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    タイトル : 銀幕(上)
    投稿者  : みい
    投稿時間 : 2010年5月29日00時41分35秒

どうも! 普段はゼロリナばっかり書いてますが
たまには別のカップリングをということで
ゼルリナを書こうと思ったら
ゼル→リナ←ゼロスとなって首をかしげているみいですこんばんは!
背景的には15巻後となります。
久々にスレパロ書きましたが、やっぱり私の中にリナちゃん達は生きてるみたいです。
ちょっと嬉しかった(*´ω`)
だいぶ弱っているリナちゃんですが、
苦手じゃない方はどうぞご覧下さいまし!


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


  銀幕



「好きですよ、リナさん」
 耳元で囁かれたその言葉に、あたしは思わずしゃがみこんだ。
「ひぃっ! なっ何すんのよ!」
 鳥肌を立てて後ろを見上げると、ゼロスはいつもの笑顔のまま楽しそうに
あたしを見下ろしていた。
「嫌ですねぇ、深夜の密室で男女が二人きり。
 睦言を交わすのが普通でしょう?」
「あんたは阿呆かっ!
 外が見えないから何とも言えないけど、今はどっちかってーと
そろそろ未明の筈だし、そもそもあんた男なの!?
 っていうか睦言って何なのよ!
 それは遺跡に閉じ込められて交わすものか!?」
「嫌ですねぇリナさん。
 リナさん達がこの遺跡に入ったのは月が南天を過ぎる前。
 今は丁度あと少しで南天の頃合ですし、僕はご覧の通り男性形をとってます。
 遺跡の中での睦言も、それはそれでオツでしょう?」
「あほかぁぁああああ!!!」
 どげしぃっ!
 人差し指を可愛らしく立てて(いや実際は可愛くも何ともないが)
得意げに語ったゼロスに後ろ回し蹴りをクリティカルにヒットさせ、
その背中をぐりぐりとかかとでこねくり回す。
 くっ……服越しに伝わる背骨の感触。また下らないことにこだわってるわね!
「あっダメですリナさん、そんなっ」
「気 持 ち 悪 い わぁぁあああああああああ!!!!」
 ぐちっ☆と嫌な音を響かせつつ頭に踵を一つ落として、
ようやく静かになった空間であたしは一人ごちる。
「さて……どうしたもんかしらね」
 目の前には岩戸。壁、床、は石組で、天井に至っては一枚岩である。
 この石室内にはお宝さんたちが山になっているわけだが、脱出経路は目の前
の岩戸のみ。
 かつ、この石室に使われている岩全部がオリハルコンでコーティングされて
いるという凝りようだ。
 あたしとゴキブリ一匹は、どうやら密室に閉じ込められてしまったらしい。


 そもそも、この遺跡にはあたしとゼルの二人で来ていた。
 あたしとガウリイはサイラーグからゼフィーリアへ戻る途中。
ラルティーグ王国を横断してカルマート公国へ入った最初の宿場町で、懐かしい後ろ姿を見つけたのである。
「ゼルっ!」
 久しぶりの懐かしい顔に、あたしもガウリイも、ゼルも喜んだ。
 あたしは、それと同時にどこかで安心もしていた。
 有り得るはずがないのだ。彼が、いや、彼もまた変容するなんてことは。
 それでもルークの一件を整理しきるには時間がまだ足りていなくて。
 ソラリアにも近いこの場所では、思い出すことも多い。
「お前さん……いや、何でもない」
 頭上で交わされたアイコンタクトに、あたしも気づかないふりをした。
 心配してくれている。大丈夫、でも。
 あたしだけの傷ではないから、大丈夫なのだ。

 ガウリイが魔法なんかの話題についていけなくなって寝てから、
ゼルとあたしは情報交換や術式の組立理論なんかで更に盛り上がった。
 そして、この近くに遺跡がありそうだということも。
 ぐっすり寝てしまったガウリイはとっておいた部屋で寝かし、
あたしとゼルは二人でその遺跡へ忍び込んだ。
 久々に、気楽に、知識欲全開で楽しく夜を過ごせる。
 浮かれていたあたしは、目の前で輝いたお宝に走った。
 そしてゼルよりも先にこの部屋に足を踏み入れたのだ。
 一歩。
「危ない!」
 その瞬間に、ぐっと体を引かれた。
「リナッ!!」
 きっとそう叫んだゼルの声は、岩戸が上から落ちてきた音でほとんど
かき消されてしまった。
「えっ……ぜろ、す!?」
 そして、岩戸の内側、あたしを危機から救ってくれたのは、他でもない
このパシリ魔族だったのである。

 そうして今に至るわけだが、器用に頭部へモザイクかけたままぴくぴくして
いるゼロスを見ると、どうにも真剣味が欠けてしまう。
「ゼロス、いい加減起きたら?」
「酷いですねぇ、まったく」
 一瞬で元通りになったゼロスは、お宝の山の隣にある石棺に腰かけた。
「お久しぶり。さて、どういうことなの?」
 あたしは首をかしげて媚を売りながら挨拶してから、上体を壁に預けて
腕を組みゼロスを睥睨する。
「……はあ、命の恩人だって言うのに」
「やかましい。あんたがあたしを助けるのに、裏がないわけないでしょう。
 大体、……この間のことだって――」
 違う。
 こいつに、仲間意識を求めてはいけない。
 やっぱりまだ私は混乱しているらしい。
「おやおや……これはこれは。珍しいですね、リナさん。
 あなたがこんなに複雑な負の感情を見せてくれるなんて」
 心の内まで見透かされた気がして、組んだ腕をぎゅっと体に密着させる。
 一瞬の静寂に、小さく声が響いた。
「……リナ!」
 必死な声。ゼルは、ずっと声をかけていてくれたのだろうか?
「ゼルっ! ゼルガディス、聞える?」
 岩戸に手をついて、隙間を探す。
 岩戸自体も勿論岩なので、継ぎ目部分や上などだ。
「リナ、ここだ」
 ライティングの光に照らされて、岩戸の右隅がきらりと光る。
 針金……いや、ゼルの髪だ。
 たった数pの隙間から入り込んだその優しい光に、少しだけ笑みが漏れた。
「ふむ、気に入りませんねぇ」
「ゼロス?」
「リナ? ゼロスがいるのか?」
「ええ、さっき助けてくれたんだけど」
 まだ、目的は聴いていない。
 左膝を床についたまま、あたしはゼロスを見上げた。
「……で、あんたは一体何のために?」
「リナさんの様子を見に、ですね」
「何のためにか、訊いてるのよ」
「心当たりがないわけじゃあないでしょう? リナさん。
 なんたって、この世界だけじゃなく異界の王の血まで
その身に溶けているんですから」
「何だと……?」
「だっだから何なのよ!」
「おや? 解りませんか? リナさんともあろうお方が」
 いや、解っているのだ。
 普段使っている金色の魔王だけじゃない。
 異界の魔王の力さえも借りて、あの時打てる全力の手をぶつけたのにも関わらず、
あたしの髪は白く染まらなかった。
 生体エネルギーを使うことなく、あの戦いを終えたということ。
 勿論いちいち増幅呪文など使っていなかったのだから、それは噛み砕いた
魔血玉――つまり賢者の石の力に他ならない。
 そして、賢者の石の力を、恐らくあたしは、使い切っていないのだ。
「人間にあるまじき、強大な魔力ってところかしら?」
「ええ。かつて冥王が考えていたアレを、今度は完璧に実行できる可能性があります」
「おい、まさか」
 岩戸の向こうから聞える焦った声。
 そう、今ここに、あの再現をしようと思えばできるゼロス。
「まあ、まだそんな命令は受けてないんですけど。
 やっぱり僕ら魔族としては、強大な力と認めざるを得ないんですよねぇ。
 欠片とはいえ、2回も魔王様を倒した存在っていうのは」
「馬鹿な、2回、だと……?」
「だから、監視してるの?」
「ええ。そして、その時になるまでは生きていて頂きます。
 ……とはいえ、こちらも大痛手なんですよね。
 この間の一件で、魔族間での諍いなんて下らないものもありましたし。
 今まともに動けるのは、獣王様と海王様のみ。
 一度冥王が失敗した策を持ち出してくるには、準備が整いません」
「そうね、一番策を弄すのが得意だったのが冥王だったんだっけ?」
「獣王様も不得意ではないんですけどね。
 ともかく、今すぐっていう動きはないと思いますよ。でも」
「ひぅっ」
 息を吐いた瞬間だったために、顔の横にあったゼロスの手に必要以上の
驚きを持ってしまった。
「どうした!?」
 体温の伝わらない手袋が、あたしの頬と首元に触れている。
「個人的には、今のリナさんにとっても興味があります」
 親指は頬に置いたまま、他の指が耳の後ろからすうっと首筋に添って撫でていく。
「前回は、はっきり敵対してでしたけど、今回は仲間との対決でしたものね。
 リナさんがルーク・シャブラニグドゥ様の正体を知った瞬間、是非その場に
居合わせたかった。
 今よりももっと複雑で美味しい負の感情を出されてたんでしょう?」
 親指は頬を離れ、指先は鎖骨の間を抜ける。
 ふわりと、詰襟が外れた。
 素肌の上を、ゼロスの指先がゆっくりと滑って行く。
「地精道(ベフィス・ブリング)っ!」
 内側がオリハルコンになっているのを知らないゼルが、岩戸に穴を開けよう
としているんだろう。
 微かな振動が伝わるが、穴が開く気配はない。
 いや、確かめられないのだ。
 こんな至近距離に、どんな目的を持っているか解らない高位魔族がいる以上、
よそ見なんてしていられないのだ。
「僕が怖いですか、リナさん。
 案外今のリナさんに揺さぶりをかけたら、世界を滅ぼすのも簡単かも
しれませんね。
 自覚なさってますか? 今、ガタガタ震えてらっしゃいますよ」
 くすくす、楽しそうな声が耳元で聞える。
「ああ、いいですね。美味しいです」
「リナ、どうした!? おい、ゼロス! お前リナに何をっ!」
 響く声は、先ほどより大きくなった。
 地精道で岩戸がだいぶ薄くなったのかも知れない。
「僕ですか? リナさんに何を? ……うーん、そうですねぇ。
 襲ってます」
「ふざけるなぁぁあああ!!」
「嫌ですねぇ、ふざけてなんていませんよ。
 では言葉を変えましょうか。
 ねちねち言葉攻めしてリナさんの美味しい感情で食事してます。
 いいじゃないですか、負の感情くらい。リナさんだって無抵抗ですよ?」
「リナ、どうしたんだ! 何かされてるのか!?」
「いいえ、僕は何もしてません。
 そもそもゼルガディスさん。この室内がこんなに明るいんですから、
影がそちらから見えるでしょう?」
 影? ああ、なるほど。
 薄いオリハルコンの板が内側に貼ってあるのだとあたしは思っていたが、
どうやら本当に高度な技術でこの石室の内側全体、オリハルコンが薄く
コーティングされているらしい。つまり、今あたしが背にしている岩戸だと
思っていたものは、最早オリハルコンの幕でしかないのだ。
 そこに室内からの明かりであたしたちの影が映り、それを向こう側のゼルが
見て影と解るほどにこの幕は薄い物なのだろう。
「リナ、おい、しっかりしろ!」
「でもリナさん、しっかりしろだなんてよくそんな無責任なことが言えた
もんだと思いません?
 ゼルガディスさんはルーク様を知らない。
 覇王様との戦いも、ルーク様との戦いも知らない。
 いいえ、ガウリイさんだって本当は知らないんですよね。
 北の魔王様から伺いましたよ。
 ルーク様を最後に屠った時、ガウリイさんは倒れていて、あなた一人だったと」
「あ……」
 そう。
 何をどう言ったって、
 あたしが、
 ルークに
 とどめを――
「あなたが、かつて仲間だったルーク様を、」
 あらわになった胸元を、指でくすぐられる。
 まるで、心臓を弄ばれているかのように。
 心の表面を、ナイフで撫でられているように。
「やめろぉぉぉおおおおおおお!!!!」
 がつん、と背中に衝撃が走る。
「魔王様と同化されたルーク様を、殺したんですよね、リナさん」

 涙が一筋、頬を伝った。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@





えええええええええ。

どうしましょう、何かゼロスさん激しくS化してますよ!?
そして続いちゃいます。
おかしいな、ゼルリナ書く予定だったはずなのにゼルが動けない不思議!
あれです、ゼロスさんのは
「好きな子ほどいじめたい、むしろ食べちゃいたいくらい好き☆」っていう。
ゼルやんは次回活躍予定。
まだ次回の流れ決めてないけど。
ってかこれ本当に次回で終わるのか!?
そもそもこれ本当にリナちゃんなのか!?
弱い……いくら傷抉られてるからってこれは皆様に許して頂けるのか……。
あああ石はっ石は痛いです投げないで!

そんなわけでお暇します!
なるべく早く続き書きに来れたいいな!
ではでは、みいでした☆


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