TERROR [i]

1.KAKINAGURI i
2.怪談

綾架るきあさんの話

 死因の分からない死体が発見されたという進分記事でその被害者の写真を見て、Aさんは血の気が引く思いをした。
 しかもAさんを驚かせたのは、不思議なことにその死体には小指がなかったとか・・・。


 話は変わって、Sさんが部活の合宿で宴会をして、暫くするとSさんはこんな話を始めた。
「この 話を聞くのはいいけど,何があっても俺は,責任もたんからな。」
 そう、言うと皆も馬鹿にされるのが嫌なのだろうか、黙って Sさんの話を聞き始めた。

 その内容は、Sさんが夢の中で川原にいると、見たことのないお婆さんが、しゃがみ込んで何かしている。
 気になって話をしてみるとどうやら探し物をしているらしく、何を探しているのかと聞くと、小指を探しているという。見るとそのおばあさんには小指がない。
 流石に気味が悪いので逃げ出そうとするが、変な使命感から結局手伝うことになった。
 で、おかしなことにそのおばあさん、どうも探す気がないようだった。

 暫く経ってSさんが諦めかけたころ、川上から小指が流れてくるのを見つけた。
 ほっとして気味悪いのも忘れて小指をつかみ、老婆に手渡すと感謝の言葉はいっていたが顔は残念そうで、Sさんが去ろうとした時のボソっと「あと少しだったのに・・・」と呟いたらしい。

 この話を聞いた人はその夜必ず同じ夢を見るらしく、Sさんが話をした時は皆その夢を見たそうで、その時は皆小指を見つけたらしい。
 Mさんはあまりに恐かったので眠りたくないとおもい、友人2人と夜を明かそうとしたが、部活の疲れもあって結局眠ってしまった。
 Mさんは半分信じていなかったが、すぐに自分が河原に立っていることに気付いた。夢の中のはずなのに変に現実感があり、その老婆は確かに何かを探していた。
 逃げたかったが小指を見つけられないと大変だと思い手伝ったが、Sさんの話と違いその老婆は探す気がないどころか邪魔しているようで、どう見ても焦っていた。
 河原ではとうとう見つからず、店でハンバーガーを食べていると、ハンバーグの間から小指が出てきて目が覚めたとか。
 次の日、残りの2人に話しをきいたところ、確かに二人とも老婆が出てきたが2人とも小指を探せなかったらしい。
 その2人は青ざめながら、夢から覚める前の、老婆の不気味な笑顔が忘れられないといった。


 それから数年後、Mさんはその新聞記事をみつけたらしいのだが、もう1人の消息は分からないらしかった。
 Aさんはその話を聞いたが、未だ夢を見ていない。だいたい1週間くらいの間に見るらしいのだが・・・

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