食で話す内容じゃない。けど、相手はゼルガディスとアメリアという互いに立場は違えど、裏事情にかかわりを持ち、あのリナと一緒に旅できるほどの忍耐の持ち主ならごく自然な会話の流れだと、類は友を呼ぶともいいますし。

二人が旅の仲間として、乾杯する場面は、違和感なく受けいられました。

少し気になる箇所を発見しました。といっても、誤字の類なのですが。
さしでがましい事かとおもいますが、もし不快に思われましたら申し訳ないです。
ライティングは「光り」ではなく「明り」。セイルーンが信仰しているのは火竜王ヴラバザードではなく、赤の竜神スィーフィードです。

ウロボロ子さんの次回作。ありましたら一読者として、楽しみにしております。

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35170Re:はじめましてウロボロ子 2010/7/25 16:40:07
記事番号35168へのコメント

フィーナ様

おおおおおーーーっっ あ、ありがとうございます!
まさかコメントをいただけるとは思っておりませんでした。久しぶりに原作を読んでから、ぼんやりとPCに向かってカタカタ打って、いろいろ想像してニヤニヤしてから、誰とも分かち合えないなあこれ、とさみしくなって気づいたらアップしてました・・・

ものすごく深く洞察してくださって、ありがとうございます。
(はい、原作第五巻の、あの翌朝という設定でございます!)

また、「明り」のこと、スィーフィードのこと、ご指摘ありがとうございます。ほんとにおっしゃるとおりで、お恥ずかしいです……
書いたものを、ひとにお見せするからには、それぐらい絶対に気をつけなくてはいけないですよね。心の底から反省いたしました。
あと、「紅茶」じゃないですよね確か……スミマセン!

アニメ設定もかわいらしくて大好きなのですが、私は原作設定のドライでリアリストなアメリアさんがとても好もしく、また、すごい事情と性格と能力を持った4人(+たまに魔族)がいろんな事件に巻き込まれていくというのが本当にわくわくしました。ゼルガディスがリカバリィをアメリアに教えてもらったり、といったことを描写なしでさらっと原作者さまが投下してくださるたびに、「なんとなく仲間として波長があっている」ゼルアメを想像したりしてひとりで喜んでいたクチなのです。
よく考えると、スレイヤーズ世界ってそんなにお気楽でもなんでもないですよね。ゼルもアメリアも重たいものをひきずっていますし、リナやガウリイも生まれながらに強大な力のそばにある一族に生まれ、全員かなりへヴィな戦いを強いられている。
でも元気に暴れたりご飯をたべたり香茶を飲んだり盗賊をいじめたり(笑)
そういう彼らと子供のころに出会えて、よかったなあと最近思います。

楽しく読んでいただけたなんて、感激で嬉しくてどうにかなりそうです。
また何か、降ってきたら書かせていただきたいと思います。
(今度は設定間違いのないように)
長々とすみません。
ありがとうございました! 

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35175原作のアメリア最高!!井上アイ 2010/7/31 01:56:26
記事番号35165へのコメント

初めましてm(__)m
考察力が鋭いですね。
原作のままの2人が、動いて、しゃべっている様でした。
特に、ゼルガディスもアメリアも、互いにまだ余り知らないのに、ちゃんと弁える所は弁え、突っ込む所は突っ込む。という、リナの類友(笑)らしさがあって、賑やかだけじゃない、スレイの良い所が、詰まった作品だったと思います。
アメリアが、『白のゼルガディス』を知っていた理由なんかは、そうか!とつい納得してしまう程に(^^ゞ
語録が無く、感想が浅いのは、目を瞑って頂けたら……(汗)
それでは、短く稚拙な感想失礼しました(^-^)ノ

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35177Re:原作のアメリア最高!!ウロボロ子 2010/8/1 15:56:33
記事番号35175へのコメント

井上アイ様

コメントありがとうございます! 本当にありがたいです。
フィーナ様に前コメントでご指摘いただいたとおり、細かいところがグダグダなのですが・・・突然、あの二人の会話が頭にふってきて、「ほうほう、それでどうなんの?」と自分でも思いながらPCに打ち込んでたらあんなんになりました。そっか、あのアメリアなら、ゼルの名前ぐらい知ってるよねえ、と、書き終わって思いました(笑)
そんな原稿ですが、楽しんでいただけたのなら、本当にうれしいです。

私は原作アメリアの、「リアリストな巫女姫」っぷりが本当に好きで好きで、最初アニメ見たときにはのけぞってしまったぐらいです(後日、だんだんアニメのほうのキャラも好きになっていきましたが)。
同じくリアリストのゼルガディスと、なんとなくウマがあっている感じが、下手な恋愛よりも、いろんな広がりを想像させられてドキドキしました。。。
とくに、リカバリィをいつのまにか教えていたくだりとか、のくだりですね。

すみません語りすぎました、でも原作アメリア好きの方もいらっしゃるのだと思うとうれしくて!
また何か降ってきたら書くかもしれないので、そのときはぜひお暇つぶしにでも読んでやってくださいまし!



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35247Re:原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食みか 2017/8/3 08:39:37
記事番号35165へのコメント

スレの世界観そのままですね!
読んでてすごく楽しかったです!

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35248Re:原作寄り:ゼルガディスとアメリアが出会って翌日の朝食みか 2017/8/3 08:39:41
記事番号35165へのコメント

スレの世界観そのままですね!
読んでてすごく楽しかったです!


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